少子高齢化の進展、住民の地域社会とのかかわり方の変化等に伴い、地域においては、集落の有する機能の維持等に関し、看過することのできない問題が生じてきている。
しかしながら、一方では、住民自治を実現し、自立的な地域社会の形成を図るため、地域社会の様々な課題の解決に向けた地域の多様な主体による活動が行われており、このような活動は、地域の活性化にとって不可欠である。
地域の活性化の実現は、一朝一夕には成し得ない永遠の課題であるが、地域の多様な主体の協働による地域の資源や特性を生かした活動が活発に行われるためには、多様な主体が、地域づくりに関し共通の認識を持ち、共に取り組むことが必要である。
ここに、地域づくりに関する基本理念を明らかにしてその方向を示し、地域の多様な主体の協働による地域づくりが推進されるよう、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、地域づくりが自立的な地域社会の形成において重要な役割を果たすものであることにかんがみ、地域づくりに関し、基本理念を定めるとともに、県の役割等を明らかにすることにより、多様な主体の協働による地域づくりが推進され、もって個性豊かで活力ある地域社会の実現を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、「地域づくり」とは、住民、事業者、市町、県その他の多様な主体が、地域社会の課題の解決に向け、自然、歴史、文化等の地域の資源や特性を生かし、地域社会の維持及び形成に資するために行う、県内各地域における持続的な活動をいう。
(基本理念)
第3条 地域づくりは、次に掲げる事項を基本理念として推進されるものとする。
一 地域社会の課題の解決のため、地域社会を支える多様な主体の協働により、その展開が図られること。
二 地域社会が住民の生活の場として、将来にわたって魅力あるものとなるよう、地域の資源や特性を生かし、地域経営の観点から持続的な活動が行われること。
(県の役割等)
第4条 県は、住民をはじめとする多様な主体と対等の立場において信頼かつ協調の関係を保持し、多様な主体の意見が反映された地域づくりが円滑かつ効果的に行われるよう必要な仕組みを構築し、機能させるものとする。
2 知事は、前項の規定により仕組みを構築しようとするときは、その仕組みを議会に示さなければならない。
3 前項に規定する仕組みは、この条例の趣旨を尊重し、知事が定めるものとする。
(議会への報告)
第5条 知事は、毎年、前条第2項の規定により議会に示した仕組みに基づく地域づくりの実施状況について、議会に報告するとともに、これを公表しなければならない。
(議会の役割)
第6条 議会は、地域づくりに関し、三重県議会基本条例(平成18年三重県条例第83号)の趣旨にのっとり、知事等の事務の執行の監視及び評価、政策立案及び政策提言等に努めなければならない。
附 則
1 この条例は、公布の日から施行する。
2 この条例の規定については、この条例の施行の状況を勘案し、必要があると認められるときは検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。