松阪市人権のまちづくり条例
議決日 平成18年12月19日(2006)
施行日 平成18年12月22日(2006)
一人ひとりが人間として尊重されるとともに、希望と誇りをもって生活し、社会参加の機会を平等に得ることができる真に豊かな社会の実現は、私たちすべての願いです。私たちは、人権擁護と人権啓発のためのさまざまな取り組みを行い、すべての人の人権が実現される社会づくりに努力してきました。
しかし今日、障がい者、高齢者、女性、子ども、外国人への差別や部落差別などさまざまな差別により人間の尊厳が侵害されているといわざるを得ない状況があり、地域社会における連帯によって解決をはかることが重要な課題となっています。
世界人権宣言には「すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。」とうたわれており、また日本国憲法第14条にも、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」ことが明記されています。しかし、このことが無条件に人権の擁護を保障していることにはなりません。日本国憲法第12条は「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。」として、権利を実現するためには国民の不断の努力が必要であることを確認しています。松阪市に住む私たちの人権を守るためには、私たち自らが人権への関心とその侵害を許さない態度をもつことが重要なのです。
私たち一人ひとりが基本的人権を尊重し、お互いを大切にする心を育み、人権尊重を基調とするまちづくりを実現するための努力が必要です。すべての人が希望と誇りをもって暮らせる真に豊かな社会の実現にたゆまぬ努力を傾けることを決意し、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、世界人権宣言、日本国憲法及び松阪市人権尊重都市宣言の精神にのっとり、一人ひとりが人権を尊び、障がい者、高齢者、女性、子ども、外国人への差別や部落差別など、あらゆる差別をなくすための行動を促すとともに、すべての人々が希望と誇りをもって社会に参加できる地域社会の実現に資することを目的とします。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の定義は、それぞれ当該各号に定めるところとします。
(1) 市民とは、市内に住所又は生活又は活動の拠点を置く者、滞在者などをいいます。
(2) 事業者とは、市内で事業を営む個人、法人又は団体をいいます。
(市の責務)
第3条 松阪市(以下「市」といいます。)は、第1条の目的を達成するため、市民の人権の擁護、救済の取り組みや人権意識の高揚をはかる施策を積極的に策定し、実施する責務を有します。
2 市は、人権施策の策定及び実施にあたっては、十分な調査、研究を行い、国、県や市民組織などと連携協力をはかります。
(市民の役割)
第4条 市民は、自ら人権意識の高揚に努め、相互に人権を尊重します。
2 前項に定めるもののほか、市民は基本的人権を尊重し、あらゆる差別をなくすための施策に協力し、自ら市とともに人権施策の企画及び実現に努めます。
(事業者の役割)
第5条 事業者は、その事業活動が地域社会に密接に影響を及ぼすことに配慮し、人権の尊重によるあらゆる差別の解消と雇用の促進や社会参加などに積極的に努めます。
2 事業者は、社会的責任を自覚し、人権研修などを通じて職場における人権意識の高揚に努めます。
(施策推進の基本方針)
第6条 市は、第1条の目的を達成するための諸施策の実施にあたっては、次に掲げる事項を基本方針とし、行動計画を策定し、その推進に努めます。
(1) 市民が一人の人間として尊重され、希望と誇りをもって生活できる社会を築くこと。
(2) 人権教育及び啓発活動を通じて人権意識を高めること。
(3) 人権擁護のための努力をし、人権が侵害された場合における被害者の救済に関する取り組みを行うこと。
(4) 多文化共生社会の実現やバリアフリーのまちづくりに関する取り組みを行うこと。
(5) 市民が自ら進んで人権のまちづくりのための施策を企画及び実施していく意欲と能力を高めること。
(人権教育及び啓発活動の充実)
第7条 市は、市民の人権意識の高揚をはかるため、家庭、学校、市民組織及び事業者との密接な連携による人権教育及び啓発活動を充実し、人権尊重の社会的環境づくりに努めます。
(推進体制の充実)
第8条 市は、人権のまちづくりの理念に基づく施策を効果的に推進するため、国、県をはじめ関係機関や関係団体などとの連携を強化するための体制を整備します。特に市民との連携をはかりながら市民組織などと協力していく体制づくりに努めます。
2 市は、前項の施策の推進にあたっては、必要に応じて市民意識の把握を行うとともに、推進体制の充実その他の必要な措置を講ずるよう努めます。
(審議会の設置)
第9条 市は、人権施策基本方針その他人権施策について調査審議するため、松阪市人権施策審議会(以下「審議会」といいます。)を設置します。
2 審議会は、人権施策の推進及び明るく住みよいまちづくりの推進に向けて、基本的事項の協議及び審議を行い、その結果を市長に答申します。
3 審議会は、人権施策に関する事項に関し、市長に意見を述べることができます。
4 審議会は、委員15人以内で組織します。
5 委員は、次に掲げる者のうちから、市長が委嘱します。
(1) 学識経験者
(2) 人権関係団体の代表者
(3) 公募による市民
(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める者
6 委員の任期は2年とし、再任を妨げません。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とします。
7 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定めます。
(委任)
第10条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定めます。
附 則
この条例は、公布の日から施行します。
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