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安全保障法制の慎重な審議を求める意見書

安全保障法制の慎重な審議を求める意見書

 政府は、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈を前提として、武力攻撃事態法、PKO法などの改正を行う平和安全法制整備法案と、他国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する新法である国際平和支援法案を提出した。
 戦後70年間、平和憲法の下で、我が国が貫いてきた海外で武力行使をしないという原則を大きく転換しようとしているにもかかわらず、本来はそれぞれ丁寧に審議すべき10本の改正案を一つに束ねて提出し、審議を簡略化しようとするなど、国民への丁寧な説明や国会での徹底審議を避け、結論ありきで法改正を強行しようとする政府の姿勢は容認できない。
 平和安全法制整備法案では、昨年7月に閣議決定された、武力行使に関する「新三要件」に基づき、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合にも、自衛隊の出動を認めているが、国会での議論を通じて、その要件が曖昧であり、歯止めとして機能していない。
 こ・黷轤フ法案では、国際平和のために活動する他国の軍隊等への後方支援活動等について、自衛隊が活動できる地域が拡大され、武力行使の一体化につながりかねない内容が盛り込まれている。
 また、これらの法案について、世論調査において、国民の多くは政府の説明が不十分であるとしており、去る6月4日に開催された衆議院憲法審査会においては、参考人の憲法学者全員から、集団的自衛権の行使を容認する解釈及びこれらの法案について、憲法違反であるとの指摘がなされた。
 政府には、憲法の平和主義、専守防衛の原則を堅持した上で、国民の生命及び財産並びに我が国の領土、領海及び領空を確実に守る観点から安全保障政策を構築する責任がある。
 以上のことから、本県議会は、政府に対し、世論の把握に努め、これらの法案に関する国民の疑問や不安を真摯に受け止め、国民への丁寧な説明を行うとともに、今の通常国会での改正法の成立にこだわらず、国会での審議を慎重かつ丁寧に進めるよう要請する。

 以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

    平成27年6月16日

             三重県議会議長 中 村 進 一

(提 出 先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
外務大臣
防衛大臣

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