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平成27年第2回定例会6月定例月会議 請6

受理番号・件名 請6 戦争法案反対について
受理年月日 平成27年6月3日
提出された
定例会
平成27年第2回定例会6月定例月会議
紹介議員 山本 里香、岡野 恵美、稲森 稔尚
付託委員会 戦略企画雇用経済常任委員会
請願要旨

(要 旨)
 安倍政権は、本年5月14日、国際平和支援法案(恒久法・新法)と武力攻撃事態対処法、周辺事態法、PKO法、自衛隊法等の10本の現行法改正案(一括法案)を閣議決定し、翌15日に国会に提出した。
 これらの法案(以下「戦争法案」という。)は、集団的自衛権を行使し、我が国が攻撃されていなくても、他国の戦争に自衛隊をいつでも参戦させるための法案であり、戦後70年間、我が国の非戦と平和の営みを支え続けてきた日本国憲法に反する違憲法案である。
 我が国は、先の戦争により、アジア諸国民2,000万人、日本人310万人もの尊い命の犠牲の上に「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることがないようにすることを決意し」(憲法前文)、「国権の発動たる戦争と武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段として永久にこれを放棄する」「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」(憲法9条1、2項)という恒久平和主義の原則を確立した。
 ところが、「積極的平和主義」を標榜する安倍政権は、中国の台頭、米軍の軍事的影響力の相対的低下といった安全保障環境の変化を口実にして、米軍を中心とした関係諸国とともに軍事行動を展開していくことが我が国の安全保障にとって唯一の取るべき道であるとして、我が国を戦争する国に導こうとしている。
 私たちは、恒久平和主義を破壊し、日本を戦争する国に変えようとする戦争法制を容認することはできず、廃案にすることを求める。
【請願項目】
 平和憲法に反する集団的自衛権行使を認めない意見書を、政府へ提出するよう求める。

(理 由)
1 安倍政権が5月15日に国会に提出した国際平和支援法案(恒久法・新法)と武力攻撃事態対処法、周辺事態法、PKO法、自衛隊法等の10本の現行法改正案(一括法案)のうち、中心的法案は、恒久法たる新法の「国際平和支援法」、周辺事態法の改正、武力攻撃事態対処法の改正、PKO法の改正で・る。
2 武力攻撃事態対処法
(1)政府は、2014年7月1日の閣議決定によって、「自衛の措置としての新3要件」を定めた。この新3要件によって、日本への武力攻撃がないにもかかわらず、「密接な関係にある他国に対する武力攻撃」によって、自衛隊が武力行使を行う「集団的自衛権」の行使が政府によって容認されることになった。
 自衛の措置としての新3要件
①我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
②これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
③必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
 前記①の事態を「存立危機事態」という。
 武力攻撃事態は、現にこの国の国土等に攻撃が行われている場面であるから、状況や展開、規模や態様は事実で確認することができる。
 しかし、「存立危機事態」とされる基準は、他国の国土等に対する攻撃そのものがあるか否かではなく、「他国への攻撃によって、この国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険があるか」である。これは外交関係や政治・経済関係などの評価にかかわる問題で、他国に対する武力攻撃に関する情報をどれだけ収集しても確認することはできない。
 そこで、「存立危機事態」をどのように認定するのかという問題がある。
 国会の審議は、特定秘密保護法によってその内容は制約される。審議に用いられる資料は、政府が用意した資料に限られる。詳しく内容を探ろうとすると、特定秘密保護法違反となる。
  「存立危機事態」として、自衛隊法に基づいて行う防衛出動は、国会の事前承認が必要であるが、「特に緊急の必要があり事前に国会の承認を得るいとまがない場合」には、事後承認で足りるとされている(事態法9条4項)。これを使われれば、国民は知らない間に米国の戦争に巻き込まれる。
(2)しかも、新3要件の射程は極めて広い。
 昨年の国会における答弁は、集団的自衛権の行使には「なんの限定もない」と言うに等しいことを明らかにした。
 特徴的な答弁を列挙する(抽出は要旨)。
①米国は「密接な関係にある国」に基本的に該当する(7月14日安倍首相)。
②米国に対する武力攻撃は、わが国の国民の命や暮らしを守るための活動に対する攻撃だから、3原則にあてはまる可能性が高い(7月14日岸田外相)。
③「これを排除し」の「これ」とは、他国への武力攻撃のことを言う(7月15日横畠内閣法制局長官)。
④「必要最小限度」は、武力攻撃の規模・態様に応じて判断する(7月15日安倍首相)。
⑤ホルムズ海峡への機雷敷設によって、存立が脅かされ、権利が根底から覆される事態は生じ得る(7月14日安倍首相)。
 これでは、米国への武力行使があればほとんど自動的に参戦することを誓約したも同じである。
3 新法の国際平和支援法は、平和支援のための法律ではなく、本質は、「国際社会の平和と安全」のためとして戦争する他国軍を随時支援する法律であり、海外派遣法である。
 派遣の要件
①国連決議または関連する決議
 これは、国連決議がなくとも有志連合でも派兵可能となる。
②国会の事前承認
 国会に提出される情報には特定秘密保護法の「壁」がたちはだかるもとで、派遣先国の情勢や「国家に準じる組織」の存否などについて、国会が的確な判断を行うことは極めて困難である。国会は、政府の言いなりとなる。
③隊員の安全確保の措置
 これは、安全確保すると言うだけである。
 いままでの活動地域は「非戦闘地域」と限定されていたが、今後は、「戦闘現場」でなければよいこととなり、武器の使用も「国家に準じる組織」が敵として登場しなければ、「自己保存型」「武器防護型」に限定されず、任務遂行のための武器使用を認めることになっているので、極めて危険である。
 安倍首相は、支援地域が戦闘現場となったら、その場から撤収すると言うが、そのようなことは戦闘現場においては不可能である。
4 重要影響事態法は、周辺事態法の改正案である。
 周辺事態法では、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対し、政府が事態の認定と基本計画を作成して国会承認を受け、自衛隊を派遣した。
 しかし、重要影響事態法では、周辺事態法における「我が国周辺の地域における」との部分が削除され、我が国周辺に限らず、全世界が対象となった。そして、「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」を重要影響事態とした。
 しかも、活動地域は、現に戦闘が行われている現場でなければ、後方支援が認められる。
 現行法で列挙されているのは、後方地域支援、後方地域捜索救助活動、船舶検査活動その他の必要な措置である。この「枠組み」そのものは維持されるが、「後方」の概念がなくなるので、ただの「支援活動」「捜索救助活動」などになる。
 支援活動の内容が拡大される。
①弾薬の提供や発進準備中の航空機への給油が加えられる。これらは、交戦行為そのものである。
②任務遂行のために武器使用を認める。
 米軍に軍事支援を行う自衛隊が、攻撃される可能性は高く、自衛隊が敵国から攻撃を受ければ応戦する。この状態は、集団的自衛権行使につながっていく。
③支援の対象
 現行法は「合衆国軍隊」に限定されているが、ここに「共同作戦に参加する米国の同盟国などの軍隊」が加えられるので、オーストラリア軍などが入ってくる。
5 国際平和協力法は、PKO法の改正である。
 PKO活動の拡大
①国連決議に基づくか、関連決議がある場合。
 国連平和維持活動のみならず、有志連合の活動でも参加可能となる。
②国会の事前承認。
 停戦監視活動、安全確保活動のみ事前承認が必要。閉会中、解散時は事後承認でよい。
 特定秘密保護法の壁があり、情報は開示されない。
③隊員の安全確保に必要な措置を定める。
 これは、述べるだけで機能しない。
④駆けつけ警護が可能となる。
 PKOで派遣された自衛隊の部隊が、他国のPKO部隊などが襲われそうになったときに警護にあたり(かけつけ警護)、他国のPKO部隊の救援にかけつけて共同で襲撃に応戦すれば、その他国と共同の軍事行動を展開することになる。
⑤治安維持のための武器使用ができる。
 「領域国の受け入れ同意による警察的な活動」を容認した閣議決定により、PKOによる治安維持活動は可能として、派遣先住民の安全確保、監視、駐留、巡回、検問、警護などの安全確保活動を認め、業務を妨害する行為を排除するための武器使用を認める。
6 グレーゾーン事態の創設
 純然たる平時でも有事でもない事態(グレーゾーン事態)が生じやすいとして、グレーゾーン事態というカテゴリーを創設した。
①武装民兵が尖閣諸島に上陸したとき。
②米軍やオーストラリア軍等の南シナ海の監視活動をしているとき他国軍の艦船が攻撃されたとき。
 上記のような状態は、警察行動での対応は難しく、さらなる重大な事態につながるので、このような場合はグレーゾーン事態として、自衛隊の投入ができるようにした。これが、切れ目のない(シームレス)対応であるという。
③海上警備行動(自衛隊法82条)
 海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合に防衛大臣が内閣総理大臣の承認(閣議決定)を経て発令する。武器の使用には警職法7条と海上保安庁法20条が準用されている。
 この行動の結果、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に当たると政府が認定すれば、「存立危機事態」になったということになり、集団的自衛権が行使されることとなる。
7 戦費の調達はどうするか、増税が待っている。
 我が国は、1000兆円を超える債務があり、対GDP比250%になっている。このような多額な借金を負っている先進国はない。これは、第2次大戦直後と同じ状態であり(1944年度末で、国民所得比267%)、戦争していないのに、財政的には戦争をした状態にある。
 このような国が、どこから集団的自衛権のための戦費を出すのか。その行きつく先は増税である。私達は、そのような社会を求めるのかが問われている。
8 私達は、恒久平和主義を破壊し、日本を戦争する国に変えようとする戦争法制を容認することはできず、廃案にすることを求めて、本請願に及んだ。  

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