受付番号・件名 | 陳5 就職氷河期世代を支援するための正規職員採用試験実施について |
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受付年月日 | 令和2年4月8日 |
提出された 定例月会議 |
令和2年定例会6月定例月会議 |
所管委員会 | 戦略企画雇用経済常任委員会 |
項目 |
貴職におかれては、人権が尊重される明るく住みよい社会の実現をめざして、日頃から三重県における人権施策充実のため、尽力されていることに敬意を表する。
2016年4月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が施行され、三重県においては2018年6月に県独自の条例が制定された。法の具現化に向け、条例を制定され、積極的な対話を通じた社会的障壁の除去に他県に先駆けて取り組まれている県の姿勢を非常に心強く感じている。 しかしながら、現状はこうした条例の趣旨が十分に生かされた施策が実施されているとは言い難い状況にある。今年度、三重県が実施した「人権問題に関する県民意識調査」でも、今なお、県民の障害者に対する忌避意識が根強く存在していることが明らかになっている他、合理的配慮の理解不足、障害当事者はもとより、その家族に対するさまざまな偏見や差別に苦悩している実態もある。 こうした中、2020年に就職氷河期世代を支援するための正規職員採用試験を実施される件について、6月の実施要項作成にあたり、当然ながら障害者も対象に含まれていると考えているため、こうした点を踏まえ要望する。 【要望事項】 「就職氷河期世代を支援するための正規職員採用試験」の実施要項に、以下の点について明記していただきたい。 1 障害者雇用枠の設置と障害者雇用枠の応募年齢制限の撤廃 2018年に発覚した省庁及び地方自治体の障害者雇用率の水増し問題では、三重県や三重県教育委員会でも障害者雇用率の算定誤りがあり、実雇用率が法定雇用率より大幅に下回っていたことが明らかになった。このことにより、県が法定雇用率を守ることに努めていたら職員として採用されていた可能性もありながら、採用を見送られ応募年齢を超過してしまった障害のある県職員志願者も存在したはずである。今回、「就職氷河期世代を支援するための正規職員採用試験」の実施にあたり、県の理解不足により採用を見送られてきた過去の県職員を受験していた障害者に対する不利益を回復するための措置として、県の障害者雇用枠での年齢制限を撤廃していただきたい。 2 障害が不利にならないこと 現在、三重県では他県に先立ち、視覚障害者に対する点字受験の実施など、前向きに取組を進めているが、筆記試験での視覚障害者に対するヒアリングや面接試験での手話通訳・要約筆記等、さらに合理的配慮の充実を図っていただきたい。また、障害者に受験機会を提供することで終わるのではなく、その試験結果(合否判定)において、障害が不利になっていないことを受験者自身が説明を受け、結果に納得できるよう努めていただきたい。そこが不明瞭なままだと、障害者が不採用の結果を受けて、自身の障害から自己否定につながったり、自尊感情を損なったりしかねない。障害者が勇気をもって、社会に挑戦する場面で、理由がはっきりしないまま不採用となって、自身の障害のために不採用になったと考えてしまうことがないように配慮をお願いしたい。 3 障害に応じた業務内容の準備 受験者が採用された際には、障害に応じてやりがいをもって働けるような業務内容を準備し、障害があることで可能性をあきらめる障害者がでないようにしていただきたい。障害者雇用は、本来、障害者の社会参加を支援することを目的としており、「健常者と同じ条件で働ける障害者なら雇用する」という考え方ではないはずである。障害者がやりがいをもって働くためには、障害に応じた勤務場所や業務内容を具体的なイメージとして持つことが必要であり、そのためには、採用試験時に、採用する側が、採用後の具体的な勤務イメージをもって試験を実施していただきたい。 |