議提議案第一号
みえ歯と口腔の健康づくり条例案
右提出する。
平成二十四年二月二十九日
提 出 者 田 中 智 也
石 田 成 生
大久保 孝 栄
吉 川 新
杉 本 熊 野
稲 垣 昭 義
青 木 謙 順
中 西 勇
中 川 康 洋
みえ歯と口腔の健康づくり条例
目次
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 各主体の責務、役割等(第三条―第十条)
第三章 施策の基本的事項(第十一条―第十三条)
第四章 雑則(第十四条・第十五条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、歯科口腔保健の推進に関する法律(平成二十三年法律第九十五号)が制定されたこと、及び歯と口腔(くう)の健康づくりが県民の健康で質の高い生活を営む上で重要であることに鑑み、歯と口腔(くう)の健康づくりに関して基本理念を定め、並びに県民自らが歯と口腔(くう)の健康づくりに努めること等県及び県民等の責務並びに市町等の役割を明らかにするとともに、県の施策の基本的な事項を定めることにより、県民の歯と口腔(くう)の健康づくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって全ての県民の生涯にわたる健康増進に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第二条 歯と口腔(くう)の健康づくりに関する施策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
一 県民一人一人が自ら歯と口腔(くう)の健康づくりに取り組むことを促進すること。
二 全ての県民が生涯にわたって、八十歳で自分の歯を二十本以上保つ運動(以下「八〇二〇(はちまるにいまる)運動」という。)の意義を踏まえて、適切かつ効果的な歯と口腔(くう)の疾病及び異常の有無に係る定期的な検診、保健指導並びに医療(以下「歯科検診等」という。)を受けることができる環境の整備を推進すること。
三 保健、医療、福祉、労働衛生、教育その他の関連施策との連携を図りつつ、総合的かつ計画的に歯と口腔(くう)の健康づくりを推進すること。
第二章 各主体の責務、役割等
(県の責務)
第三条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、歯と口腔(くう)の健康づくりに関する施策を総合的に策定し、及び計画的に実施するものとする。
(県民の責務)
第四条 県民は、基本理念にのっとり、自ら進んで、全身の健康の保持増進のため、歯と口腔(くう)の健康づくりについての関心と理解を深め、かつ、正しい知識を持つとともに、その発達段階、年齢階層、心身の状況等に応じて、歯科検診等を受けることにより、生涯にわたって歯と口腔(くう)の健康づくりに取り組むよう努めるものとする。
(歯科医療関係者の責務)
第五条 歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士その他の歯科医療に係る業務に従事する者(以下「歯科医療関係者」という。)は、基本理念にのっとり、県が実施する歯と口腔(くう)の健康づくりに関する施策に協力するとともに、保健、医療、福祉、労働衛生、教育その他の関連施策に関する業務を行う関係機関及び民間団体並びに当該業務に従事する者との連携を図ることにより、良質かつ適切な歯科検診等を提供するよう努めるものとする。
(市町の役割)
第六条 市町は、基本理念にのっとり、歯科口腔保健の推進に関する法律、健康増進法(平成十四年法律第百三号)、母子保健法(昭和四十年法律第百四十一号)その他の歯と口腔(くう)の健康づくりに関する法令の規定に基づく施策を継続的かつ効果的に推進するよう努めるものとする。
(保健医療関係者、福祉関係者、教育関係者等の役割)
第七条 保健医療関係者、福祉関係者、教育関係者等は、基本理念にのっとり、県民の歯と口腔(くう)の健康づくりを推進するよう努めるとともに、他の者が行う県民の歯と口腔(くう)の健康づくりの推進に関する活動との連携及び協力に努めるものとする。
2 保健医療関係者、福祉関係者、教育関係者等は、県民の生活習慣の教育及び食育の推進に努めるものとする。
(事業者及び保険者の役割)
第八条 事業者は、基本理念にのっとり、県内の事業所において雇用する従業員の歯科検診等の機会の確保その他の歯と口腔(くう)の健康づくりに関する取組を推進するよう努めるものとする。
2 保険者は、基本理念にのっとり、県内の被保険者の歯科検診等の機会の確保その他の歯と口腔(くう)の健康づくりに関する取組を推進するよう努めるものとする。
(市町等との連携、協力及び調整)
第九条 県は、歯と口腔(くう)の健康づくりに関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、市町等関係団体との連携、協力及び調整を行うものとする。
(市町への支援等)
第十条 県は、市町が歯と口腔(くう)の健康づくりに関する基本的な計画を定め、又は八〇(はちまる)二〇(にいまる)運動等の歯科保健医療対策をしようとするときは、その求めに応じて、技術的な助言又は必要な情報の提供を行うものとする。
第三章 施策の基本的事項
(基本的施策)
第十一条 県は、歯と口腔(くう)の健康づくりに関する施策を総合的に策定し、及び計画的に実施するため、次に掲げる施策を講ずるよう努めなければならない。
一 全ての県民が、生涯にわたって、歯科検診等を受けられる環境の整備に関すること。
二 障がい者、介護を必要とする者その他歯科検診等を受けることが困難な者並びに妊産婦及び乳幼児が必要とする歯科検診等を受けることができる環境の整備に関すること。
三 幼児、児童及び生徒に関する歯と口腔(くう)の健康づくりの推進を図るため、学校等におけるフッ化物洗口等の科学的根拠に基づく、効果的な歯科保健対策の推進並びに学校等がフッ化物洗口等を行う場合における助言及び支援に関すること。
四 歯科医療関係者と協力し、児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)第五条に規定する児童虐待の早期発見等に関すること。
五 成人期における歯周疾患の予防対策に関すること。
六 中山間地域等(山間地及びその周辺の地域その他の地勢等の地理的条件が悪く、歯科検診等を受けることが困難な地域をいう。)における歯科検診等を受けることができる環境の整備に関すること。
七 平常時における災害に備えた歯科保健医療体制の整備及び災害発生時における迅速な歯科保健医療体制の確保に関すること。
八 歯と口腔(くう)の健康づくりに係る業務に携わる者の人材確保、育成及び資質の向上に関する施策に関すること。
九 歯科疾患に係る効果的な予防及び医療に関する研究に関すること。
十 前各号に掲げるもののほか、歯と口腔(くう)の健康づくりに必要な施策に関すること。
(基本計画)
第十二条 知事は、歯と口腔(くう)の健康づくりに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、歯と口腔(くう)の健康づくりについての基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。
2 基本計画は、歯と口腔(くう)の健康づくりに関する中長期的な目標、基本となる方針及び施策の方向に関し必要な事項を定めるものとする。
3 知事は、基本計画を定めようとするときは、あらかじめ、三重県公衆衛生審議会の意見を聴き、議会の議決を経なければならない。
4 知事は、基本計画を定めようとするときは、県民の意見を反映することができるよう、必要な措置を講ずるものとする。
5 知事は、基本計画を定めたときは、これを公表するものとする。
6 知事は、毎年、基本計画に基づく施策の実施状況について議会に報告するとともに、これを公表しなければならない。
7 第三項から第五項までの規定は、基本計画の変更について準用する。
(調査)
第十三条 知事は、歯と口腔(くう)の健康づくりに関する施策を策定し、評価するための基礎的な資料とするため、概ね五年ごとに、県民の歯科疾患の罹(り)患状況等に関する実態の調査を行うものとする。
2 知事は、前項の実態の調査を行ったときは、その結果を県民に公表するとともに、歯と口腔(くう)の健康づくりに関する施策及び基本計画の見直しに反映させるものとする。
第四章 雑則
(財政上の措置等)
第十四条 県は、歯と口腔(くう)の健康づくりに関する施策を推進するため、必要な財政上の措置、人員の配置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。
(いい歯の日及び八〇二〇推進月間)
第十五条 歯と口腔(くう)の健康づくりについて、県民の関心と理解を深めるとともに、歯と口腔(くう)の健康づくりへの取組が積極的に行われるようにするため、十一月八日を「いい歯の日」とし、十一月を「八〇二〇(はちまるにいまる)推進月間」とする。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。