三重県議会 > 県議会の活動 > 委員会 > 委員会会議録 > 平成23年度 委員会会議録 > 平成23年8月1日 健康福祉病院常任委員会 会議録
健康福祉病院常任委員会
会 議 録
(閉会中)
開催年月日 平成23年8月1日(月) 自 午後3時1分~至 午後4時24分
会 議 室 501委員会室
出席委員 7名
委 員 長 今井 智広
副委員長 中嶋 年規
委 員 小島 智子
委 員 石田 成生
委 員 水谷 正美
委 員 日沖 正信
委 員 舟橋 裕幸
欠席委員 1名
委 員 貝増 吉郎
参 考 人
NPO法人 MMC卒後臨床研修センター
前実行委員長兼事務局長 松本 和隆氏
委員会書記 議 事 課 副課長 藤野 久美子
企画法務課 主 幹 池田 和也
傍聴議員 1名
北川裕之
県政記者クラブ 7名
傍 聴 者 1名
議題及び協議事項
Ⅰ 常任委員会
1 連合審査会開催の申し入れについて
2 参考人の出席要求について
3 参考人からの意見聴取
(1)医師確保の取り組みについて
Ⅱ 委員間討議
Ⅲ その他
【会議の経過とその結果】
〔開会の宣言〕
Ⅰ 常任委員会
1 連合審査会開催の申し入れについて
〇今井委員長 まず、最初に、連合審査会の開催申し入れについて、ご協議願います。
福島県等の農家から出荷された牛の肉に関する対応等について、当局から説明したい旨申し出がございました。
この内容については、暫定許容値を超えて放射性セシウムが検出された稲わらを牛に給餌していたことに関し、防災農水商工常任委員会の所管と関連がありますので、防災農水商工常任委員長に、連合審査会の開催を申し入れたいと存じますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なしの声」あり〕
ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
連合審査会の開催につきましては、防災農水商工常任委員長と協議する必要がありますが、本委員会終了後、午後4時30分から開催していただくよう申し入れを行いたいと存じます。
2 参考人の出席要求について
〇今井委員長 次に、委員会における参考人の出席要求について、ご協議願います。
県内の医師確保対策として、卒後臨床研修や地域医療の充実に向けた取組等について把握する必要があることから、本日、参考人を招致したいと存じます。
正副委員長で協議した結果、お手元に配付の事項書のとおり、MMC卒後臨床研修センター前実行委員長兼事務局長、松本和隆様に、本日お越しいただくことで、相手方と調整いたしました。
お諮りいたします。
松本和隆様に参考人として出席を求めたいと存じますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なしの声」あり〕
ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
それでは、参考人にお入りいただきますので、しばらくお待ちください。
〔参考人 入室〕
3 参考人からの意見聴取
(1)医師確保の取り組みについて
〇今井委員長 本日は、医師確保の取り組み等について、松本和隆様の出席を求めております。
この際、参考人に一言ごあいさつ申し上げます。
本日はお忙しい中にもかかわらず、本委員会にご出席いただき誠にありがとうございます。委員会を代表して心からお礼を申し上げます。
早速ですが、本日の議事順序等を申し上げます。まず参考人からの意見聴取、次に参考人に対する質疑、委員間討議の順で取り進めます。なお、参考人からの聴き取りは、質疑等を含めて終了時刻を午後4時20分と予定しておりますので、ご了承願います。
では、参考人からの意見聴取を行います。参考人は、MMC卒後臨床研修センターにおける医師確保、地域医療充実のためのこれまでの取組等について、ご意見等を述べていただき、その後委員会の質問にお答えいただきますよう、お願いいたします。
それでは、 松本和隆様よろしくお願いします。
〇松本参考人 松本です。今日はよろしくお願いいたします。
本日は、お招きいただきましてまことにありがとうございます。三重県におきます医師不足問題及び、それに対応してMMCという組織ができたわけなんですけれども、私が3年間やらせていただいた活動状況というものをこちらで報告させていただきたいというふうに思っております。
お手元の資料にもあるんですけれども、私は以前は医療職をやっておりまして、今もやっておるんですけれども、その途中でMMCというところに、前任者から、お前やってみろということで振られまして、それまで医師不足というのは聞いてはおったんですけれども、なかなかどこか他人事というようなところがありまして、最初こういう仕事をやれと言われて少し戸惑った部分もあったんです。1年、2年とやっていくうちに少しずつわかるようになってまいりまして、その中でいろいろな現場の先生方、もしくは学生たちの話を聞きまして、自分なりにいろいろ思うこともあったり、また感じたりすることもありまして、多少、エビデンスといいますか根拠に基づいていない部分もあるんですけれども、私の私見も交えながら少しお話しさせていただきたいと思っております。
私は、そもそもが医師でありまして、政治家ではございませんので、政策論についてここで話すことはとてもできません。そのあたりはもうこちらにお集まりの委員の方々にお任せさせていただきまして、私は医師から見た立場ということでお話をさせていただきます。
まず、MMC卒後臨床研修センターの概略について少しお話しさせていただきます。
MMCと言われて、何だこりゃと思われた方もみえるとは思うんですけれども、MMCというのはMie Medical Complexの略称でありまして、三重医療複合体と言えばいいんでしょうか、これはそもそもMMCが設立されたときからこういう名前であったわけです。こちらは三重大学病院の組織というわけではなく、NPO法人格というものをとっておりまして、いわゆる外郭団体というものに当たります。
いつから始まったかと申しますと、平成16年に新医師臨床研修制度というものが始まりました。それと同時に三重県全体で新しい研修制度で研修を行うドクターを一致団結して迎えなければいけないんじゃないかということで発足した団体であります。NPOですので、理事長を置かなければいけないんですけれども、理事長は代々、三重大学医学部附属病院の病院長が担当するということで定款上は定まっております。現在は、三重県内の医学生、研修医に対して臨床研修とか情報交換のサポートを行うのみならず、今、力を入れているのは三重県外の医学生、研修医に三重県の医療の魅力を伝えるというところでアピールしているところでございます。
MMCの事務局というのは、三重大学病院内に置いてございます。簡単な組織図をお示しさせていただきたいんですけれども、理事会、総会がありまして、こちらの方で事業の最終決議、決定、定款変更などを行いまして、卒後臨床研修部でいろいろな事業の承認とか、各病院の事務の方々に報告したりとか、そういうことを行っております。その下に実行委員会というのがありまして、こちらがこのMMCの核になる組織であります。三重県内のさまざまな病院の先生方で構成されておりまして、こちらでMMC事業を行う上での企画、立案、サポートというのを考えて、ここで考えたことをこの下の事務局に投げて、連絡とかいろいろな運営とか事務処理を行っているということです。私は、この事務局長ということで3年間やらせていただきました。
こういうMMCという組織が日本全国にあるかといいますと、実はそうではなくて、日本全国いろいろ見てみても、ここはNPOですけれども、1つの組織が三重県全体の研修病院をまとめているということは案外少ないというか、どちらかというとまれなんです。どうして三重県、特にMMCにそれができたかといいますと、幸か不幸か三重県内の医師養成機関というのは三重大学しかございません。県内のいろいろな各臨床研修病院ありますけれども、院長先生クラスというのはもうほとんどが三重大学出身の先生方で占められているんです。ということで、問題点の共有とか意思の疎通というのが、先輩後輩の上下関係もあったりして非常に簡単にできたと。それがMMCができた1つの大きな原因じゃないかと思います。
逆に都会の方が臨床研修という点では非常にすばらしいと言われてはおるんですが、都会は医学部というのが非常に多いんです。多いので、そういう医学部の関連病院というのが、例えばA病院はこの大学で、B病院はこの大学でとか、もう全部大学病院にひもづけられていまして、研修病院同士が一致団結するということは、非常に簡単なようでなかなか難しいと、都会であっても難しいということなんです。
よく間違われるんですけれども、三重大学の中には昔、卒後臨床研修部と呼ばれるところがありました。名前がちょっと似通っていまして非常にややこしいんですけれども、この卒後臨床研修部というところは、三重大学の組織でありまして、三重大学の病院内で行われる臨床研修とか学生指導を主に管轄するセクションであると。ところが、MMC卒後臨床研修センターというのは、三重大学病院を初めとしまして、三重県内のすべての初期臨床研修病院、現在、四十二、三あるわけですけれども、四十二、三の会員病院に勤務されている研修医、初期研修医、後期研修医のサポートとか、あとマッチングに関連しまして、医学部の学生に対するサポートなども行う組織ということで、非常に幅広い業務を行っているということです。
事務局の方は、事務局長、私1名とあと事務職員4名で運営されております。事務職員はすべてパート職員でありまして、これは後でも言うんですけれども、三重県全体の病院の仕事を行う割に事務局はこれだけしかいないんです。ですので、このあたりを何とかしたいと思いつつも、みんなで頑張ってやってきたというところでございます。
それで、MMCの運営について、少しお話しさせていただきます。三重県内の40の医療機関や県、医師会などから出資を受けて運営されているんですけれども、会員をつくっておりまして、主にA会員、B会員の2つございます。A会員というのは、幾つかあるんですけれども、主には初期臨床研修制度というところの基幹型病院ということで、こちらは年会費として50万円をMMCに納めていただいています。もう一つ、B会員というのは、いわゆるこういう基幹型病院に少し協力しているような施設です。協力型病院とよく言うんですけれども、そういう協力施設がこちらに入っておりまして、年会費は30万円支払っていただきます。こういう会員病院からの年会費によりまして、いろいろなMMCの事業を運営したり、会議なんかも運営したりということをやっております。こちらに会員病院をお示しいたしましたけれども、A会員というのは、もうここに書いてあるそのままなんです。基幹型病院で、特徴としては、三重大学病院ですらMMCの一会員病院でしかないということです。B会員はここに書いてあるとおりの病院で、こちらがよくある協力型病院というものでございます。
先程MMC実行委員会というのが核になっているということをお話ししたんですが、どういうことをやっているかというのをちょっとお話しいたします。MMCの事業を企画・運営するに当たりまして、三重県内の主要な臨床研修病院において、実際に研修医に対して指導的立場にあるベテランの指導医の先生方、現在11名と、三重県健康福祉部の医療政策監、森岡先生を含めました12名の医師によりまして実行委員を結成しました。これは毎月ミーティングを夜遅くまでもっておりまして、MMCでこういうことをしたら、研修医、学生に魅力あるいろいろな事業ができるんじゃないかということで方向づけを行っているということです。
当然、各病院の先生方に来ていただいていますので、実行委員の選定に当たりましては、非常に地域性を考慮しておりまして、なるべく偏りのないように、例えば北勢、中勢、南勢、いろいろ分けまして、いろいろな研修病院から、北に偏らず、南に偏らず、極力均等に選任するということをやっております。また、各委員の先生方には、各病院の利益代表者になってもらっては困りますので、当然、三重県全体の視点に立って、自分の病院はこうだからこうしたいというんじゃなくて、三重県全体で医師を集めたいということで、発言なり活動を行っていただくということを約束していただいております。こちらの実行委員会で提案された企画を理事会とか、先程申しました臨床研修部会というのがありまして、こちらで承認を受け、事務局が実施に当たっているということです。非常にここが大事な組織なわけであります。
そこで、今から、MMCが今まで開催してきた主なイベントを解説したいと思います。
ここで季節から順番に言っていきますけれども、まず、毎年4月の最初なんですけれども、県内の新採用研修医、つまりフレッシュマンです。フレッシュマンの研修医のオリエンテーションをMMCでやっております。ここでは、国家試験を受かりまして、初期臨床研修をこれからまさに始めようという新卒の研修医を、まずMMCといいますか三重大学に1回集めまして、そこでいろいろな講演をしていただいたりして、医師を行う上での心構えとか、MMCは三重県ではこういう活動をしているんですということなどを、他県から来ている人たちもいますので、最初にここで説明しております。もちろんオリエンテーションというのは、各所属病院でもそれぞれやっておるわけなんですけれども、それぞれの病院でやるというよりは、特に一致団結してやった方がいい内容をこちらで4月にやっております。今年は相可高校の村林先生、料理で有名なあの先生に来ていただいて、料理の厳しさというのをちょっと話していただいたりしました。
次、8月、もうすぐあるわけなんですけれども、研修病院合同説明会というのをMMCがやっております。マッチングというのは、こちらに来られている委員の方々は恐らくご理解いただいていると思うんですけれども、マッチングシステムというのがありまして、要は就職の試験みたいなものなんです。マッチングを受けるに当たりまして、事前面接というのを医学生は必ずしておかないといけないんです。本来は、各病院に行きまして、こういう面接をして、私はあなたの病院に行きたいんですという話をするんです。これをMMCが統括をしまして、8月末に各研修病院の人事担当者を一斉に集めまして、その受験者ごとに時間割を組んで、効率よく面接を行ってもらうということをやっています。例えば、愛知県であれば、何とか病院は何月何日、何とか病院は何月何日と、各病院ごとにやっているんですが、受験者が1日来たら、もう三重県内に関しては一斉に全部面接ができるということで、非常に時間の効率化になりまして、受験生には非常に好評な企画なんです。これ、他県からもいろいろみえますので、何とかこういうことをやっているというのをアピールしていきたいというのが1つあるんです。
次は、Advanced OSCE大会というのを年に1回ペースでやっています。OSCEというのは、ご存じない方がみえると思うんですが、客観的臨床能力試験の略でございます。よくペーパー試験というのはいろいろやるわけなんですけれども、なかなかこの医者の仕事というのはペーパーテストでは評価できない部分があるんです。特に判断力、技術力、マナーとか、患者を前にしてどういう態度をとったらいいかとか、そういうのはペーパーでは難しいので、模擬患者の協力を得ながら、各病院から数名ずつ研修医を派遣していただきまして、実際に患者の前で診療をさせるんです。それを周りで指導医たちが見ておりまして、点数で評価するんです。つまり、人に見られながら診察して非常に緊張するんですけれども、これでもって何とか病院の研修医の先生は非常に優秀であるとか、後で表彰もするんですけれども、こういう企画を通して、お互いのレベルアップと、あとは研修医の先生方はなかなか集まる場がオリエンテーション以降はありませんので、交流の場にもしたいということで、年に1回開催しております。
次に行きますけれども、今度は1月なんですが、卒後研修臨床懇話会、ややこしい名前なんですが、これはどういうイベントかといいますと、研修医の先生方は、いずれはどちらかの専門の診療科に入って、学会発表というのをするんです。いきなり発表するというのもいいんですが、その前にMMCで1回トレーニングをさせてあげましょうということで企画したものなんです。こちらも研修医の先生たちが、自分が経験した非常に珍しい病気とか珍しい患者に関して、会場でみんなの前で発表しまして、その後に質疑応答を行うと。発表が非常に優秀で、質問にもばしばし答えられた人は表彰したりしました。終わったら、研修医同士の懇親の場を提供するということで、これも研修医の先生は大変ですけれども、非常に意義のある会かなというふうに思っております。
次ですが、三重県研修病院合同説明会というのを年度末、毎年3月末ぐらいにやっています。これは非常にMMCの中でも大事なイベントで、いわゆる一般の大学生で言うところの就職説明会に当たるイベントなんです。県内の各臨床研修病院の指導医、先輩の研修医、事務担当者などが一堂に会場に集まりまして、参加者に対して各病院の特色とか待遇とかいろいろな説明をすると。これは県内、つまり三重大学の学生のみならず、県外の医学生とか研修医の先生方にも多数来場してもらいまして、将来、2年後、3年後、どういうところに行きたいかという就職先を探すという意味でも、非常にいいかなと思っております。これは、MMCが今一番力を割いている企画でありまして、このイベントにまず参加をしていただいて、その後にそれぞれの病院の病院見学というのを皆さんはされるんですけれども、それに結びつけたいというふうに考えております。ですので、これはもう特に県外の人に一人でも参加していただけるように、非常に広告費を使って広告をしております。
次、各診療科・病院主催のセミナーや勉強会、いろいろなセミナー、勉強会、研究会が県内も行われておりますけれども、忙しい先生方は、いつ何があるというのがなかなかわからないんです。わかりませんので、これをMMCが一手に引き受けまして、若い先生方にメールとか、あと郵送などで何月何日にここへ来ればこういう勉強がありますというのを案内しております。
次に、ガイドブックというのを発行しておりまして、「初期研修まる三重ガイド」「専門医まる三重ガイド」など、いろいろな学生向けのガイドブックを発行しております。これは年に1回を主に行っておるんですが、これは文字どおりガイドブックなんです。県内の学生、研修医のみならず他県に住んでいる人たちに、三重県にはどういう研修病院があってどういう情報があってというのを、なかなか他県にいたらわかりませんので、冊子にしまして、三重県外にいても研修先を簡単に選択できるように配慮してつくって、無料で配布しているということです。これは求められれば、どこにでも郵送させてもらっています。
8番、臨床研修指導医講習会、これは年に二、三回やっておる企画ですが、これは研修医ではなくて、研修医を指導する立場の指導医を養成するための講習会なんです。指導医って、我々医療業界で言いますと、大体が学会の指導医と誤解されるんです。例えば、日本循環器学会指導医、日本消化器学会指導医、こういう学会の指導医とは全然違います。これは、厚生労働省が認定する資格がありまして、臨床研修指導医という資格があるんです。これを取得した医師という意味で、ここでは指導医と言っています。医師が専攻する各診療科の学会が認定する学会指導医とは全く別物でありまして、院内にこの臨床研修指導医が何人在籍しているかというのを、厚生労働省の方ではチェックしております。これがたくさんいればいるほど、当然臨床研修に力を入れているという裏返しにもなりますし、研修医の先生が安心して研修できるということです。各研修病院の研修募集定員を、この指導医が多ければ増やしてもいいですというようなことを国の方は言っていたりもするわけです。当然、ほうっておいても増えていきませんので、MMCでは、厚生労働省の定める「医師の臨床研修に係る指導医講習会の開催指針」というものがあるんですけれども、これにのっとり、県内に指導医を一人でも増やすべく講習会を開催しております。ちなみに、この資格というのは医師免許を取得して7年目になってから取得できる資格で、一人でもたくさん増やしたいというふうに考えております。
先程少し出ました三重県研修病院合同説明会にどれぐらいの人が来ているのかという表を出しているんですけれども、平成17年からスタートしまして、毎年、元々これぐらいの数字だったんですけれども、平成22年から大幅に増やしました。
増えた原因というのはいろいろあるんですけれども、平成21年までは県の文化センターでやっていたんですが、これはちょっと評判が悪くて、というのは部屋がたくさんあるものですから、奥の方の部屋に病院が当たってしまうと、学生たちが誰も来ないんです。だから、これは1つのオープンフロアでやらないといけないということで、平成22年以降はメッセウイングみえという非常に大きな施設ですると。こうすることで、オープンフロアに全病院がありますので、誰でも行けるということです。あと1つは、平成21年までは学生だけを対象にしました。つまり初期研修を増やしたいというので、学生を対象にしていたんですけれども、この平成22年からは後期研修医も増やしていかないといけないということで、学生のみならず、いわゆる初期研修医の先生方にも来ていただきたいということで、案内を非常に広くかけたんです。その結果、参加者は倍増をしたということです。
こちらはマスコミ各社にも協力をいただいていまして、NHKを初めいろいろな新聞、テレビ等に取材に来ていただいて、これも1つの広報活動かなというふうに思っております。
現在はやっていないんですが、過去にMMCがどんな事業をしていたかということです。
ともに県から受託してやっていた事業なんですけれども、まず1つは三重医師バンク事業というのがありまして、これは簡単に言いますと、有料職業紹介事業なんです。MMCの方へ、三重県で医療がしたいんだけれどもということで、応募がまずあるとMMCの方で登録をかけます。こちらもあらかじめ病院の方も登録をかけてありまして、そちらへ、こういう先生がいますけれども、どうですかという形で紹介をしておったんです。ところが、年に1人ぐらいしか応募がなかったりとか、応募されるドクターも高齢であったりとか、もう定年過ぎて次の職場を探したいと。それを卒後臨床研修センターというところが相手しているのもちょっとどうなのかなということで、非常に問題があったんです。当然、例えばリクルートとか、民間業者の方は当然こういうことは進んでいますので、何もここがやらなくてもいいんじゃないかという話になりまして、こちらは県の方にもうお返しをいたしました。
もう一つは、子育て医師復職支援事業というのがありまして、これは女医です。妊娠、出産、育児で現在は休職しているんだけれども、復職をしたいという方がみえましたら、こちらもMMCの方で登録をかけまして、病院に紹介をしたりとか、そういうことをしておりました。ところが、女医はほとんどこちらも応募がなくて、これはどういうことかといいますと、恐らく潜在的なニーズはあるのかなとも思うんですが、案外女医は復職を望んでいないということもありまして、なかなか旗を上げたんだけれども、応募がありませんでした。
医師不足ですので、隠れている医師を掘り起こしたいというのは誰しもが考えるところなんです。医師会とか一部の医局でもやはりこういうことは考えていまして、そうすると、医師会でもやって、MMCでもやって、県でもやって、医局でもやってというのは、もう窓口を複雑化する一方ですので、これも少しMMCの方が遠慮をさせていただきまして、県の方にお返ししたということになっております。
次、医師不足問題に入っていくわけなんです。こちらは、こちらにおみえの委員方の方がよくご存じだと思うんですが、三重県における医師不足問題ということなんですが、平成20年末の厚生労働省の統計で、人口10万人当たりの医師総数が183人と、全国平均の213人と比べまして非常に少ないと、全国で38位ということです。さらに言うならば、東海北陸厚生局管内ではもうほぼ全体の平均以下であると。
特に、地域の救急医療などを中心的に担うべき40歳以下の病院の勤務医、開業医ではなくて病院の勤務医、特に公立病院の勤務医が非常に減っているということがわかりまして、これは全国で43位と、下から数えた方が早いと。やはり非常に厳しい状況で、次々と地域の中核病院から疲れ切った医師が退職しまして、残された勤務医はさらにその負担まで背負わされて、さらなる離職を誘発していると。もう我慢比べ、エレベーターで会ったら、あんたいつ辞めるんやというような状況なんです。三重大学も今度新病院を建てますけれども、新病院に変わった途端に皆さん残ってくれるかどうか、私は非常に不安を覚えているんです。1つのこれを区切りにするんじゃないかというドクターも何人かみえるという話です。
さて、三重県の地域性もあると思うんですが、三重大学医学部の卒業生の三重県内への就職率というのは非常に低かったわけです。現在も低いですが。都会、大阪、名古屋というのがこの近くに控えていますので、県外流出というのが非常に激しいわけです。この医師不足というのは、なかなか1つの組織でやるべき問題ではなくて、県も皆さんもいろいろな人たちが一致団結して、取り組むべき課題であるというふうに思っております。
そもそも、医師不足はどうして発生したのかということなんですけれども、それまで医師数は過剰であるという大前提があったわけです。長年、医師数を抑制しようという政策が続きまして、これは日本の特徴らしいんですが、日本では高齢であったり、妊娠などで、例え働いていなくても医師免許を持っていれば、医師1名というふうにカウントされ続けていたと。これがそもそも医師数が増えているという根拠になっていたみたいなんです。
平成16年、2004年から新医師臨床研修制度というのが開きまして、これによって、後からも言いますが、地域医療の崩壊というのが非常に現実化していったわけです。ところが、行政は平成19年頃までは、医師の偏在はあるんだけれども、医師不足の状態では決してないということを主張し続けておりました。ところが、医師不足のひずみから医療事故というのがマスコミで非常に報道されるようになりまして、これはどういうことかということで、現場の医師、特に勤務医のドクターの声が国民に届くようになったんです。そこで、ついに厚生労働省も、医師の偏在もあり、なおかつ絶対数も不足しているということを発言するようになってきたということです。
この新医師臨床研修制度というのが明暗を分けたわけなんですが、どういうことだったのかということです。これは平成16年から始まりまして、診療に従事しようとする医師は、2年以上の臨床研修を必ず受けなければならないということで明文化されまして、臨床研修が必修化されました。これが初期臨床研修と呼ばれているわけです。
同時に臨床研修指定病院の要件というのがありまして、これが緩和されました。これによって、昔の制度であれば大病院、大学病院とか一部の大きな300床以上の病院じゃないと臨床研修できなかったんですが、これが緩和されたことで、一般の中規模クラスの民間病院でも独自に研修医を募集できることになりまして、要は研修医の獲得合戦になったんです。病院間の自由競争化といいますか、マッチングシステムが入りまして、もうどこの病院でも要件を満たせば採用できるということになったわけです。
そうなりますと、若い研修医の先生方はどういう動向をとったかといいますと、今までは大学にずっと皆さん就職しておったわけですが、大学は閉鎖的であったり、給料が非常に安かったり、医師の仕事以外の雑用を、カルテ整理やったりいろいろあると思うんですが、そういう雑用を研修医はさせられるということで、もうそんなことはかなわないということで、大学病院での研修を避けるようになってしまった。また、症例の数というのが非常に研修医の先生は大事なんです。田舎ですと、患者もなかなか来なくて症例を経験できない。だけれども、都会へ行けば人口が多いですから、いろいろな病気がありますので、さまざまな疾患を経験することができる。こういう都会の研修病院を選択する傾向がこの制度の結果強くなってしまったということが問題です。
当然、そのほかにも問題はありまして、現行の医療保険制度では、医師であれば、誰しも同じだけの診療報酬をもらえるんです。教授であろうが研修医であろうが、同じだけの診療報酬をいただけると。つまり、技能、経験年数とは全く無関係です。だったらということで、病院の経営者から考えますと、ベテランの高い給料を払わないかん先生方を雇うよりも、若い研修医を雇った方が非常に有利なんです。だから、当然、都会は物価が高いので、研修教育訓練環境とか居住環境、あと女医への育児支援とか福利厚生を充実させまして、若い人いらっしゃい、いらっしゃいということで、若手医師確保に走っているということがあります。
もう一つ、これはマスコミにかかわってくるんですが、やはり若い人たちはマスコミには非常に感受性が高いですので、ニュースとか、あとソーシャルネットワークサービス、いろいろなブログとかツイッターとかありますけれども、こういう影響を受けやすいんです。だから、何とか病院はひどいとかつぶやきますと、もうそこに翌年には誰も来ないとかがあるわけです。マスコミがワイドショーで神の手を持つ医師がいるなんて言うと、そこへ皆さん研修に行くわけです。そうすると、もう田舎はなかなか太刀打ちできない状況になってくると。
新しい制度では、もう大学の医局というのが完全に外されまして、医局に属さなくても臨床研修を民間病院で行うことができる。つまり旧来、医局というのは医師派遣機能がありまして、それが幸か不幸か田舎の末端、過疎地域にまで医師が回っていた。いい面があったんですけれども、それが完全にダウンしましたので、大学病院の中ですらもう既に医師が足りないということで、そうなると地域の中核病院から、大学病院を維持するために医師を一人一人引きはがしまして、眼科や産婦人科、小児科などが次々と閉鎖しているという状況があります。
そもそも私が研修医であった七、八年ぐらい前までは、研修医は都会へ出ていったけれども、すぐ帰ってくると言われていたんです。けれども、誰も帰ってきませんでした。それは、そもそも医師過剰であるということで長年続いておりましたので、都会であってももう既に医師不足だったんです。だから、都会へ研修医が一斉に流れて、2年間終わったら帰ってくると言われていたのが、もう都会の病院にみんな就職できたんです。だから、もう帰ってこないんです。Uターンがないという状況で、これは非常に困っております。
どうして必修化しないといけなかったのかという話なんです。旧来の制度でどうしていけなかったのかということなんですけれども、従来の制度では、地域医療との接点というのが非常に少なかったわけです。つまり、大規模な大学病院の中でもう研修が完結しておりました。だから、地域の人たちと触れる機会がなかったんです。新研修医になると同時に大学の医局に皆さん入っていましたので、もうすぐに専門のトレーニングが始まったんです。専門の診療科に非常に偏った研修が主体。昔はストレート研修といいまして、例えば放射線科に入ったら2年間、研修の間は放射線科ばかり、皮膚科に入ったら2年間皮膚科ばかり、内科に入ったら2年間内科ばかり、もうほかが診られない研修だったわけです。そうなりますと、病気はすごく診るんだけれども、肝心な人はもう診られないという医者がたくさんできたということで、これはいかんのかなということだったんです。
もう一つの面は、処遇が非常に不十分であった。アルバイトをしないと、とても大学病院の給料では生きていけないという状況になりまして、そうすると、朝起きてまずアルバイトに行って、夕方5時頃帰ってきてから、そこから病棟業務がスタートということで、とても臨床研修に専念できる環境ではなかった。それが従来のシステムです。今のシステムではアルバイトはもう全面禁止されております。
出身大学やその関連病院での研修が中心でしたので、身内の中で研修しているわけです。そうすると、果たして研修はしたけれども、その結果、この人は十分成長できたか、そういう成果の評価というのが身内の中でやっていましたので、十分行われてこなかったという面があるんです。ところが、今の制度では、各病院の全然違うところに皆さん行かれて、そこの指導医の先生に評価していただきますので、そういう評価という面では非常に新しい制度がいいのかなというふうに思います。
もう一つの側面としましては、お金の面です。医師数が増えると医療費が増えると。そうすると当然、国の経済を圧迫していきますので、医療費削減政策をとらなければいけないということで、これは古い方々は知っていると思うんですけれども、医療費亡国論というのがありました。医療費を削減する目的で研修方式を総合診療方式、今はこれはスーパーローテーションと言いますけれども、スーパーローテイト方式に変えまして、総合医を増やしたかったんです。1人で何でも診ることができる総合医を数多く増やすということで、1人の患者が複数の専門医にかかるよりも安く済むということを考えられていたみたいです。つまり、専門医というのは非常にお金のかかる治療検査をしているものですからから、つまり、専門医が行う高額な高度医療の件数を減らすことで、こういう医療費を削減できると。新しい制度では、総合診療の名のもとに臨床研修病院の指定基準である300床以上というルールを撤廃していまして、その結果、臨床研修病院は平成20年には2300施設にまで膨れ上がってしまったということです。これによって、先進高度医療を担う大学病院で研修する医師は、1学年約100名いますけれども、7割ぐらいから4割ぐらいまで減ってしまった。その反面、小さい規模の病院で研修する医師が非常に増えてしまったということで、今後、大学病院での勤務というのを全く経験しない医師が増加するというふうに予想されております。
新しい制度の研修医というのは、当然、大学病院に就職する必要がないわけですから、卒業していきなり市中病院へ就職して、そうするともう先端医療に触れる機会というのは非常に乏しくなってしまう。スーパーローテイト研修ですから、皮膚科1カ月、放射線科1カ月とか、月単位で回るんです。そうすると、大体いろいろな科のおおよその事情、診療内容というのは分かるんですが、逆に指導医の先生方は、非常に忙しいですので、1カ月の間に十分指導してもらえるというのは困難です。大体、一、二カ月して、その診療科の雰囲気がわかりかけたころに、もう次の科にさようならと出ていってしまうものですから、とてもじゃないですけれども、2カ月では命を預けるような大事な仕事というのは任せられないです。結局、学生時代に病棟実習というのをやるんですけれども、それとやっていることは、今、ほとんど一緒じゃないかというふうに言われています。所属病院の規模に合わせた、研修可能な範囲の技術しか身につきません。だから、小さい病院へ研修してしまったら、そこの研修病院でできる検査がすべてなんです。大学病院だといろいろな検査ができますが、こういう弊害もあります。
日常よく遭遇する疾患に関しては、当然小さい病院の方が多数積めるんですが、逆にマンパワーは小さい病院ほど少ないですから、勉強する時間がやはりないんです。体は使うけれども、勉強する時間がない。医師というのは、ある程度徒弟制度ですので、特に外科系なんていうのは、その患者にメスを持たせてもらうだけで何年間とか、そういう世界ですから、やはり2カ月回っただけでメスとらせるというのは、ちょっと危険だということで、特にこういうシステムは外科系の診療科にとっては非常にマイナスであったと言われています。実際、外科系の診療科への入局者というのは、もうここ10年減り続けているというふうに言われています。
ちなみに、三重大学医学部附属病院の初期研修の採用内訳というのをここに出してみました。この合計というのを見ていただきたいんです。平成16年、今まで半分ぐらいは三重大学に残っていただいていたと思うんですが、平成16年になった途端に何と、大学病院1つで7名しか残らなかったんです。これは1つの診療科じゃないです、大学病院全体ですから。7名、4名、もう悪いときは3名というときがあったんです。MMCができて、何とか活動し出しまして、ようやくこのへんまで来ました。でも、もう当然、全然です。三重大学募集定員30名ありますので、半分行くかどうかというところです。三重県全体の人数というのは、こんな感じです。徐々に増えてきてはいます。
現場は、これから10年間というのは非常に苦しい時期でございまして、特に昨年、今年の三重大学医学部6年生というのは、三重県出身者の割合が非常に少ない学年なんです。といいますのは、この今の6年生が1年生で入学したときというのは、まだ医師数は過剰であると言われていた時代だったんです。だから、三重県外からたくさん入学者をとっていたという背景があり、非常にそのしわ寄せが今来ていると。ところが、学生たちも、私も毎週接していますが、この事態は把握しておられまして、私が接する限りですけれども、何とかみんなで三重県に残ろうと考えている学生もたくさんみえます。非常に嬉しいニュースなんですが、昨年度のマッチングでは、三重大学6年生は何と1学年100人いる中の17人しか三重県出身者がいなかったんですが、それでも過去最高のマッチ数をたたき出したんです。もう昨年は非常に厳しいと思われていたんですが、何と過去最高だったということで、非常にありがたかったです。ですので、一刻も早く三重県の臨床研修の魅力向上が求められるんじゃないかと思います。
これを改善していく傾向は少しずつあらわれていまして、医師の配置の偏在化というのを厚生労働省も認めていますので、徐々に方向転換は行われると思います。医学部の入学定員の地域枠の導入というのが始まりまして、今の3年生、2年生というのが非常に、いいのかどうかわかりませんが、極端な地元優先で100人いる中の50人、70人が県内出身者で占められているということで、その医師のレベルがどうかという話もマスコミでは言われています。数をまず増やさないと、県内の医療が潰れてしまうので、質の担保というのも大事なんですが、まず人数を増やさないといけない。政権が交代しまして、医学部の定員の増加、これは皆さんご存じです。しかし、非常に恐ろしいのは、開業医の数というのはやはり多いですので、この極端な地元優先で医師を増やした結果、10年後、20年後、この人たちが開業する頃に果たして、本物の医師の過剰化がやってくるのではないかということは危惧されているところでございます。
救急医療体制の崩壊の危機と書きましたが、これは三重県健康福祉部が試算しているんですけれども、毎年確実に100名以上は三重県に研修医を残していかない限り、恐らく10年後には三重県内の救急医療は崩壊するんじゃないかということが想定されています。今で90人ぐらいですので、まだやはり足りないんです。それはなぜかといいますと、現在、中核病院に勤務されているドクターが、当然10年たったら年をとりますので、救急ができなくなってくる。そうすると、今の若い世代が救急を担わなければいけないんですが、とてもその人数がいないということになっています。これを達成するには、初期研修医の獲得だけを考えていては、ちょっと90人ですので難しい。ということで、初期研修終了したドクターを何とかして三重県内に残せないかと、つまり後期研修医というんですけれども、これを県外流出させない努力が必要であるということです。
また、県外から初期研修終了者をいかに三重県に引き戻せるか、実家が三重県にあったらぜひ三重県でということをアピールできるかなんです。これは現在、MMCが力を割いている部分であります。
医師不足の解消に向けてどういうことをしなければいけないか。
研修医が就職先を選択するに当たっては、さまざまな疾患や診療科を経験することができて、指導医が多数在籍しており、熱心に指導を受けられるということが望まれているんです。これをやらないと、もうお金だけあげても意味がないんです。キャリアパスを考える上で、いずれは皆さん専門診療科に入るわけですから、学会に認定された専門医資格というのは取得したいと考えているわけです。そのために医局というものに入るかどうかというのは、これはもう個人個人の考え方になってきます。もう将来、医局を選択せずに一匹狼でやっていくんだという人も恐らく今後出てくるかと思います。ところが、こうすると、情報が入りませんので、そういうのをどうしていくかというのも1つ問題にはなるんです。
最近、MMCの方に研修医の先生から、何とか医局に所属しないで専門医の資格が取れないかという問い合わせが非常に多いんです。医局の先生方から言わせると嘆かわしい状況なんですが、医局というのは、現在の研修医、つまり若手医師には嫌われている傾向にあることは間違いないと思います。
これは典型的な医師のキャリアパスを書いてみたんですが、まず医学部で6年間やりまして、国家試験に受かったら、2年間の義務の初期研修医になるわけです。ここで地元が例えば鹿児島県の人は鹿児島県に帰る、つまり他県流出のおそれがここでまず1つあるわけです。ここで三重県出身の人をいかに出さないかです。初期研修の2年間が終わりまして、例えば自分は皮膚科に行きたいんだと決めた人はもうここで入局することも可能です。それで、大学に入ったりするんです。だけど、まだ入局したくない、もうちょっといろいろな科を見たいんだという人が、いわゆる後期研修というものに入りまして、これは期限がありません。ここの後期研修、つまり2年間終わった時点で、例えば大阪府なり愛知県なり東京都なりに出ていってしまう可能性があるわけです。ここも食いとめないといけない。この後期研修を何年間かやって、皮膚科と放射線科と迷ったけれども、放射線科にしようと思った人は、順番に入局するわけです。それで、大学に入ったりする。これは順番が変わることもありますが、学会へ入会して、学会の認める専門医を取得するというのが、彼らの中でのゴールなんです。だけども、今後は恐らく入局しないドクターが出てくることもあると思います。だから、ここの他県へ行ってしまう可能性があるところで、三重県の魅力を増やして食いとめたいということを思っております。
後期研修とは何だと思われた方もみえると思うので、一応説明しておきますが、厚生労働省が定める初期研修というのは2年間以上とは認められているんですけれども、2年間を過ぎたら、ではいつまで研修しなければいけないかというのは一切書いていないんです。だから、それはもうその研修医が思うがままなわけです。後期研修という言葉すら、これは実はオフィシャルなものではありません。よく専門医研修とかと呼ばれたりもします。つまり、医師のゴールというものを学会が認める専門医資格を取得ということに定めまして、それまで医局に入局することなく自分が望む専門医が取得可能な病院にて研修を積むことなんです。医局へ入局して、そこから教授の命令で関連病院へ派遣された場合というのは、これはもう後期研修医とは呼びません。何科の先生というふうに呼びます。
1つ、字が細かくて申し訳ないんですが、具体例を示しました。
例えば、ある市民病院で2年間初期研修を終えたドクターが、将来自分が専攻する可能性のある診療科を、皮膚科とか精神科と仮定しました。そうしたら、自分のこのA市民病院では十分ではないと。そうすると、この双方が充実しているC総合病院に3年目からは勤務した。これは三重県かどうかというのは別問題です。3年目から勤務した。これはいわゆる後期研修です。
また、D市民病院で2年間初期研修を終えたE医師は、将来は内科系を専攻したいと考えていまして、そのままD市民病院に残って、さらに今まで回ったんですが、さらに内科の各分野を3カ月ずつローテーションした。これも当然後期研修です。
F市民病院で2年間初期研修を終えたG医師は、消化器外科に興味を持ったんです。三重大学の消化管外科に入局しました。教授からH総合病院へ行けと転勤を命じられて赴任した。これはもう後期研修とは呼びません。消化器外科の先生ということで呼びます。
I市民病院で2年間初期研修を終えた医師は、放射線科と眼科に興味を持って、この双方が充実しているK医療センターへそれぞれ半年ずつローテーションをして、結果的に眼科への進路を確定して、三重大学の眼科に入局した。これは、もう入局した時点で後期研修ではなくなります。
最後に出したのが今一番問題なんです。L市民病院で2年間初期研修を終えたM医師は、そのまま市民病院の後期研修に残留しまして、皮膚科と精神科と眼科を半年間ずつずっと延々とローテーションをしまして、もう3年以上も後期研修医をやっているんですが、いまだに専門が決められない。こういう人たちが私は今一番問題だと思います。つまり、年限がありませんので、いつまででもいいんです。そうすると、何科の先生という専門診療科を決めなくてもう楽なんです。つまり転勤がないんです。何とか病院後期研修医ですから、教授にお前あそこの病院へ行けということを言われないんです。だから、いつまでたってもその病院で僕は後期研修だと言っていればいいんです。これはもう若い人たちにとったら、非常に転勤がないというのは魅力的なんです。
けれども、いつかは入局をしていただかないと、情報という点では医局を中心に学会というのは回っていますから、情報不足になってしまうおそれがあります。また、どっちつかずの、もう背景が何もない、言葉は悪いですけれども、本当の中途半端なドクターで終わってしまう可能性も出てきます。これを何とかしたいです。
それで、MMCとしては後期研修医も何とか三重県に残っていただきたいので、後期研修サイトというのをつくりました。2年間の義務年限を終了した初期研修医の中には、将来、みずからが進むべき専門診療科を選択すべく、後期研修と呼ばれる研修を行う者がいると。三重県の医師数を増加するためには、この後期研修医をいかに残していくかがやはり大事ですので、それ用のサイトを立ち上げました。これはぜひ後で一度ごらんいただきたいと思うんですが、非常によくまとまって書いてあると思います。つまり、どこの病院へ行けば、どういう専門医がとれるかというのを一覧にしたということです。
初期研修終了後の動向調査というのを出しましたが、これは今まで平成16年度の初期研修医から平成21年度の初期研修医まで、要は初期研修を終了した後にどういう動向をたどっているかなんです。三重県内に毎年80人、90人誕生するんですが、その初期研修が終わった後、やはり県内に残る人数というのは非常に限られてくるわけです。県外へ出る人はある程度出てきているわけです。ですので、この県外流出を何とかして食いとめていきたいというふうに思っているわけです。
では、若者はどういう部分を見て就職先を決めているかということです。ニーズという部分で、病院の設備、あとは同期・同僚の人気、熱心な指導医がいるか、待遇、院内の雰囲気、魅力ある臨床研修プログラム、こういうのがあるかどうかというのがMMCの調べでわかったわけです。
もう一つ、これは全国医学部長病院長会議というものでとったアンケートですけれども、医学生と初期研修医に初期研修を行う病院を選んだ理由というのを尋ねています。やはり研修プログラムが充実しているかどうか、多くの症例を経験できるかどうか、あとプライマリケアに関する能力を習得できるかどうか、つまりこの1位から3位というのは一緒だったんです。やはりこのへんのニーズというのは非常に高いというふうに思っています。
では、三重県内に若手医師を増やすためにどうしたらいいか。院内の研修医受け入れ態勢を各病院にとっていただかないといけない。研修には来たけれども宿舎がないということもありますので、宿舎を何とか整備したい。魅力ある研修プログラムを構築したい。研修医のニーズに合致していることがやはり大事です。いわゆる後期研修医や他病院からの研修を積極的に受け入れまして、実績をつくらなければいけない。厚生労働省認定の臨床研修指導医、先程も少し述べましたが、研修医を教える資格の指導医をたくさんつくると。こういうことがみずからの施設の研修医募集定員枠を増加させる1つの根拠にもなるわけです。これだけ力を入れているから、認めましょうということになってくるかもしれません。
MMCのやり方としては、県外の医学生、研修医にこういう取組を積極的に周知徹底させまして、三重県内で研修を行ってもらうメリットというのをアピールしていきたいということです。では、MMCを三重県内外に周知させるにはどうしたらいいかなんです。MMCが対象としている人たちというのはやはり若いです。医学生、研修医ですので若いです。そういう人たちの目線に立って広報活動をしないといけないかと。そうなると、まず、ソーシャルネットワークサービスです。ブログ、ツイッター、こういうものを若者は活用していますから、我々も活用していかないといけない。IT系の情報媒体を積極的に活用しまして、彼らの目にとまるように工夫しています。新聞、雑誌とか、よく広告を出すんですが、忙しい医学生、研修医はほとんど読んでいないです。ですのでMMCでは、mixi、Ameba、ツイッターなどの複数のソーシャルネットワークサービスのアカウントを取得しまして、原則毎日更新をかけています。これはもうただですから全国に向けて情報を発信している。やはりこれに引っかかって来る人たち多いです。情報を紙媒体から、若い人はメールですから、Eメールへ変更します。経費削減も兼ねます。MMCでは月に2回メールマガジンというのを登録した人に発行しておりまして、会員へ向けて、これももう日本全国無料ですから、情報発信をかけています。
全国の医学生が読む医学系の情報誌というのがあります。ここに広告を打ちます。お手元の資料にもきっとあると思うんですが、「月刊医師国試対策」という、医学生は国家試験を受けますから、こういう雑誌を読むんです。ここに対して三重県特集の記事を掲載しました。ただ、当然ですけれども、業者がやっていますので非常に高額であるということが欠点です。
あと、各地で開催されます病院説明会と称される医学生・研修医向けの就職展示会を活用します。これは、三重県でMMCがやっている研修病院合同説明会です。あと、東海北陸厚生局もこれをやっておりまして、東海北陸地区臨床研修病院合同説明会、これは名古屋市でやっていますが、こちらにも参加をしております。あとレジナビフェアという、これは民間のMedical Principle社というのがやっているんですが、こちらで全国の主だった研修病院を展示していまして、東京都、大阪府会場への参加実績を我々は持っております。ただ、業者がやっていますので非常に高額で、ブースを1つ借りるのに50万円、60万円という世界ですので、ちょっとなかなか難しい面もあります。これは一部記事を抜粋しましたので、後ほど読んでおいてください。
さらにどうしていったらいいかなんですが、医師をたくさん輩出している高校があります。皆さんご存じだと思いますが、そこにアプローチをかけたりしています。MMCでは同窓会、高校の持つホームページというのがあるんですけれども、そこに三重県ではこういうMMC活動というのがあるということで、医学部出身者をたくさん出しているところにアプローチしています。非常にこれ、不信がられるんです。MMCなんですがと言っても、どこですかと言われるんです。やはり知名度がないです。あと、全国の医学部を持つ大学へもアプローチしていまして、全国の医大の事務局と連絡をとり、三重県出身のその大学の医学生の人数把握、あとMMCの情報誌を送付しまして、就職に関しての参考になるようにしています。また、三重県出身者でよく三重県人会とか、そういう三重県外で集まりがあるんです。そういうところがあるかどうかも調査しまして、連絡がうまくいった大学に関しては、実際に三重県人会に参加させていただいて、MMCというのが、母校といいますか生まれたところにはあるんだということを説明します。
先程も少し言いましたが、MMCは民間組織ですので、なかなか先方の協力というのが得にくいんです。特にNPOというのは怪しいと思われていますので、これを何とか公的機関も一緒にやっていただくことで、協力関係がスムーズに行くんじゃないかということを少し思っています。
あと、涙ぐましい努力なんですが、鉄道にアプローチしまして、三重県の近県限定にはなるんですが、医学生がよく利用しそうな駅にこういう病院説明会とかMMCのイベントのポスターを張らせてもらっています。なるべく安く上げるために、無料でできるところを優先にやらせてもらっています。あとはマスコミ各社へ取材依頼をして、MMCイベントの際に新聞、テレビなどに実際に取材に来ていただいて、取材を通してMMCの活動をアピールしていると。これも民間組織ですので、マスコミはすごく反応してくれるところと全く反応がないところが大きいです。
これをどうしても説明しないといけませんが、MMCプログラムというのが来年から発足をいたします。
これはどういうものかといいますと、三重県内の臨床研修病院の中では、人気病院と不人気病院の差が非常に激しいんです。人気病院では、自施設の募集定員の数倍の希望者が殺到している現状があります。しかし、不人気病院もあると。マッチングで不幸にも落ちてしまった受験者というのは、決して三重県内の他の病院に行っているということは確認されていないんです。他県へ流れていってしまっている。非常に残念です。これでは、せっかく応募があって三重県内にマッチングしようと思ってくれた人をみすみす県外に逃してしまっていると。かと思えば、ほとんどマッチングで応募者がなくて募集定員が埋まらない病院も少なくない。これはご存じだと思います。
そこで、三重県の医師不足解消を目指しまして、MMCが平成24年度からスタートする目玉企画として、このMMCプログラムを考えました。つまり、本年度のマッチング対象者である日本全国の医学部6年生へ、これがどれだけ周知できるかが重要に、成功のかぎを握ると思っています。
これは簡単に言いますと、非常に多岐にわたる経営母体を持った県内の各臨床研修病院群が一体にまとまった、全国で全く初めてのプログラムであります。MMCプログラムに参加を表明した臨床研修病院が、お互いに協力型病院の形をとります。今までは、そうはなっていませんでした。1年次の必修期間というのがあります。これはもう必ずやらなければいけない期間。必修期間は、そのマッチした、つまり就職した研修病院で臨床研修を行いまして、必要があれば、2年次に自由選択期間というのがあるんですが、この期間を利用して、MMCプログラムに参加を表明している他の医療機関へ出向できると。そこで臨床研修を実施できるという、これも画期的な取組です。
初期研修においては、人気病院と不人気病院のギャップを何とか埋めることができるんじゃないかということで期待されています。また、初期研修終了後の後期研修医を三重県外に流出させないための効果というのも期待しています。
これはちょっと同じことが書いてあるので、また後で見てください。
具体例です。これは、松阪中央総合病院の研修プログラムを一例として出させていただきました。松阪中央総合病院は定員が5名で、1年目、2年目でこういうプログラムを組んでみえるんです。1年目の内科、救急、外科、精神科、このへんは必須なんです。つまり、この1年目はそこの就職した病院で必ずここまで受けないといけない。2年目になりますと、選択期間というのが出てきます。この選択期間を有効に活用してもらおうということなんです。つまり、この期間をここで行っても別に構いませんし、この期間をほかの、例えば伊勢市の山田赤十字病院とか、四日市市の市立四日市病院とか、外へ出て行っていただいても構いませんという仕組みなんです。今までは、そういうことはできませんでした。このプログラムのFの選択期間内にMMCプログラムに参加を表明している三重県全体の医療機関に出向できると。そこで実際に研修を受けることができる。別に外へ出なくてもいいです。自分の病院でいいんだという人は自分の病院の中で完結させてももちろん構いません。
これはどういうふうに活用していただくか。
ある病院を第1志望としていた医師が不幸にも落ちてしまった。今までは、落ちてしまったら、愛知県、大阪府へ流れていっていたものが、第2希望のB病院に何とか来てくださいと、第2希望にマッチさせたわけです。そこへ就職して、1年目はそのB病院で行っていただく必要があるんですが、2年目の自由選択期間にはこのMMCプログラムを活用していただいて、今まで憧れていたA病院、つまり第1希望の病院で研修をしていただくことができる。
次のケースですが、A病院へ首尾よくマッチできましたと。ハッピーにマッチできたんですが、ただ、このA病院では小児科と精神科の指導医が足りなくて満足に研修ができないことがわかったと。そうすると、今までのシステムだとA病院にいなければいけなかったんですが、MMCプログラムでは、2年目になりましてこの自由選択期間にほかの病院の小児科なり、精神科へ出ることができる。そこで研修を行うことができる。
また次のケースですが、A病院にマッチして就職したと。初期研修終了後、3年目にこの人は後期研修をすることはもうわかっていた。皮膚科をより深く研修したいと思っていて、後期研修を望んでいた。そうしたら、2年目の選択期間に皮膚科は三重県ではこの病院が有名なんだというところがあったとしますと、そこの病院をMMCプログラムを活用して、まず2カ月間研修して、どんなものかというのが見られるようになったんです。それで、3年目以降、よかったからここへ行こうとか、いま一つだったからほかの病院も考えようとか、進路の参考にできる。つまり行ってみないとわからないんです、中の状況というのは。
次のケース。A病院にマッチして就職した人が、ここは初期研修が自分1人しかいない。やはり1人しかいないと非常に不安なんです。非常に不安であったので、2年目にMMCプログラムを活用しまして、同期がたくさんいるB病院で3カ月研修をして、同期からいろいろ情報が得られた。大体自分は同じレベルなんだとか、自分はおくれているんだとか、こういうことができるんです、実際に。今まではできませんでした。
このプログラムを成功させようとする、つまり円滑に行うためにはどういうことが必要か。
当然、2年次には県内の研修医たちがいろいろな病院へ移動する可能性もあります。移動しないかもしれませんけれども、移動する可能性もあります。だから、病院ごとで研修評価が違っては困るので、研修医が行った研修内容に対する評価法を県内で統一化する必要がありました。従来、実は統一化されていなかったんです。各病院ではばらばらに研修医手帳というのが作成されて、ばらばらな指導がされていたというのが、お恥ずかしながら現状なんです。これを三重県ではMMCがあるということで、MMCで統一化しました。MMC研修医手帳というのをつくりまして、これをすべての研修医へ既に配付しております。つまり、南の研修病院でも北の研修病院でも同じ手帳を持ってみんなが研修しているということです。
また、指導医側に対しては、MMC指導医ブラッシュアップセミナーというのを企画いたしまして、県内の各研修病院の指導医の先生方に参加していただいて、研修医の評価法を統一化、つまりこの研修医手帳の使い方の統一化を現在徹底しております。これは実は、このMMCプログラムをやるに当たって、東海北陸厚生局から、それはもう評価がばらばらでは困るから統一化してくれという要望があらかじめされていましたので、それにのっとって行っております。
やはり、問題点もあるんです。当然、人気病院、例えば市立四日市病院、山田赤十字病院、松阪済生会病院などは非常に人気がありますので、研修医の受け入れ希望が殺到する可能性が出てくると。そうしますと、自分のところの研修医ですら大変なのに、さらにほかの病院の研修医も受け入れないといけないんです。やはり人数も調整していかないといけない。一遍に受け入れても中途半端になりますので、人数調整が要るんです。これをどうしたらいいかというのが問題点だったんですけれども、1つのアイデアは、MMCで1つサイトを立ち上げます。何とか病院の何科が、どの時期にどれぐらい受け入れることができるかというのをリアルタイムですぐに閲覧できるホームページを今、立ち上げる予定でおります。例えば12月には脳神経外科はいっぱいなんだけれども、3月になったら空くとか、こういう時期で配分を調整しようかなというふうに考えております。
もう一つ、研修医の病院間の移動に当たって、非常に事務の方は大変です。要は病院が変わるわけですので、事務手続、書類などの作業量が非常に膨大になるということで、これはある程度は仕方がない部分もあるんですが、何とか各病院間で、MMCで統一のフォーマットをつくりまして、事務の方の手続を簡素化できる部分を増やしていきたいというふうには考えております。
さらに問題点です。ちょっとこれは大変なんですが、自宅からは遠方の研修病院へ移動することもありまして、そうすると宿舎の確保というのが非常に大切になってきます。病院が持っている宿舎というのは既に自分のところの研修医で満室であることが多いんです。ですので、ほかの病院から来た研修医の宿舎がない。何とかここにおられる委員方とか国・県の理解を得まして、病院を改修したりアパートを借り上げていただくための予算をお願いしたいなというふうに思っております。時間もかかるでしょうから、当面は自宅から通勤できる範囲に移動先を限定することも考えないといけないかというふうに思っています。
次、4番の点ですが、出た先の病院で研修医がトラブルを起こすことも当然考えられます。そのときの対処法というのをどうしていくかというのを検討する必要があります。病院によっては、医師賠償責任保険というのがあるんですけれども、そこを研修医個人でかけているのではなくて、病院単位でかけている病院があるんです。例えば鈴鹿中央病院で賠償保険をかけていると。そうすると、ほかの病院の人が来たときにどうなるかということも出てくるんです。ですので、なるべくMMCの方からは個人単位での医師賠償保険に入っていただく必要があるんじゃないかということを周知しようかと思っています。
そういう問題もあるんですが、臨床研修制度が今後どう変わっていくかということなんです。厚生労働省も医師不足というのはもう認めていますので、現在の医療研修システムが一番いい制度であるとは決して認識されていない。平成26年度頃に次の臨床研修改訂があるだろうと言われていまして、現在、ワーキンググループをつくりまして、検討を行っておられるようです。恐らく次の改訂では、この三重県のMMCプログラムが非常に参考というか、参考っておこがましいんですけれども、このMMCプログラムのようなプログラムを打ち出してくるんじゃないかと考えています。つまり、地域の各研修病院をネットワーク化するということを重点的に考えてみえるようで、こういうことを推奨化するような取組というのは非常に評価されている。つまり、この前も三重大学の方に厚生労働省の臨床研修係長がみえまして、ぜひMMCプログラムを成功させてくださいと、厚生労働省のやっていることを先取りしていただいていますということを言われました。恐らく次の改革ではこういうことをしてくるんじゃないかというふうに思っております。もし、そうなった場合には、三重県のMMCプログラムのような臨床研修は非常に先を行った取組であるということがアピールできるのかなと思っております。そのためには、このプログラムはもう成功例でなくてはなりません。何とか委員の方々とも一致団結してこれはやっていただきたいというふうに思います。
あともう少しなんですが、もう一つの医師不足の側面があります。
今までは研修医の話ばかりしてきたんですが、指導医の疲弊が非常に甚だしいわけです。これは余り論じられることはなくて、私は非常に残念なんですが、臨床研修医を教育する立場の指導医たちというのは、疲れています。次々と辞めていっているのが現状です。さまざまな医師不足への対応策から、研修医の処遇というのはもう年々よくなってくるんです。給料は上がって上がって、休みもあって、今の研修医を見ていると私たちが研修のときは非常にうらやましいです。ところが、現場の指導医の先生方の処遇改善というのはほとんどないです。三重県の研修医の給料というのは、全国水準から見ても非常に高いと言われていまして、ここへさらに給与の補助を出すということを、県の方も考えてみえることなんですが、果たしてどれだけの効果があるのかなというふうに考えております。うわさで聞いたところによると、奈良県とかそのへんの研修医が、三重県はいいなということで参入をしてくるんじゃないかということも少し耳に挟みました。
指導医サイドからは非常に不満の声を聞くことが多いです。このままでは、たとえ若手医師が増加していったとしても、中堅層の医師が次々辞めていってしまう可能性がありまして、こちらも何らかの対策が必要であるんじゃないかというふうに思います。
最後ですが、委員の方々に要望なんです。研修医へ、押しつけの政策というのはいいこともあるかもしれませんが、ぜひ彼らへ話を聞いていただきたいんです。十分にヒアリングを行っていただいて、三重県での研修がよかった部分、悪かった部分、それはいろいろあると思うんです。将来、県外へ行こうという人には、なぜ三重県を去ろうと思うのか、あとどうして三重県に来たのかというのも聴取していただいて、その上でどのように行政がサポートすれば三重県に残ってもらえるのかというのを、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。ニーズを理解してもらって、それに対して政策を組み立てていっていただきたいと思います。
MMCの事業というのは、非常に有用であるということはご理解いただけたかと思うんです。けれども、全国にアピールできているかというとまだまだ駄目です。お金がありません。あと人的資源が事務局で4人、5人しかいない状況ではとても無理ですので、このあたりもぜひご理解をいただけますといいかと思います。
あと、先程も申し上げましたが、現場の指導医の先生たちにもぜひ処遇改善をお願いしたいと思います。頑張って熱心に皆さん教えていますので、それ対しての何らかのものをいただけるといいかなと思います。
女性医師の復職支援というのは、これはMMCでは手放してしまいましたが、これはやはり必要な事業だと思います。これに関してもぜひよろしくお願いしたいと思います。ただ、医師会もやって県もやってどこもやってというのでは迷いますので、窓口は一本化すべきかなというふうに私は思います。
MMCプログラムに対してぜひご助力をいただきたいというふうに思っております。
用意したスライドは以上です。非常に長い時間で申し訳ございませんでした。ありがとうございました。
〇今井委員長 松本参考人、ありがとうございました。
ただいまご説明、またご意見をさまざまな角度からいただきましたけれども、また委員の皆様方からご質問をお願いしたいと思います。ただ、あっという間だったんですが、非常に時間がたっております。ご質問は本当に限られますので、代表して何名かの方、よろしくお願いいたします。ここで念のため申し上げますが、参考人は委員長の許可を得てご発言をお願いいたします。また、委員に対しては質疑をすることができないことになっておりますので、ご了承を願います。
それでは、ご質疑等ありましたら、お願いをいたします。
〇水谷委員 本当によくわかりました。ありがとうございました。
2点お伺いしたいのですけれども、喫緊の課題で、マッチングで、たしか前回、去年129名のうちの八十何名だったと。129名の上限というのはだんだん、それぞれの県の状況を見てみて、それほど厚生労働省もアップさせようというふうに考えておられないようです。問題は、それぞれの病院がフルマッチを目指すということと、どれだけやってもフルマッチにならないのであれば、協力病院になっていただくというお願いを県行政側がしていくということなんだと思うんです。具体的に三重大学医学部附属病院の二十数名枠というのは実は多いんじゃないかと、つまり三重大学医学部附属病院がかなり枠を主張し過ぎているということはないですか。17名が過去最高であったということですけれども、それでもちょっと開きがあり過ぎませんかというふうに、それぞれの病院を見てみて思うんです。
例えば、四日市市の市立四日市病院なんかは、先程倍以上のという話がありましたけれども、あそこは名古屋大学系だから、その大学別での、平たく言えば縄張り争いというか、そういうものがあって、そこのところがぎすぎすしているんじゃないですかというのが1つ目の質問です。
〇松本参考人 まさにおっしゃっている点というのは、やはりあると思うんです。県の総数というのも先程お話しいただいたと思うんですけれども、これに関しては、当然、このMMCが決めるべきあれではありません。もう天から降ってくるものなんですけれども、ただ、実績をつくっていない現状があるわけです。つまり定数を増やす、県の総数を増やすにはそれだけのマッチ数がないといかんじゃないかという議論が当然あるわけで、そこをつくれていないというのが1つ問題点かなと思います。
もう一つ言われました、三重大学医学部附属病院が握っているんじゃないかというご意見なんです。これも非常に議論があるところで、私が簡単に言って済む話ではないんですが、現場の我々実行委員会、各病院の先生が集まる話では、絶対そういう話が出ます。今おっしゃったような、全くそのとおりで、三重大学医学部附属病院がもうちょっと離してくれと。ただ、今後ということを考えますと、やはり今崩壊してしまった医局機能を何とか復活をしない限り、もう好き勝手にさせておってはいかんのじゃないかという議論も当然出てくるんです。ですので、むしろ現場というか本当の現場の意見というのは逆で、何とか三重大学医学部附属病院にもっとマッチ数を増やして集約して、三重大学医学部附属病院を何とか、それは増やすということなんですけれども、入局を増やしてそこから送ることをしていかないと、とてもじゃないけれども、各病院のことでばらばらにしていてはいかんのじゃないかということになっています。ただ、今おっしゃった意見が当然出ているのも事実です。
以上です。
〇水谷委員 ちょっとお答えにくいところをお答えいただいてありがとうございます。もう再質問しないでおいて、次の質問をしたいんです。
〇今井委員長 申し訳ないですが、時間の関係で、簡潔にお願いいたします。
〇水谷委員 わかりました。後期臨床研修の具体例を説明いただきました。それぞれ、そのA病院、B病院、F病院で入局するかしないかで揺れているわけです。その場合の研修医の給与というのは、どの時点でどう上がっていくかというのを、もうちょっと具体的に教えてほしいと思ったんですけれども。
〇松本参考人 給与ですか。正直なところ、私、余り外の病院で勤務した経験がなく、ずっと三重大学医学部附属病院だったものですから、給与に関してというと、正直データはないんです。恐らく各病院で後期研修医としてのポストじゃないですけれども、ポジションというのはあるわけです。それに対して給与を決めていると思うんです。つまり、恐らく委員がおっしゃりたいのは、後期研修でずっとやっている人たちと医局から派遣されてきた人で給与が違うのかということだと思うんです。私は正確な情報を持っていないところで言うのは非常にあれなんですけれども、恐らく違ってくると思います。やはり後期研修医というのは研修医ですので、そういう研修医という言葉がついてしまうことで、給与が落ちている面というのはあるのかなと。逆に医局から何とか科の専門家ですという触れ込みで、そちらに教授の命令で赴任した場合というのは、当然その専門に対する給与、手当が出ているのかなというふうに推察いたします。ただ、済みません、わかりません。
〇水谷委員 ということは、そのMMCプログラムをこれから走らせるとします。人気のある病院とそうでない病院を平準化しようとするわけですから、そこの部分、給与の部分まで触れられるものなんですか。
〇松本参考人 給与の面というのは、MMCプログラムをやるに当たっての委員会でも非常に問題になりまして、1つの方向性というのは、基本的に出向するとはいうものの、もとの病院の身分保障はされるんです。だから、そのもとの病院からの基本給というのは出るわけです。それで、出向先で例えば当直をしたり、何々仕事をした、ちょっと余分な仕事をした場合には、その出向先から出すというふうになっています。
ただ、これは原則でありまして、例えばここの病院とここの病院の関係性というのがありまして、そこをMMCがどうこう言える立場にはないですもので、そういう場合はもう話し合いで決まる部分も出てきます。ただ、原則は、基本的には出向した場合であっても、その派遣元が基本給は持つということになっています。
以上です。
〇水谷委員 もう最後です。MMCプログラムで、三重大学が中心になるんだと思うんです。この後、例えば名古屋大学とか名古屋市立大学とか、そういった形のエリアを広げて、このプログラムが走っていくということは、将来的には可能性としては、ありますよね。どうですか。
〇松本参考人 つまりおっしゃりたいのは、愛知県に広げていくということですか。
〇水谷委員 ええ、東海へという。
〇松本参考人 東海エリアに広げていくということですか。広がれば非常に理想的だと思っているんですが、私、一番、この委員会の冒頭にも言いましたように、恐らく非常に困難だと思います。国策レベルでそういうふうに持っていかない限り無理です。というのは、MMCというのはあくまで三重県の団体でありまして、愛知県の例えば愛知大学関連の病院、名古屋大学関連の病院が、そこに入ってくれるとはとても思えないからです。
今現在、三重県内でも市立四日市病院といなべ総合病院、あと藤田保健衛生大学の七栗サナトリウムというのは、MMCの中でも他大学の出身者なんです。ただ三重県に病院がありますので、三重大学出身者の動向というのは非常に気になるということで、MMCに入っていただいているというのがあるんです。だから、それを愛知県にまで行ってというのは、恐らく私、無理だと思います。
〇水谷委員 ありがとうございました。
〇今井委員長 時間の関係で最後に1問、誰かございましたら。よろしいですか。
〔発言の声なし〕
各委員の皆さんにおかれましては、まだまだ質問質疑をされたい方もいらっしゃるかもわかりませんが、どうしても時間の関係で、このへんで質疑を終了させていただきます。
逆に参考人の方には詳しく説明を、質問までも行かないまでも詳しく説明をいただきましたので、大変貴重なお話を聞かせていただいたと思っております。
今後、常任委員会の方でも、今日参考人から聞かせていただいたご意見、ご要望等をしっかりと踏まえて、委員会の協議を続けていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
それでは、これで参考人からの調査を終了いたします。この際、参考人に対し、委員会を代表して一言御礼を申し上げます。
本日は、大変お忙しいなか、本委員会のためにご出席をいただきまして、本当にありがとうございました。本委員会といたしましては、これからいただいた貴重なご意見をしっかりと委員会の中で調査に生かしていきたいと思います。
それでは、以上で参考人招致を終わらせていただきます。本日はまことにありがとうございました。
〔参考人 退室〕
Ⅱ 委員間討議
な し
Ⅲ その他
〇今井委員長 ご協議いただく事項は以上でございますが、ほかに何かございませんか。今日は本当に時間の配分の方でご説明を長くいただきましたので、質疑を本当はもっと聞かれたいことがあったかと思います。また今後、参考人の方にも連携をとらせていただきまして、もしご質問等ありましたら、委員会としてお受けをさせていただいて、また質問を出し、ご回答をいただけるようにも、できましたら配慮していきたいと思います。何とぞご理解をよろしくお願いをいたします。
〇日沖委員 質問とかそういうことではないんですけれども、私は余り知識が少ない方なんですけれども、改めていろいろ認識させていただいてよくわかるお話もいただきました。具体的に、本当に課題、MMCの活動の中の課題をよくわかるように言っていただいたし、要望についてもこれはきちんとつけていただいてあります。ポイントを絞った形のお話をいただいたので、ぜひこれからこれを参考にさせていただいて、この委員会で協議検討もして、反映させていくようにひとつ、せっかくの今日のお話を、取り組んでいきたいと思うんです。またお取り計らいを今後さらによろしくお願いいたします。
〇今井委員長
本委員会で重点調査項目の大切な問題として、医師確保対策、また偏在の解消というのがありますので、ぜひ委員会の中で今後、皆様の方からも、いろいろ今回の課題解決の方法、またご要望等を踏まえて、しっかりと意見を述べていっていただきたいです。委員会としても、そういった方向で課題解決に向けて取り組んでいきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いをいたします。
〔閉会の宣言〕
三重県議会委員会条例第28条第1項の規定により記名押印する。
健康福祉病院常任委員長
今井 智広