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三重県議会 > 県議会の活動 > 委員会 > 委員会会議録 > 平成20年度 委員会会議録 > 平成21年3月13日 健康福祉病院常任委員会 予算決算常任委員会健康福祉病院分科会  会議録

平成21年3月13日 健康福祉病院常任委員会 予算決算常任委員会健康福祉病院分科会 会議録

  

健康福祉病院常任委員会

予算決算常任委員会健康福祉病院分科会

会議録

(開会中)

 

開催年月日    平成21年3月13日(金) 自 午前10時01分~至 午後 0時02分

会議室          501委員会室

出席議員       8名

                         委  員  長   竹上 真人

                         副委員長   藤田 宜三

                         委   員   中川 康洋

                         委   員   後藤 健一

                         委   員   田中 博

                         委   員   舟橋 裕幸

                         委   員   山本 教和

                         委   員   萩原 量吉

欠席議員       なし

出席説明員

   [病院事業庁]

                         庁長                                       田中 正道

                         県立病院経営分野総括室長    稲垣 司

                         政策企画特命監                     山路 栄一

                         経営支援特命監                     井坂 明博

                         県立病院経営室長                  荒木 敏之

                                                                              その他関係職員

委員会書記

                         議  事  課   主幹   中村 洋一

                         企画法務課  主幹   森岡 賢治

傍聴議員       なし

県政記者クラブ 5名

傍聴者           なし

議題及び協議事項

Ⅰ 分科会(病院事業庁関係)

 1 議案の審査

  (1)議案第23号「平成21年度三重県病院事業会計予算」

  (2)議案第45号「三重県病院事業庁看護師修学資金返還免除に関する条例の一部を改正する条例案」

  (3)議案第82号「平成21年度三重県病院事業会計補正予算(第2号)」

 2 所管事項の調査

Ⅱ 常任委員会(病院事業庁関係)

 1 議案の審査

  (1)議案第86号「病院事業庁企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例案」

 2 所管事項の調査

  (1)「当面の運営方針(平成21年度)」(案)について

  (2)包括外部監査結果への対応について

  (3)未収金発生防止対策について

  (4)志摩病院における救急医療体制について

Ⅲ 委員協議

 1 分科会関係

  (1)分科会委員長報告について

 2 常任委員会関係

  (1)常任委員長報告について

 

 

【会議の経過とその結果】

 

〔開会の宣言〕

 

Ⅰ 分科会(健康福祉部関係)

 1 議案の審査

  (1)議案第23号「平成21年度三重県病院事業会計予算」

     議案第82号「三重県病院事業庁看護師修学資金返還免除に関する条例の一部を改正する条例案」

    ①当局から資料に基づき補充説明(田中庁長)

    ②質疑

○竹上委員長 ただいまの説明に対し、ご質疑があればお願いします。

○萩原委員 審査の進め方にかかわって、ちょっと聞いておきたいんですけれども、これは予算議案だから、予算の中身そのものも精査はせねばならんという問題もありますけれども、いわゆる今提起されている県立4病院のさまざまな、民営化なり、あるいは独立行政法人化なりという議論は、この予算議案に関連してやるべきなのか、別途また時間をとってというか、後のところにも志摩病院の云々というのも出てくるけれども、そのあたりはどう整理したらいいのか。この予算と関連してそのあたりの議論をあわせてやるということでいいんでしょうか。

○竹上委員長 私は、それは健康福祉部所管の話で、病院事業庁は「まな板の上のコイ」なので、ここで議論するよりも健康福祉部所管のところですべきで、それはこの前ご議論をいただきましたので、と思いますけれども。

○萩原委員 コイはコイなりに、意見を聞きたいなと思ったので。

○竹上委員長 ですから、するのであればこれと一緒に。ほかに後ろにはないので。

○萩原委員 わかりました、すいません。

○舟橋委員 「医師・看護師確保定着事業」でメニューが書かれているんですけれども、ちょっと基本的なところで、この2つ目の○なんかは、例えば志摩病院のドクターが海外へ研修に行くというようなことをおっしゃってみえます。その際の費用は、志摩病院の経営収支の内数で処理をするのか、単純に病院事業庁が本庁からそういうものは支出するのか。

○荒木室長 個々の病院の医師の海外出張にかかる経費については、個々の病院の研修費等で予算計上をして執行されるということになっております。

○舟橋委員 それは相当額を繰り入れて、本庁を通して医業外収益として志摩病院で収入し執行していくのか。要は、志摩病院の経営の中で、たくさん勉強させたり、それから医師の住環境を充実させたり、そうしたものは志摩病院の経営に影響があるのか、ないのかを聞きたい。

○荒木室長 一部は繰入金でいただいている部分もあるんですけれども、基本的には、志摩病院の経営の中でやっていただくということになります。

○舟橋委員 わかりました。

○田中委員 「医師確保のための研修環境等改善事業」ということで挙げられていますが、これは医師がこういうところが足りませんよという話をされたのか、あるいは比較的医師が集まりやすいような病院の住環境を含めた環境を見てこの予算を計上されているのか。いつも予算、決算では医師が足りない、看護師が足りないということですが、そのへんの原因をどうとらえてこの予算に計上したのか。予算に反映されているからこういうところが足りなかったということなんでしょうけれども、その現状分析といいますか、そのあたり病院事業庁で考えておられるところを教えていただけますか。

○田中庁長 「医師確保のための研修環境等改善事業」に伴うと書かせてもらってもあるんですけれども、要は勤務していただく医師にとって働きがいのある職場環境づくりというんですか、言葉でいうとそういう話なんですけれども、具体的に何をしていくかというところについて今、ご質問があったと思うんですけれども、やはり我々としては、1つは、医師がモチベーションを高めてやっていただくにはどうしたらいいかというようなことを考えるところでありまして、そのためには、これはドクターによっても確かにいろいろな考え方がございまして、例えば高度な医療というのを勉強したいということであるならば、県立病院でいうならば総合医療センターなどはそういうふうな意味では先進的な取組をやっているわけです。
 しかし、それについても例えば関連図書で勉強するというのも1つの方法でしょうし、それからいろんな場所に行って実践経験を積んでいただくというようなところであれば、例えば海外もそうですし、それから国内で、ほかの病院へ行って研修をしていただくとかいったことにも対応するとか、あるいは特に県立病院の場合には、志摩病院なんかも非常に環境としては厳しい中でやっていただくという中で、例えば家族で行かれる場合には、住環境というのも最近非常に重視されますので、公舎の借り上げだけじゃなく新しいマンションなんかを借り上げて、それを実際見ていただいた上で医師の方にも入っていただくとか、そういうふうな要望にも細かに対応していきたいと、そういうふうな思いでこういう予算を組んでいるところでございます。
 これからもいろいろな要望が出てこようかと思うんですけれども、そういうふうな要望についても、できるだけ我々も汲んでいけるものについては汲んでいきたいとも考えておるところでございます。

○田中委員 いろんな要望があってと今お聞きしたんですけれども、このことで、医師の確保は、どのぐらいを期待しているというか、効果を期待されているのか。

○田中庁長 具体的にこれで何人という話まではできないと思うんですけれども、ただ例えば住環境なんかは、実際に見ていただいて、ここならいいですねというふうな形で決めていただくというふうなケースもございますので、そういったニーズに応えられるようには今後もしていかなきゃならないと思っています。

○山本委員 三重県の県立病院の医師の給料は、全国的に見てどんな状況なんですか。近隣の県との比較でもいいんですが、例えば高いとか低いとか、同じ県内でも病院によってほかよりも高いとか低いとか。きっちりした数字でなくていいんですが、大体いいところまで来ているんですか。

○田中庁長 特に三重県が他の病院と比べて低いという話は余り聞いてはいないんですが、ただ、先程医師確保のところで申し上げましたように、今回、医師の初任給調整手当を約11%引き上げるということを言わせてもらったんですけれども、これは独立行政法人の国立病院と比べて低いということで、今回人事委員会からの勧告もいただきましたし、そういうことで上げさせていただいたということで、国立の病院との間で少し差があったということは言えると思います。

○山本委員 そうすると、例えば県立4病院の中での差というのはあるんですか。

○稲垣総括室長 先程申しましたように、公立病院としては一般的には水準を保っておると思いますけれども、4病院の中では一志病院とか志摩病院とか、僻地勤務とかそういったことを含めてですけれども、地域手当でフォローして15%を上積みするとか、そういう格差は設けております。

○山本委員 それはその病院内で、自主的にこうやりたいといった場合にはできるわけですね。

○稲垣総括室長 全部適用の中で、法的にはできることになっておりますので、要望があれば県立病院経営室が聞き取って、それを手当てするということになるでしょうけれども、言ったからすぐなるとかそんなものではありませんから、全部適用の中でも一定の制約はかかってくる。でも、その声を聞くことはできます。

○山本委員 なぜそういうことを聞いたかいうと、前の病院長のときに、やっぱり志摩病院はもうちょっと給料を上げなきゃいけないんじゃないかということで上げたという実績があるものですから、今聞かせていただいたんです。それにもかかわらず医師がやめてしまうというのはどういうことなのかなと、いろいろ思いながら、悩み続けながら寝不足で今日も来たんだけれど。
 以上です。

○萩原委員 若干今回の県立病院のあり方の基本方針(案)、これにもかかわってちょっと聞いておきたいなと思うわけですが、当初からもう19億円からの赤字ですよ、みたいな予算を組むというのは、「こんなものはもうつぶしてしまえ。」といわんばかりの予算編成だ。だから、本当に病院事業庁は元気が出ないでしょう。それ以上に、実際に本当にやめたくてもやめられないと言っている忙しい医師だとか、看護師だとか、現場の人たちの思いを本当にあなたたちが代弁して、堂々と、丁々発止と総務部なりとやり合って、知事も説得しなければならんという立場にあるんだろうと思うんだけれど、結局この方針というのは、この間、この土俵に乗っかって行くことは問題だというような議論をしていたんですけれども、もう3年で病院事業庁は解体と、この方針をいかに着々と説得するのか、職員ともこれからいろいろやっていかねばならんのかという状況に今、皆さんは置かれているんですか。私は、内部的な状況がよくわからないので教えてほしいんです。
 「まな板の上のコイ」という話もさっき出たけれど、何とでも好きなようにやってくれということだったらたまったもんじゃないし、今ごろからパブリックコメントをやって、なんていうことを言っているけれども、私はそれなら県民に白紙で意見を聞くんですかという話もこの前言っていたんだけれども。確かに難しい問題がいろいろあるし、財政も大変だけれども、とにかくよそから来た人に頼んで在り方検討委員会をつくって、その人らには白紙でやれというふうな形になったわけだから、議会も県民も本当に白紙で論議をしたいと思っているんですが。
 それぞれの病院がこの方針で行くというのは、いつ事業庁長なんかは聞かれて、そして最終的にはどこで決定されたものだということになるんですか。こんな予算とのかかわりの中で、これははっきりともう決めたよということがいつ決定されたのか。病院事業庁は解体だし、4つの病院はそれぞれ民営化、独立行政法人化、あるいは指定管理者制度というような格好で行く方針での予算ですよということが認められるでしょう。それは一体、いつ誰がどう決めたのかというあたり、病院事業庁長なんかはどうかかわってきたんですか。

○田中庁長 今のご質問ですけれども、この平成21年度当初予算は、今おっしゃったような今回の県の基本方針(案)に基づいて策定したというものでは全くございません。現在の、いわゆる全部適用で、継続をしてやっていくということを前提にして、この平成21年度予算を組んでおります。

○萩原委員 庁長はそんなふうにはならんのかもしれないけれど、それじゃちょっと聞きますけれども、一般会計からの繰入れをどんどん増やしていけばいいとかいう単純なことではないけれども、繰入れのルールの見直しだとか、あるいは例えば、皆さんが出した資料の中に、全部適用にかかわる調査報告書なんかも出されていますけれども、1ベッド当たりの繰入金は、都道府県間の比較で三重県は何番目ですか。

○田中庁長 確か平成18年度で30番目前後ぐらいだったんじゃないかと思いますけれども。

○萩原委員 一般会計からの補助金も含めて非常に低いんですよね。それから、ルールの見直しというのは、監査のたびにも随分言われてきたでしょう。根本的な見直しがされないままというのは事実ですね、根本的にされていない。しかも、三重県だけが特にさぼっていたとか、あるいは物すごくたるんでいたとか、非効率なところがあったとか、そういうことがあるんだったら、それは病院事業庁長としては責任持ってやってもらわなければいけないけれども、一体何でこんな事態になったのかという原因はどこにあると思ってみえるのか。

○田中庁長 病院事業庁そのものは平成11年度に発足して、そこから全部適用ということで経営してきたわけでございます。今までも申し上げているかと思いますけれども、平成11年度以降、平成13、14、15年度と病院事業庁全体として黒字も計上してきたということで、経営的にも一定の成果も出てきた。ところが平成16年度以降また赤字基調になってきた。その要因といたしましては、やはりまず医療制度改革に伴う報酬単価の引き下げがあったこと、あるいは医師の新臨床研修制度に伴います医師不足、あるいはそこにまた看護師不足が出てきたという、大きな構造的な要因もございます。
 片や、これも特別委員会が設置をされましたときに報告をしておりますけれども、病院としても、全部適用の中でやってきた課題というものがなかなか解決できなかった。それは、例を挙げるならば、もっと柔軟な給与体系の中で人材を確保できなかった、あるいはその人材についても、今は知事部局との人事交流でなされているためになかなか専門職員が育ってこないという、そういうふうな課題にもなかなか全部適用という中では対応できてこなかった。課題でありながら解決できずに今日まで来た。こういうふうな問題も含めて、やはり今のような厳しい状況になったのではないかとは思っております。

○萩原委員 地方交付税の関係で、これは病院事業についても借入金の返済にかかわる一定割合は交付税措置がされるということになっていますが、交付税は100%、当然のように病院事業会計に入っているんでしょうか。その点は数値的に細かくというのは難しいのだったら、また後で資料もいただきたいんですけれども、交付税をさぼっているところがたくさんあるわけです。さぼっているというのは、病院事業に投入されていない、一般財源化しているということ。そういう問題があると聞いていますが、それはどうですか。

○荒木室長 交付税については、総務部のほうで算定をするんですけれども、基本的に交付税見合い分については病院事業庁としても繰入金としていただいているということで、逆に交付税以上の部分を繰入金の金額としていただいていることになっております。

○萩原委員 そんなことを、後ろの人に聞かなければならないような話では困る。正直言って、私は前列の人らがそのデータで丁々発止と本当にやってくれているのかという心配が出てきた。
 やはり今、庁長も言われたけれども、全国の自治体病院が今悲鳴を上げている。もうとっくにつぶれたところもあったり、岩手県の知事はもう土下座までしているという状況になってきているわけでしょう。それはやはり構造改革の中での総医療費の抑制政策が前提にあったし、その中で医師を増やしてこなかった。今、特に問題になってきている原因は臨床研修医制度だと言っているけれど、医師を増やしてこなかったからですよ。医療費を抑制せよと言って凍結している。
 それから健康保険、皆さんも1割負担から2割負担に、さらに3割負担になってと、これが診療抑制につながっているでしょう。そしてさっき庁長も言われたような、診療報酬の引き下げでしょう。そういったような問題を、病院事業庁として、どこまで本当に地域医療を守るんだという点で頑張ってきたのか。こんなのは地域だけで何とかしろ、ましてや一志病院のような僻地で、あるいはほかの病院がなかなかないというようなところでは大変なことなので、そんな中で頑張っている医師、看護師ら病院関係の人たちの思いを代弁して、本当に知事や財政当局や国に対して、自分たちはどこまで努力してきたんだというものがなかったら、本当に病院事業庁長の役割を果たし得たとは言えないのと違うのか、私はそう言いたい。
 それから、ましてや病院の施設建設なんかは、バブルがはじけた後、大いに公共事業を増やせという中で、病院も建てなさいと随分自治体に督励もあったはずですよ。このことについては、当時の福田総理大臣が国会の答弁でも答えているんですよ。いわゆるバブルの経済の崩壊後、景気対策として公共投資を大幅に追加するという中で、公立病院においても積極的に施設建設が行われてきた。その結果として、後年度における減価償却費が増加して経営悪化の一因となっていると、国会の答弁で認めている。
 そういったような問題点がある中で今日の事態があるので、これはやり方が効率的じゃなかったとか、あるいは職員がさぼっておったということではないということははっきり認めるべきだと思うんです。そして、その原因を明確にして県民にも問うたらいいと思うんです。そういうことなしに、今の基本方針(案)だけでパブリックコメントを、というようなことではだめだ。これは病院事業庁の仕事ではないかもしれないけれども、そういう努力を本当にあなたたちはしてきたのかと問いたい。あるいはオープンの場で関係者にそういうことを本当に率直に話してきたんだろうか。そこをやっぱり明らかにしてほしい。

○田中庁長 先程申し上げたように昨年度に特別委員会が設置されて、この病院事業についていろいろご議論をいただいたんですけれども、その中で全部適用の検証ということで、私どもも今までの成果と、そして解決できなかった課題というものを、先程例も挙げながら説明させていただきました。そういうことで、病院事業庁としても一定の、今までの総括というものをさせていただいたと思っております。
 今、委員おっしゃいましたように、制度的な問題というのも確かに大きな問題でございます。ただ、これは1自治体では何ともできない部分もありますので、おっしゃるように国のほうで十分それも考えていただかなきゃならないとは思っておりますけれども、それについては健康福祉部を通じまして、国のほうへ医師の問題についてもいろいろな国家予算要望を上げていただいておりますので、今後我々も病院として、その感じるところの部分というのは十分健康福祉部を通じて国のほうにも要望していきたいと思っております。
 ただ、現実的に今こういう状態があるわけですので、この状態をどういうふうに改善していくかということを我々も考えていかざるを得ない。我々の目指すところといいますのは、あくまでも県民の皆さんに、いわゆる良質な医療というものを継続的、安定的に提供していくというのが我々の使命だと思っておりますので、今回こういう基本方針(案)が県のほうから出されておりますけれども、そうしたものというのをやはり我々は病院改革として、必要な部分については当然改革していく必要がありますし、それを今後の地域医療の確保、あるいは今、各地域で行われておる各病院の役割とか機能というものの充実につなげていきたいと思っております。

○萩原委員 だけど最初から19億円からの赤字というこんな予算を組んで、実際にやっていって、何とかこれを黒字に転換させるような方向、そんな見通しは全くないだろうと思うんですよ。ということは、結果として皆さんがパブリックコメントでも今度やっていく、これはもちろん健康福祉部が中心にあるんだけれど、病院事業庁長として、今回の改革の目的、基本理念といって、「良質で満足度の高い医療を安定的、継続的に提供することを目指していく」ということで大目的は書いてあるんだけれども、この予算で今後実際にやっていってそれが保てますか。自信を持てますか。病院事業庁はそれで本当にやっていけるんですか。

○田中庁長 冒頭に申し上げましたように、この平成21年度の当初予算というものも当然、全部適用を前提にして立てたものということでございますので、厳しいという認識であることは間違いございません。

○萩原委員 国の問題はまた要求していかなければならないという話もあったけれども、県独自でも私はもっと努力してできないはずはないという思いがするんです。
 例えば、同じ企業会計だけれども、企業庁なんかは長良川河口堰の工業用水道分の全部を一般会計で持っている。これは五百数十億円になるはずだ。毎年13億円ぐらいずっと払っているでしょう。一般会計で埋めているんですよ。そんなことがやれるのに、何で同じ企業会計でできないのか。RDF発電も一緒でしょう。あるいは、これは企業庁ではないけれども、ガス化融溶炉施設も20億円を一般会計でと、そういう施策ができるのに、人の生死、命にかかわる、健康にかかわるこういう問題で、とにかく最初から赤字ですよ、一生懸命頑張っても経常収支で20億円からの赤字になるというのでは、結果としては赤字だ、赤字だという、そういう報道だけしかされないじゃないか。それで、実際に今働いている人たちのモチベーションが高まるのか。あるいは、これでもっと定着がよくなるのか。これは本当に具体的に聞いておきたい。今、こういう報告が出されたときに、4病院で働いている人たちはそれぞれ、「そうか、民営化されるんだったら、私らもっと給料も上がるかもわからないな、頑張れるな。」とか、あるいは「独立行政法人化ならこれはもう大いに頑張れるな。」となって、定着なんかも強まるんだろうか。医師の確保が一層ぐっと伸びるんだろうか。その点、どう思ってみえますか。

○田中庁長 我々もこの当初予算を出しましたけれども、これでよしと考えているわけではもちろんありません。そのために平成21年度につきましても、後でまたご説明させていただきますけれども、当面の運営方針というのを持って、それに基づいて皆で経営努力をしていこうということでございまして、やはり大きな要素を占めております医師、看護師の確保については、我々も今も一生懸命努力しておりますし、また来年度でも本当に、あらゆるいろんな手段といいますか、そういうふうな手法を講じて、その確保に努めていきたいとも思っております。
 あと、委員が言われました繰入金につきましては、これも今、県立病院の改革のあり方についても、県から基本方針(案)が示されて議論がされているというところでございまして、従来から申し上げていますように、そういう議論の結果を踏まえて、この繰入れのあり方についても十分考えていく、検討していくと、これは監査委員からも前から言われているところですし、我々もそのように思っておりますので、これも財政当局ともそのような話をさせていただいております。

○萩原委員 そんなふうに言われながら、結局はやられてこなかった結果と違うんですかと私は言いたいんです。だから、こんな予算が当初から出されてくる。こんなのは、僕は働いている人たちに対して物すごく侮辱していることにならないのかという思いさえするわけです。
 それで、そのやりとりをしていてもなかなか詰めていくことができない話だと思うので、もう1つ聞いておきたいのは、3年を目途にと、もう既に言われているわけですけれども、病院事業庁としてはこれからの3年間、どんな段取りで進めて行くんですか。皆さんは、独立行政法人化やら指定管理者制度ということでは困るので、とにかく精一杯、県立病院として、このあり方をとことん追求していくんだということなんですか。それとも、もう知事からは3年間で整理する方向でやれと、こういうふうな形になってきているのか。そこはぶっちゃけた話、どうなんです。

○田中庁長 平成21年度につきましては当面の運営方針でやっていくということを申し上げましたけれども、これも当面ということで平成21年度限りの話なんです。それはずっとこの県立病院のあり方について議論、検討がなされているという状況の中で、長期的な計画が立てられないということで、小刻みといいますか、こういうふうな運営方針になっているんですけれども。
 したがいまして、今議会でご議論いただいていますこの県立病院のあり方の基本方針(案)につきましても議論、検討がなされて、それが決定した段階において、我々はそれを踏まえて、新しい経営計画というものを策定するということにしておりまして、その計画の中でこの4つの病院のそれぞれの経営計画というものを示していきたいと思っております。

○萩原委員 本当に繰入れの中身なんかももっと細かくいろいろと議論もしたいけれども、とにかくこんな格好で赤字の予算を組むというのは、やっぱり今回は、いわゆる民営化の方向がまずありきだという感じが率直にします。
 最後に1つだけ聞いておきたいんですけれど、今出されてきている県の基本方針(案)の方向ですが、総合医療センターは独立行政法人化、志摩病院は指定管理者制度で、一志病院は民間へ移譲という、こういう方針になったら、病院事業は人も集まるし、経営もぐっと改善される、よくなるなという思いを率直にしてみえますか。

○田中庁長 今回のこの基本方針案の趣旨は、やはりよい医療というものを安定的に提供していくというのがこの趣旨だと、私も認識をしておりますので、この病院改革に係るその議論、あるいは検討というものを先程も申し上げましたけれども、今の地域医療の確保、あるいは各病院の持つ役割、機能の充実につなげていきたいと思っております。

○萩原委員 寂しい、むなしいという思いは、何か感情が伝わってくるような思いがしますし、私はやっぱり「まな板の上のコイ」になったのならコイなりに、もっと悲鳴も含めて上げてほしいというか、やっぱり実際に病院で頑張っておられる人たちの声がもっと皆さんを通して反映されてもいいんじゃないか。それは県職員だからということなのかもしれないけれども、これでは本当に、ますます三重県の医療、福祉、地域医療が破壊されていくという思いを率直に感じています。
 私はこんな予算に断固反対です。

○山本委員 今回のこの結論ですけれど、当初から結論ありきで、県が直接こういう結果にすると余りにもインパクトが強すぎて、議会から上がっている提言などもあるし、在り方検討委員会というような、何かそういうショックアブソーバーみたいなものを絡ませながら、「こういう結果になった。」と言っているのではないか。だけど、初めからこういう結果ということじゃなかったのかなという、そんなことを思うんだけれど、実際にはどうなんですか。そんなことはそうですとは言えないだろうけれど。
 「健康福祉病院常任委員の皆さん、もうギブアップです。」だけど、絶対ギブアップとは言わないからね。「もう志摩病院も一志病院もギブアップです、ごめんなさい。」。しかし言葉の上では、「指定管理者で、あとは徐々に後の管理運営の事業者を見つけていきます。」と、そうやって簡単に言ったらわかりやすいんだろうけれど、なかなかそう言わないから、いろんな理由をつけながら説明してもらったんだけれど、実際にはどうなんですか。正直な田中事業庁長としては。

○田中庁長 山本委員も特別委員会にも入っていただいていましたし、十分経過も御存じだと思うんですけれども、我々もあのときに、今まで平成11年度からやってきた全部適用について、検証もさせていただいて、一定の成果もあったということも認めていますし、そこでも言っているわけなんです。
 ただ、やっぱり今申し上げる課題というのもやはりある。その課題というのは非常に今、大きな問題になっている。その課題をどうやって解決していくかというのが、今ご議論いただいている基本方針(案)を含めて、というふうなことになるのではないかと思っております。私どもはそういった議論というものを、よりよい地域医療につなげていきたいということですので、とにかく我々の使命というのは今、全部適用でこの病院を運営して、県民の皆さんに安心した医療を受けていただく、それが今の最大の使命だと思いますので、そうしたことで取り組んでいきたいと思っています。

○竹上委員長 私からも一言だけ申し上げておきますけれども、予算を否定するという話ではないですが、当初予算から20億円近い収支不足で、内部留保は底をつき、長期の借り入れをせざるを得ない状況、これはただ残念なことだということだけは申し上げておきたいと思います。
 なければこれで本議案に対する質疑を終了いたします。

 

    ③委員間討議

○竹上委員長 次に委員間討議を行います。ご意見のある方はお願いします。

          (「なし」の声あり)

○竹上委員長 よろしいか。
 なければこれで委員間討議を終了いたします。

 

    ④討論

○竹上委員長 次に、改めて討論として議案に対する賛否の意向表明があればお願いします。

○萩原委員 私は、議案第23号だけは絶対に反対をいたしますが、あとこの補正部分は大丈夫、それから修学資金の免除条例も賛成します。
 以上。

○竹上委員長 ほかよろしいですか。

 

    ⑤採決   議案第23号    挙手(多数)   可決

                    議案第82号    挙手(全員)   可決

 

  (2)議案第45号「三重県病院事業庁看護師修学資金返還免除に関する条例の一部を改正する条例案」

    ①当局から資料に基づき補充説明(稲垣総括室長)

    ②質疑

○竹上委員長 ただいまの説明に対し、ご質疑があればお願いします。
 よろしいか。なければ本議案に対する質疑を終了いたします。

 

    ③委員間討議

○竹上委員長 次に委員間討議を行います。ご意見のある方はお願いします。

          (「なし」の声あり)

○竹上委員長 なければこれで委員間討議を終了いたします。

 

    ④討論

○竹上委員長 次に、あらためて討論として本議案に対する賛否の意向表明があればお願いします。

          (「なし」の声あり)

○竹上委員長 なければこれで討論を終結いたします。

 

    ⑤採決

     議案第45号     挙手(全員)   可決

 

 2 所管事項の調査

  (1)について

○竹上委員長 続いて、分科会の所管事項の調査を行います。当局から何か発言がございましたらお願いします。

○田中庁長 特にございません。

○竹上委員長 委員の方で、特にご質疑等がございましたらお願いします。

          (「なし」の声あり)

○竹上委員長 なければ、これで病院事業庁関係の分科会を終了いたします。

 

Ⅱ 常任委員会(健康福祉部関係)

 1 議案の審査

  (1)議案第86号「病院事業庁企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例案」

    ①当局から資料に基づき補充説明(稲垣総括室長)

    ②質疑

○竹上委員長 ただいまの説明に対し、ご質疑があればお願いします。

          (「なし」の声あり)

○竹上委員長 よろしいですね。なければ、本議案に対する質疑を終了いたします。

 

    ③委員間討議

○竹上委員長 次に委員間討議を行います。ご意見のある方はお願いします。

          (「なし」の声あり)

○竹上委員長 なければこれで本議案に対する委員間討議を終了いたします。

 

    ④討論

○竹上委員長 次に、あらためて討論として本議案に対する賛否の意向表明があればお願いします。

          (「なし」の声あり)

○竹上委員長 討論なしと認め、討論を終結いたします。

 

    ⑤採決  

     議案第86号   挙手(全員)  可決

 

 2 所管事項の調査

  (1)当面の運営方針(平成21年度)(案)について

      包括外部監査結果への対応について

          未収金発生防止対策について

          志摩病院における救急医療体制について

    ①当局から資料に基づき説明(稲垣総括室長、荒木室長、山路特命監、井坂特命監)

    ②質疑

○竹上委員長 ただいまの説明に対し、ご質疑がありましたらお願いします。

○舟橋委員 政策医療と繰入れの話なんですけれども、先程萩原委員も頑張って言ってみえましたけれども、先程の予算の中でインフルエンザ対策とか、医師確保とか、そういったものはある面では政策医療的な色合いもあると思うんです。繰入れの表を見ますと、項目3の細目2に感染症の経費は繰入れの対象ですよとか、それから項目4の医師確保も繰入れの対象になっているわけですよね。
 しかしながら先程、事業は組むけれども、それを志摩病院とか一志病院でやったときにすべてが繰入れの対象になっていない、すき間があるというお答えでしたよね。そうした際に、1つは政策医療のほうがきっと幅が広くて、その内数として繰入れというのが現実問題としてあると思うんですよ。そうした際には、「まな板の上のコイ」で3年間、というのもあるのかもしれませんけれども、やっぱり政策医療の分野と繰入れというのはできるだけ一体感を持たせたものにしていくべきじゃないかと思うんです。38番目というお話も出ましたけれども、今年度のこの資料の表を見ても、まず平成21年度に向けて、繰入れルールの見直しについて健康福祉部と議論があったのか。それから、もう「まな板の上のコイ」で、ここにもそんなことは書いていないかもしれませんが、差し当たって当面の運営方針は平成22年度も平成23年度も作らなければならないわけですから、その際に、繰入れルールの見直しなり、拡大なりについて、これから病院事業庁として求めていくおつもりなのか。
 それから、もう1つは政策医療という大雑把な表現を、例えば病院事業庁の中で事業名とか、それから具体的金額とか、落とし込みをした資料というものがあるのか聞かせてください。

○田中庁長 まず、基本的なところを私からお答えさせていただきます。 
 繰越金につきましては、当然、財務当局と毎年度予算時に折衝をしているんですけれども、大きくは先程ちょっとお答えをさせていただきましたけれども、今いろんな県立病院の改革について、県の基本方針(案)が出されて議論がされているというところで、前から、この県立病院のあり方というものが確定した段階で、繰入れについても、例えば項目の見直しをするとか、あるいはその積算の見直しをするとか、そういったことも含めて大きな見直しをするという話をしております。
 ただ、現実的に毎年度、それっきりの話で何も変更がないのかというと、そうではなく、いわゆる不採算な医療の部分につきましては、従来積算の基礎となっていた年度、例えば平成13年度の決算をべースにして繰入れになっていたものにつきましては、中期経営計画というのが平成16年度からされておりますので、平成16年度から平成18年度までのベースのものに置きかえて、平成19年度は繰入れの積み上げをしておりますし、また平成21年度につきましてはさらに平成19年度の決算も出ておりますので、平成16年度から平成19年度までの実績を踏まえた繰入れにしています。要は、現実を踏まえた繰入れに、財政当局と話をして実態になるべく近づけていると考えておりますし、今後もそうした面につきましては改革の議論とあわせて、きちっとしていきたいと思っております。

○荒木室長 繰入金の中で政策医療に係る部分がすべて認められているかというご質問があったかと思うんですけれども、正確にすべてがきちっと全部認められているかというと、例えば先程の医師・看護師の緊急研修時に要する経費という部分については、基本的には2分の1が国の基準によって認められるところでございますもので、あとの半分については病院の負担で人材育成を行っているという部分があります。
 一方で、感染症対策に要する経費については、先程のインフルエンザ対策に係る予算については基本的に全額を繰入金でいただいているというところで、その部分については基本的には政策医療として、全額繰入金で認められているということでございますもので、項目によって若干扱いが違うところがございます。

○舟橋委員 一昨日の健康福祉部との話のとき、看護大学が独立行政法人化したことによって、5億6000万円の事業費で済んでいたのが7億6000万円要るようになったんです。2億円余分にかかるようになったんです。どうしてかと言ったら、やっぱりいろいろな人件費やなんかだと言ってみえましたので、そうならば今度、病院が独立行政法人化したり、指定管理者にしたときに、今までの繰入れルールに基づいた金額以上のものが、それぞれの独立行政法人化した病院や指定管理者を受けた病院に行くんですかという質問をしたんです。そうしたならば、独立行政法人の場合は事業運営費という表現、それから指定管理者は指定管理料、支出科目も変わるわけですけれど、それは政策医療を反映したものを算出して支出をしますということです。ということは、繰入れ金額以上のものを結局出せるということなんでしょうね。「これ以上は超えないんだな。」と聞いたら、「いや超えることも超えないこともあります。」という答弁でしたから、超えることは可能だという意味だったと思います。ならば今、全部適用でもっと頑張って、県が政策医療と繰入れのすき間を埋めていけば違う展開もあるんじゃないかと思って、そこらへんは非常に私としてはじくじたるものがあったんですけれども、それを考えたときに今、漫然と全部適用の中で繰入れルールに基づいて、あと3年か10年かは知りませんけれども転がしていくというよりも、もう一頑張り病院事業庁にしてほしいという思いがあります。恐らく答えは難しいでしょうからもう要りません。
 なお、もう1つ追加で要望しておきますけれども、当然のことながらこういう話が出てきたら、職員のモチベーションというのが随分下がると思いますし、離職も増えると思うんです。そういったことに対して、十二分な配慮と対応を求めておきたいと思います。とりわけ県民の医療を預かる職場ですから、モチベーションが下がって医療事故が多発したということの報道がないように、起らないように十分な配慮を求めておいて終わります。

○中川委員 これは資料の不備だと思うので、その指摘だけさせてもらいたいんですが。「当面の運営方針(案)」の冊子の後半の資料部分のところの、資料2-4の、「項目5:高度医療に要する経費」のところの説明文が途中で切れているような気がするのと、資料2-7、こころの医療センターの項目1のところも説明文が途中で切れているような気がするのと、資料2-12、「項目8:精神病院運営割高経費」のところの説明も切れているような気がするのと、資料2-15、「項目4:経営基盤強化対策に要する経費」の説明文の※印のところも資料の説明が切れているような気がするんだけど。案だからいいんだけれど、ちょっと精査してもらいたい。途中で切れていて説明がわかりづらくて繰入れしていいのかどうかの根拠がわかりづらいんですけれど。

○荒木室長 申し訳ございません。修正して、再度お渡しさせていただきます。

○中川委員 ちょっとこれでは恥ずかしいもんな、冠たる病院事業庁が。

○荒木室長 申し訳ございません。すみません。

○萩原委員 大前提があの予算ですから、当面の運営方針と言ってもなかなかしんどいなという思いがするんですが、さっき舟橋委員が言われたように、看護大学の独立行政法人化について舟橋委員がいろいろとやりとりされて、私は興味深く聞かせてもらっておって、ほう、そうなのかと思った。
 独立行政法人になったって金が減るということにはならないのなら、要は、公務員でなくなるという、非公務員化というのが1つの大きい目的かなと。端的に言って、医療も福祉も何もかももう市場原理に任せて、人減らし、金減らしという小さな政府論、小さな自治体論という流れが今、破綻、失敗したわけですよ。だから、本当にその意味では、今こそこれを見直さなければならないチャンスだと思っているんだけれども、残念なことにこういう流れになってきていますが。さっきも舟橋委員も、私もモチベーションという話も言ったけれども、公務員であることと公務員でないことというのはどう違うんだというあたりも、私は本当に今、大事な議論をしないといけないと思っているんです。
 未収金対策について今報告もされましたけれど、公立病院、県立病院だから、未収金にならざるを得ないような治療をせねばならんというのもいっぱいあるでしょう。現実にあるよ。そういうのも含めて、今、こんな不景気の中だから来年度の公務員の試験なんていうのは倍率がめちゃくちゃ高いんですね。皆物すごく公務員志向だ。これは単に、給料がいいから、あるいは年金もいい、身分も安定しているというようなことだけなんだろうか、私はそうではないと思うんです。皆さんも公務員で一生懸命頑張ってみえるのだろうけれども、公の仕事、全体に対する奉仕者という立場で公僕という言葉も使われるけれども、やはり皆のために役に立ちたいという仕事、公然と公で、そして国民の税金によって養われている。だから、よく行政に対し文句を言うときに、「あなたらは俺の税金で雇われているんじゃないか。」とよく言われて、皆さんは頭にカチンとくるけれども、だけど民間では絶対これは言えないでしょう。多額の公的な資金が入っていたとしても、「あなたらは俺の責任で雇っているんじゃないか。」って言えないもの。やっぱりそこの違い。民間が悪いということではないよ、民間も一生懸命苦労してきてくれているんだけれども、民間の場合にはやっぱり採算性あるいは効率性で、赤字を出したらそれこそつぶれるもの。親方日の丸だからどれだけでも仕事をさぼってもいいということでは困るけれども、そうではないはずだ。だから、そういう意味での公の仕事、公務というものについて今、本当に県民の命や福祉や健康のために働いているんだという、この使命感というのか、やる気というのかモチベーションというのか、このあたりの意味は、私は物すごく大きいものがあると思っている。
 この間、看護大学が独立行政法人になったけれども、これでもう1回数値目標を決めるんだということも言われて、県内の病院への看護師の定着率は、現在47.5%と言っていたのが50%定着するように数値目標を決めましたと言っていたけれども、県内の病院というだけではなしに、県立4病院に定着する率というのを今のところ目標にすべきではないのかという、そんな話をちょっとしていたんだけれども。それなら県立総合医療センターには35人の看護大学卒業生が行きます、これはトップですという、そんな話もしてくれていましたけれども。やはり県立大学を出て、県立の病院へ行くということは物すごく大事だけれども、これはまた独立行政法人化してということになれば今後一層厳しくなっていく。民間の病院の先生らもたくさん講師で来たりとか、引き抜きがあったりとかっていうのがあり得るだろうと思うし、そんな点でどんなふうに努力し、頑張ってくれるのかなというのも病院事業庁にひとつ聞いておきたい。
 もう1つは、未収金の問題で、健康保険証がない子どもが全国で大問題になったでしょう。三重県でも随分、1200人かいたという、無保険の子どもの問題。この間もちょっと聞いたんだけれども、これからは後期高齢者医療保険の無保険の老人が増えてきますよ。保険料を払っていない人が今のところ7000人と、丸い数字で言っていました。この人たちがすべて無保険になるということではないだろうとは思うんだけれども、今後払わなかったら保険証はあげないよと言ったら、75歳以上の老人で保険証がないということがでてくる。これでは本当に国民皆保険が崩れていくし、アメリカに近い状態になっていくというような大変な格差社会が出てくるわけで、こういう人たちが実際に病院に担ぎ込まれてくるようになる。「シッコ」という映画があったでしょ。そんな人を診ていたら何ともならない、病院に担ぎ込まれてもまた元に戻しに行くんだみたいな話までありましたね。だから、そこの点で公的な医療とか、公的な福祉とかということの果たす役割というのは、これはもう絶対に握って離したらだめだと思うんだけれど、非公務員化していったら、県立と名前がついていてもそのあたりの存在も大変危ういし、その意味での未収金発生防止の対策の問題について聞きたい。
 さらにもう1つ心配になるのが、独立行政法人だとか指定管理者になっていった場合の、医療や患者の個人情報がどう保護されるのか、これが絶対に心配ないと言えるのかどうかという点も含めて、今でさえ受付事務にニチイの皆さんが全部来てくださっているんですが、看護師が少ないのでこの頃は診療の部屋まで入ってみえて、カルテまで実際に診察の現場にも持って行っているというところを見たときがあって、僕はびっくりしましたけれども、本当にそういう意味も含めて、やっぱりこれはきちんとしていかないといけない。このへんの情報管理の問題、個人情報の保護の問題も含めて、私はやっぱりきちんとその点は大丈夫だということがどう担保できるのかという問題、あわせて3つばかり聞いておきます。

○田中庁長 今のこの全部適用も地方公営企業法に基づいてやっているわけでして、地方公営企業法の趣旨というのは、その企業の経済性を発揮しつつ、公共の福祉に資するということですので、委員おっしゃるように、我々もこういうふうに当初予算で大きな赤字を出していくということについては当然、企業の経済性というところからはいろいろな問題があるにせよ、企業経営としては余り考えられない予算だろうとは想定もしております。
 したがって、そういう中で、我々も先程申し上げた企業の経済性を発揮すべくやはりいろんな努力、経営努力というのも課題にしていかなきゃならないと思っています。例えば、看護師の確保の話も今出ましたけれども、本当に現場の皆さんには一生懸命やっていただいているわけなんですけれども、例えば市立四日市病院が看護師の確保のために一定の支度金のようなものも考えられているようなことも新聞に出ていましたし、これは我々も当然、県立病院として昨年もいろいろな議論をしたところです。ただ、県立病院の場合は市みたいに1つだけじゃなく4つの地域に病院があって、やはりそれぞれの地域によってその各病院の状況というものも異なるという中で、今、県立病院が存在しているところにある公立病院も非常に看護師不足の状態にあるようなところもありまして、そこへもってきて、例えば県だけがそういうふうな数値にするというということも、他の公立病院にとっては逆に看護師不足が生まれてしまうというようなこともやはり懸念されますので、そういったようにトータル的に我々は考えていかなきゃならないということで、今の中ではなかなかできない部分もございます。今度、1つの振興基金を使って、そういうふうな医師・看護師の対策を考えられるという話も聞いていまして、もしそういうふうなものも、例えば看護師に対する対処も出てくるならば、それは我々も十分考えながら対応していかなきゃならないとは思っております。
 それから、今、セキュリティの話なんかも出ましたけれども、これは当然、どういう状態であろうとセキュリティの確保というのは大事な話ですので、これも経営形態に関係なく、それは守っていかなきゃならない話だと思っております。

○稲垣総括室長 看護大学の話もございましたので、看護師の関係で一言触れさせてもらいますけれども、看護大学が独立行政法人化されるに当たって、今後県との関係をどうしたらいいのかという話は当然ございました。2月に看護大学の学長と私ども4病院の看護部長等を交えた会議を開きまして、今後のことについてという話もしまして、看護大学は独立行政法人になりますし、また県立病院のほうもどうなっていくかわからない状況、非常に厳しい状況に今置かれているということを前提にしながらも、言葉は変ですけれども、生まれは県立で兄弟であるからと、今後も看護大学は教育の面で、病院は臨床の面で、お互いに協力関係を保っていこうということについては、真摯に何ができて、何ができないかを見直した上で、一度4月になったらそれを洗い出して検討しようじゃないかということで言っておりまして、研修、採用、お互いギブ・アンド・テイクという部分で協力関係を保っていこうと、そんなふうな話をしております。
 以上です。

○山路特命監 未収金について、私からお答えします。
 未収金の発生につきましては、公立病院だけじゃなく、医療機関すべてが医師法によって応召義務があり、委員ご指摘のように支払能力がないということのみで診察は拒否できない、これは公立、民間問わずであって、未収金の発生は防げないわけですけれども、生活保護、自己破産等で、いわゆる支払能力がない、支払いたくても支払えない、支払わないんじゃなくて支払えない方の未収は、過年度の未収金が平成19年度末で1億9000万円ほどある中で18%ぐらいあるんですが、こちらの方々につきましてはいわゆる法的措置、債務名義を取得するための支払い督促等は行っておりません。逆に、理由なく支払わない方が25%ありますので、こちらの方につきましては行政措置を含めて対応していくと、こういう区別をして対応しております。
 それから、個人情報につきましては、県の場合は個人情報保護条例ですけれども、民間につきましても個人情報保護法があって、同じように規制がかかりますので、ご懸念の点はないかと存じます。
 以上です。

○萩原委員 もう時間もなさそうなので、簡単にもう1つだけ聞いておきます。
 この未収金の相談窓口ですが、外国人の方が物すごく多い。外国人を悪く言うつもりはないんだけれども、窓口で言葉は大丈夫なのか。けれども窓口に通訳を置いてということになったらこれまた大変でしょう。そのあたりはどう対応してみえるのか。それだけちょっと確認したい。

○山路特命監 4病院の中では総合医療センターが、おみえになる外国人の割合が一番高いんですが、現場で聞き取り調査をしましたところ、ご本人が片言の日本語を話せる場合はご本人が、あるいはご本人が全然日本語を話せない場合は付き添いの方を伴ってみえるというケースがほとんどで、病院側で通訳を用意しないといけないというケースはないと聞いております。
 以上でございます。

○山本委員 1点だけ、今の未収金で、以前にも資料で示されておったように思うんですが、例えば志摩病院はいくらあるんですか。大体でいいですから。

○山路特命監 志摩病院のほうは、平成19年度末で3000万円ぐらいでございます。

○山本委員 ありがとうございます。
 一時、湯沢でマンションブームがあって、昔はもうひなびた所でしたけれど、マンションブームで次々とマンションが建って、東京の人たちがマンションを買った。ところが水道料金を払わなくて、湯沢の役場の職員の人たちがみんな、東京都内に水道料金を回収に行って、分割で払ってもらったとか、何かそんなようなことをやっていました。もう数年前ですけれども。観光地、特に湯沢もスキー客が多いとか、志摩の場合には観光客がいて、先程の話にあったように診療を拒否するわけにはいかんから診る。だけど、よそから志摩に来て治療費を払わないで行っちゃうというようなケースというのは、あってはならんと思うけれども、指定管理者になった場合にもやはりそういうことは起こってくると思うんですよ。今も頑張ってみえると思うけれど、そういうようなことというのは、どういうような回収方法を現在検討しているんですか。

○山路特命監 志摩病院に限っては、観光地でもございますので、地元の方ではない方で、突然病気になったりとか、けがをされた方が、志摩半島の中核病院ですから志摩病院にかかられるというケースで未収になるケースが当然あります。そちらにつきましては、基本的には同じような形で督促して、ただ地元にはみえないということで基本的には文書による督促になってしまって、なかなか法的措置も、管轄が簡易裁判所でないということでとりにくいんですが、高額になりますと粘り強く督促するということでやっております。ほかの民間、あるいは指定管理者になった場合の未収金につきましても、私どもも公立病院だけじゃなく、ほかの例えば四日市の社会保険病院とか、準公的病院の未収金対策も1回聞いたことがあるんですけれども、法的措置をとっているところは少ないようですけれども、同じように訪問とか、文書督促とか、あるいは委託とかはしておりますので、そういうことで同じような対策はとられるものと思っております。

○山本委員 最後にします。中川委員が待ってみえるので。
 そうすると、現在は文書督促が多いと。だけど、訪問も、委託もするわけね。

○山路特命監 訪問は病院職員を中心に現住所確認とか、そういった意味でするケースがございます。

○山本委員 職員の人たちも、そんな余分な仕事までやらなきゃいけないというのは本当に大変だと思います。
 だから、今後のそういう未収金対策というのは、いわゆる医療を行うときに、しっかりとしたそういう確約とか、やっちゃいけないのかも知れないけれどもそういうことをやって、そのところをしっかりしておけば、特に観光客の場合は、治療を終えて自宅へ帰られる場合の居場所確認、そういったところというのは、やはりきっちりやっておく契約というのか、そういうのをやっていいのかどうかわからんけれども、必要だと思います。
 以上です。

○中川委員 じゃ、1分で。
 未収金対策並びに公費負担制度の周知については、以前にも増してさまざまな手だてをしていただいているということに関しては、感謝を申し上げたいと思います。
 それで1点、ちょっと細かいところに入るかもしれませんが、今の萩原委員がおっしゃっていたところの、例えば無保険等の方とか、あと救急で入ってきた場合は当然拒否ができないということで、さまざまな患者を受け入れなければいけないわけですけれども、個人の情報にも配慮しながら、例えば明らかに生活保護の対象者になるのではないかという患者で、その方が生活保護の受給者ではなかった場合、やはり未収金を未然に防止する意味においてもいち早くその方を当該基礎自治体との連携の中で、生活保護の申請をさせて受理をしてもらうと。というのは、法が決定するかどうかは1ヶ月近くかかりますけれども、支給は申請日にさかのぼって支給される。そうすると、医療費のほう等も出てくれば、未然防止等の未収金の対策になると思います。これが市立病院等は同じ基礎自治体の中で生活保護担当課等との連携というのはとりやすいわけですけれども、県立は自治体が違うということで、ほうっておくと医療費というのは結構最初の部分で多くかかりますから、ここで結局、未収金の発生につながるような事態になるということで、いわゆる明らかに保護の申請等をした方がいいじゃないかという患者が入院等をされた場合、その基礎自治体の生活保護担当課等との連携、ないしはケースワーカー等との連携が積極的になされておるのかどうか、またしていくようなお考えはあるのかどうか、そのへんをお聞かせください。

○山路特命監 個別の自治体をすべて把握しているわけではないんですけれども、未収金の現地調査というか、病院のほうで、個別に年に何回か調査しているんですが、そのとき聞き取った状況によりますと、例えば総合医療センターですと未収の方が生活保護に該当するという場合、各市町の役場と連絡をとりまして、速やかに申請をするようにしております。今後、なお一層、迅速にそういった方にはそういった方法で取り組んでいきたいと思っております。

○中川委員 機転をきかせて早い対応をするということが非常に大事になってくるというように思います。これからも未収金対策に関してはさまざまな知恵を使いながら、取れない人から取るということは問題がありますけれども、やはり取れるような状況、ないしは公的な部分で、制度があるようなところはしっかりと活用しながらやっていくということが、患者にとっても病院にとっても大事だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上。

○萩原委員 全然別の話ですが、昨日判決が出た病院の職員の処分、あれは管理者としてのコメントというのが具体的にはあるんですか。ちょっと確認だけしておきたいと思います。

○田中庁長 マスコミにも出ているかと思うんですけれど、「判決書をよく読んで今後対応していきたい。」ということです。

○萩原委員 それだけでしょう。だから、それでいいのかな。まあいいわ、仕方ない。

○竹上委員長 ほかにありませんか。

          (「なし」の声あり)

○竹上委員長 なければ、これで当面の運営方針(平成21年度)(案)ほかの調査を終わります。
 最後に、これまでの議論された調査項目以外で特にございましたらご発言をお願いします。
 よろしいですね。
 それでは、当局にはご苦労さまでした。

(当局 退室)

 

  (2)委員間討議

○竹上委員長 それでは、先程調査いたしました所管事項について、委員の皆様からご意見があればお願いします。

          (「なし」の声あり)

○竹上委員長 それでは、所管事項調査を終わります。

 

Ⅲ 委員協議

 1 分科会関係

  (1)分科会委員長報告について 正副委員長一任

 2 常任委員会関係

  (1)常任委員長報告について 正副委員長一任

 

〔閉会の宣言〕

 

三重県議会委員会条例第28条第1項の規定により押印する。

健康福祉病院常任委員長

予算決算常任委員会健康福祉病院分科会委員長

竹上 真人

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