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三重県議会 > 県議会の活動 > 委員会 > 委員会会議録 > 平成20年度 委員会会議録 > 平成20年11月20日 健康福祉病院常任委員会 会議録

平成20年11月20日 健康福祉病院常任委員会 会議録  

 健康福祉病院常任委員会

会議録

(開会中)

 

開催年月日     平成20年11月20日  自 午後1時00分 ~ 至 午後3時58分

会議室             301委員会室

出席委員          7名

                        委  員  長             竹上 真人

                        副委員長            藤田 宜三

                         委   員             中川 康洋

                         委   員             後藤 健一

                         委   員             舟橋 裕幸

                         委   員             山本 教和

                         委   員             萩原 量吉

欠席委員           1名

                          委   員             田中  博

参考人                3名

                          病院事業の在り方検討委員会会長     紀伊國 献三 氏

                          病院事業の在り方検討委員会委員     松田 美幸 氏

                          病院事業の在り方検討委員会委員     駒田 美弘 氏

委員会書記       2名

                         議事課主幹          中村 洋一

                         企画法務課主幹    森岡 賢治

出席説明員

〔健康福祉部〕

                         部長                                                     堀木 稔生

                         医療政策監兼保健・医療分野総括室長  西口   裕

                         副部長兼経営企画分野総括室長           南川 正隆

                         県立病院改革プロジェクト総括推進監     服部   浩

                                                                                              その他関係職員

〔病院事業庁〕

            庁長                                      田中 正道

             県立病院経営分野総括室長   稲垣  司

            総合医療センター院長           高瀬 幸次郎

            こころの医療センター院長    原田 雅典

            一志病院院長                        飛松 正樹

            志摩病院院長                        吉村  平

                                     その他関係職員

傍聴議員       0名

県政記者クラブ 3名

傍聴者        2名

議題および協議事項

Ⅰ 調査事項

  1 「病院事業の在り方について」の調査

    (1)参考人からの意見聴取

    (2)各県立病院長からの意見聴取

Ⅱ 委員協議

 

【会議の経過とその結果】

〔開会の宣言〕

○竹上委員長 本日は病院事業の在り方についての調査を行います。
 病院事業の在り方については、知事の諮問を受けた「病院事業の在り方検討委員会」から去る9月9日、知事に対し、「病院事業の在り方答申」が出されたところであり、今後当局においてその方針が決定されることになります。
 本日の調査に当たり、資料として「病院事業の在り方答申」を、また参考資料として、「三重県議会公営企業事業の民営化検討委員会(三重県病院事業)最終報告書」及び県立病院等調査特別委員会提言をあわせて配付させていただきましたので、ご確認願います。
 本日はこの調査に当たって、病院事業の在り方検討委員会会長の紀伊國献三様、並びに同委員会委員の松田美幸様及び駒田美弘様を参考人としてお招きをしております。参考人の皆様におかれましては、本日は大変ご多忙のところ当委員会にご出席いただきありがとうございます。
 本日は、午後2時半ごろまでをめどにこの答申についてご意見をお伺いすることといたしますので、よろしくお願いします。
 また、その後各県立病院院長からも意見聴取を行うことといたします。

 

  1 調査事項「病院事業の在り方について」

    (1)参考人からの意見聴取

○竹上委員長 最初に、参考人からの意見聴取に入ります。
 まず、検討委員会会長の紀伊國様から答申の概要等についてご説明をいただいた後、委員から質疑をさせていただくことといたしますので、よろしくお願いします。
 それでは、紀伊國様、10分程度でご説明をよろしくお願いいたします。

○紀伊國参考人 紀伊國でございます。変わった名前をしておりますけれども。
 私は、厚生省で初めてできました厚生省病院管理研究所というのができたときから16年間、研究員としておりまして、その後、新設されました筑波大学の医学専門学群で社会学系で16年間過ごしまして、定年前に辞めまして、その後東京女子医科大学及び国際医療福祉大学の、これまたつくったものでありますけれども、そういうものを歴任いたしましておるわけでございますけれども、現在はハンセン病の国際協力の財団の理事長、医学教育振興財団の常務理事などをしております。
 なぜ私が選ばれたのかについては全く存じませんけれども、公的病院の、ご苦労であることはもうよく承知しておるわけであります。知事さんからこれはゼロベースでやっていただきたいということで、私もゼロベースでならばお引き受けするということで、既にさまざまな方が三重県立病院についてご検討しておられることはよく承知しておりますけれども、それらはあえて読まずに我々は委員会をつくったわけでございます。
 委員会のメンバーについては、答申に書いてありますからお読みいただいたものと思っておりますけれども、やはり三重県の病院協会長、医師会長、看護協会長、それから本日もおみえでありますけれども、三重大学の病院長及び医学部長、それからそればかりでは偏りますので、三重県に住んでおられる、医療を受ける側の立場の方々も入っていただくということで、都合8回の検討会をいたしました。もちろん4つの県立病院のすべてにお邪魔いたしましたし、それから、議事はすべて公開しようということでありますので、すべての議事録は皆さん方のお手元に必要であるならばお届けできると思っておるわけであります。
 また、労働組合につきましても大変重要と思いましたので、あえてその発言の機会をいただき、そしてまた、ご意見等もお伺いしたということでありまして、この答申が9月9日にできまして、知事さんに提出した。あとは県知事さんの役割であろうと思っておるわけであります。
 さて、言うまでもなく我が国の病院が、特に公的な病院、自治体病院等が大変困難な状況にあるということは、もう皆さんご存じであると同時に、総務省がこのままでは病院事業というものについては大変であるということで、総務省自身が病院経営のガイドラインなどをつくっていることもご承知のとおりであるわけであります。
 三重県の県立の4つの病院それぞれの歴史がありますので、果たして県立病院である必要があるかどうかについては、これも検討の余地はあると思いますけれども、つくられた以上はやはりどういう使命を果たしているのか、果たすべきであるのかということについて検討したわけであります。
 言うまでもなく私は病院事業の在り方でありまして、これは狭い意味での経営ということばかりではなくて、地域住民に対して県立病院としてどういうサービスを提供しているのかということを検討の中心といたしました。ただし、お金の問題というのはこれは極めて重要な問題でありますし、客観性がありますので、これはあえて第三者である経営コンサルタントの経営診断も受けたわけでございます。
 結論から言いますと、県立病院の4つは果たして県立病院である必要性があるかということについては、1つの病院を除いては極めて薄いということであります。1つの病院というのもこの中に書いてありますけれども、こころの医療センターについても、これも果たして県立病院であるべきかどうかということについては、私立の精神病院の方々のご意見を聞いても、果たして現在のままでは県立病院としての意味はほとんどないであろう、ただし、精神の問題ということは大変大きいので、例えば精神科の救急、あるいは触法の患者、あるいはアルコール、あるいは薬物の中毒者ということは、これは当然やるべきであろう、そしてそれは県立であるかどうかについては若干疑問がありますけれども、県の支援が非常に必要であろうということであります。
 そうするとそのほかの3つの病院はどうだろうかということでありますけれども、もちろんその今までの歴史というものも尊重しなければなりませんけれども、現在の形態からいうならば、県立である必要性は残念ながら見つけることはできなかったということでございます。それは細かく答申に書いておるわけであります。
 それと同時に、その県立病院をサポートする病院事業庁についても、現在の在り方については、果たして必要であろうかということについても疑問があるということも答申の中に書いてあります。
 最後に、我々はこの問題ということは絶えず環境も変化いたしますので、この環境の変化に対応するためには、耐えざる努力をしていただくと同時に、その努力の結果ということを私は3年程度とは書いておりますけれども、もうちょっと早くでも結構だと思いますけれども、毎月程度経営の実態について、また経営の実態というのは患者数、あるいは患者の満足度を中心に、あえて言いますならばそのほか最近ではクオリティーインディケーターという医療の質の問題についても絶えず出していただいて、それを県民に公表していただきたいというお願いを知事さんに申し上げた、以上でございます。
 また、せっかく来ていただいた松田先生ともう1人の松岡先生がこの答申案について非常に努力してつくっていただいたということなので、松田先生とそれから三重大学の医学部長である駒田先生も委員の一員でありましたので、補足をお願いできればと思っております。

○竹上委員長 では、松田委員、お願いします。

○松田参考人 実は私三重県で生まれまして、大学まで三重県で過ごしておりますので、同級生や先輩にもたくさん県立病院で働いている医師もいますし、それから家族も三重県におりまして、まだ両親も健在で、おかげさまで妹は保健師、看護師、それから保健所で働いていると、ある意味で県民の立場でということも含めて、この委員会に参加させていただきました。
 ご案内のように、私福岡県立病院の改革の委員としても参画をさせていただいたんですが、今回三重県立病院の見直しをするときに福岡県との違いが大きく3つあるというふうに思っています。まず1つは、福岡県は医療資源がとても豊かなんですね。人口当たりの医師の数も病院のベッド数も大変多いですし、医学部を持つ大学は4つもあります。そして、民間、公的病院を含めて非常にレベルの高い病院がたくさんあります。
 そんな中で、県立病院かどうかという以前に、当時県立だった病院がその医療資源が豊かな中でどういうパフォーマンスをしていたかと、これが第一で、2つ目に当時の県立病院の医療的な業績を見ますと、経営が赤字とか黒字とかは別に、実際の診療の内容であるとか、あるいは手術の数であるとか、そのレベルであるとか、さまざまなものが周辺の同規模の病院に比べて残念ながら非常に低かったんですね。ですから、公的な資金を投入する、しない以前の問題として、そのままの状態で果たして地域の医療の質を上げる役割がこのまま果たせるかどうかというのが非常に問題としてありました。   
 そして、3つ目にこれは時間的な違いなんですけれども、当時はまだ現在ほど全国的に起こっている医師不足の深刻さの度合いがそれほどでもなかったということも病院経営の抱える課題の違いはございました。
 そういう違いを踏まえて、三重県立病院の検討をするときに、3つ大事にした視点があります。まず1つは、限られた医療資源をどう生かすか、福岡県に比べて三重県は県全体の中でも特に医師の不足を含めて医療資源がほかの都道府県と比べてそれほど潤沢とはいえないので、この厳しい医師不足の中でいかに限られた資源を地域、地域で生かしていくか、単に一病院だけの見直しでは解決できない問題であるということ、そのためにも医師をどう確保するかということが実は将来を見据えて非常に重要な課題であったということですね。
 それから、2つ目にそれぞれ4つの病院が、それぞれの地域のニーズが違いましたので、それに応じた対応をしていかなきゃいけない中で、疾病構造がこれだけ変わってきて、必ずしも大きな病院、ベッドを持つ病院がすべてそこの地域の住民の医療の質を上げるかというと必ずしもそうではない、むしろ地域に出かけていく、訪問をする医師や訪問する看護師さんがたくさんいる方が地域にふさわしいということもあります。そういう視点が1つ。
 それから、医師だけではなく病気を治す方になりますと専門のチームが必要ですから、看護師さんもコメディカルの方々も栄養士さんも、そしてある程度のところに集約をしないと専門の方々はなかなか力が発揮できないということですね。それが2つ目。
 3つ目は、やはりこれは今公立病院が抱えている大きな課題なんですけれども、現場のトップである院長がやはり権限移譲されて運営しやすい体制、人とお金に何も手が出せない状態ではどんなにリーダーシップを発揮しようと思っても非常に難しいです。ですから、この3点の課題、視点を見据えて今回皆さんと一緒にゼロベースで検討しました。
 したがいまして、委員の中にはもちろん経営上財務的な視点での問題点をかなり重視される方もいらっしゃいましたけれども、私は三重県の場合はいかにいい医療資源の組み合わせを考えるかということが重要であるということで、各地域ごとに異なった方向性といいますか、ご提案にたどり着いたということでございます。

○竹上委員長 ありがとうございます。
 駒田委員、どうぞ。

○駒田参考人 医学部長の駒田でございます。
 お2人の方が自己紹介されましたので、私も少しだけ。
 私は津市の出身で、生まれも育ちもずっと三重県で、大学も三重県ですし、三重県から出たことがあるのは、アメリカへ3年ほど行っていました以外は全部ずっと三重県で育って、三重県が大好きな人間であります。このたび医学部長を拝命しましたが、専門は小児科でございます。委員会には医学部長という立場で出席させていただきましたので、病院経営とかそういう面に関して意見を申し上げるというよりは、むしろ医学部長つまり医学部での医師の育成はという面から、県立病院に対してはどういう機能を担っていただきたいかということについてお話をしました。
 医師が不足しているということはもちろんよく存じておりますし、私小児科ですけれども、常に身にひしひしと感じているわけですけれども、その中で医学部としましては、当然三重県に1つの学部でございますので、地域医療を担う医師を育てるということは最も重要な使命であろうということは認識しておりますし、このことに関しまして私以外の教授、あるいはその職員もそういうことに関してはぜひ今後不退転の決意で取り組んでいきたいということで思っております。
 医学部に関しましては、三重県の特徴は、医学、医師の教育、医療人の教育を三重大学の中だけでやるのではないということが前提です。つまり三重県全体を学びの場として医学、医師は養成されるべきであろうと、決して医学部の附属病院という1つの病院だけで医師を育てるものではないですし、そういう医師を育てるべきでもないだろうということの中で、県立病院も含めまして公的な病院にはぜひ医学部の教育病院としての機能を担っていただきたい、そのために臨床教授、臨床准教授、臨床講師といった方々にお願いしまして、この中にはもちろん病院の医師も入っていますが、開業医の先生も入っておられまして、三重県全体で医療事業を育てていただきたいということで、その中で県立病院というのは非常に大きな役目を果たしているんではないかと、これは卒前ももちろんですけれども、卒後の臨床研修に関しましてもそういうことをお願いしたいというふうに思っておりまして、各病院いろいろ専門性があり、特徴ありますけれども、その特徴があるからこそいい研修ができるんじゃないかというふうに考えて、その面からご意見を申し上げました。
 以上でございます。

○竹上委員長 ありがとうございました。
 これから質疑に入ります。
 なお、参考人の方にお願いいたしますが、ご発言される場合は挙手いただいた上でご発言いただくようお願いします。
 また、参考人から質疑ができないこととなっておりますので、ご了承願います。
 委員各位に申し上げますが、本日は当委員会における病院事業の在り方に関する調査をより深めるため、特に在り方検討委員会委員の方を参考人としてお招きし、答申についてのご説明やご意見を伺う場ですので、その点にご留意の上、質疑を行っていただくようお願いします。
 では、ただいまご説明いただいた内容等についてご質疑のある方はお願いいたします。

○中川委員 きょうは貴重な時間をいただきまして大変にありがとうございます。
 この在り方検討委員会から出された内容の部分で確認的にお伺いをさせていただきたいところ、少しちょっと項目が多くなって恐縮なんですが、4点お聞かせ願えればと思っております。
 それで、今回のこの在り方検討委員会に関しては、総論的に物事を考えなければいけない部分と、4病院というところがある、その各論的に物事を考えなければいけないところと、ここはたて分ける必要が我々の側もあるのではないかなというふうに思うわけですけれども、その点極力たて分けながらお聞かせをいただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 それで、1点目に今、紀伊國先生がおっしゃられた最初の部分で、県立であるべきかは極めて薄いんだというお話がございました。それでこの県立であるべきかどうかということと、県民やその地域にとって必要であるかどうかということ、その病院そのものがですね、というのは私は別ではないかなというふうに思っておりまして、この県立であるかどうかということは確かにこれは検討する必要があるんですが、県民、地域にとって必要かどうかというところは、やっぱりどう考えるのかというところ、ここの部分をしっかりと考えなければいけない部分だと思います。
 それで、今回の病院事業の見直しのスタートになっている部分で、この4つの病院が県民に良質で満足度の高い医療サービスを継続的に今後も提供していく必要があるんだというところ、ここから今回の問題というのは考えられているのではないかなと。その上で運営形態とか、ありようをどうするのかという部分の立場でのご検討をしていただいたと思うんですが、それでいいのかどうかというところをまず最も最初のところで確認をさせていただきたいというふうに思っております。
 それと、2点目にこの三重県の県立4病院というのは、全部適用という形でいわゆる病院事業庁がそれを一括的に担っておるわけですけれども、私はこの病院事業庁が4病院一体での経営をしてきたということに無理があったのではないかなというふうに思っております。やはり4病院はそれぞれのありようがあり、地域でのニーズがあるというふうに思っております。今後は特にそうなるというふうに思います。そういった意味においては、病院事業庁が一体的に経営をしていくのではなくて、今後はやっぱりおのおのの地域やニーズに合ったありようで改革なり経営をしていくべきであると。そういった意味においては、それぞれの病院の最終的な運営形態において院長が管理者となってやっていきなさいという話もあったんですが、この4病院を一体的にしてきたこの病院事業庁の在り方、そこにやはり総体的なメスを入れる必要があるのではないかというふうに私も思うわけですけれども、そこに関してもう少し詳しくお話をいただければなというふうに思います。
 3点目にさまざまな改革の必要性はあるとは思うんですが、私がその中で今まで果たせなかった改革として、1つに挙げられるのがいわゆる意識改革、その中でお仕事等をなされておる方の意識改革というのが、さまざま当然県立病院には組合等もあるわけですけれども、やり切ることができなかったのではないかというのも一因としてあるのではないかなというふうに考えるところがあります。そういった意味においては、今後その病院内でトップダウンによる医師、看護師、また技師や職員相互の意思疎通を促すためのシステム改革等を伴う中で、そこでお仕事なされる方のさらなる意識改革、コストに対する意識であるとか、本来の地域におけるありようであるとか、こういったものが最も今求められていて、それが今までの改革の中ではやはりでききれなかったところで、こここそがまさしくなされるべきところの1つなのかなというふうに私は思うところがあるんですが、そのところに関してのご見解があればお聞かせを願えればなというふうに思います。ちょっと少し偏った側面でのご質問をこれはしているかもしれませんので、そこが感じられたら指摘もしていただきたいと思います。
 4つ目にこれは個別の案件ですが、県立総合医療センターの改革におきまして、最終的には運営形態を一般地方独立行政法人にすべきだというふうにまとめていただいております。この答申に関して私が知る範囲においては、試案の範囲においては、総合医療センターをできるのであれば市立四日市病院との一体化とか、一元化、ちょっと言葉は忘れましたけれども、市立病院化、こんなところに持っていってできなければ中2階の組織として2つをいっしょにした独立行政法人ということが表記されていたという記憶があるんですが、それが最終のこの答申ではそうではなく総合医療センター本体としての独法化というところに少しトーンダウンしたんではないかなというふうに感じるんですが、そのへんのところ少し詳しくお教え願いたいと思います。
 以上、4点。

○紀伊國参考人 第一の点、これは基本的な問題になると思うんですけれども、県立であるべきかどうかというのは、県がオーナーシップをとって自分で運営するという形態が本当に必要であるかどうかということを検討しなければならないという具合なご質問ととってもよろしいかと思いますけれども、それについては、私は最初に申し上げたとおり、県費を投入するということと県立でなければならないということは別個の問題であると考えております。
 そういった意味では県立でなければならないということ、もちろんその利用者というものがあるわけでありますけれども、県立ということは、私の考えでは県民にあまねくサービスを提供するということを究極の目標にすべきであろうという考え方を持っております。そういう意味からいうならば、そういう県民全体についてのサービスということを現在行っているのは、残念ながらこころの医療センターが一番近いところにあるだろうということがこの答申の基本にあるわけであります。
 もちろんそれぞれ例えば一志病院につきましては、あの地域の中であまり病院がないということも十分に存じ上げておるわけでありますし、また志摩病院については、観光的な要素ということも考えなければならないということでありますけれども、総合医療センターには最後に申し上げますけれども、そういった面からいってもこれは県立でなければならないということについては、極めて薄いということを私は申し上げ、また答申案についてもそういうトーンで書かれているということであります。
 ただし、それもちろんのことながらそれぞれの地域の中において医療が提供されなければならない、しかも安定して提供されなければならないということは、これは県の責任をお預かりになる方としては当然のことであります。その点を明確にしておきたいと思います。
 それから、全部適用、これは平成11年でしたか、やられたときはこれを全部適用をすべてやられたということは非常なる英断であったと、私は皆さん方のサポートということを高く評価するものでありますけれども、残念ながらその効果は2年間で終わっていたということも残念ながら事実であるわけであります。もちろん全部適用の効果をどこに求めるかについてはさまざまな議論がありますが、2年間は経営的な数字についてもよくなったことは事実であります。これが続いているならば、恐らく知事さんが我々に求めるような病院事業の在り方についてゼロベースで考えろというようなこともなかったかと思うわけであります。
 私は、幸か不幸か自治体病院協議会の会長を25年やられた諸橋先生という方を存じ上げておりまして、以前は自治体病院の院長、事務長コースに必ず講義をしておりましたけれども、そのときもやはり確かに全部適用ということは、これは責任を持つという形では非常にいい制度であります。ただし、その場合にはどれくらい各病院に対して責任を持っていただくのかということについては、確かに病院事業庁が十分な働きをしているかどうかということについては疑問があるということで、我々は第5章の第2節に病院事業庁の在り方についてというのをわざわざ1章1節つくりまして、結論的に言いますと最初に申し上げたとおりでありまして、むしろそこの優秀な方々というのは各病院でお働き願った方が三重県のためにはいいんじゃないだろうかということをあえて申し上げたわけであります。
 第3点の意識改革の欠如、これはそのとおりだと思います。ただし、その意識改革というのも私も32年間厚生省及び文部省立の組織で働いた経験からいうと、これは言うは易く行いが難しいことも十分に承知しておりますけれども、やはりこれはその公営企業法というのは、管理者を中心として一体となってやるべきであるということでありますので、ご指摘のとおり意識改革ということはもっともっと必要ではなかっただろうかという具合に思っておりますけれども、同時に今までの病院長の方々、あるいは私は病院長ばかりとは言いませんけれども、病院長、事務部長、看護部長というのは3本の柱でありますから、その方々が一本化してそれじゃよいサービスをしようという意識には残念ながら欠けていたと申さざるを得ないわけでありますが、同時にこれは難しいということは事実であります。
 その総合医療センターの在り方については、これは本当に非常に私、個人的に悩みました。これは一体どうしたら一番いいのかということ、まずあえて申し上げれば、あの地域を選んだこと、それからあの場所を選んだこと、そこにあのような巨大投資を行ったことにつきましては、私は一個人としては非常に疑問に思っております。
 一方において、四日市市立病院の経営状態は、総合医療センターに比べて格段によいということも事実であるわけであります。そうしますと、私どもが考えるのは、その2つの病院がもっともっと協力関係にあった方がいいんじゃないだろうかということは考えられるわけでありますが、皆さん方ご承知のとおりそれは言うは易く行いは難しい点もありますので、それにつきましてはまずは私はその総合医療センターについては、これは本当に危機的状況にあるということを書いたつもりでございまして、その危機的状況を少なくとも上昇傾向が見られるかどうかということをまず注目したいと思っておるわけでありまして、本当にあれは病院である必要があるかどうかということすら私個人的な考えでは疑いを持っていることも事実でございます。
 以上です。

○中川委員 両先生の補足的にぜひ聞きたいんですけれども。

○竹上委員長 補足があれば。

○松田参考人 ありがとうございます。
 まず1点目に関しましては、良質で満足度の高い医療サービスを継続的にという点をご指摘いただきました。全くそのとおりだと思います。このまま例えば県の公費が継続的に補えるだけの財政力があって、しかもそれを全県民が、ほかの県民サービスよりも優先して投入すべきだという声があるのであれば別ですけれども、それはかなり難しいのではないかなということが1点ございます。
 それから、全適を一体的に扱ったことの無理ということなんですけれども、実はこのように複数の病院を県で保有していて、そして全適で一括に運営されているところはほかにもあります。岩手とか兵庫は大変たくさんの病院を抱えていらっしゃるんですが、三重県の場合はそもそも4つの病院の生い立ちが違って、ばらばらな生い立ちのものがあるところで1つになったということで、今申し上げた県のように医療内容から検討して病院つくっていって一体化しているというところとはかなり生い立ちが違いますので、やはりそうせざるを得なかったというのはあると思います。1回一体化したことで課題も見えてきましたし、ある意味では過渡期としてあるべきプロセスであったかなと思います。
 3点目の意識改革については、今後運営形態が独法、あるいは指定管理ということになりますと、外部評価がかなり的確に入ってまいりますので、これを使うことによってより中にいらっしゃる方々が、ご自分たちの視点だけではなく外部の視点も含めてよりよい医療を提供していくことにつながればと思っております。
 それから、総合医療センターについては、実は先程危機的な状況という話もありましたけれども、医師はこの県内ではある意味で引きつけている病院でもありますし、それから先程駒田委員がおっしゃったように、医師の育成という意味でも非常に重要な役割を持っていますので、今医師がいない病院ですとこれから経営改革とかとても難しいんですが、そういう意味では医療センターはまだ可能性も持っているので、まず自力で経営を立て直すこと、それができればほかの病院との連携や共同作業も非常にやりやすくなるのではないかなと思います。

○駒田参考人 私は1点目、2点目は特に申し上げることはございません。
 3点目に関しましては、医学部長から離れまして、一医師、大学病院に勤める医師として経営感覚を持ちなさいということに関しては、まだまだ不十分ですけれども、そういう意識は医師としても目覚めています。
 実はきょう午前中に、私小児科ですけれども、小児科の経営改善委員会がありまして、病院長に呼びつけられまして、私と病棟主任、看護婦長が、こういう点がおかしい、こういう部分をこうしたらもう少しよくなりますよというようなことをつぶさに教育を受けまして、残念ながら20年度はこの6カ月間、5,000万円の収入が足らない医学部、小児科でしたので、それを何とかしなさいということを受けまして、そういうことをやらなくてはいけないなと、それはある面、医師としては多少疑問には思いますけれども、1つの経営をするということに関しましてはそういうこともやらなければいけないのではないかと思っています。
 あと最も大事なのは事務の力でして、これがないと今日もそういう経営改善の委員会でお教えいただいたのは事務の方で、医療事務のスペシャリストの方からいただいたということで、そういう方がいないと幾ら医師がやろうと思ってもやり方もわからないですし、効果も非常に悪いということで、医療事務を取り扱う方の能力というのは非常に大きい、そういった面では県立病院は私自身はあまりよく知らないので、そういった人がいるところはいいのではないかなということを医師の面からは感じます。
 4つ目の四日市に関しましては、三重県の病院を考えた場合に若い医師、あるいは学生、研修医を引きつける病院はやはり幾つかあってほしいなと。これは三重県の中だけじゃなくて、三重県外から研修医が集まるような病院、残念ながら三重県というのは医師の輸出県でございまして、例えば毎年100人三重県出身の学生が医師になるとしましても、そのうちのかなりのパーセントが外で働かれる、特にへき地、いわゆる医師の不足している地域にもそこの出身の医師はいるんですけれども、そこで働かないという点が大きな問題ではないかというふうに思っていまして、ぜひマグネット方式、若い医師、あるいは看護師さんを引きつける病院であってほしい、そのための病院の1つとしては、総合医療センター、市立四日市病院というのは非常に大きな可能性があります。現在でも研修医はかなりの数が集まっておりますので、それをぜひ全日本からとっていただけるような病院にしてほしい、教育を充実してほしいなということで、教育の連携、診療の連携もあるべきかなというふうなことを思っております。
 以上でございます。

○中川委員 結構です。

○舟橋委員 まず全適のお話を聞かせていただきたいんです。県が全部適用した、ちょうどそのときタイミングよくというか、経営も黒字になりました。一定成績を上げてきたといえると思います。それ以降赤字になってきたのは、経営的な努力というよりも私たちはどちらかというと医師、看護師不足、それから診療報酬の改定などなどが原因で落ち込んでしまったと。ならば今回の議論も一定この資料にも、また県の資料の中にも全適に対する総括みたいなもの、検証ですね。してはいますし、その中には結構評価しているような内容で挙げているんですね。しかしながらその全適に限界があるから、議論を組み立ててその限界をどう克服するか、それでもやっぱり無理ならば経営形態も含めて議論をするという2段階ロケットぐらいで出てくるのかなと思っておりましたし、私たちもそうすべきだろうと思っていたんですが、今回のこの資料を見せていただくと、13ページのこの一番下の段には、もう無理だと切り捨てられて、独立行政法人だとかという提案がなされています。そうなりますと、とりわけ指定管理者なんかになれば県行政から随分遠い位置づけになってまいりますので、いわゆる県が執行する医療からこんなに遠くなってしまってもいいのかという思いと、それから当然のことながら今職員が相当いるわけですから、彼らに対する退職金を含めた一時的な多大なる出費が要る、リスクですよね、それを持ってまでして経営形態を変更する必要があるのか。また、独法だろうが、指定管理者だろうが、することによって今の医師不足や看護師不足それが簡単にクリアできるのかというような思いが私にはあるわけです。そういったところについてのご所見をいただきたいのが1つ。松田委員にはとりわけ福岡にかかわられた経験がありますから、福岡は先輩ですので一体今どうなっているのと、果たしてそれでバラ色の展開が今なされているのかどうなのかということをとりわけお聞かせいただきたいと思います。
 それから、2点目は地域のニーズであります。この文書読んでいますと、やっぱり地域のニーズというのが結構出てまいります。皆様方もいろんな地域のところへ足を運んでいただいたようでございますけれども、我々が感じている地域のニーズはもう少し違うニーズで考えておりまして、こういうトーンの文章にならない、この答申にならないんじゃないかなと思うんですけれども、果たしてその地域のニーズをどのように組み上げてどのように反映してきたのか、この答申に、そこら辺のところをお聞かせいただけたらと思います。
 3点目は、県立と国立大学というか、三重大学の医学部があります。当然県立が今、4病院が県立として行われています。そうした際に先程私が申し上げたように、指定管理者のように県行政から遠い存在の病院になったときに、国立と県立という役割分担みたいなものを考えた際に、先程先生の方からも県全体で医師を育てていく、研修をしていく場づくりというのをおっしゃってみえましたけれども、そのニーズがこういうような答申になってそれが実現していったときに果たして三重大学の期待するニーズに応えられるのかなという不安があるわけですけれども、そこら辺は答申をされたご本人でございますので、大丈夫だということなのかどうかも聞かせていただきたいなと思います。
 以上、3点。

○紀伊國参考人 全適の効果ということは、最初にも申し上げましたように、確実に評価することは極めて困難であるということは、最初に申し上げましたとおりです。しかし、2年間は確かに、私はお金のことだけを申し上げているわけではありませんけれども、経営が好転したことが事実であります。
 それからその後の7年間はどうだったのかということでありますけれども、私はむしろ注目したいのは、取扱患者数というものが伸びなかったということの方が問題だろうと思うわけであります。もちろん経営的には赤字はますます増えております。経営コンサルタントの表現によりますと、これは本当に危機的な状況にあるということは事実であろうと思いますので、もちろん7年間は短いとお考えになる方は当然いらっしゃるでしょうけれども、私たちはその経緯を見まして判断したということ以外には申し上げることはできません。
 それから、ちなみに指定管理者というものは、県の行政から遠くなるということについては、私は反対でございます。
 第2番目の地域のニーズというのは、これはもう本当に地域ニーズを的確に把握することができれば日本の医療問題は、いや世界の医療問題はすべて解決すると言っても構わないと思うわけでありますけれども、私たちは現地を見、それから現地の方々のご意見も聞き、あるいは病院の方々のご意見を聞き、労働組合の方々のご意見も聞き、地域の中の特に他の病院の方々がどのように努力されているかということを聞いた上での我々の結論でありますので、我々のこの結論は1つの見方でしかすぎないということは申し上げられると思うわけであります。
 3番目の点は、こちらの方ですね。それでよろしゅうございますか。

○駒田参考人 3番目の県立病院でなくなった場合には教育病院としてきっちりと機能できるかどうかということですけれども、私は問題ないというふうに思っております。今現在教育病院として協力いただいている病院は、県立病院はもちろんですけれども、ほかの自治体病院、それから日赤、厚生連、済生会、多くの病院が非常に積極的に教育病院として学生を受け入れていただいております。そういった面では、三重県というところは医師が教育を得る場所としては非常にいいところだろうと、いわゆる都市部の病院もありますし、田舎と言うとこれまた怒られますが、医師の地域医療が非常に大切な病院もありますし、あるいは特徴のある病院、今こころの医療センターがございましたが、そういうのがありますし、一志病院でも志摩病院でも研修は受け入れていただいておりますし、学生たちが行って非常に評判がいい病院ですので、県立病院はもちろんですけれども、ほかの自治体病院の公的病院、一部の市立病院も開業医の先生方も非常によく協力をしていただいていて、そういうお礼は非常にわずかなんですけれども、非常によく協力していただいて、現在医学科で年6万時間ぐらい教育を外で受けていただいております。それに関しては非常にありがたいですし、それは看護学校も同じだと思っておりますので、一番最初はお願いしますというと忙しいからというようなことで、10年ぐらいか、この6年ぐらい前はそういった病院が多少ありましたけれども、今では非常に積極的に受け入れていただいていますので、あまり病院がなくなっては困るんですけれども、なくならなくて経営形態が変わってもそれは恐らく大丈夫ではないかというふうに私は思っております。

○松田参考人 まず、今全適で経営していって病院経営が苦しいのは、外部環境の変化が大きいのではないかというご指摘なんですけれども、まさしくそこが一番大きな問題点で、その外部環境の変化に迅速に対応できない経営形態であると、確かに一部適用よりは柔軟性は少しは高まったのかもしれませんが、わかりやすい例を申し上げますと、いろいろな診療報酬改定で特に人の配置に関して迅速に対応しないと、その診療報酬の変化に対応できずにみすみす得るべき収益を失うとかということがよくあります。これに関しては、全部適用の病院でもなかなか知事部局とのやり取りに手こずられて迅速な人事の採用ができないということがあったり、それから特にこの医師不足の時代におきましては、さまざまな公的な公務員としてのルールではなく、やはり医師という専門職の方をより魅力的な条件で採用したり、あるいはされたりというところにもやはりかなり難しいところがあります。
 実際先程申し上げました兵庫県は、全適の病院の中でもとてもいい経営をしてらっしゃるんですけれども、そこも2回の外部評価を受けて、2回ともやっぱり指摘されているのは、人事、特に給与面での硬直性、ルール的にはできることになっていますけれども、やはりどうしても人事院勧告等が縛りになって思うように全適の要素を生かせていないというところが指摘されています。これはどの全適の病院でも抱えている課題です。
 したがいまして、やはり人、それから予算にかかわるガバナンスをより病院の現場の方に近づけていくということが非常に重要ではないかということで、そのことによって外部環境の変化にも対応する力ができるし、医師不足などを克服する可能性も出てくるということですね。
 それから、2つ目に指定管理者の件は、ひょっとして私どもの説明がうまくなかったのかもしれませんが、指定管理者を指定する場合の基準であったり、あるいは基準をつくったり、あるいはその選定、選ぶのもこれ全部県議会の皆様方のお仕事でして、したがいまして、むしろ独立行政法人は1つの法人として法人格を持ちますが、指定管理者の場合はあくまでも県が設立している病院の運営を委託するということですから、県から遠くなるということはないと、実際に兵庫県でもそうなんですけれども、横浜でもそうですけれども、全適の病院を直営で持っていながら昔からほかの医療法人や社会医療法人に委託をしているところは多々全国の自治体でもございますので、そういう意味では指定管理がご指摘のようなことはないのではないかなと思います。
 それから退職金のリスクに関しましては、これはそういう財務的なリスクを現在のリスクとしてとらえるか、将来のリスクとしてとらえるかということで、これはまさしく経営判断ですので、それを議会の皆様方含めてご判定いただくことではないかなというふうに思っております。

○舟橋委員 福岡のご経験は。

○松田参考人 ごめんなさい。福岡に関しましては、4つ病院が民間移譲されて、1つの精神病院である太宰府の病院が指定管理なんですけれども、まず太宰府病院に関しましてちょうど1つ、たまたま手元にデータがありますので申し上げますと、まず損益からわかりやすいので申し上げますが、2002年度に県立病院であったときには、経常損益が5億4,500万円経常損失だったんですけれども、2005年度に2,845万円の経常利益になっていまして、ほかの会計からの繰入金いわゆる自治体からの繰入金ですね、2002年度は約10億円ありました。これが2005年度では7億8,800万円ですから、それも含めて財務的にはかなり好転をして、医療の内容も当時県立病院のときには、本来例えば思春期外来であるとか、なかなか民間の精神科では対応できない精神疾病を扱うということで新設の立派な病院を建てたにもかかわらず、現実にはそういう医療が行われていなかったんですね。それが新たな経営の中でより診療の内容も濃くなっています。それがまず1点。
 それから、ほかの4つの移譲された病院につきましては、まず先行した2病院はそれぞれ地元の医師会立の病院が、医師会が移譲を受けましたので、既に存在していた地域の医師会病院とうまく連携をして、その地域の医療資源を使ってらっしゃいます。
 それから、後から移譲されました2つの病院につきましては、まだ移譲してそんなに日がたっておりませんので明確なことは申し上げられませんけれども、少なくとも医療内容が以前より下がったということはなく、むしろさまざまな新しい経営者の持つネットワークを通じて充実が少しずつ進んでいるというふうに聞いております。

○舟橋委員 ありがとうございます。全適に少しまだ期待を持っておる人間でございますので、そういった意味では確かにさっき給与、人勧の問題だとか、それから人事の問題だとか、いろいろあるのはわかっているんですけれども、それをもう少し克服して何とかできないものかというふうに考えていますし、先程政治的判断だとおっしゃいましたけれども、やっぱり今の時期に多大なる財政出動をしてまで大きく経営形態を変える、これは大変だしどうかな、そこまで今できる体力があるかなとも思ったりもしています。
 それから、地域のニーズが全部反映できたらいい医療ですよと言われると何とも言いようがないんですけれども、それはちょっとそこまで開き直られたらかなわんなと思いますが、感想を述べさせていただいてほかの人に譲ります。

○山本委員 ご苦労さんでございます。我々はこの常任委員会で県立病院の在り方についていろいろとずっと議論を重ねてきたのでありまして、これ4つの病院もそれぞれ地域事情が違うと思うんですね。例えば会長がおっしゃったように、私どもの4病院の中では四日市の医療センターというのは、最もすぐれたという言葉はどうかわかりませんが、当初は最新の医療を担っていた病院というふうに思っておるんです。そこが独立行政法人でどうだという提言があったり、例えばこころの医療センターは県の関与が一番必要だねということをおっしゃられた。一志病院はこのペーパーを見させてもらいますと、市に移譲したり、もしくはどこかみてもらえるようなところがあればそこへどうかというような提言、それから私志摩なんですが、県立志摩病院の場合は指定管理者でどうだという提言がされておるわけです。これ同じ県立病院をどうしようかという中で、地域事情が違いますから、私は個人的に例えば四日市はどうだとか、一志はどうだというようなことを言える立場でもないのかなと。だから私は志摩の市民の1人として、また志摩から選出されておる議員として発言をさせてもらいたいな、地元の病院に関して、そういうふうに思います。
 志摩の場合は、先生方も行っていただいたと思うんですが、地理的ハンディがあるんですね。これペーパー見させてもらいますと、志摩の病院から日赤まで40分で行けるというようなことがあったりして、組合からも40分でどうかなというような指摘があったということも読まさせてもらったんですが、私どもの住むところから1時間以上はかかります。そんな中で、本来は完結型でなきゃいけないけれども、なかなか医療の完結というのは、あの志摩の地域では難しいねということがあって、それぞれの医師会にもお手伝いいただき、またいろんなそういう民間病院、また伊勢の病院からも応援もいただきながら志摩の医療というのは担ってもらっているんだということもよくわかっておるんですが、この提言の中で、志摩病院ですよ、市立病院といっしょにしたらどうかなというようなそういう文言もあったというふうに思うんですけれども、市立病院というのは、在り方委員会の先生方というのはご存じなんでしょうか。志摩の市立病院がどういう状況になっているかということが、よくわかっていながらこういうことを書かれたのかどうかということをちょっと聞かせてもらいたいんです。

○紀伊國参考人 志摩病院のことにつきましては、委員が実際に訪問いたしましたし、そこでの院長先生、あるいは事務長さん、看護部長さんからの説明ということと、それから県側からの説明ということが我々の基本にあったことは事実でございます。
 それが不十分であったかどうかということですけれども、確か山田日赤でしたか、あそこの説明をいただいたのは。山田日赤病院からは実際に院長先生が来られて、自分のところの病院を含め、また志摩病院についての期待ということをご報告していただいた上での答申でございます。

○松田参考人 志摩市立病院につきましては、今確か外科医2名、内科医2名、整形外科1名という、有償診療所に近い形態で運営されていると思うんですけれども、少なくとも県立志摩病院だけであの地域の365日24時間の救急を担うというのは非常に今の医師不足の中難しいので、何らかで連携は必要だろうという意味でございまして、それ以上に何か大きな意味があるわけではないんですが、ただそれ以外にやはり地域での医療資源を最大限有効に活用するということを考えられるのはやっぱり地元の方々だろうという意味での書きぶりでございます。

○山本委員 松田委員さんもよく理解されておるですが、合併して4年目、昔の町立病院だったんですね。その中であの地域の人たちが医師の確保に懸命になって今内科2名とそれからあと外科2名と、整形は県立志摩病院から行ってもらっていると、こういうような状況なわけです。ですから、医療資源としては非常に脆弱な地域であって、産婦人科がなくなってもう大騒ぎしたことがあるんですね。なかなか県の努力にもかかわらず確保できないということで、当時の病院長さんが名古屋へ行ってやっと見つけてきたというようなそういう状況ですね。かといって小児はどうかといったら小児の救急がもうアウトという状況の中で、6万の市民の人たちというのはこれからどうしようかと、もう本当に危機的な状況にあるわけですね。このへんはここにいらっしゃる議員の人たちの地域とはまた違うんですよ。四日市は市立病院もあればその総合病院もほかにもあるし、また民間の病院も張りついておる中での県立病院の在り方と、志摩のように産婦人科、民間病院が1つもない、小児科に至っては1つもないというそういう状況の中で県立病院の在り方について議論しようということで、してきたわけですけれども、少しニュアンスがちょっと違ってくるわけですね。だから私が一番初めに申し上げたとおり、住民の1人として発言もさせてもらいたいということで言ったのはそういう意味なんですね。
 そんな中で、光を消してはいかんからじゃどうすべきだという中で提言されたのが指定管理者なんだと、県立病院じゃなくてもいいんだという、会長が言われたように県費投入するのと県立病院とまた別だよということをおっしゃって、そうかなとは思いながら県立病院であるべきだなというような答申を私はほしかったなとそういう意味で一番初めに申し上げたところであります。
 その医師の確保についてなんですが、指定管理者でどうだというからには、何かあてがあって指定管理者というようなことなのかなというふうにも思うんですが、そのへんのところはどうなんでしょうか。

○紀伊國参考人 指定管理者の問題は、こういう制度の方が現在の形態よりはより迅速な対応ができるかという意味でございまして、我々はこの人が指定管理者になったらいいかというようなことについては、これは考えておらず、これは三重県がお考えになることであろうと思っております。
 ちなみについでに言わせていただきますと、確かに我々は志摩病院について一番難しく思っておるということもつけ加えなければならないと思っております。しかし、どうしてああいうところにお建てになったのかという疑問も同時に私たちが持ったこともつけ加えなければならないと思っております。

○山本委員 歴史はそこにいらっしゃる職員の方々から恐らく聞いてもらっていると思うし、それはそれでいいんですが、老健施設を志摩の地につくって、そこを地域医療振興協会、自治医大がそこを担ってもらっているんです。これは指定管理者で、医師が1人おるんですけれども、そこをイメージして先生方が答申の中でへき地等の地域医療を支援するノウハウを持つ事業者が望ましいとこういうコメントを書いたということは、地域医療振興協会の自治医大を頭に描きながら、もしくは志摩市の医療担当者の方からひょっとしたら自治医大が担ってくれるんじゃないかというようなそういう提言があったのかなとも思ったりするんだが、そうではないわけですかね。

○紀伊國参考人 そうではございません。ただしその可能性については、私は幸か不幸か、自治医大の高岡学長と一緒に事業をやっておりますので、雑談としてそういうことを申し上げたことはございます。

○山本委員 自治医大もいろんなところやっていますから、じゃ志摩病院のように何百床も抱えたところを全部自治医大が面倒見られるかといったらなかなかそれは難しいというような状況もあって、在り方についての議論というのは県も巻き込みながらこれから前へ進んでいかないかんのかなとそんなふうに思っております。
 本当に提言もいただいた中でお互いに火を消してはいかんという土壌は一緒なわけですから、これをどうしようかということで、これからもまた議論をしていきながらいい病院経営であってもらいたいなとそんなふうに思っています。
 あと最後に、マネジメントなんですけれども、これは提言いただいたときにマスコミで発表されておりましたけれども、病院長に権限移譲をということで新聞報道されました。実際聞いてみると、県の職員の方が管理部長とかという名のもとにマネジメントも病院長と一緒にやられていくんですが、なかなか県の職員の方が病院経営というのは難しい、病院事業庁が県庁の中で、津でどこどこの病院をこういう経営形態にしたらどうかというような提言もなかなか難しい、だからもし今のそういう病院形態を続けていくとしたら、マネジャーを民間から引き抜いてでも病院経営をやるというのも私は個人的に1つの方法かなというふうに思うんですが、そういう方法というのはちょっと荒っぽいことなんでしょうか。ちょっとお聞きします。

○紀伊國参考人 決して荒っぽい方法ではございません。幾つかの病院、これが成功しているかどうかは別としましても、日鋼記念病院という室蘭にある病院は、全国的に事務部長さんを公募されたという経験がございますし、それによってよくなったという話も聞いてはおります。
 ちなみに、私はやっぱりそれについてはある種のトレーニングがいるんじゃないだろうかと思っております。私がおりました病院管理研究所は、現在保健医療科学院というところに合併しておりますけれども、そこでは短期及び長期の病院管理研修というのもあります。そういうところで勉強していただくということも1つでございましょうし、何よりも私は県職員にとっては耳が痛いかもしれませんけれども、病院よりは一刻も早く別なところへ行きたいという事務職員がちょっと多過ぎるんじゃないだろうかと思っておるわけであります。これは、私は筑波大学病院の副病院長をやりまして、筑波大学はほかの学部に行ったら夏休みがあるのになぜ病院の事務職員は全く休めないのか、一刻も早く別な学部へ行きたいということで、これじゃやっぱり困ります。ですから、私は病院に来たからにはその病院で5年間なら5年間は骨を埋めるということで、その間の業績ということをぜひとも県の方々、議会の方々もそれを評価するということ、そしていい業績を上げたならばしかるべき処遇をしていただきたい、それが指定管理者にもつながるんではないだろうかと思っております。

○山本委員 ありがとうございます。
 最後に、県立の高等学校も民間の方が校長に就任されておりまして、例えば宇治山田商業高等学校というのは、昔は三井物産かどこかにおられた方ですし、またほかの県立学校では東芝かなんかにおられた方が校長をやっている、そんな時代ですから、今の先生がおっしゃったように継続してノウハウを持った方が病院長としてマネジメントしていくというのも1つの方法かもわかりませんね。ありがとうございました。

○萩原委員 私は、県立病院が県民の命や健康を守るという点で非常に大きな役割があるというふうに思っております。場所等の問題等については、これは歴史的な経過もいろいろあるわけです、三重県のこの実情で。今やっぱり私はこの在り方検討委員会の答申を見せていただいて率直に思うのは、やっぱりそういう過去の経過やら、それから今の日本の医療が置かれている現状、そのあたりの問題を全然度外視して、いかにして経営を成り立たせるかみたいなことだけの検討ではないのかという点では、大変部分的なというのか、問題点が多い。事実さっきも言葉としては言われたけれども、例えば医師が不足してきている、それは国の総医療費抑制があったからでしょう。もちろん皆さんが国の政策批判するとかそんなことが役割でないことは事実ですけれども、三重県は本当に医師の数というのは30何位というのが多いんですよ。内科医は27位だけれども、小児科35位、産婦人科33位、脳神経外科41位、麻酔科に至っては47位、県下で全国平均にするだけであと500人足らんのですよ。500人ですね。だからそんなことやっとったらえらいことだけれども、やっと三重大学が100人から120人と今度やっていただいたと、100人まではいったんですけれども、総医療費抑制でどんどん減らせという形でどんどん減っていった時期がありました。三重大学で60人、70人の時期があったと思うんですよ。松田先生はどのあたりやったかわからんけれども、だからやはりそこのところの問題等を度外視して、単純に赤字黒字だけを論議したら私はあかんと思うんです、実際のところ。
 そんなことやればやるほどかえって意識改革じゃないけれども、モチベーション落ちる、だめな病院だという決めつけになってしまうんではないかという思いをしながら、私は病院事業庁なんかにも今までこういう決算で、赤字黒字などというような形での予算の組み方、しかも平成15年度以降だったか、一般会計からの持ち出しその他を大きな見直しを全くせずにそのままずるずるときてそのまま放置しているという状況、私はもちろん公務員は全体に対する奉仕者ですから、税金で雇われているわけですから、とことんやっぱり一生懸命全体のために奉仕しなきゃいかんし、給料は多ければ多いほどいい、人が多いほどいいというのは、そんなばかなことは絶対許されないというふうに思っております。
 一環してその立場で県議会からもチェックはせねばならんと思うんですが、先程の先生からのお話の中で、本当に県立病院いろいろとご覧になったり、データ見られたりして採算性の問題や経営の在り方だけではなしに、三重県の県立病院で働いておられる人のこんな点がまじめにやっでないのではないか、こんな点がそれこそ赤字の原因ではないかといったようなことなども含めて、そんな点でこそ指摘していただく点があるのだったら大いに指摘もしていただきたいし、教えてもほしいと。そして、やっぱり職員に対する在り方を大いに改善していってもらうということが大事だと思う。
 だけれども、私はやっぱり赤字の原因の大きいところに医師不足があり、看護師不足があり、それに甘えてたらいかんとは思うんですけれども、そのために病棟閉鎖せざるを得ない問題があったり、この間3回連続で7.3%になりますか、トータルで、診療報酬下げられてますよね。この7.3%がなかったら今年度だけでも単純に言ったら黒字です。三重県の病院事業会計全体で見たら。あの7.3%を単純に引き上げたとしたらですよ。
 だからそういったような問題もあるわけで、それは確かにお年寄りが多過ぎるというのはあるでしょう。看護師に高齢の人多いでしょう、それは平均的に言ったら。だけど、これも実際のところはやはり県立病院だから高齢の看護師さんも大事だというふうに私ら思いますわ、実際のところ。そのあたりの問題も含めて、私は単に病院の経営を赤字だ黒字だ、採算性だというだけで議論していいのかどうか、命と健康を守るとかという点では、例えば消防が赤字だ黒字だ、警察は赤字だ黒字だ、みんなの健康を守っているのに、そんなこと言ったことないですものね。何で病院だけそうなるのかといったような点も含めて、私はそのことに甘えたらいかんとは思うけれども、そのあたりでのいかにも病院経営という形でここに民間資本でやってしまったらそれこそ採算性だけでかえって後退するという問題がないのかという点は、率直な意見を聞いておきたい。
 さらに、もうまとめて言いましょうか、福岡のお話で、松田先生は福岡で麻生病院の、麻生塾というんですか、総研ですか、ディレクターやっておみえになるという話ですけれども、福岡のあの議論を私は細かくは知りませんからあなたと議論するつもりはないけれども、例えば私どもが聞いた限りでは、県立に移ったら平均年齢は4歳若返ったというような話も言われております。自民党の議員さんが質問した中でのあれだけれども、やっぱりそれは随分看護師さんの定数も減らされているというような実態もあったり、あるいはまた採算性の問題という点では、不採算の例えば呼吸器科なんかはもうやめたとかということが出ているとか、福岡県議会での議論の中でも問題になっているようでありますが、ましてや私は本当に驚いたんだけれども、ここの病院のかなりの部分を麻生病院のほうが引き受けられたというか、買われたというか、そんなようなところも言われておるわけですけれども、そして県立病院の行革委員にも松田先生はなってみえるというようなことなので、私はやっぱりそれは福岡からここまで乗り込んでこなくてもいいのではないかというか、もちろん三重大のご出身やそうでありますけれども、私そんな点では問題点もいっぱいあるんではないかと、県民とか患者の立場から言ってこれがどうだという評価をしないと、単純にそれを赤字だ黒字だという形だけでは私は困るというふうに言いたいです。率直に意見を聞いておきたいです。

○紀伊國参考人 私は当初この病院事業の在り方については、ゼロベースでやれというお話をお聞きしておりまして、最初に申し上げたつもりでございますけれども、この委員会は赤字黒字の問題を考えるだけではないということを冒頭に私は申し上げたような記憶がありますけれども、私の記憶違いかもわかりませんので、その点だったらお許しいただきたいと思うわけであります。
 さらに、私は我が国には非常に多くの経営主体があるということも皆様方ご存じのとおりでありまして、私は民医連の病院に数回お話をお伺いして、また私のお話をしたこともあるということもつけ加えさせていただきまして、私はただしその病院のよしあしというのは何で見たらいいのかということであります。それは言うまでもなく与えている、与えるというのはちょっとあれかもしれませんけれども、提供してこれは患者さんと一緒につくり上げていく医療の質が高いかどうかということが第一に求められるべきであることは、この報告書の背景にあるということは申し上げます。ただし、それだけでいいんであろうかということについても、我が国の病院が置かれている現状も事実でありましょうし、それは県立病院であろうと自治体病院であろうと医療法人立病院であろうと民医連病院であろうと全く同じだと思っているわけでありまして、その成果ということをどれだけ効率的に行うかということを同時に見る必要があるということでありますので、決して赤字黒字だけを我々の委員会として問題にしたわけではないということが1つ。
 それから、委員のメンバーの選択については、これは私もいろいろ検討させていただきました。最後に学識経験者、県内医療関係者、受診者代表という形で私はこのメンバーとしては恐らく日本でもどなたも納得のいくメンバーではないかと思っておりますので、私はそのすべての委員について私も選定の責任がありますけれども、何ら躊躇を感じることはないということも申し上げたいと思います。
 以上でございます。

○松田参考人 確かにすべて今病院が日本の医療施策のひずみを受けているというのはおっしゃるとおりだと思うんですね。私志摩病院に最近お邪魔したときに、先程の山本委員のご指摘があった小児科の医師が1人減るということで、救急対応をどうするかという議論を全医師と一緒にしました。医師としては本当に使命感に燃えて何とかしたいけれども、1人という環境では受けたくても受けられない、そのジレンマでまさに悩んでらっしゃるんですね。ですからそれは別に県立であろうとなかろうとどこの病院も今抱えている課題であって、だからこそ先程萩原委員がおっしゃったように、職員の方のモチベーションをどう高めていくかということがすごく大事だと思っています。
 そういう意味で、4つの病院の職員の方々と私、この委員会においてももう全部の病院を合計すると30回以上お邪魔していますし、一緒に考えたり悩んだりしていますので、本当にモチベーションに燃えて病院を変えたいという方に何人もお会いしているんですが、医療職で特に医師の方は必ずしも病院の思うようにならない医局の人事もございますよね。事務の方もやはりこのままずっと病院にいてほしいと思う方もなかなかそういうわけにいかなくて、移っていかれます。ですから、やはり職員の方のモチベーションを高めたり、あるいは病院としての一体感を高めていくということは、それぞれの病院にもっとガバナンスについてもマネジメントについても権限を移譲していくことが非常に大事だと思っています。
 それから、もっと課題があるのであれば指摘をしてほしいというありがたい申し出があったんですが、実は私どもの今回の委員会は、オペレーションの改善案を出す委員会ではなく、全体の運営の在り方でございましたので、もしオペレーションの改善について申し上げさせていただく機会があれば喜んでお手伝いさせていただきたいと思っております。
 それから、福岡の件に関しましては、先程舟橋委員からのご質問にお答えしましたように、5つの県立病院の移譲先はすべて医師会、済生会、そして新たにつくられた公的な財団で、公募の際にも麻生グループの関連病院は一切出ておりませんので、事実のご確認をいただければ大変ありがたいです。
 当時福岡県の県立病院の看護師さんたちのお給料が、給与費全体が非常に高かったことが1つ課題なんですが、それは単に年齢が高かったからではなく、年齢とともに本来その方々が担っている職務に合った等級ではないところまでどんどん上がっていって。国立病院の場合はそういうことはないんですね。やはりかなり等級上げていくときに厳格な審査があって行われているわけですけれども、それによってやはりかなりゆがんだ形で人件費が圧迫されていたというのが事実ございました。その後新たな経営、開設されている病院に、県立病院にいらっしゃった方が移られたり、あるいはお辞めになったりいろんなことがあったと思いますけれども、私が1つ言えますのは、これはイギリスの例でもそうですし、日本の国立病院を民間移譲した例でもそうなんですが、お給料は下がったんだけれども、自分たちがこんなに役に立っているという感覚を持っているというのは非常にうれしいというふうに民間移譲した後言っている職員の方はたくさんいらっしゃいます。
 それから、もう1点、職員の視点で言えば、赤字黒字は実は私ども以上に職員の方のモチベーションが非常に効きまして、志摩病院が黒字化したときは、もう職員の方が大喜びですごくモチベーションが上がったんですね。ですから、いい組織づくりというのはもちろんいろんな工夫は必要ですけれども、一番効くのはやっぱりいい実績を出していく、そのための支援ができる体制をつくっていくことではないかなというふうに思っています。

○萩原委員 今の点で端的に言えば、皆さんのこの在り方検討委員会の答申というのは、県立病院で働いている人たちの気持ちを本当に萎えさせるというか、モチベーションを落としてしまう結果になるというふうに私は思っています、実際のところ。やっぱり本当に一生懸命頑張っている姿を評価してほしいし、またそれならば、役立っているよ、本当に立派だよと褒められることは、それは給料の問題も大きいですけれども、それだけの問題ではないというふうに私も思っています。だから本当にその意味で県立病院をもっと私は激励すべきだし、もっと評価すべきだしということを言っているわけで、遅れているとか、あるいはさぼっているとか、あるいは意識的に力抜いているのだったらそれは大いに指摘してほしいという意味でさっきちょっと申し上げたという、そういうことなんですよね。
 それで、私も四日市なんですけれども、やっぱり紀伊國先生がさっき四日市の市立病院との比較をちょっと話されました。どこが違うというふうに思われます、四日市の市立病院と。あそこも一般会計からたくさん出しています。黒字もやってます。それで今年は赤字になりました、若干。だけれども市の中心部です。あそこはどちらかといったら名古屋大学系です。そして開業している先生はほとんど三重大が多いですよね、三重大卒の先生が。名古屋大学の系統で、とにかくものすごくたくさん1時から人が集まりますわ。1時からいらっしゃいという感じです、どっちかというと。県立の総合医療センターは、とにかく外来は紹介しか受け持ちませんよという、このあたりはできていった経緯の中で、医師会長もこの中で参加してみえるけれども、医師会が猛烈に反発もしながら、そんな大病院つくったら大変だみたいな経緯があって、1次は基本的にはもちませんみたいな約束があるとかいう、このあたりがやっぱり経営上ものすごく大変な足かせになっていることも事実ですよ、いわゆる赤字黒字の論議で言うならばね。やっぱりそのあたりの点もきちんと見ていただく必要があるだろうと。
 だから、私はゼロベースでという形で検討したんだとおっしゃるけれども、やっぱり今までの歴史的な経緯、それから県立病院の検討会の、この中で県議会の中にも民営化の問題でいっぺん検討しようということで、必ずしも民営化がいい方向ばっかりではないよという形の答申も出てといったような中で、もちろん経営改善にいろいろとずっと取り組んできた経過がある中で、今回こういう在り方検討委員会という答申がぼんと出た、知事は真っ先に最大限尊重してというような発言を県議会でぼんと言われたということは、私たちも含めてちょっと驚いておりますし、必ずしもこの方向で本当に県民の医療水準が上がるんだろうか、あるいは本当に命や健康を守れるんだろうかといったような点、ましてやさっきおっしゃったモチベーションといったような点では私はやっぱり残念ながらこれでもって奮起しようということにかえってなっていないという点を私は率直な感じとして持っております。
 ご意見があればお聞かせください。

○紀伊國参考人 何回も申し上げたと思うんでございますけれども、これをお使いになるのは知事さんであり、県議会の方々であるということで、その意味では我々は第三者でしかあり得ないということはよくわかっておるわけであります。ただし、委員の方々はそれぞれいろんな観点から考えて、特に学識経験者と呼ばれる3名の方はいずれも全国の病院をよくご存じの方でもありますし、それから2名の利用者代表の方々も率直に意見を求めて言われていたということもあり、それから我々はその幾つかの病院長、病院の方々、それから労働組合の方々もできる限り意見を求めた結果でございますけれども、それは限界があることは当然でございますので、これを生かす生かさないは三重県民にかかっているということしか申し上げられないと思います。

○竹上委員長 ほかにご質疑はございませんか。
 ないようですので、これで参考人からの意見聴取を終わります。
 参考人の皆さんにおかれましては、本日は当委員会のためにご出席をいただき、また貴重なご意見をいただきありがとうございました。当委員会を代表し、お礼を申し上げます。ありがとうございました。
 暫時休憩といたします。再開は午後2時45分といたします。

(休  憩)

 

    (2)各県立病院長からの意見聴取

○竹上委員長 休憩前に続いて委員会を再開いたします。
 ただいまから各県立病院長からの意見聴取を行います。
 去る10月2日に開催された予算決算常任委員会での質疑においても、答申に対する各病院長のお考えについて質疑があったところですが、それも含め、改めてお1人ずつからご意見を伺った後、委員からの質疑に入ることといたします。
 まず、高瀬総合医療センター院長、お願いいたします。

○高瀬総合医療センター院長 それでは、県立総合医療センターの役割、機能、運営等についてまず院長の意見を述べさせていただいて、それぞれに対してまた時間の許す限り補足させていただきたいと思います。
 まず1番目ですが、やはり医療センターは感染症を含めまして、災害、救急医療に十分対応できる病院であること、それから心臓病とか脳疾患とかがんなどの高度先進医療も実践していくこと、そのためには医療を実践するための高度な技術の習得とか、チーム医療、こういったものが必要でございまして、いわゆる総合的な医療力、こういうようなものを培うことが非常に大事であります。
 それから、いろいろ問題になっております市立四日市病院との関係ですが、やはり機能分担ということが私は必要と思いますし、特にこの80万人の人口を有するこの北勢地区の地域におりまして、医療需要を十分見据えた上で機能分担、それは1つの病院がすべて医療をできるわけではございませんので、それぞれの病院の得意な分野、不得意な分野を見つめまして、そして機能分担ということをやっていくべきだと考えております。
 それから3つ目には、やはり今医師が非常に不足と、特に勤務医が不足しておりまして、大学の方も学生数の増員とかいっていますが、非常に先の話でございます。実際に10年以上かかるんではないかと思いますが、まず我々の施設ではこの臨床研修医の養成ということに非常に重きを置いておりまして、そのためには指導できる指導医の確保、そういったことが非常に重要なことと考えております。幸いなことに私ども病院では後ほど述べますが、研修生が去年、今年、来年も10名近く来てくれる予定でございます。
 それから4番目は、やはり病院といいましても健全経営というのが非常に大事でございまして、現在残念なことに看護師さんの確保が難渋しておりまして、今やはり稼働病床数を増やすということは、健全経営に対しては非常に大事なことでございますので、総出で看護師さんの確保に努めております。
 それから5番目ですが、運営につきましてはやはり人事とか予算とかこういったものが迅速に、弾力的に対応できる、こういったことが非常に重要でございまして、職員のモチベーションというのが非常に大事でございまして、機器1つの購入にしましても時代に合った機器を速やかに購入したりとか、それから個々のドクターのモチベーションをそういったことで非常に上げていくということに院長として非常に注意をしているところでございます。
 最初に申しました総合力を高めるためにはどうしたらいいかということですが、我々の病院は今常勤医に眼科がございません。それで週1回大学から診療手助けに来てもらっておりますし、それから血液内科も専門医がございません。これもがん連携拠点病院としていく上で非常に大事な科目でございます。それから、今メタボリックシンドロームが非常に問題になっておりますが、糖尿病の専門医も残念ながらいないのが現状でございます。これも大学の方に非常に強力に掛け合うとともに、可能であれば我々の病院でもそういうドクターを養成したいと考えております。
 それから、2番目の市立四日市病院との機能分担ということですけれども、やはり我々の病院は災害医療とか救命救急、これは県民の健康保持のために非常になくてはならないことですので、非常に充実させていきたいと、それから周産期医療も昨今医師不足どうのこうのと言われておりますが、幸いなことに私どもの病院は今現在小児科医が6名、産婦人科医が5名いていただいておりますが、12月からは1人小児科医が増える予定でおります。そういったことで、このへんのところも十分に対応していけているんではなかろうかと考えております。
 それから、指導医の充実ということなんですけれども、これも我々の施設の臨床研修センターといいますか、非常に若い先生とか研修医の先生がどんどん我々の病院へ集まっていただいて、そして我々の病院で研修して、そして後期研修といいますか、3年以降も三重へとどまってもらったり、それから今年も7月に大学に3名の内科の医師が戻ってもらいましたが、そこでまた大学で修練していただいて、そして指導医になって私どもの病院へ来て、そしてまた学生を預かると、そういったいい循環を築き上げていきたいと考えております。
 それから、あと看護師の問題なんですけれども、大体19年度から採用34に対して退職が32という状態なんですけれども、これもいろんな皆さんの努力で、今年は29名の採用試験があったんですけれども、来年は40名受験を予定してくれておりまして、大事なことは離職を何とか避けたい、そのためにはやはり病院でその看護師が非常に仕事をしやすい環境とか、モチベーションとかそういうようなものを確保したいと、院長として皆様の協力を願って実践していきたいと考えているところでございます。
 それから、あとやはり大事なのは経営環境なんですけれども、全職員と病院の方針とか情報を共有して、いいことに関してはやっぱり全職員にそういう成果を還元するというか、そういうようなことに注意をして、とにかく私が一番考えていますのは、職員のモチベーション、とにかくやる気があれば何とか切り抜けられるのではなかろうかと。私事ですが4月に赴任しまして、できるだけ可能な限り今の県立医療センターの状況とか勉強させていただいたんですけれども、幸いなことにいわゆるがん患者の外来、化学療法士ですとか、そういったいろんなところを改善させていただいて、職員のモチベーションが非常に上がりつつあって、18年度、19年度、20年度はまだ半分ですけれども、非常に経営の面でも好転してきているんじゃなかろうかと思っております。
 以上のことで、県立総合医療センターとしましては、なお一層皆さんと一緒に経営にも努力して、いい医療の実践に努力したいと考えているところでございます。
 以上でございます。

○竹上委員長 ありがとうございます。
 続いて、原田こころの医療センター院長、お願いいたします。

○原田こころの医療センター院長 こころの医療センターの原田でございます。
 答申の役割機能、それから運営形態についての考え方を話させていただきます。
 まず、答申に書かれましたとおりの役割機能でございますけれども、これは私が院長を拝命したのが平成14年でございましたけれども、当時から進めてきた方向とほぼ一致しております。現時点では職員もこの方向性を概ね理解してくれておりますので、そういう意味では後押しをしていただいたというふうに感じております。
 特にその中の県下の精神科領域の人材育成への寄与ということを盛り込んでいただいたわけですけれども、このことは当院の精神科臨床におけるリーダーシップを一定程度評価していただいたというものと感謝しております。
 示された役割機能につきましては、まだ達成できていないものもありますけれども、本年度に入って急ピッチで病棟機能の再編を進めておりまして、7月には認知症の治療病棟、11月には精神科救急の最先端でありますスーパー救急、それから12月にはアルコール医療を再編いたしまして、アルコールデイケアを立ち上げます。さらに、来年1月をめどにこれは答申でも指摘されておることですけれども、適正病床数に関連する療養病床の見直し、それからこれも答申に書かれておりますけれども、関係の各方面から非常に強い要請があります治療の困難なリスクの大きい患者さんの受け入れ、この体制を院内的に固める、そういう予定にしております。
 本格実施につきましては、まだ数年かかるものもございますけれども、ようやく赴任当時描いたビジョンが現実になってきたというふうに自分では思っております。
 続きまして、運営形態ですけれども、当院のみが単独で全適継続ということとなったわけですけれども、この形態は県の精神保健福祉行政との連結を密にとれるというメリットはあるというふうに思いますけれども、組織としての柔軟性、あるいは意思決定の迅速性、職員モチベーションの維持向上といったような点では、今後も引き続き県当局の理解を賜りながら改善努力を続ける必要があるというふうに思っております。
 また、単独で全適をやるというのは、4病院絡めて全適というのとは恐らく次元の違う話と受けとめないといけないと思っておりまして、何よりもその中で病院運営に情熱を持つ、しかも専門性の高い優秀な事務官が必要不可欠であるというふうに思います。この点についても十分なご理解とご支援を賜りたいというふうに思います。
 以上、いずれにいたしましても、今以上に激しい道のりになるということは必至だというふうに感じておりまして、経営、臨床の両面にわたって停滞することのないようにさらに組織改革を進めたいというふうに思っております。
 以上でございます。

○竹上委員長 ありがとうございました。
 続いて、飛松一志病院院長、お願いいたします。

○飛松一志病院院長 一志病院院長の飛松でございます。答申についての意見を述べさせていただきたいと思います。
 当院の場合には、経営の形態に関しましては事業所への移譲というようなふうに書かれておりまして、なかなかその経営の形態については述べることは少し難しいと考えまして、本日は役割と機能を中心に申し上げまして、その中での県の関与の必要性ということで述べさせていただきたいと存じます。
 まず初めに、家庭医療と家庭医の養成の重要性とその次に保健・医療・福祉の連携について申し上げたいと考えております。
 一志病院での家庭医療の取組なんですけれども、平成18年度までは当病院は山間地にあります病院でありまして、非常に医師不足というあおりを受けまして、診療の継続自体が非常に危機的な状況でありました。そんな中で、平成19年度より三重大学の総合診療部から医師の派遣を受けまして、家庭医療に取り組んでいるところであります。
 答申の方にもございますとおり家庭医療というのものは、日常よく見かける病気を持つ患者様に対して責任を持って対処すると、しかも患者さんの家庭や地域社会との関係も念頭に置きながら、包括的に診療し、病気のときばかりでなく、予防や福祉にも力を入れるというような医療であります。ですから、身近な病気に対して何でも相談に乗ると、そして必要があれば専門医に紹介すると、そういった医療であります。
 答申の中でも家庭医療の重要性については触れられております。ただ県の政策医療としては位置づけられておりませんので、県が関係機関と連携して全県的視点に立って検討することは意義があるというふうに記載がございます。
 家庭医療については、多くの国でもその専門性というものが確立しております。既に世界の標準といったところになっております。現在日本の方でも厚生労働省によりまして、安心と希望の医療確保ビジョンといった検討会の中でも、家庭医を初めとする総合的な診療能力を有する医師の養成ということも、医師数の増加、養成数の増加ということと並んで、国からも家庭医の必要性が示されているところであります。
 そして、一志病院でこのように取り組んでいる家庭医療を県内に広めてほかの専門医と連携して安定した医療を提供する、そういったシステムを構築するには、県の指示というものが非常に不可欠であるというふうに考えております。
 また、家庭医の育成システムというものも構築されていないことから、教育に関する人材システムが必要であります。家庭医療に取り組む当院のような医療機関、あるいは大学、県、また医師会等との連携が重要であるというふうに考えております。そのような中で、養成された家庭医が県内全域に広がり、活躍することで医師不足、医師の偏在といった医療崩壊の解決の一助となるのではないかと考えております。現在家庭医療を実践している一志病院は、そのセンター的な役割を果たすことができるのではないかと。
 もう1つ保健・医療・福祉の連携についてであります。保健・医療・福祉の連携イコール県立では困難というふうなことでありますけれども、当院のある美杉、白山、あるいは県内で言いますと紀南、南伊勢などの過疎地域においては、保健・医療・福祉というところには自治体の関与が一層重要ではないかというふうに考えております。高齢者が多い地域において福祉領域のニーズというのは非常に高いのですが、ただ介護の人材不足、あるいは移動時間が長いということで、利用者の方もなかなか介護へのアクセスが困難である、また、提供者側も非常に効率が悪い地域であります。民間、公立ということを問わず、保健・医療・福祉の密接な連携のできる体制づくりが必要であります。
 今回、家庭医療の重要性、保健・医療・福祉の連携という観点から私の考えを述べさせていただきました。
 以上でございます。

○竹上委員長 ありがとうございました。
 最後に、吉村志摩病院院長、お願いします。

○吉村志摩病院院長 よろしくお願いします。県立志摩病院の吉村です。
 私は、平成15年に志摩病院へ副院長として赴任いたしまして、今年の4月から院長を仰せつかりました。
 私事なんですけれども、私は中学校、高校、大学とこの津で育てていただきました。ほとんど三重県と国の税金で育てていただきました。それで、仕事もその多くが三重大学ということで、公費で育てていただいて、それから志摩病院へ、初めて津を離れてそういう志摩の地へ行って、これで三重県全体を見て、公費で僕が志摩で今まで育ててもらったことを自分で尽くす機会だというふうに思っております。
 志摩病院の役割というのは、地域住民に安心をもたらす安全で質の高い医療を行うことであります。地域住民と観光、それからもう1つは、合併症を持つ精神患者という、この3つが患者の方からのニーズでございます。それから、もう1つは、職員のモチベーションと医療を行う誇りを常に保つことを病院の使命というふうに思っております。地域の住民とともに歩む病院と。
 具体的な役割、機能ということをちょっと述べますと、まずこの答申にありますように365日24時間2次救急ということがあります。これは答申に書かれておりますように、地域の医療環境や交通事情を考慮しますと、地域での救急医療が絶対必要なわけであります。今までは志摩病院で完結型でやってきましたけれども、これからは志摩病院を中心として地域で何とか2次救急をやれるようにやっていきたいというふうに思っております。
 日にちはちょっとわからないんですけれども、今年の12月からは、志摩で夜間休日診療所が開かれるということになっております。そういう1次で志摩医師会と、それからかかりつけ医との関係、志摩市立病院にも救急をやってもらう日をつくって、その地域でやろうということで、当然志摩の医療資源ではいろんな医療に対応できないということもありまして、伊勢の山田赤十字病院、伊勢病院へできないところはお願いしているというのが現状であります。
 2つ目は、医師会、市町との連携による地域医療体制づくり、これは前の田川院長のときから取り組んでおりまして、医師会との関係が非常によく、普段からの住民健康管理を目標にし、先程飛松院長も申し上げられましたような予防とか健康診断、がん検診などを地域でやって、健康保持をやっております。しかし、そういう普段からの医療により住民の健康を保持することによって手遅れ状態の人、それから急性発症を少なくし、住民の医療に対する安心感を高めていくということであります。
 そして、多分もうすぐ志摩地域は65歳以上が30%を超えるということになるんですけれども、そういう地域の住民、在宅医療、介護の人に対してもいつでも急性期の対応ができるような体制を病院として敷くということで、在宅とか、施設との支援を今進めております。
 3つ目は、三重県下の精神疾患患者に対する合併症対応です。精神疾患患者が例えば心筋梗塞、がんの治療とかを起こしたときに三重県では対応する病院がございません。それを志摩病院で中心にやっていこうということで、三重大学病院の強い支援のもとで、大学と志摩病院しかございませんもので、これは三重県全体の問題でありますからそれをやっていこうということが1つの役割というふうに思っています。
 4つ目の役割としましては、現在三重県下のへき地医療支援、これは三重県の健康福祉部の強いご支援のもとに三重県へき地医療拠点病院をいただきまして、そこから三重県のへき地とか離島への派遣を行っております。ぜひこの取組は三重県として全国に誇りを持っていいことだというふうに思っておりますから、三重県自体でそういう継続を続けていっていただきたいというふうに思っています。
 ほかの役割といたしましては、災害医療、今度できましたヘリポートの活用、6つ目は産科、小児科医療の継続、それから、7つ目は三重を訪れる観光客の安心安全の確保、それからもう1つは医学生とか研修生とか、看護学生、いろいろな研修をやっています。私も臨床教授として学生の指導をやっていますし、三重大学へも非常勤講師として医学生への講義をやっております。
 それで、運営形態でございますけれども、現在まで県立志摩病院は365日24時間救急体制を維持してきました。ところが昨今の勤務医師の不足により当院の医師数は減少の一途をたどってきまして、ここ4年間毎年1つの診療科が必ず制限、縮小をされておる状態であります。そのような状態では医師の確保が最大の重要項目であり、急務であります。このため三重大学及び三重県、それから他県の大学への依頼とか公募を行って何とか医師の確保に努めています。
 また、少ない医療資源でどうやっていくかということで地域の医療機関とともに志摩の医療をやっていこうというふうに頑張っております。
 また、大事なことは、今この地域で病院がなくなったらどうなるかを考え、そのために将来のあるべき病院の姿として、志摩地域の医療との連携に加え、三重県とか志摩市の資源をいただいて得られる形で病院をやっていきたいと思います。
 そして運営形態は、県、あるいは議員さんで決めていただければそれに対応して私たち医療ができることをやっていきたいというふうに思っております。
 大事なのは、住民の視点に立った医療を私たちが継続し、その地域の医療を守っていくことだと思っていますので、よろしくお願いいたします。

○竹上委員長 ありがとうございました。
 それでは、委員の皆さんからご質疑があればお願いします。

○舟橋委員 答申をいただいた必要な対策とか役割機能は、ほとんど今院長先生方がおっしゃったこととベクトルはほとんど変わらないわけですよね。
 ただちょっと、ん、と思ったのは、総合医療センターだけはこちらはどっちかというとすみ分けとか役割分担ということが色濃く出ていますけれども、眼科も、何々も何々もということで、どっちかというと四日市と張り合って頑張っていこうかという感じが見受けられたんですけれども、それはそれとしまして、この答申はそのとおりの方向性でいいというのを前提で考えたならば、残ってきた課題は経営形態になってくるのではないかと思うんです。志摩の院長さんの方からは、わしらが決めることではなくて議会や執行部、知事が決めることだというお答えでしたけれども、ここでは独立行政法人とか指定管理者だとかというのが出ているんですけれども、そこらへんについては例えば総合医療センターなり一志病院の院長さんとしては、志摩の院長さんはおまえらが決めることだというご所見でしたけれども、あとの両院長さんはどういうふうにお考えか聞かせていただけたらと思います。

○高瀬総合医療センター院長 決して私、市立四日市病院と張り合って云々ではなくて、私ここ半年ぐらいずっとみせてもらっているんですけれども、やはり県立病院には県立病院としての非常に大きな役割がございます。先程言いましたように、救命救急なんていうのは、これははっきり言いまして不採算部門かと思いますが、これは四日市だけに限らず北勢地区、最近では名張の方も、もうご存じのように3病院が輪番でといいましても、救急が取れない場合には我々の施設へ送られてきます。そういった意味で、必然的に総合医療センターの機能というのは必要不可欠なものであると考えております。
 あとこの県立病院の使命としましては、やはり同じような繰り返しになりますが、高度先進医療をやっていくと、そのためには市立四日市病院と張り合うのではなくて、やはり得意なところは任せろという形で、がんセンターとかのように特化すれば別ですけれども、もちろん連携拠点病院も再来年ですか、申請し直して施設認定を受けようとしておりますが、これも我々の施設で可能なというか、非常に得意なところは我々がすべてやっていくと、そして市立四日市病院で得意なところはお任せすると。もしこれ1つの病院が、統合とかいろんな話も出ておりますが、あれだけの人口のところで一極化したら危険といいますか、想像しますと非常に怖いものがございます。ですから、私はやはり県立病院としての位置づけをもう1回見直した上で、県立病院としての機能を明確にして、そういう病院づくりをしていきたいと考えております。
 それから、先程の経営形態はいかがかということなんですけれども、今現在確かに先程の発表のときにも述べさせていただきましたが、迅速な弾力性のある対応となると今の経営形態よりもそのほかの経営形態の方がいいのかどうかこれまたわかりませんが、私赴任してから特に病院事業庁の方ともそういう密な情報の交換とかやっておりまして、そういった意味からじゃ今すぐこうなければいけないというような、そうした経営形態が例えばどうとかいろいろなこと言われていましたが、そうすることによってなお病院の機能がよくなって、そして職員のモチベーションが上がるというようなものであればもちろんそれは考えていってもいいかと思いますが、現在どちらでやるかとそういうことになると、もう少し私は検討させていただきたいなというのが実際のところでございます。

○竹上委員長 先程の質問に対してちょっと順番にいきたいと思いますので、原田院長、お願いします。

○原田こころの医療センター院長 先程も申し上げましたけれども、私どもだけ単独で全適継続ということになっておるわけですけれども、これには附帯条件がついておりまして、意識改革が進まないときは指定管理者へ移行とこういうふうになっております。ですから、今のまま公立全適でというわけではないわけですけれども、精神科医療というのはご存じのように非常に行政と密接にかかわる部分が多い医療でございますし、それからすべてではないにしろ社会のセーフティネットという側面がかなりございます。そういう意味でいうと、一定公的機関として安定して担う役割というものがあるわけですので、指定管理者は指定管理者になる方によって多少の動揺、違いがあると思いますので、その点ではどうかなという気が少しいたしております。
 それから、今回こういう形で運営形態がいろんな議論の対象になったわけですけれども、私は運営形態が変わるというのは、魔法の杖ではないというふうに思っておりまして、変わったからよくなる、悪くなるという問題とは別に、やはり今現在置かれている状況の中で我々が一体どれだけのことをやったんだということを十分詰めないと意味がない議論ではないかなというようなことも少し考えておりまして、あまりそちらの方に気を引かれて足元が浮くようなことがあってはならんというふうに常々院内的には職員に言っております。
 以上のようなことあります。

○飛松一志病院院長 一志病院に関しては、経営形態に関しては適する事業者への移譲というふうになってございます。なかなか経営形態に関しての考えというのは難しいんですけれども、民間への移譲ということになりますと、やはり不安な点もございます。当院の場合には今まで本当に医師不足にあえいでいた地域であります。やはり一番優先すべきことは、安心できる医療を提供する体制であるというふうに思います。
 当院の場合には家庭医療ということで、幅広い診療を目指しております。そういったことで、実は若い医師が集まってきております。地域の病院というものはかなり多くの新聞報道でありますように、医師が少なくなって診療科を閉じざるを得ないといったところが多いと思うんですけれども、当院のように若い医師が増えてきているというのは本当にまれな例であると思います。そこにはやはり今までの臓器別の何かの専門をやりたいというふうにして若い医師が目指していたところとはまた別の、何でも相談に乗りたいというようなところに若い医師が注目を持つようになりまして、そういったことを地域で活躍できるようになりたい、やりがいを持って働きたいというふうに思っているところであります。
 そういったところで、やはりそういう若い医師を集めるにはそういった教育の体制が必要であります。そういうときには大学とか県等と連携をして人材育成をしていかないといけないと。人材育成の場合には大学以外には教育の報酬というものがなかなか出てきませんので、学生や研修医に指導したからといってそこの報酬が増えるわけではありませんので、こういったところをちょっと不採算になる部門がございます。こういったことを考えますと全く県の関与がなくなってしまうというのは、家庭医療を広めていってこういった地域の医療を安定させる、またそういった地域の医療を担う医師を養成するというようなシステムを目指していることからは少し反するようなふうになっていくのではないかなというふうに懸念しております。
 以上でございます。

○吉村志摩病院院長 先程のを少し補足させていただきたいと思います。
 県立志摩病院が持っているのは、地域医療と全県下の合併症を有する精神患者、それからへき地支援機構、観光三重に対する安心感を与える病院という2つの要素があります。その要素を支えていくためには、三重県と志摩市の強い支援のもとでの経営ということになります。そこにおいて独立行政法人、あるいは今の全適、それから指定管理者というのは、私たちが、これがいいというのを決めるのは非常に難しいというふうに思っております。それは健康福祉部、知事、主に議会の方で議論していただいて、そういう三重県が資金も支援、援助しやすい、例えば指定管理者でも公社というところで例えば東京でも東京都がほとんど金を出しているところもありますし、そういう形もありますものですから、必ずしもどれが県費を全部使えないというわけではないというふうに理解しておりますもので、三重県の支援、それから志摩市の支援が得られる病院、いわゆる皆が支援して経済的にも運営的にも支援していく病院という、そういう病院で運営形態は問わないということでございます。それを考えていただいて、それに沿って地域の医療ニーズに合うのが私の任務だというふうに思っておりますということです。

○舟橋委員 例えば総合医療センターでも高度不採算、災害対応、みんなここに書いてあるんですね。志摩病院においても、365日2次救急だとか、へき地医療の問題もきちっと記載がされているわけですね。
 さっきも5回も6回も会長さんからおっしゃってみえたのが、「ゼロベースで議論したらこうなりました」というお話だったわけですよ。しかしゼロベースで議論も大事だけれども、過去を引きずった現実もあるのも現実ではないかと思っているわけですよ。だからそうした際に医療政策と、医療を現実にやっている現場、これが県政の中で不可分のものなのか、不可分のものというふうに僕は思っているし、全適をもう少し改善していけばいいんじゃないかと思っているんですけれども、あの委員さん方は違った発想での経営形態を提案いただいた。しかしながら、この答申が出た限りは必ず知事はそれなりにこの答申に対する対応、判断をされると思うんです。また、こういう答申というのは結構重く受けとめられるというのが議会答弁でもありますので、やはり現場を預かるそれぞれの4院長さんらにそこらへんの所見が聞きたかったわけでございます。ありがとうございました。

○萩原委員 いつも本当にご苦労さまでございます。
 大変なご苦労いただいておって私らにはなかなか理解ができない部分もあるんですけれども、正直言って今までの経緯をずっと見せていただいたり、聞かせていただいたりをしながら、県立であるがゆえに大変なご苦労をしてもらわんならんという、今の医療と福祉の関連の問題であるとか、あるいはまた最近は無保険の人が随分増えてきているとか、この間も調査したら保険のない子どもが三重県下には1,254人もいたというようなこととか、そういったような点で公立であるがゆえにそんなもの診られませんとなかなか言えないようなとか、それから最近のこういう経済的な状況の中で、県立病院だけでも1億8,000万円ぐらいの未収金がある、しかもその中には外国人の占める割合がかなり多いというような状況も聞いてますし。だから、なかなかそんな話をいろいろと言われるというのは、公立であるから甘えているのではないかみたいに見られてしまうというふうな点があるいはあるかもわからないけれども、私はやっぱり大いに公立であるからこそ本当に県民の医療や福祉や保健予防やいろんな面で頑張っているんだというあたりがもっと県民に見せてもらってもいいじゃないかとか、赤字だ黒字だというけれども、本当にがんの発見にしたって難しい手術にしたって、民間ではなかなか難しかったりとか、開業医のために一生懸命というようなそんな点をもっと思い切ってPRしてほしいなということを病院事業庁なんかにもよく言ったりはしているわけなんですけれども、それでやっぱりそのことによって職員の皆さんのやりがいもできるし、モチベーションも高まるしという。そんな意味で私らも前にも佐久病院へこの昔の委員会ですけれども、見せてもらいに行ったときにも十分いろいろと当時若月院長から直接聞かせてもらったりとか、そんなような話があったり、福島か新潟かどこかに行ったときには、お医者さん出身の議長さんがいまして、議長さんと話したら「いや、県立病院は赤字が出るほどいい病院なんですよ」と、そこまで言い切られたようなところもありましたけれども、三重県はなぜか昔から病院の経営の在り方というのが長い間随分議論されてきているということで、本当にそれが県民の医療や福祉や幸せのために大いに議論になるんだったらいいんだけれども、どちらかといえば赤字だ黒字だとか、そういった採算だけが議論になるような気がして、私は本当にそういう点では耐えがたいなという思いは率直にしているわけです。
 それで、院長さん方もさっきも大体ずっとは触れられたんですけれども、県立であるということがやっぱりこういう点ではマイナスだよとか問題点があるよとか、先程から言われているように、院長さんがもっと経営だとか人事や予算でもっと効率的にとか、迅速にやれるようなことになったらもっといいのになというようなことがどんなところにあるんだろうかなと、もしあればいろいろ教えてもいただけたらありがたいな。
 それはだけれども、県立の中で改善はできないんだろうかなと。だから指定管理者でなければできないとか、民間でなければできないとかというようなことになっていくのかなというそんなことも率直に思いますし、公立病院、県立の看護師さんなんかもすごくプライド持ってみえる。私は四日市ですけれども、そんなふうな面もあるというふうに思いますし、みんなの目もそういう側面もあったりすると思うんで、公立であるからこそやっぱりやれる、立派というようなことも一層示していただけるような目に見えない黒字というんでしょうか、県民の利益というのでしょうか、そんな点がもっともっと上手にPRも県民にもしてもらって、そして地域の医療をやっぱり何としても守らなあかんと。今市町の公立病院も大変苦労してみえますから、そういう地域医療を本当にみんなで守らなかったら大変だというそんな状況を今みんなでつくっていかんことには、当面国の医療政策全体もありますけれども、そんなことを強く感じますので、そんな点でいろいろご示唆いただける点があれば、あるいは県議会でもっとこんな点をちょっと予算化もせい、頑張れというようなことが率直にあればまたいろいろ教えてほしいなと。
 以上、お願いします。

○高瀬総合医療センター院長 県立病院として、県民の皆さんにもう少しそういうアピール云々という点はご指導いただきまして努力をしていきたいと思っております。県立病院としまして、例えばつい先日も防災訓練なんかがありまして、これも地域住民の方がたくさん一緒に防災訓練にかかわっていただきまして、やはりそんな中でこの県立病院はやっぱりこうあってほしいというような非常に声も聞いております。
 それから、110メートルの地下から水をくみ入れて、阪神大震災のような地震があった場合もそういう水を地域の余剰水といいますか、病院で使う水以外にも余剰ができた場合には、地域の人のために使ってもらおうと、つい最近もそういう締結といいますか、調印をさせていただきました。
 そういった中で、ただ病気を診るというんじゃなくて、北勢地区で県立病院があるからこそ安心しておれるんだというような雰囲気づくりを委員ご指摘いただいたように、今後もどんどんとアピールしていきたいと考えております。県立病院に対して求められる一番の期待というか、やはり救命救急に対してはものすごく期待がございまして、それからこの救命救急に対する期待は、今年も24人の学生がいわゆる三重メディカルコンプレックスといいまして、三重県の中で医者をいかに育てようかという大学を中心にしたMMCというシステムがあるわけですけれども、私どもの24人の学生がインタビューというか、応募してくれたわけですけれども、私全員のインタビューさせていただいたんですけれども、そういう若い先生もやはり医療センターは救命救急があってきちっとした医療を習得できるから選んだと、ほとんど8、9割の学生が申してくれておりました。
 そういったことからもやはり救命救急というのは、それから救命救急だけでなくて、今、新型インフルエンザの問題、これも発熱外来をどうするかと職員一丸となって対応を今進めておるところでございますが、そういったところもやはりこれは県立病院として当然やっていかないかんことですし、北勢地区の住民の期待にどんどん応えていけるような病院でありたいと願っておりますし、またこういうこともしたらいいというようなことがあったらまたご指導いただきましたらどんどん取り入れて頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

○原田こころの医療センター院長 大変有益な示唆をいただきましてありがとうございました。
 実は私も萩原委員と同じように考えておりまして、やってないことをやっているというふうにアピールするのはこれはどうかと思いますけれども、県立病院はいろんなことをやっております。やっぱりそれをちゃんと県民の方のところへ届けるという努力につきましては、これまで十分だったかと言われるとそれは十分でなかったと言わざるを得ないところがあるかと思います。それは1つは、事務がやっぱり公務員という県庁からみえてまた県庁へ帰るという形で回っておられますので、そういう病院の広報であるとか、病院の企画であるとか、そういうことに不慣れであるといったようなことも関係しているんではないかなというふうに個人的には思っております。そういうことがありますので、院内的には医療企画室というのを立ち上げまして、ここは事務屋と技術屋がクロスして一緒になって仕事をする、そういうセクションをつくりました。その中でもっといろんなことを外に発信をして知ってもらおうよ、というようなことをやり始めております。効果が出てくるのはこれからかもしれませんけれども、確かにそういうようなことはもっともっとどんどん積極的にやる必要があるかというふうに思っております。
 それから、あとの方でございますけれども、私7年間院長を務めさせていただいておるわけですけれども、やっぱり県立病院長というのは、これまでは責任とか権限とかというような面では十分ではなかったのは確かだろうと思うんですね。ある意味裸で仕事をしてきたというところがありまして、それがすべてマイナスというふうには思っておりませんけれども、そういうことで組織の動きが悪くなったりといったようなことがやっぱりあったように思います。
 今回の答申を見ますと、病院管理者として責任と権限を持たせるといったようなことを書いてもらってあるわけですけれども、もしそれが現実になりますとこれはこれでものすごく大変なことであることも間違いないわけで、ある意味で我々も病院事業庁であるとか、県当局に甘えてきたというところもあるのではないかなという自己反省もありまして、ちょっと複雑なんですけれども、しかしやっぱりもう少し組織のラインをはっきりしてきびきびとした身動きがとれる、そういう組織にしていく必要があるかというふうに思っております。

○飛松一志病院院長 一志病院の場合には、やはり人材育成とあと予防医療、保健の部分なんですけれども、また高校の福祉科の学生の講義や実習などに協力をしているところであります。人材育成に関しては、先程も申し上げましたとおりに医学部の学生の実習を年間50名引き受けております。これは私どものような小さな病院においては非常に大きな数でして、私を初めとして医師がかかわる時間も多くありますので、そういったところで地域で医師を育てて、そういった地域にまた医師が帰ってくるというように、住民の人たちにも学生の診察を快く引き受けていただいたりという形で協力をいただいております。私たちもそのあたりはなかなか報酬というものには返ってこないんですけれども、精いっぱい取り組んでいるというところです。
 また隣に高校があるんですけれども、そちらに福祉科がございます。福祉科の方の授業を看護師、医師が一部を担当しております。福祉の実習においても当院を利用していただいて、実習の場合に当院の看護師が指導をさせていただいているというようなことをさせていただいております。
 また、健康教室なんかでは当院だけではなく、民間の病院も取り組んでいるところではあるとは思いますけれども、健康教室を当院の場合にも月に1回当院の方でさせていただいて、非常に私ども来て平成19年度から盛況に行うことができまして、回を重ねるごとに参加者の数というものが増えてきているところであります。
 また、保健・医療・福祉の連携ということがなかなかやはり県立では困難というようなことで、確かに私ども今のところ保健と医療というところが中心になってございます。ただこういった高齢者の多い地域ですと、やはり福祉の部分もうまく連携ができないかなというふうに考えております。福祉の部分に関してはやはり今までも県立の役割ではないというようなことで、なかなか取り組みにくいところでありました。例えば訪問看護に関しても、医療でできる部分に関しては少し制限がございます。やはり医療的な処置が必要な方と、そういった方以外に関してはやはり介護保険での訪問看護ということになりますと、なかなか当院の看護師が取り組みにくいというような例がございます。
 また、介護の施設においても、当院の周辺の地域もやはり数百名待ちというようなことがありまして、これはほかの地域でもあるかとは思いますけれども、まだまだやはり福祉の供給に関しては不足しているところではないかなというふうに考えております。このあたり県立がやらないといけないというわけではないんですけれども、何らか民間が存在してもいいと思いますし、うまくそこと連携できる体制ができればいいというふうに考えているところですけれども、私が赴任してからの1年半余り診療して感じているところでは、やはりそのあたりの介護が不足して連携がまだまだうまくいってないのではないかなというふうに感じております。
 以上でございます。

○吉村志摩病院院長 県立病院であってよい点という面をちょっと言いますと、志摩病院は特に職員300人弱で関連入れて500人弱ということで、非常に大きな地域の働く場所でもあるということで、それから県立である点で公的な医療、いわゆる赤字でも住民のためになるんだったらそういう医療はできるという点を県立病院である点が一番いい面だというふうに思っております。特に救急、災害です。
 それから、三重県下の医療をやるときに県立病院であると、例えば私が来たこの5年間で、いなべでのごみ焼却の火災があり県がそこに診療所の開設をされたとき、僕、1日あそこに行きましたし、それから紀南病院の危機のとき僕は2日間、1泊して2当直をやってきました。海山の災害の際に県が出るときにも参加できました。そういうような情報が早く来て、そういう全県下の対応に参加できると、これは非常に県立病院にとっていい点であるというふうに思っております。そこに赤字黒字というのは存在しないというふうに思っております。
 また、先程言いました地域において働く場所であることと、地域の保健とか教育に県立病院というのは参加しやすい、公的なところ、病院としても何々、例えば学校とか老人会だというと派遣が非常にしやすいということがございます。
 このように、形態がどうなってもというのは、県立病院という意義を捨てずにどうなってもということであります。
 それから、あとちょっと個人的な意見が今からのことは多くなるんですけれども、繰入れはそういう医療をやっていく以上当然今より、もうちょっと考えていただいた方がいいと思っております。
 それから、人とか物の動きはやはりさっきから言われている迅速性に乏しい、ちょっと変えていくのに手続が非常にあります。いろいろなところの手続によってしかなかなか変わらないというところがあります。
 それから、職員、特に各部門において独立しているようなことが多くありまして、専門性がそこだけでなかなか育成しにくい、短期に変わる部門もあれば自分のところの部門だけで一生懸命やっているところもありますから、そこらへんはもうちょっと病院の中での融通性というのを、これは僕のあくまで個人的な意見でございます。
 それから、もう1つはやはり病院でも経営は考えていかなきゃいけないんですけれども、ある程度経営は県におんぶしているようなところも自分らの反省としてはありますから、もっとやはり常にその赤字黒字は問わないんだけれども、やはりそういう健全な経営をやっていかなきゃいけないということは、職員全員が思って働かなければいけないようなところというふうに思っております。
 以上でございます。

○竹上委員長 いかがですか。
 ないようですので、ではすみません、1点、2点ちょっと私からもお聞かせ願いたいと思うんですが、今のこころの医療センター原田院長のご説明の中で、有能な事務官が必要だという、多分この答申の中でもあったと思うんですが、要するに県の職員が事務方として入ったときになかなかよくわからない、またある一定期間で替わっていく、そうなるとやはり有能で病院経営がある程度わかる事務方がどうしても必要なんだというふうなご意見だったと私は理解しておるんです。
 そこで、これは県当局の方にちょっと聞いてみたいんですけれども、こういった答申がなされて、それで答申どおりにこころの医療センターが今の全適を受けて、そのまま院長のもと人事、予算を執行していくような体制になったとする。そのときに改善が見られなければ指定管理者というふうなそういう指摘をいただいておるとなると、多分院長さんは一生懸命頑張るんだと。そのときにやはり有能でプロパー的な事務方はどうしてもほしいとそんなことになるんだと思いますね。そういった人事面について結局全適といえども県立病院に変わりはない、人事面でどういったところまでのものができるのか、私はここは非常に不思議なところでございまして、要するにプロパーでずっとそこにおれる職員を育てることができるのかどうか、お答えを執行部の方にお願いしたいんです。

○田中病院事業庁長 病院事業庁としてお答えをさせていただきますけれども、今の県の人事制度のもとでは、一定の職員をいわゆる病院事業庁の職員として採用するということは無理かというふうに思っております。それは、当然その人事当局なり、あるいは人事委員会との協議を当然経なきゃならないというふうに思うんですけれども、今持っているルール上では、その病院事業庁の職員としていわゆる事務方の職員をプロパー職員として採用するというのは難しいというふうに思っています。ただ、いわゆる期限つき採用といいますか、期限つき任用といいますか、そういう形での一定の線、例えば最高5年間というその期限の中で、特定の知識とかノウハウをお持ちの方を採用するということは可能ではあるというふうに思っています。

○竹上委員長 5年間の期限を区切って特別にそういう方を雇うことは可能ということ、その方をずっと置いておくというのは不可能と。

○田中病院事業庁長 制度的にはそうなります。

○竹上委員長 よくわかりました。
 ほかにございませんか。こういう機会はめったにないんですが、よろしゅうございますか。

〔「なし」の声あり〕

○竹上委員長 ないようですので、これで各県立病院長からの意見聴取を終了いたします。
 当局にはご苦労さまでした。
 これで本日の参考人及び各県立病院長からの意見聴取は終了いたしました。
 本日の意見聴取の結果を踏まえ、今後当委員会の中で議論を進めた上で知事に対し、委員会からの提言としてまとめ提出することといたしたいと存じますが、いかがでしょうか。

〔「異議なし」の声あり〕

○竹上委員長 それではそのようにいたします。

 

Ⅱ 委員協議

○竹上委員長 次に、委員協議に入ります。
 本日の参考人及び各県立病院長からの意見聴取を踏まえて、委員の皆さんのご意見をお伺いします。
 ご意見のある方はお願いします。

○萩原委員 今日も配ってもらっているけれども、議会としての検討会もやられているし、これまでの病院事業庁についての中期経営計画もあるし、その中でこの在り方検討委員会というので真っ先に知事がこれを最大限尊重いたしますという答弁を議会でされたと、これは私はちょっと非常に奇異な感じがいたしましたし、そのあたりはやっぱり知事とももっと詰めなきゃいかんのと違うのかなという、最大限尊重ということは、それこそほかのよりも一番優先的にという感じなんで、先程からいろいろちょっと質疑させてもらったけれども、やっぱり三重県の実情や三重県のかつての歴史は知らない、とにかくもうゼロベースで何でももうやってくれというので病院事業庁解体まで出てくるわけで、それはよその人だからあんなこと言えるんでしょうけれども、そういう点はやっぱりちょっと最大限尊重というところで突っ走っていってもらうと非常に困るなという思いがしますので、そこらへんはちょっと厳重に知事にも申し入れる必要があるんではないかというのが私の思いです。

○中川委員 特に前半の参考人の方々に対する質疑、また向こうからのご意見というのは非常に示唆に富むものがありましたので、全体的なバランス等も鑑みていただきながら正副のもとでご意見をまとめていただければというふうに思っております。

○竹上委員長 ありがとうございます。
 ほかはございませんか。

○山本委員 正副でご苦労いただくわけですが、一応成案というか、できたら我々委員にもこういうことで出すということを示してもらうとありがたいなと思うんですが。

○竹上委員長 後からちょっとそれも協議させていただきたいと思います。
 あとよろしいか。

○舟橋委員 先程萩原委員も言われたけれども、県議会でいっぺん、検討委員会で出してますよね、それとこの答申とがあまり食い違うのもまずいかなと思うけれども、そこらへんのところは委員長としては今の思いはどんな感じですか。

○竹上委員長 ちょっと経過を私なりにもいろいろ調べている中で、まずこの県立病院の話というのは、県議会の方で民営化の検討委員会がありました。それから、県の執行部の方でも検討会がありました。これの中間報告もなされておるんです。2つの報告が知事のところに結局当時挙がったわけですね。そこで知事が検討委員会をつくって学識者を混ぜてそこへもう一度委ねてその中で結論を出していきたいというのが知事の当時の発言だったと思うんです。それで今回出てきたのが9月9日の答申です。ですからここに至るまで、それは検討委員会を立ち上げるのに去年県議会の方は特別委員会をつくって、それの検討に当たっての提言を出しておると、これが参考資料の2ですね。ですので、流れ的には議会からの報告があって執行部も作った、かなり違う報告があった、そこで知事としてはもう一度これやっぱり学識者にきちんと委ねたものを一度聞きたいというので諮問したんですね。その検討をするときには、県議会はこういった観点を入れよといって大きく分けて3つの提言というのを昨年やっておる。で今回の答申が今あると。最終的に知事が今度判断をする、それに当たってその答申が出てきたので、私ども県議会としてはそれについて判断を下すならばこういった観点を考慮して判断をしてくださいねというような申し入れを今度行いにいくと、そんな流れだと思っています。

○舟橋委員 確かに役割とかあるべき姿とかというのは、この4院長さんの言った内容とここの答申とほぼニアリーイコールですね。ベクトルは一緒だとさっきも僕は申し上げました。しかしながら、向こうはゼロベースで物を考えてみたら、答申は指定管理者であったり、独法であったり、民間委譲であったりというところがある。しかしそれはどっちかというと、地域のニーズというのを抱いて走っている我々は、少しここまでいったら過激だよねという思いがあって、本当に指定管理者が遠いのかと、僕は遠いと思っていたら、いや遠くないよと言われたりして山本委員もそうなんかなあといって迷ってみえたけれども、そこらへんの中であまりに答申どおり過激な変化をすることがいいのかどうかは、いっぺん十分議論ができるような余地は残しておいてほしいなと思います。

○竹上委員長 ここは変な言い方ですけれども、今まで出ておる提言なるものの中で一番過激なのは実は、県議会の民営化検討委員会です。変な言い方ですが、県議会の民営化検討委員会よりも今回の答申は優しいと私は思っているんです。

○舟橋委員 一応田中委員長が出したけれども、民営化ありきではないと。いろいろ問題があったときに全適について十分検証、改善をやってみて、あかんかったらこういうメニューがあるじゃないかという論調で出してあると思う。

○竹上委員長 いやそれが最終の報告書は、もう民営化検討委員会の提言ということでなされていて、当時私が噛み付いた覚えがあるんですが、そこは提言でされてました。ですから、ここはそれを我々はやはりこれはゼロベースとは言いませんが、今までの議論も踏まえて、それでこの答申が出た以上、やはり我が常任委員会としてこういった観点でやっぱり判断をしていってくれということは言う必要はあるだろうということで、この今までのものにとらわれてどうのこうのということでも私はいいと思うんです。そうでなくてもいいと思います。それはここで議論をして決めていけばいいんだと思っているんです。

○舟橋委員 ご苦労さんでございます。

○藤田副委員長 だけれども、そのへんの内容的な話し合いというのは、ここでいろいろ聴取はさせてもらいましたけれども、まとめるような話というのはされてませんよね。

○竹上委員長 まだしてないです。

○藤田副委員長 してないですよね。そのためのたたき台を出すというふうな理解でいいんですか。

○竹上委員長 もちろんです。それがちょっとこの後で、今皆さんにこの委員協議としてきょうの院長の意見聴取を踏まえた意見を出していただきました。ここからが協議を終了しますと今後の進め方ということをちょっとお諮りしたいというふうに思うんです。よろしいですか、今後の進め方。

○萩原委員 そのことにかかわってですが、そのへんをいっぺん事務局なり当局とも協力をしていただきながら、今その前提やら認識やらというのもあるけれども、それからよって来るべき答申の内容は微妙に違うというか、そのあたりをちょっと3つとも一緒に読めるように比較検討してもらうような資料をつくってもらって、そしてもう一度議論できないのか。

○竹上委員長 萩原委員にちょっと申し上げますけれども、私は逆にこの9月9日のこれをベースにして物を言わないと過去の2つに引きずられていくとちょっと話がいかんと思うんですよ。これがやっぱり知事が最終的に今度判断材料にすると言っていますので、3つ並べちゃうと余計多分県議会は言いづらくなると私は思っておりますけれども。

○萩原委員 別にそれはこだわりませんけれども。

○竹上委員長 では、今後の進め方について協議をお願いします。
 先程知事に対して提言を行うことについてはご決定いただいたところです。
 私から提案いたしますが、本日の参考人等のご意見、またただいまのご議論をもとに、たたき台となる案を12月12日に開催する委員会でお示ししたいと思いますので、これをもとに再度協議をお願いしたいと思います。その結果を踏まえて正副委員長案を作成いたしますので、1月に委員会を開催して再度ご協議いただき、全員協議会での説明を経て、平成21年第1回定例会までに提言として知事に提出したいと考え…、ちょっと待ってくださいね、全員協議会での説明はこれはちょっとすみません、クエスチョンとさせていただきたいと思います。再度協議いただいて、平成21年第1回定例会までに提言として知事に提出したいと考えますが、いかがでしょうか。

〔「委員長名で出すと」の声あり〕

○竹上委員長 そうですね。委員長名になります。申し入れというふうな形になります。

○舟橋委員 委員長名だったら全協は要らないね。

○藤田副委員長 内容的には議会の意見という話になりますよね。

○竹上委員長 今まで常任委員会としての申し入れというのは数々行ってきていますので、当然のごとく議長等にはその旨話をして、その上で常任委員会としての申し入れというのは今まで数々行っていますので、そういった形の申し入れでいいかと思います。ただ、またここには各会派の委員さんがたがおそろいですので、あと1つ県政みらいはこの委員会に入っておりませんので、それを私の方からやはり各会派の意向というのも大事なことでありますので、それも踏まえた上で正副委員長案というのはまとめていきたいとこういうふうに考えています。よろしいでしょうか。

〔「異議なし」の声あり〕

○竹上委員長 それではそのようにいたします。

 

〔閉会の宣言〕

 

 

健康福祉病院常任委員長

竹 上 真 人

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