三重県議会 > 県議会の活動 > 委員会 > 委員会会議録 > 平成20年度 委員会会議録 > 平成20年6月27日 NPO等ソーシャルビジネス支援調査特別委員会 会議録
N P O 等 ソ ー シ ャ ル ビジ ネ ス 支 援 調 査 特 別 委 員 会
会 議 録
(開 会 中)
開催年月日 平成20年6月27日(金)自 午後 1時32分 ~ 至 午後 4時35分
会 議 室 601特別委員会室
出席委員 12名
委 員 長 稲垣 昭義 君
副委員長 中森 博文 君
委 員 辻 三千宣 君
委 員 笹井 健司 君
委 員 竹上 真人 君
委 員 中嶋 年規 君
委 員 藤田 泰樹 君
委 員 野田勇喜雄 君
委 員 森本 繁史 君
委 員 三谷 哲央 君
委 員 西塚 宗郎 君
委 員 西場 信行 君
欠席委員 なし
出席説明員 なし
参 考 人 2名
経済産業省経済産業政策局地域経済産業グループ地域経済産業政策課
田尻 貴裕 課長補佐
経済産業省ソーシャルビジネス研究会委員 慶應義塾大学総合政策学部専任講師ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京
井上 英之 代表
傍聴議員 4名
県政記者クラブ なし
傍 聴 者 2名
議題および協議事項
Ⅰ 調査事項
1.ソーシャルビジネスの現状、課題等について
2.社会的な課題の解決に取り組む事業型NPOやソーシャルベンチャーに対しての取組について
3.参考人の出席要求について
Ⅱ 委員協議
・年間活動計画の配付について
・県外調査について
【会議の経過とその結果】
〔開会の宣言〕
Ⅰ 調査事項
1.ソーシャルビジネスの現状、課題等について
○稲垣委員長 それでは、初めに、ソーシャルビジネスの現状、課題等について、田尻課長補佐からご説明をお願いいたします。
○田尻課長補佐 お手元に資料が2種類あろうかと思います。ソーシャルビジネス研究会報告書についてという今パワーポイントで映っているものと、研究会報告書本体につきまして、我々が今年の4月3日にプレスで発表した資料を併せて配らせていただいております。こちらのパワーポイントのほうが概要をまとめたものでございますので、こちらにそって説明をさせていただきます。
まず最初に、ソーシャルビジネスとはそもそも何なのだろうというのを、当然ご存知の方もいらっしゃるかと思いますけれども、そうでない方もいらっしゃるかと思います。まず、そのあたりから入っていこうかなと思っております。
わたしども国の役人としてもそうなんですけども、横文字の言葉である種、新しさを新規の施策として目立たせようとしたり、そういうのに飛びつこうとしたりして、このワードもそのひとつなのかもしれませんし、先生方にもそうなんですが霞ヶ関で国会議員の方に説明する時に、よくわからないなと言われることもあって、日本語に訳して持ってこいと言われたりする傾向もあるのですが、このソーシャルビジネスというワード自身、最近少しずつ出てきたかなと。手前みそになるかもしれませんけども、私どもの方で去年の9月からこの研究会をやって半年ほどたっていた成果があろうかどうか、それとも後ほどお話のあります井上先生など実際のビジネスに携わっている方のご活躍も大きいかと思いますけど、少しずつ知名度が上がってきているのかなというようなことも考えているところでございます。このような時期に三重県議会でソーシャルビジネスというのを冠に添えていただいた特別委員会を作っていただいて、実際に支援するという方向性を決めていただいたと言うことは、われわれにとっても非常にありがたいことだと思っておりますし、私ども霞ヶ関、東京でやっているだけでは実際世の中動かないものでございまして、そこは実際の現場現場の地域の皆様がやっていただくということが重要じゃないかと思っておりますので、その意味では私どもとしても心強く思っているところでございますので、ひとつこれを期にこういう方々へのサポートをしていただければありがたいなと思っております。
前置きが長くなりましたけれど、ソーシャルビジネスとはということで、定義自身は明確にこのパワーポイントにはちょっと書いてなくて、4月3日の報告書、報告書を発表しましたと書いてある半分から下ぐらいに米印がございます。ソーシャルビジネス、略してSBと書いてありますけれども、ソーシャルビジネスとは、少子高齢化や環境などさまざまな社会的課題が顕在化する中、そうした社会的な課題をビジネスとして事業性を確保しながらみずから解決しようとする活動というようなことを書いてございます。
なかなかこれだけでもわかりにくいところもあろうかと思いますけれども、端的に言えば、従来であれば、少子高齢化、環境問題、または介護とか教育問題とか、そういったものについては、とかく行政サイドの方がやっていたものが多かったのではないかということを思っております。そうではなくて、それを民間事業者がビジネスの形としてやっていく。もちろんNPOがボランティアとしてやるというケースも多々あろうかと思うんですけれども、私ども経済産業省ということで、できるだけ産業振興、産業育成、新事業の創出なんていうものを支援の対象としている役所としても、むしろそういうボランティアではなくて、ビジネスとしてきっちりと採算性を持ってやっていくと、そういったような活動をソーシャルビジネスと呼ばせていただいて、そういうものに対して何かしら支援をしていきたい。もう少し申し上げれば、私ども地域経済産業グループというところで、まさに地域の活性化ということを行っておるんですけれども、それを新たなソーシャルビジネスをやる主体の皆様方というのが、新しく地域活性化の担い手としてもこれから注目されていくのではないかという観点から、そういうものを支援することによって地域の活性化を進めていきたいということから、私どもの方も実は、何か偉そうにソーシャルビジネスと言っておりますけれども、去年夏、秋ぐらいから、こういうことで新しい施策の対象としてとらえていこうということでもありますので、決して私どもが物すごく何か昔から使っている言葉ということでもありませんので、これを機に、皆様方にも使っていただければなというふうな感じで思っているという次第であります。
本題に入ります前に、ソーシャルビジネスについてちょっとしたデータをまとめているものが、この今お手元の報告書の31ページをちょっとごらんいただければと思います。
今申し上げたとおり、31ページにソーシャルビジネスの現状に係る基礎データというものがあろうかと思います。私ども今回、研究会を去年9月から立ち上げて、今年の春先までやっておったんですけれども、それにさまざまなアンケート調査などをとりました。その一部を紹介させていただいておるんですけれども、31ページの最初の認知度というところでございます。
こちら実は、インターネット上でアンケートをとって、ランダムにさまざまな年代の人に、1,000人に対するアンケートをとっているものなんですけれども、一番最初、SB、ソーシャルビジネスの具体的事例に関する認知度というところについて言えば、ではソーシャルビジネスで何か思い当たるものはありますかという質問に対しては、思いつかないと言っている人が83.6%ございます。1つ、2つはあるというのが14.3%、3つ以上あるというのは2.1%ということで、まず、今年の初めぐらい、1月ぐらいにやったアンケートでございますけれども、非常にまだまだ知名度は高くないんじゃないかというようなことで、言われているものでございます。
その下もソーシャルビジネス事業者の提供する商品、サービスを利用している月の利用金額ということについて見ても、3割の人がほとんど使っていないと。1,000円程度使っているというのが2割ぐらいというような感じで、ほとんどまだまだ知名度が高くないというようなことで言われているというところでございます。
これ、言うように、非常に何かと、全く昔からの取組ということでは全くございませんので、まずは皆様方にはそういう新しいものなので、決してこれが知らないからどうこうということではなくて、まさに今から我々としても施策の対象にしてやっていきたいということでございますので、それをご理解いただければと思いまして、それでは、本題の方に入らせていただければと思います。
パワーポイントの方で、最初に4ページ目をごらんいただければと思います。
ソーシャルビジネスの定義というページがあろうかと思います。これは今申し上げたような、冒頭申し上げたソーシャルビジネスとはというところの定義を少し座標軸のようにさせていただいて、①から③の3つの要素を持っているものを一応ソーシャルビジネスと、今回この報告書では定義をしようというふうにしております。①が社会性ということで、先程申し上げたような少子高齢化とか環境とかというような、そういうような社会的な課題に取り組むことを事業活動のミッションにするというような活動をするということで、社会性というのを持っていること、②が事業性ということでありまして、①のミッションをビジネスの形としてあらわして、継続的に事業活動を進めていくということであります。無償のボランティアでやっているというわけではなくて、しっかりと対価を取ってやっている活動なんだよということがまず言えるということであります。最後、③の革新性というところでございますけれども、新しい社会的商品のサービスやそれを提供するための仕組みを開発することと、その活動が社会に広がることを通して、新しい社会的価値を創出することと書かせていただきましたけれども、①の社会性という少子高齢化、環境問題という社会的な問題というのと、事業性、ビジネスという点については、ともすれば相反するような、両方がなかなか両立しにくいんじゃないかというようなことがよく言われるものでございますけれども、それをある一つの③の革新性という新しい要素を使って、両者を結びつけていく。革新性、イノベーションとかと言われますけれども、新しい仕組み、新しい商品のサービスの開発をすることによって、①、②をうまく結びつけるような、そういったものの活動をやっていることというので、第3の軸としてカテゴライズをさせていただいているというところでございます。
なかなかこういう言葉だけで言ってもイメージがつきにくいかと思いまして、2ページ後の6ページをごらんいただくと、実際にソーシャルビジネスの事例ということで、4つ程ご紹介をさせていただいているところでございます。
例えば、左の上に、有限会社ビッグイシュー、ホームレス自立支援というものがあろうかと思います。これは、イギリスで同じような活動をしているものを、日本に輸入をしてやられているものなんですけれども、有限会社のビッグイシューというのは、雑誌をホームレスに販売をさせるというような活動を通じて、ホームレスの自立を促すという活動でございます。この雑誌の「ビッグイシュー」という雑誌を、月に2回発行いたしまして、ホームレスの方限定の販売員の方に、駅前その他の繁華街で売るということをやっています。1冊が300円するのでございますが、そのうち、1冊売れば160円がホームレスの販売員の収入になるということでございます。
例えば、20冊売れば3,000円ぐらいの収入になり、ホームレスではなくて、最近ではインターネットカフェとかで、一晩泊まっても1,000円ぐらいとかで泊まれるところもあったりしますから、そういうところに行ったりとか、まずはコンビニでご飯を買えるとか、そういったことで、そういうことを続けることによって、少しずつ自立に向けてサポートをしていくと。ホームレスの支援というと、ともすると自治体が、例えば公園で炊き出しをするとか、そういうような感じでやはり、ボランティア的にやっているようなものが多いんじゃないかと思うんですけれども、そうでなく、ホームレス自身をビジネスの中に取り込んで、その中で、みずからビジネスをして稼ぐことによって、自立を、支援をしていくという、その点がまさに、社会性があり事業性があるという上に革新性という新しい要素で、こういうような新しいビジネススタイルを作って、実際のビジネスを行っているというような会社でございます。
実際に、現在までに販売の登録をしたことがあるホームレスが730名おりまして、そのうち60人以上、これはビッグイシューが作られてから大体4年から5年ぐらいたっておるんでございますけれども、そのうち60名のホームレスが実際自立をして、別の企業に就職をしたり、そういうことで自立をしているということでございます。この活動の取っかかりは大阪でスタートいたしましたけれども、現在では全国12の都府県で展開をして、毎号3万部ぐらい売り上げているというような活動でございます。
その隣にNPO法人フローレンス、病児保育と書いてあるものがございます。これは、皆さんのご案内のとおり、保育園で子どもを預かってもらうときに、風邪を引いたり病気になったりすると、保育園では預かってはくれないというようなことがございまして、病気になった子どもを預かる保育所というのが全国に300カ所程度しかないという現実がございます。
このフローレンスというのは、代表で駒崎さんという方がやっておられるんですけれども、彼はまだ二十七、八歳の非常に若手の方なんですけれども、彼がこのビジネスを始めようと思ったきっかけというのは、ご自身の知り合いの中で、働くママさんが子どもが病気になってしまったがために会社を休まなきゃいけなくなったと、それが2回、3回繰り返したがために、会社を首になってしまったというような現実があって、こんな社会でいいのかなというふうに、駒崎さんというのはある種憤りを感じまして、じゃ、その病児保育をうまくできるような、何かシステムができないかなということを考えて、この新しいフローレンスを立ち上げたということでございます。
その仕組みというのは、従来であれば、病児保育を専門にやる保育所のまさに箱物、施設を作って、一定時間の料金制で費用を取って回していたんですけれども、まずその施設を作るのに相当初期費用がかかってしまうということと、あと例えば1時間いくらとか、1日いくらということで預かると、当然客が多いときには、それはそれで収入があると思うんですけれども、ともすると、やっぱりばらつきが出て、例えば冬場は風邪を引く子どもが多いから収入が多少あるけれども、夏場はそんなにないとか、収入が安定しなくてビジネスが成り立たないということを考えたものですから、彼のシステムというのは、真ん中にもありますけれども、施設は作らないと。あくまでも自宅で預かると。預かるのも、子育てを終わってノウハウを持ったお母様方を保育スタッフとして登録をするということで、実際に朝、会員の方から電話があって、今日子どもが病気になっちゃったんで、何とか保育して、頼むということがあると、その保育スタッフを派遣して、そこで看病して、必要があれば病院に連れていくというようなことをやるというような活動でありまして、さらに収入が安定化するということのために、中程にございますけれども、月の会費制ということにされまして、保険のシステムで、月にいくら払うと、そうすると1回利用するときは無料で保育スタッフを派遣すると。2回目以降はいくら取るとか、そういうふうな形の仕組みをすることによって、初期費用を抑えるとともに、安定的な収入を確保することによって、これをビジネスとして回る仕組みを作りまして、これも実際、まだまだ3年程度しかたっていない活動ですけれども、東京でスタートした活動が都内の11区にまで広がっていますけれども、既に黒字化には成り立つんじゃないかというぐらい、きちんとビジネスとして回っているという仕組みになっているということでございます。
今、申し上げたような、こういうホームレスの支援であるとか、病児保育であるとかというような社会的な問題を、ボランティアという形ではなく、ビジネスというスタイルでやることによる、さらには両者を結びつけるために、何か新しいビジネスモデルを作り上げるというような要素を持っているものを、私どもの方でソーシャルビジネスというような形で名づけまして、そういう活動をサポートしていこうじゃないかということを考えたのが、去年、春先ぐらいからそういうことをやろうかと。それによって、こういう活動というのは、とかく地域、地域にそれぞれ根差した活動があろうかと思いますので、それが地域の活性化につながっていくんじゃないかというような観点から、私どもの方で施策の対象にしていったというような次第でございます。
こういうふうに私どもの方は去年ぐらいから、じゃ、こういう活動があるなら何かサポートしていきたいなというふうには思ったものの、そもそも、どういったような人たちがこういうことをやっているのかと、そもそも統計とかがない世界でございまして、全国に何社ぐらいこういうのがあるのか、どれぐらいの人が働いているのかということは全くデータがないような状況でございまして。ただ、こういう方がどういうことを課題と考えていて、どういうことが我々国として政策的な対象とできるのかということは、まだまだわからなかったものですから、これを去年9月ぐらいから研究会を回して、いろいろ有識者の方に集まっていただきながら、私の隣の井上先生もそのメンバーとしておいでいただいて、勉強してきたということが、この半年ぐらいやってきたことということでございます。
もとに戻っていただいて、1ページ目でございますが、この研究会の目的というのが今申し上げたような3点でございます。我が国においてソーシャルビジネスというのがどういうものなのかという現状を把握する、②として、どういったような課題があるかということを抽出する、その課題に対して、どういう処方せんが打てるのかということを考えるということがこの研究会の目的でございました。
2ページ目に委員の名簿でございます。このような方々にご賛同いただきまして、委員会をやらせていただきました。座長には一橋大学の商学研究科の教授の谷本先生にお願いをいたしまして、委員には、お隣の井上先生初めとして、先程申し上げたフローレンスの駒崎さん、その下がビッグイシューの雑誌の販売をしている有限会社の佐野さんという代表の方という、実際にソーシャルビジネスをやっている事業者の方にも入っていただき、その下は鈴木均さんという日本電気、NECの社会貢献室長というような方は、NECの会社自身がCSR活動の一環として、こういうようなソーシャルビジネスに対するサポートを行っているということでございまして、こういう大企業の方からもご参加をいただいたりとか、あと一番下には、中央労働金庫という労金の山口さんという方にもご参加いただきまして、金融機関の立場から、とかく後でもご説明いたしますけれども、こういうソーシャルビジネスの活動にとっては、やはり資金が回らないということは一つの大きな課題になってございますので、金融機関の立場からのご意見であるとか、その1つ上に永沢さんという方、NPOのコミュニティビジネスサポートセンター代表理事という方でございますけれども、コミュニティビジネスサポートセンターはまさにその名のとおり、そういうソーシャルビジネス、コミュニティビジネスをサポートする、いわゆるそれのことを中間支援機関などと呼んでおりますけれども、そういうような活動をされている方からもご意見を伺いながら、こういう多種多様なステークホルダー、ソーシャルビジネスそのものだけではなく、その周りを取り巻くさまざまなステークホルダーの方からもご意見をいただきながら、今回、研究会をやっていったということでございます。
開催の実績でございますけれども、去年9月に第1回を始めまして、第6回、今年の3月28日に最終回としてこの報告書をまとめまして、4月3日にプレスの発表をしたというようなことでございます。4ページは先程の定義でありますので飛ばさせていただいて、5ページ目にコミュニティビジネスとの関係ということを書かせていただいております。
実は類似の活動で、よくコミュニティビジネスというような用語で言われているものもありまして、これはソーシャルビジネスと比べますと少し古いというか、それでも新しいとは思うんですけれども、少し前から使われているような概念かと思いまして、これは一応、ソーシャルビジネス、コミュニティビジネスとは何が違うんだということを、一応定義をこの報告書の中で簡単に整理をしたというふうな図でございます。
これは、色のついたところではなくて、下の方の丸に、CBが主な事業対象領域が国内地域、SBというのが主な事業対象領域は国内海外を問わないと書いておりますけれども、そういう、やや包含関係にあるのかなというのが私どもの考えでございまして、コミュニティビジネスというのはある一つのコミュニティに依存する、ある種の特定の地域に限ったような活動の方が比較的多いかなと。ソーシャルビジネスはソーシャルという名前のとおり、ソーシャルというのは社会的な活動ということで、先程のビッグイシューにしろ、フローレンスにしろ、ホームレスの自立支援とか病児保育というのは、別に東京とか大阪に限る話でもなくて、全国に同じような課題があるなと。そういうのは対象は、ひょっとしたら海外でもそういったような課題があるかもしれないなということで、そこを地域性を問わないというものをソーシャルビジネスというふうに言っておりまして、今回、そういう区別を一応しようかなと思っております。
ただ、たまたま私どもの研究会ではこういうような頭の整理は一応しましたけれども、世の中で何か決まった定義があるわけでもございません。しかも私ども実際の行政官として、別に定義がどうこうというものが余り問題であるわけではなくて、むしろ先程申し上げた、こういう社会的な活動をビジネスでやっているような方々に対する何らかの支援をしたいということが、思いとしては中心であるものでございますので、何かこの定義に拘泥して、これが入るとか入らないとか、そういうことに余りこだわっているつもりもありませんで、非常に端的に言えば、地域ごと、また地域に限らずこういうような社会的問題に対して、何らか取り組んでいる方に対して、何か頑張っている方を支援したいということが思いとしてございますので、余りこのへんの定義については拘泥をしていただく必要はないのかなというふうに、個人的には考えているというところでございます。
6ページ目が今の事例でございまして、7ページ目にソーシャルビジネスの現状というのがどの程度あるのかということをまとめさせていただいております。これも先程申し上げたとおり、何かどこかに統計があるというわけではございませんものですから、まず我々のいろいろなアンケート調査その他をもとにした推定でございます。これを今後、フォローアップしていくことによって、なるべく確たるものに今後していきたいなと考えておるんですけれども、とりあえず去年から今年にかけてアンケート調査などをやっていただいたものを、我々なりに試算をした結果ということでご理解をいただければと思います。
市場規模として2,400億円程度、事業者は大体8,000事業者ぐらいあるんじゃないか。これの規模は3.2万人と。これは実は、1事業者当たりの常勤従業員が大体平均4名ぐらいというようなことで我々のアンケートが出たものでございますので、単純に8,000掛ける4で3.2としたという程度でございます。
参考としてイギリスの事例を書いてございますけれども、イギリスはごらんいただいているように、非常にこういうような活動に対する規模が大きくなっております。突然、イギリスまたは欧米諸国と比べて、日本との寄附文化の違いとか、そういうやや風土の違いのようなものがございますけれども、現実恐らくこういう程度の、現状では差があるのかというふうに思っております。我々としては、こういう活動を大きくしていって、イギリスなり、またそれ以上にやっていきたいなというふうに考えているというところでございます。
これから先は、先程の続きのようでございますけれども、実際に今回、我々の方でアンケートをとらせていただいたものの結果として、実際のデータとしてあらわれたものをいくつがご紹介させていただければと思います。
8ページは、ソーシャルビジネスの組織の形態ということでございまして、大体NPOが半分ぐらいを占めております。営利法人の株式会社、有限会社が2割ぐらい、個人事業主が1割ぐらい、その他組合とか、最近のLLPとかという新しい組合の形というようなものも出てきているということでございまして、大体このような分布になってございます。
利用したことのあるサービス・商品分野ということでございますけれども、これは裏返せば、どういうような活動を実際のソーシャルビジネスの事業者がやっているかということでございますけれども、一番多いのが、障がい者、高齢者、ホームレスの自立の支援などが4割ぐらいで、これは重複回答があるものでございますので、全部合わせれば100を超えているものでございますけれども、その後の子育て支援が2割ぐらい、環境問題が15%ぐらい、地域活性化・まちづくりで19%ぐらいというような感じの分布になっているというところでございます。
事業全体の売上高でありまして、最新の決算期と3年前と比べてどうだったかというようなことで、比較をさせていただいております。下の方が3年前の売上高でございますけれども、それから直近はこうなってございますけれども、一番ここの左側から500万円未満、だんだん大きくなってございますが、それが直近はそれぞれ500万円が小さくなっていって、ほかの分野が大きくなっておりますので、最新決算期では売上高もそこそこ上ってきているというようなことになっていて、ではこの先、大体3年後にどうなりそうかという予想を立ててもらったアンケートも、ちょっとこの紙には書いていないんですけれども、3年後どうなるかというのを聞いたものもあわせてアンケートしたんですが、さらに3年後については、現状よりも増加をすると答えた事業者というのが全体の6割以上占めておりまして、今後も拡大するというふうに事業者自身も感じているというようなものと思っております。
次に、収入源と最新決算期の売上高と、次のページ、11ページ目でございますが、それをとったものでございまして、これは収入が500万円未満からずっと、最終的には1億円以上というところまで規模がだんだん下に行けば行く程大きくなっているということでございます。実際あと、こちらのグラフの方は、一番黒い大きな部分が、実際の実施している事業からの収入、その隣が公的機関からの委託とか、補助金とかいうようなものになってございますが、このグラフから見てわかることは、500万円未満の小さい事業者ほど実際の事業収入よりもほかの公的機関からの補助、委託の方が大きくなっていく。だんだんと事業規模が大きくなっていけばいくほど実際の事業収入の方が大きくなっていって、余り補助とか委託からには依存をしていないというような傾向が見てとれるというようなことになってございまして、やっぱりそういう点では、実際に事業の活動をだんだんしていくためには、みずから事業をどんどん磨いていくとともに、公的機関だけではなくて、公的機関以外、民間企業からの資金調達をするとか、そういったことに対するサポートが重要になってくるのかなというふうに考えてございます。
次のページは、従業者数ということでございまして、これも3年前の従業者数と現在の従業者数をとったものでございまして、こちらも横に、右に行けば行くほど数が大きくなっているというものでございますが、3年前と現在と比べると、小さいゼロから4人というところが少なくなっていって、そのかわりに大きく雇用しているところがどんどん増えていると。従業者が多くなっていますので、最近ではこういう活動を通じて、どんどんそれで働く方も増えてきているということがわかるのかなというふうに思います。
その次のページは、常勤と非常勤をあらわしたものでございますけれども、まだまだ常勤の雇用者がゼロから4人というところが半分以上を占めておりまして、なかなか最近、売上高が増えてきたといっても、従業者数をどんどん抱えるほど、そこまではまだ大きくなれていない。中小企業、もっと言えば小規模事業者のような位置づけしかないのかなというような感じを受け取れるかと思います。
現在の連携・協働機関、今後連携・協働を充実・強化したい機関というようなことでアンケートをとらせていただきました。それらの中では、自治体、都道府県とか市町村と、今もそうだけれども、今後も組んでいきたいというところが半分以上の方は占めておりまして、やっぱりあとは、このへんの民間、地元の企業であるとか、あと教育機関、大学なんかも含めてでございますけれども、そういうところと今後連携をしていきたいなというふうに答えている事業者がこれぐらいの数いるというようなことになってございます。
今までがソーシャルビジネスをめぐる現状というような形のデータなどを含めたようなご紹介でありますけれども、これから、ではどんなような課題を持っていて、どんな支援策があり得るかということをまとめさせていただいたものが次の15ページからということでございます。
今回、いろいろ委員の皆さん方のご意見、アンケートなどをとった結果として、課題としてこの5つぐらいあるのかなというふうにまとめました。
それぞれについて、個別に次のページからございますけれども、簡単に申し上げれば、1つ目は社会的認知度の向上、一番冒頭申し上げたように、まだまだこういうような事業者に対する認知度がまだまだ足りないということをまず引き上げることが重要なんじゃないか。
2番目は資金調達、何はともあれやっぱりお金が回っていないというのがあるのかなと。
3番目は人材の育成。先程申し上げたとおり社会性と事業性という、なかなか相反するような要素を組み合わせるというような経営ノウハウがいたり、そのような人材が必要だと。そのへんがまだ足りないんじゃないかというようなことが3番目。
4番目は事業展開の支援と書きましたけれども、マネジメントとか、そういう経営ノウハウとか、そういったところをサポートすることが重要なんじゃないかなと。
5番目は事業基盤の強化ということで、環境整備的なものも重要なんじゃないかというような、5本の柱をとりあえずまとめさせていただきました。
次のページから、それぞれの課題について、それぞれの課題を克服するためにそれぞれの事業主体がどんなような活動をすればいいのかというのをまとめたものでございます。ちょっと字が小さくて恐縮でございますけれども、お手元の資料をご参考いただければと思います。
社会的認知度の向上という課題に対して、主体、ソーシャルビジネス事業者自身がやるべきこと、国がやるべきこと、自治体がやるべきこと、企業なんかがやること、中間支援機関がやること、金融機関が取り組むべきことというような感じで、各ステークホルダーそれぞれに、取り組むべき期待されるような対応について、委員なんかのご意見をもとにまとめさせていただいたということでございます。
全部ご紹介するとあれでございますから、いくつか特徴的なところだけご紹介させていただきたいと思いますけれども、例えば、社会的認知度の向上という、まだまだ知名度が低いということに対して言えば、国がやるべきこととしてはどういうことがあるのかなということについて言えば、ここにありますとおり、全国の先進的な事例を紹介するとかPRをするとか、そういったことによって、その事業者をサポートすることができるんじゃないか。サクセスストーリーみたいなことを作って、普及啓発をすることができないのかというようなことなんかが必要なのかなと。
例えば、自治体的にも同じことが言えるのかなと思いますが、まず、みずからの地域で頑張っている事業者に対する取組を紹介したりすると。広報宣伝みたいなこともやっぱり重要なんじゃないかということをやらせていただいております。
これらのことが取り組むべきこととしてあるのかなというふうに感じております。
2つ目が資金調達の円滑化ということでございます。やっぱり何はともあれ、お金が回っていないというような意見が多く出たようでございますので、そもそもソーシャルビジネスは事業者自身も取り組むべきことがあるんじゃないのかなと。
それとしては、やっぱりみずからに対して、お金を出したくなるような魅力的なアイデアとか魅力的な事業計画なんかを作れるようなことをしなきゃいけない。あとは当然、それを作るのをサポートするようなことが重要なのかもしれませんけれども、こういうような社会的な課題を何とかしたいというふうに思っている事業者は、ともすると思いが先行して、自分はこういうことがやりたいんだ、こういうことを理想として考えているんだということだけが先行して、じゃ、それをどうやってビジネスとしてやるのということに対しては、なかなかそこまで思いが至っていないと。そうなると、なかなかビジネスプランができていないと金融機関もなかなかお金を貸せないよねということもあって、思いも重要なんだろうけれども、それをちゃんと事業計画としてまとめるようなことができないといけないよねというようなことがあるのかなというふうに考えております。
では、国として何ができるのかなということについて言えば、例えば、中小企業の支援施策なんかをうまく活用して、お金を回すような資金なんかの仕組みを作れないかなと。例えば自治体でいえば、民間が出しにくい資金の提供で、例えばファンドみたいなものを作る。三重県でもそういうような中小企業向けのファンドなんかをNPOに向けて作られているというのも聞いたことがありますけれども、そういうようなことで、ファンド的なものでサポートするということもあり得るのかなと。
また、企業が寄附をしていくということもあるのかなと。ただ、最も大きなものは当然金融機関、お金については金融機関になりまして、金融機関も当然、ソーシャルビジネスの事業者がきちっとした計画を立てなければいけないというものもあるんですけれども、ある程度金融機関の側からも、そういうソーシャルビジネスの活動に理解を示して、その中で、何かできる限りお金を貸すというようなことも協力できないのかなということも課題としてはあるのかなと。
当然、まだまだソーシャルビジネスの活動が金融機関の間でも理解されていないがために、こういう方々に対してはお金が出せないということもあろうかと思いますので、冒頭の社会的認知度の向上というところにもつながってくると思うんですけれども、金融機関みずからも、そういう活動なんかを求められているのかなというふうなことも考えているところでございます。
③として、人材の育成ということでございます。こういうような、そもそもソーシャルビジネスをやりたいと思うような人材を作る、またはそれをサポートするような人材を作っていくというためにどういうことができるのかなということでありまして、例えば国の活動といたしましては、そういうようなソーシャルビジネスの普及啓発活動、表彰等を通じて、こうやって頑張っている事業者を紹介することによって、こういうのがあるんだったら自分もやってみようかなというような潜在的なソーシャルビジネスの事業者の掘り起こしみたいなことができないのかなと。ソーシャルビジネスのコンテストとか、インターンシップみたいなことを通じて、そういう新しい事業者の掘り起こしなんかができないのかと、そういったことが国としてもできるのかなと。
自治体としても同じようなことが、エリアは異なるかもしれませんけれども、みずからの地域でこういうことができるのかなということもあるかと思いますし、また企業がOBの人材なんかをうまく供給して、そういう経営ノウハウを持った方をそういう活動の方に振り向けていただくということもあるのかもしれませんし、人材育成という意味では、先程申し上げた中間支援機関、そういうのをサポートする機関がビジネス経験や専門性のある人材を確保したり、そういうノウハウを移転するような活動をするとか、そういうこともあるのかもしれません。
大学等のことで、井上先生の慶應大学なんかもそうかもしれませんけれども、ソーシャルビジネスを授業の中に取り込んでいただいて、そういう人材を育てていくとか、インターンシップ活動なんかを結びつけていくとか、そういったことが重要なのかなというふうに考えているところでございます。
4つ目は事業展開の支援というようなことでございまして、これは実際に人と金を集めて、さらに知恵という、ノウハウ的なものをどういうふうにサポートしていけばいいのかなということについて言えば、ソーシャルビジネス事業者が当然、専門的なサポート、事業計画の作成や税務、会計、法務等なんかの知見を得ていく、またはそういうサポートを受けるというようなこともあろうかと思いますし、国自身が中小企業支援施策、例えば商工会とか商工会議所の経営支援等の仕組みなんかをうまく取り込むとかいったことによって、経営ノウハウなんかを磨いていくためのサポートができないのかなと。
自治体も同じように、中小企業支援制度の取組もありますし、例えば事務所のスペースなんかを提供するとか、そういうようなインフラ、ハード的な支援なんかもあるのかなと。例えば、自治体から仕事を作っていただくというような意味でも、業務のアウトソーシングをしていくとかいったこともう一つあり得るのかなと思っております。
また、先程の商工団体、経済団体と書きましたけれども、例えば商工会や商工会議所が経営指導をするところの対象に、こういうソーシャルビジネスの方を入れていただくということによって、事業展開を進めていくためのサポートなんかもできるのかなというようなことも考えてございます。
最後に、5つ目の事業基盤強化というところでございますけれども、ソーシャルビジネスの事業基盤強化と書いたところは、なかなかソーシャルビジネスそれ自身が、まだまだ世の中に理解をされていないということもう一つ重要な大きな要素だと申し上げましたけれども、その理由として、やっぱりソーシャルビジネスがどんな事業をしているかということを適正に評価をするような仕組みがまだできていないんじゃないのかなというようなことが1つあるのかなと思っておりまして、ソーシャルビジネスの社会性とか社会的な価値に関して、何らか評価をできる指標、評価の手法を検討することができないのかなと。そういうことによって、例えば、こういう観点でソーシャルビジネスを見ればいいんだよというような、何か座標のようなものが示されることによって、金融機関とか大企業とかが支援をしていこうかなというようなことに対象とし得る要素があるのかなということが1つ目でありまして、(2)ということで申し上げたいのは、そういう何か評価をする仕組みを作ることで、さらには国がある種、認証と書きましたけれども、お墨つきのようなものを与えることによって、とにかく事業者は、マル適マークではありませんけれども、そういう一つ一つ頑張っていて、立派な事業者なんだよというようなお墨つきみたいなものを与えることができれば、それによって例えば金融機関がお金を貸したりとか、住民が寄附をしたりとか、そういうようなことができ得るのじゃないのかなというようなことで、こういうことも一つ要素として入るのかなと考えております。
参考として、イギリスのCIC制度の概要と書きましたけれども、イギリスに今申し上げた、国自身が法律を作って、社会的な企業、ソーシャルビジネスに対する認証、お墨つきを与えるという仕組みを作っております。2007年の10月現在で1,310の団体がCIC、コミュニティ・インタレスト・カンパニーというような略でございますけれども、このCICというお墨つきで、国が冠を与えるというような仕組みを法律上作っておりまして、この特徴というところに書かれたコミュニティ利益テストというテストを受けて、それにかなった事業者に対しては、CICというようなことをつけていいですよというようなものを定めたような仕組みを、法律上作っている仕組みがイギリスにございます。そういうのを、例えば同じようなことを日本でも取り入れることも、今後考えてもいいんじゃないのかなというようなことを1つ書かせていただいているというところでございます。
最後に22ページ以降、8番と書いたところで、今後期待される政策的取組についてということで、今申し上げたいろいろな課題と対応策のうち、特に国が取り組むべきことというようなことについて、改めてまとめさせていただいたというようなところでございまして、①から⑥まで、6つの柱で構成をされています。
今回、私どもの方で、この3月にこの報告書をまとめまして、実際に平成20年度の予算として、いくつかの事業をやらせていただいております。この報告書の提言を受けて、それを実現するような形の予算事業もあわせてやってございますので、それもあわせてご紹介をさせていただければというふうに考えております。
1番目は、ソーシャルビジネス事業者が生まれ、育つための土壌の創出、意識の改革と書かせていただきましたけれども、先程の課題の中で、冒頭申し上げた社会的認知度の向上、いわゆる知名度の向上というようなものについて、どんな取組ができるかとございまして、例えば(1)では、ソーシャルビジネスの認知度向上のためにイベントとかキャンペーン的なものをやることができないのかなと。2つ目としては、ソーシャルビジネスに関する成功事例集なんかを作成して、それを冊子の形にする、ホームページに掲載するということによって、こういう事業者がいるんだということを世の中に広く宣伝をしてあげるというような形、ソーシャルビジネスに関する情報が一元的に整理されたようなポータルサイトの構築と。あとはすぐれたソーシャルビジネスの事業のモデルをほかの地域に展開をしていくというような、このような4つぐらいのメニューがあり得るのかなというふうなことを考えているところでございます。
そこで、ちょっと順番が前後しますけれども、一番最後のページ、28ページ目に、これが実は、私どもの平成20年度のソーシャルビジネス振興関連予算ということで通らせていただいているものでございます。平成20年度、予算としては1番上に5.7億円という予算をとっております。平成19年度はちょっと取っかかりで少し予算をとっておりましたのが、1.6億円ぐらいとっておりましたけれども、それが平成20年度の予算では3.5倍ぐらいの量に拡大をして、国としてサポートしていきたいというようなことになってございます。
予算の柱として1から3までございますけれども、今申し上げた認知度の向上みたいな話は1番目のところに該当するものでございまして、ソーシャルビジネスの認知度を高めるため、全国規模でのフォーラムを開催する。すぐれた事業者を選出し、事例集として取りまとめ、100選、これは100くらいとなるか50となるか、それは数はちょっと決まっているものではございませんけれども、そういうような先進事例のようなものを取り上げるようなもの、支援のポータルサイトなんかを作っていくというようなことをやっていきたいなと思っております。また、先程申し上げたソーシャルビジネスの成功モデルをほかの地域へ展開するという事業については3番目のところですね。3番目の中の箱の中の上の方に、成功したソーシャルビジネスがみずからのビジネスモデルを他地域に移転するため、みずからの事業ノウハウの抽出・テキスト化、ほかの地域のソーシャルビジネスの活動指導なんかを支援するというような形で、1つのビジネスモデルをどんどんと全国に横展開をしていく。そういうことによって、いろんな各地でソーシャルビジネスの動きが活発化していくことを支援していきたいというようなことから、こういうような予算事業をやらせていただいているというところでございます。
ちょっと戻っていただいて、今度は23ページ目の②というところであります。2番目としては、社会的課題を関係者全員で共有し、解決する場作りと書かせていただいております。ソーシャルビジネスの社会的な課題というのは、当然、ソーシャルビジネスの事業者自身が解決をしていくことは間違いないんですけれども、ただ彼らがひとりで、また1社で頑張っても、やっぱりなかなか世の中の社会的課題というのは、そう簡単に解決ができないんじゃないかと。ただ、さまざまな関係者がやっぱりサポートしていくような、何かそういうような仕組みを作ることが重要なんじゃないのかなと。例えば、先程申し上げた研究会のメンバーでもいましたけれども、ソーシャルビジネスの事業者も当然、中間支援機関であったりとか、大企業であったりとか、自治体であったり、金融機関であったり、そういうようなさまざまなそれを取り巻くステークホルダーが、利害関係者が一堂に集まって、ソーシャルビジネスをサポートする、ないしは地域地域の社会的な課題を解決するような場を、協議会のような場を作っていき、ネットワークを作っていくことが重要なんじゃないかというようなことで考えております。
さらには、2つ目の・ですけれども、全国規模の協議会についてもあわせて構築とありますけれども、そういう地域ごとの協議会もさることながら、全国規模の協議会なんかも作って、地域の協議会との連携なんかをやっていくということも重要なんじゃないのかなというふうに考えているというところでございます。
こういう一番上は地域での協議会、2番目は全国規模の協議会という話なんですけれども、そこについても、ページが行ったり来たりして恐縮ですけれども、最後の予算事業のページをごらんいただければと思いますけれども、その中のここの2つ目の◇でございますけれども、地域ブロックごとに事業者と関連機関等、企業とか金融機関、中間支援機関、大学、住民、各種団体、行政等々との交流を促進するようなネットワーク協議会なんかを作って、常設の事務局を開設するというようなことができないのかなというふうに思っておりまして、三重県であれば、例えば、中部に私どもの中部経済産業局がありますけれども、今、中部経済産業局が中心になって、中部ブロックでこういう中部地域でのソーシャルビジネス、またはコミュニティビジネスの協議会、支援協議会みたいなものが作れないのかなということで、今、実際に下調べというか、それをするための作業をしておりまして、今年度中にこういうような地域での協議会なんかを作っていきたい。それには全国規模、東京の方に作れないのかなというようなことを考えているところでございます。
次に、3つ目に既存の中小企業施策のソーシャルビジネス振興への活用をというふうに書いてございます。こちらについては、冒頭申し上げたとおり、ソーシャルビジネスのやっている活動は、当然、株式会社とか有限会社とかでやられている方もいらっしゃって、その方は従業員とか資本金の定義によって、当然、中小企業の対象になり得る方でございますので、そういう方はほうっておいても中小企業施策の対象になり、補助金がもらえたりとか、信用保証協会の保証が受けられたりとかということがございますけれども、このソーシャルビジネスで大体半分を占めると言われているNPOについては、現状、中小企業の定義には入ってございません。そのことから、中小企業の関連施策の適用を受けられないというような現実がございまして、こういうところで何らか、中小企業施策の支援を受けられるということができれば、そういうビジネスをやられている方のサポートになるんじゃないのかなということを考えているところでございます。
経済産業省や地方自治体が既に有する中小企業関連施策、例えば商工会議所や商工会による経営指導とか支援とか、あと、中小企業向けの補助金とか、信用保証の付与なんかをNPO法人の形態を有するソーシャルビジネス事業者も積極的に活用することができるというような仕組みができないのかなというようなことを考えてございます。
これ自身は、私ども経済産業省の中に、当然、中小企業庁がございますので、我々の中でやればいい話じゃないかというようなこともあるんですけれども、ご案内のとおり、なかなかNPO法人自身は現在2000年に法律ができてから、3万とか4万近くの法人が既にできておりまして、こう言ってはあれですけれども、正直なところピンからキリまでありまして、非常にソーシャルビジネスをやるぴかぴかというか、ビジネスとしてきっちりと回っているようなNPOもいれば、何もそういうようなこともやっていない、ある種、反社会的な活動の温床になっているようなNPOなんかも中にはいるというふうに言われておりますので、NPOそれ自身は丸ごと全部中小企業施策の対象にすることについては、なかなかそう簡単にできないのかなと思っていまして、じゃ、どんなNPO法人ないしは、もっと言えばどんなソーシャルビジネスの方であれば、この中小企業の施策の対象になれるのかなんてことをちょっと、すそ切りというか、線引きをどこかでしなきゃいけないということもありまして、これもまたちょっと、先程申し上げたソーシャルビジネスの活動自身をどう評価するかということにつながってくる話なんですけれども、そこをうまく活用しながら、将来的にはこういうようなこともうまく組み込めていければななんていうふうには考えているようなところでございます。
4つ目は、資金調達の円滑化に向けた環境整備ということでございます。
これは、資金調達、お金の面がやっぱり足りないというのが、ソーシャルビジネスの一番大きな悩みの一つになってございます。資金調達を円滑化するためには、ソーシャルビジネスの事業者が考えるべきこと、資金供給をする方が考えるべきことという、2つに分けて考えられるのかなと。それにそれぞれ国ができることではどういうことがあるのかなということについてまとめたものでございますけれども、ソーシャルビジネス事業者の方としては、やっぱり金融機関がきちんとお金を貸すためには、きちんと事業活動をオープンにする、ないしはきちんとしたビジネスモデルを作るということは重要じゃないかと思うんですけれども、特にNPOの事業者には、NPO法人にはありがちといっては失礼かもしれませんけれども、なかなか情報公開が完全ではなくて、なかなか活動が見えにくいというようなことがあると、どうしても金融機関も貸そうと思っても、情報がこんなになかったら貸すものも貸せないということもあるかと思いますので、逆に言うと、資金供給する金融機関、その他大企業が寄附をするという形もあるかと思いますけれども、そういう資金供給する側が容易に事業活動を評価し、投融資が円滑に行われるような、一層の具体的かつ明確な情報公開なんかが求められるんじゃないかと。
我々として、国として、金融機関とか大企業の意見なんかを聞きながら、どんな情報を公開することによって、金融機関ないし大企業はパートナーとして見るようなことができるのかなというための、何か情報公開のためのガイドラインみたいなものをあわせて作ることができないのかなということを今考えているところでございます。
また逆に、今度は資金供給の側ということからすれば、まずはソーシャルビジネス自身への理解を向上していただくと、理解を向上していただく、そのためにはやっぱり国の方が宣伝広報活動をするということが重要かと思いますし、あと先程申し上げた評価の仕組みなんかを作れば、金融機関にも利用してもらえるというようなこともあり得るのかなと。一番下にも書きましたけれども、寄附金税制なんていうのもちょっといじることによって、例えば住民とかが寄附をしやすくなる、そういうことによって、ソーシャルビジネスに対する寄附が回るようにする仕組みなんていうものが国の方としても考えられる一つの施策になるんじゃないかなというふうに考えているところでございます。
少し予算の中でちょっと申し上げるとすれば、一番最後のページになりますけれども1番目の一番下です。先程の繰り返しかもしれませんけれども、事業活動を地域住民や投融資の機関が適正に評価できる評価の物差しを開発する。事業活動を適正に開示するための情報公開ガイドラインなんかを作成するなんていうものも、今回予算事業の一環で委託調査みたいなものをしたり、また、研究会みたいなものを開いたりして、できれば今年度中にそういうようなものができないかなということを今、考えているというようなところでございます。
次は5つ目で、26ページに戻っていただきまして、人材育成ということでございます。やはりお金とともに、人が足りないというようなことでございますので、やっぱりそれに対して、大学とか大学院で専門的な教育なんかを充実するような形で、何か我々としてもサポートができないのかなと。また、将来的には、ソーシャルビジネスの起業、運営、支援等に高い能力を有する人材が大学等教育機関とか一般企業とか中間支援機関とか異なるセクターをうまく移動できるような、そういうような環境ができるようなことが望ましいと思いますし、ソーシャルビジネスのビジネスプランコンテストと書きましたけれども、ベンチャービジネスのビジネスプランコンテストなんていうのがあって、優勝すると賞金500万円ぐらいで、これでベンチャーをやってみろというようなことがあるコンテストなんかは最近出てきていると思うんですけれども、そのソーシャルビジネス版を何か作ることによって、若者にそういうソーシャルビジネスが身近なものだということで知ってもらう、イコールそれが資金調達の一つの解決策にもなるという仕組みが何かできないかなということもちょっと考えていければなというふうに考えてございます。
最後は、事業基盤強化に向けた仕組みづくりというところでございまして、先程繰り返し申し上げている事業活動とか成果の評価に関するガイドラインなんかが作れないのかというようなこと、ないしは一番下でございますけれども、新たな法制度の必要性と、例えばイギリスのCIC制度のようなものと類似のものが、我が国としても作る必要があるのかなというような必要性を含め、ソーシャルビジネスの事業者の信用力を向上させるような仕組みづくりについて、今後十分に検討していかなければいけないんじゃないかなというようなことを考えているというようなことでございまして、以上を報告書の提言としてまとめさせていただいたということでございます。
最後に、繰り返しですが、今、報告書の提言を受けて、我々、平成20年度からこういった予算事業をやっておるところでございます。これからまた平成20年度でのいくつか宿題として、報告書で提言をしていただいた宿題を1つずつ返していくというようなことで、我々の方としても、国としてできることをやっていきたいと思っておりまして、今後、自治体の皆様方、ないしは事業者そのものの発展につなげていければなというふうに考えているところでございます。まだまだ我々も過渡期というか、去年勉強し始めて、今年から本格的に少しずつ事業を始めたところでございまして、まだまだこれから不十分なところもあろうかと思いますけれども、また皆様方のご指導、ご支援いただきながら、せっかく盛り上がってきたソーシャルビジネスの動きというのを大きくしていければなというふうに思っているところでございます。
ちょっと早口でばたばたして聞きづらかったことがございましたかもしれませんけれども、私からはこれで終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
2.社会的な課題の解決に取り組む事業型NPOやソーシャルベンチャーに対しての取組について
○稲垣委員長 田尻課長補佐さん、本当にどうもありがとうございました。(拍手)
引き続き、社会的な課題の解決に取り組む事業型NPOやソーシャルベンチャーに対する取組について、井上代表の方からご説明をお願いしたいと思いますので。
○井上代表 皆さん、こんにちは。
僕、実は、三重県は人生で、これで2回目でして、初めてのときは速水林業さんにお邪魔をして、いろいろと経験させていただきまして、あんな美しい森は、僕は日本で初めて見て、ヨセミテ国立公園というのがサンフランシスコの近くにあるんですけれども、本当に似ていて、見事に森林経営と自然保護といいますか、美しい自然を守るのと経営を両立させているというので、僕は、あれはすばらしいソーシャルビジネスなんではないかと思っております。また同時に、実は僕自身が最初にワシントンDCの大学院に通っていたんですけれども、というと何か大層に聞こえますが、当時、僕はパブリックマネージメントという、行政分野に経営を持ち込むと、ああ、そうか、地元だ、ここは。そうなんだ。96年から98年に大学院におりまして、やはりその頃僕は海の向こうから、三重県はすごいらしいという話はずっと聞いておりまして、皆様方はその当時のことをどういうふうに考えていらっしゃるか僕は存じ上げませんので、余り申し上げませんが、僕にとってはすごい聖地ではないかというふうに思って当時勉強をしておりました。当時、専門は行政評価だったんですね。パフォーマンスメジャーメントとアメリカでは言っていて、それを日本語で行政評価と翻訳したところから、さまざまないいところと負の部分が両方出てきたなと思っております。また、そのへんも教えていただければというふうに思っています。
それで、2時間お話聞きっぱなしもつらいと思いますので、途中、映像及び皆さんでちょっとお話ししてもらう時間もちょこっと作りつつ、1時間程度いただこうかなというふうに思っております。
最初に、ソーシャルビジネスとか僕自身はソーシャルベンチャー、社会起業家などという言葉を2000年ぐらいからずっと使ってきたんですけれども、このところ非常にこの話がメディアに出やすくなっていまして、どうも多くのビジネスで働くビジネスマン、ビジネスウーマンというか、ビジネスパーソンの方々が、ただ働くだけでなく、ただ稼ぐだけでなく、どうせ頑張るのであれば何か地域であったり社会のためにつながるような仕事をしたいと感じている方がどうも増えてきているようで、同時に多くのNPOというのがNPO法人が、法ができまして10年たち、数は増えたものの、ではどれだけのインパクト、効果が生み出せたのかということ、同時に特定の社会の問題を変えていくためには、それなりに継続して取り組まないと、なかなか成果が出ない。そういう意味で、もう少し経営をちゃんとやっていこうよという話が出てきたのかなというふうに思っています。
そんな中、ちょっと最初に映像を見ていただく前に、お手元の新聞記事の束があるんですけれども、これの3枚目、社会起業家慶大卒が活躍と、ちょっといきなり自慢しに来たんですけれども、実は私のおります慶應大学の湘南藤沢キャンパス、実は後で少しお話ししますが、僕自身はもともと学者をやろうと思って人生を歩んできたのでは全くございませんで、これから紹介します社会向けの投資であったりとか、社会的な何か問題解決を重ねたビジネスなど、現場に近いところでやっているうちに、大学でも教えませんかと声がかかってきたというのが正直な順番です。
その中で、実は今、慶應大学初め若い世代で、こういう分野に非常に興味を持つ学生、若者が多いんですね。どうも大ざっぱに見ると、若い人たちというのは、どうも二極化しているかなというのは非常に感じているところで、無気力、なかなか何が言いたいかわからないと、社会に居場所が見つからないで漫画喫茶だったりとかお家から出てこなかったりする子たちがいる一方で、どうせやはり一生懸命何かやりたい、一生懸命仕事をしたいという思いのある非常に純粋な学生たちもたくさんいると僕は思っています。たくさん出会っております。その子たちが、では普通に就職活動すると、それこそいろんな会社から内定はいただきますが、実はどういうことをしたいのと言うと、もっともっと力をつけて、何か社会の、自分の出身地だったりとかの変革なり、よりよきもののために頑張りたいと言っている学生たちが多々いるのを私は肌で感じております。
その中で、何人かこういう形で、先程田尻さんから紹介がありましたフローレンスというところは、病児保育という分野ですね。共働きのご両親が今東京周辺、非常に多くて、子どもが当然、健康な子どもなら、子どものとき月に一度や二度は風邪を引くわけで、そのたびにお母さんの方が職場で嫌な思いをし、場合によっては首になったりする。そういうことを見ているので、正直僕、今、田尻さんと同じ年です。71年生まれなんですけれども。今、どういうリアクションでしょうかね、はい。ともあれ、それが原因でなかなか結婚しない、もしくは子どもをなかなか作らないということは、身の回りにすごく普通にあったりします。
その問題に対して彼は立ち上がりまして、子育ての終わったお母様たちと、それからその子どもたちをマッチングすればいいんじゃないかということで、風邪を引いてしまったときに、このフローレンスに電話をすると、レスキュー隊という、その地域で子育てが終わった、子どもが就職をもうしたとか、それなりの年齢にいって、もう一たん子育て、お母さんを1回卒業した方がお預かりをして、それでこの子たちを引き取るというアイデア、このアイデアにたどり着くまでも本当に紆余曲折があったんですが、そういうのでできないかということで始めまして、かれこれ2年ぐらいですか、創業してから3年目ぐらいに入るんですが、今からお見せします映像でも支援をしております。私のやっているソーシャルベンチャー・パートナーズという支援団体なんですけれども、片仮名が多くて申し訳ないんですが、そこで始めまして、東京の江東区から始めて、この3年間で約12か13の区に広く展開し始めています。
そういう意味で、ソーシャルビジネスといったときに特定の地域から始まり、特定の場所でカリスマ的に非常に魅力のあるリーダーが始めたものというのが、今までは同じ地域にとどまりやすかったと思うんですね。あの人がいるからと、あの人がいるうちはまだいいんですけれども、あの人が病気になったり、あの人が年をとってしまったときに、そのサービスがなくなったら、例えばグッドウィルが突然倒れたらすごく困る人がいるわけで、それをどう継続し、そしてほかの地域まで展開するか。やはり困っているお母様は東京にはたくさんいて、大阪にもたくさん、そしてほかの地域にもたくさんいるはずなので、それをどう継続し展開していくかというところで、ビジネス、経営に携わっている人たちの力が、何とかもっともっとこういう社会的に弱い者のために生かせないかという発想で、この分野が広がり始めているのではないかというふうに考えております。
そういう意味で、ここの会場にいる方、僕の前にも後ろにもいろんな方がいらっしゃると思いますけれども、それぞれの持っている方々の持っている得意、会計がわかるよとか、地域の人をいろいろ知っているよとか、そういう力を1個1個うまく重ね合わせて、そして、それを志のある若い人であったり、もしくはリタイア前後の方でも、やはり地域に何かしたいという方とアイデアを持っている方がいると思うので、それを組み合わせて一つの形にできないかという実験をさまざまなところで、僕が動き出したのは2000年ぐらいからなので、8年ぐらいやってきております。その報告も兼ねてお話をさせていただきたいと思っております。
それももう一つ、僕としては本当に自慢というか、うれしい話でして、私のゼミにいた柳明菜さんという子が八丈島に合宿にみんなで行きました。何をしたかと言いますと、その合宿中に島にある宝物を見つけてこようと。外から見て絶対にすばらしいものはたくさんあるはずで、それをみんなで冒険をして見つけてきて、それを島の人たちにプレゼンをしようということで、島に大学生が帰ってきたというなぞのポスターが八丈島に散らばりまして、それを実際に私たちが合宿をしている間に、彼女が、私この島で映画を撮りたいと。こんなきれいな島、こんなすてきな島があるのであれば、実は八丈島というのは、流刑の島であったこともありまして、実はバトルロワイヤルであるとか、トリックであるとか、ほかにも石原裕次郎などなど、さまざまな映画の撮影のメッカであったらしいんですが、実は暗いイメージの映画が撮られることが非常に多くて、それも非常に残念だったということもありまして、彼女が、実は本当にこれも紆余曲折たくさんあったなんですが、映画を1年半かけて撮り切りまして、今週あったんですけれども、大学でお披露目会をし、最後、エンディングテーマはいろんなご縁で、サンプラザ中野さんが歌ってくださいまして、内容的にも非常にプロレベルのものができ、今ハリウッドに行くという話も出てきております。そういう意味で、若者の力はばかにならないというか、大きな望みや絵を描いた若い人、もしくは志を持った人があらわれて、いろんな人が協力して何かが生まれてくるというのを目の当たりにしております。
ちょっと前置きが長くなったんですが、そういうわけで、ちょっとまず最初に、私がやっておりますソーシャルベンチャー・パートナーズという、ビジネスマンが集まってこういうソーシャルビジネスをみんなで支援してみようという試みが、先日、ニュース23で出まして、ちょっとご反響をいただいたんですけれども、それを流していただいていいですか。よろしくお願いします。
〔ビデオ上映〕
○井上代表 ありがとうございます。
こんなことをしております。また、細かいことをご質問などあったら、ぜひ後で聞いていただきたいんですけれども、今、一口10万円で大体70人ぐらい人が集まっています。正直言って募集には全然困っていなくて、普通に公募すると物すごい人が集まってしまって、僕たちの運営が追いつかないので、小さくしか公募をしていないというのが正直な状況です。同時に、中間支援組織なので、しかも集めたお金はなるべく現場に落としたいということで、なかなか人件費をどうやって作り出すか、ビジネスモデルを実はSVP自体が持っていないので、これをどうやって確保していくかということに、例えば都市銀行さんが年間300万円からなんですけれども、支援してくださるという話が出てきたりなんですが、ここはやはり、どの中間支援組織も自分たちの経営基盤をどれだけしっかりしていくかというのは、大きな課題でもあります。そのへんの話はまたさせていただきたいと思います。
残り30分強の時間なんですけれども、少なくともソーシャルビジネスというのがどういう感覚なのかというのをお持ち帰りいただいて、強みも弱みもなるべくそのままお渡しして、三重でどうしようと考えていただきたいので、ちょっと皆さんとお話をしたいと思っています。
恐らく、「いろどり」が有名なので、知っている方はどのぐらいいらっしゃいますか。手を挙げていただいていいですか。ありがとうございます。結構ご存じですよね。これは徳島県上勝町で、要は葉っぱを使って、おじいちゃん、おばあちゃんに料亭に出るつまと、添えてある葉っぱですね、あれをタイムリーにきちんと提供することでビジネスを作っていったというような、よく知られる事例だと思います。一見何もなかった地域に、地方に、その地域にある葉っぱを使って料亭に出していく、そのアイデアを実現していったということでよく知られているんじゃないかと思います。
そんな形で、先程も少し出ましたけれども、今非常にこれ、ムーブメントになりつつあります。よく知られるのが、ちょっと出ていたムハマド・ユヌスさん、これはマイクロファイナンス、小口の融資で、ノーベル平和賞を2年前に受賞した人です。ユヌスさんのしたことをご存じの方、結構多いんじゃないかなとは思うんですが、簡単に申し上げますと、バングラデシュの貧困層の人たちがお金がないと。これまでは援助でもらってきたんですね。もらうだけであった存在に、同時に何かをしようというときに、どの銀行も彼らにはお金を決して貸さなかった。その人たちを5人組という形でグループになってもらいまして、その人たちにお金を貸していこうと、まずは小額で、そうすると、今までもらっていた人たちが自分がお金を借りたということで、例えば牛を購入して農業を始める。もしくは小さな商店を始める、一通り回して、お金を返せるというのは非常に大きな喜びらしくて、1万円借りて返した後、今度は10万円借りよう、またそれを返してというように、事業をこの社会の中で回していくということが、この社会の中で彼らの居場所を作っていくんですね。そういう意味で、収入だけではなくて、彼らの自尊心を取り返していく機会になっていったというのがこのモデルの非常に大事なところで、なおかつ、この仕組みが非常におもしろいということで、東南アジアを中心にかなり多くの国々や地域、世界中に広まっていったという意味で、一つの地域から始まって、大きく広がっていった重要な仕組みを作った人、そういう意味でもノーベル平和賞をもらった偉大な事例だというふうに言われております。
ちょっとこういうことというのは、余りこういう委員会でしないと思うんですけれども、ちょっとお隣の人とおしゃべりをしてほしいなと。ずっと聞きっぱなしだったと思うんで、後ろの方もお願いします。これはよく学生だけでなくてビジネスマンの方とかもやってもらっているんですけれども、何でもいいので、ちょっと今から二、三分、お隣の人と相談してもいいです。最近気になること、ダイエットできないとか娘としゃべれないとか、妻とうまくいかないとか、そんなのでも何でもいいです。英語が勉強できないとか、何でもいいので、身近な問題、気になることを2つ、できれば身近なものがいいです。2つ挙げてみて、ちょっと考えたうちの1個取り上げて、どうしたら解決するか、どんな解決でも何でもいいんです。どんなアイデアでもいいので、ちょっと問題解決ゲームをしてほしいんですね。ちょっと今、その後にちょっとお隣の人はそれをちょっとシェアしてほしいので、まずはちょっと手元の紙か何かに何でもいいので2つぐらい書いて、どうやったら解決するか考えてください。いきなり宿題です。よろしくお願いします。後ろの方もですよ。
3分ぐらいちょっと出してみて、その後にお隣の人と解決策をお互いに考えてください。ちょっと何人かの人に言ってもらおうかなと思っています。
〔話し合い〕
○井上代表 ぼちぼち何か1つ、どうしたら解決するという何かアイデアを2人で作ってください。どうしたら解決しますか。そうなんですよ、どうたら解決しますか、知恵をください。
くだらないアイデアでいいので。そういうのがすごく大事だと思います。
本当はこれを実は丸々1時間半、大学でやったりすると大騒ぎになって、入学したての学生たちが目をびっくりさせて、おれたちってすごいとか思い出すんですね。こういうのは非常に重要なんですけれども、ちょっとどなたかにお聞きしていいですかね、どんな話したか。こういうときは当然、委員長。
○稲垣委員長 私は副委員長と話をしまして、問題というか、気になっていること、たばこという話を。同じような話をする人があるのかもわかりませんけれども。2人とも吸うものですから、たばこが問題なのかなという話をしながら、ただ解決策というのは、余りたばこについて、禁煙とか何とか、そんなことを世間が騒ぎ過ぎなんじゃないかと。そっとしておいてもらう方がいいんじゃないかというのが解決策でした。
○井上代表 ありがとうございます。
ほかにそちらのたばこのお話しされましたか。どうですか。
○西塚委員 1,000円くらいに値上げされれば、やめられるかなと。
○井上代表 ああ、それは大事ですね。後ろの方は。たばこ関係は。吸われる方はいますか。いっぱいいますよね。
○井上代表 ありがとうございます。
こういうことをすると何がおもしろいかというと、大体1人の人が出会っている問題というのは、ほかの人も絶対に同じような人がいるんですね。一方の人がこんなことはいいんじゃないかと言うと、そうするとほかの人が、じゃ、こういうことがあるからと、こういう人を知っているとか、こういう解決策があるんじゃないかと。これが多分、解決策の市場だと思うんですね、マーケット。こういう場所で誰が集まっても、こういうことってできると思うんです。
これをいかに地域の、先程田尻さんが場づくりと言ったんですけれども、これをどれだけこういう場を作れるかどうかということが、実は日本には必要なものは全部そろっていると思っていて、お金も人もいろんなものも。これをどれだけどうやって知恵を出せるかということなのかなというふうに思っています。
ちなみに言うと、禁煙に関しては、詳しくは知らないんですが、たしか禁煙マラソンというおもしろい仕組みがあって、みんなで禁煙組合みたいのを作って、お互いに励まし合って進んでいこうみたいのがあって、そういう仕組みがあったりとか、いろんな人がいろんなことを考えていて、恐らく1つ言えるのは、こういう小さなほかにもいろんな問題が出てきたと思うんですけれども、すみません、名前を読んじゃいました、じゃ、野田委員、どんなお話をされましたか。
○野田委員 髪の毛を増やすにはどうするかということと、もう一つは、禁煙なんですわ。禁煙は我慢することやなと。だけどストレスが出たらどうするんやと。髪の毛を増やすためにはどうするかというと、まず頭皮をきれいにすること。
○井上代表 なるほど。大事ですね。
○野田委員 頭皮をきれいにするだけのケアができない場合どうするか。そこまで行って終わったんです。
○井上代表 かなり深く掘り下げていらっしゃいますね。
○野田委員 一応2点挙げて。
○井上代表 すばらしいです。ちょっと山田君、座布団て感じですね。ありがとうございます。まさに本当にこういう話で、要は髪の毛の話とかって全くこのままビジネスなんですよね。やっぱりこういう形でニーズというのは、本当は人の数だけ埋まっていて、そこから事業化というのが本来始まるんじゃないかなというようなことを思っております。
そういう意味で、実はソーシャルとビジネスってそんなに遠いものじゃないんじゃないかなと。そういう意味でソーシャルビジネスという言葉を使っていくのはおもしろい、もしかしたらきっかけの一つになるんじゃないかなと思っています。
ちょっとこういう遊びをして、あと20分ぐらいかな。さささっといきたいと思うんですが、今の話が非常に大事な話でして、じゃ、ソーシャルビジネスって何だろうということで、少し、これは教科書的な話ではあるんですが、今、いろんなことが起きていると思います。これ、ちょっと見にくいんですが、大ざっぱに言うと、ビジネスが左から右に、一番左が普通のピュアな純粋なビジネス、右側がピュアなノンプロフィット、すごく非営利的なものが右側です。最近、左側から右側の流れというのがあって、市場が社会性を評価するようになったので、トヨタのプリウスであるとか、福祉関係の新しい機器であったり、環境に配慮した云々というものが市場にも受けるようになってきたというので、ビジネスが社会化し始めているもの。もう一つが、これから説明しますが、通常のNPO活動の中で、もっと事業を始めてもいいんじゃないかと。つまりビジネスを始めようよという流れがあって、それが今、合わさり始めている。重ね合わせる中から、そもそもビジネスって何だっけなと、事業って何だっけなという話も問われているのかなというふうに思っています。
ちょっとこれは外国の例が多いんですが、環境系のビジネスだったり、これは若い女の子が好きですが、ボディーショップという化粧品会社は非常に環境などに考慮していたり、人権問題を考えていたりとか、こういういわゆる社会に優しいというか、社会に意識の強いビジネスがいろいろ出てきているのと、同時に、これはこの文脈ではよく語られるんですが、スワンベーカリーはご存じの方ってどのぐらいいらっしゃいますか。手を挙げていただいていいですか。まだ、頑張りが足りない。
スワンベーカリーは運輸会社のヤマト運輸を立てました小倉昌男さんが始めた事業です。彼がいわゆるリタイア後というんですか、次の人生の挑戦として、普通の作業所で働く障がい者の方が、普通に働くとせいぜい月3,000円からよくても1万円しかもらえない状況を見て、これは実は自分から見ると、もっと経営をきっちりすれば稼げるのではないかと。そうではないと、きちんとした自立というのはできないし、そこで自分が何かできないかということで、きちんとした経営、特にパンはタカキベーカリーというアンデルセンをやっているパン屋さんと提携して、おいしいパンを作っています。
特に僕がよく知っているのは赤坂店なんですけれども、赤坂店は、周囲にスターバックスであるとか、さまざまなコーヒー屋さんがいっぱいある競合地です。都内一の競争が厳しい場所でもあるんですが、そこでおいしいコーヒーを出して、そこできちんと稼ぎを生み出している。お客さんの九十数%ぐらいは女性、周囲のOLさんで、ここはおいしいから集まっているという形で、経営をしております。
1つ聞いた話ですが、実はスターバックスコーヒーがここを見て、これはびっくりだということで、店長会議をここでやらせまして、実は知的障がいの方でもここでこういうふうに仕事ができるんだ、しかも働いているうちに成長するらしいんですね。いろんなことができるようになる。それを見まして、スターバックスでも障がい者、日本でも障がい者を雇用できないかということを検討し、実際にその後、スターバックスが知的障がい者を雇用するきっかけになっています。これはもしかすると一つの社会的な変革というんですか、いわゆるイノベーションではないかというふうに僕は思っております。
同じように、これは余りご存じの方はいないかもしれませんが、ココ・ファームアンドワイナリーというのが足利市にあります。これは栃木県足利の山の斜面を切り開いて、川田さんという、今や結構ご高齢の方なんですけれども、普通だったら、例えばガラスを割ってしまったりしてとまらないような障がい者の方たちが一緒にブドウ園を開くと。労働する中から、今まででは考えられなかった症状の改善が見られたりとか、そういうことをする、要は汗を流すことで何かが変わるよねということで始めた施設で、せっかくブドウ園を作るんだったら、じゃ、ワインを作っちゃえということで、ワイナリーを作ったのが今から25年ぐらい前ですか、1980年です。
ここで作ったワインが実は非常においしいものになってしまいまして、実はこれは仕事を作るために始めたワインなので、非常に手が込んでいまして、ここのワインですが、収穫祭、おいしいというので、収穫祭に毎年1万5,000人とか2万人というお客さんが特に他県から集まりまして大騒ぎになると。通常の日本のワインの本にも必ずこのココ・ファームは載っております。ここのワインがどうして有名になったかといいますと、実はソムリエの田崎さんが非常にここのがおいしいということで、沖縄サミットの主賓に出すシャンパンに指名されて、そこが実はこんなワインだったというので、後でわかって、有名になっております。
もう一つ同時に加えたいのが、こういう地域で始めたビジネスがやはり共感性が高いというんですか、志があるというか、おもしろいというので、やはりココ・ファームを手伝う人たちというのが地域の周辺にできて、ここを中心にやっぱり場ができるんですね。ココ・ファーム仲間というので、商工会であったりとか、地域の銀行であったりとか、いろんな方たちがつながって、また新しいいろんな挑戦を始めるような話も聞いたことがあります。そういう意味で、社会性のある、社会的な目標や目的のあるビジネスというのは、もしかすると副次効果が大きいのかなということも考えたりします。こんな感じで結構おしゃれで、とてもおいしいものがもらえます。
少し、皆さんの中で混乱がないかなというので、ソーシャルビジネスといったときに、ちょっとこれ、ささっとこの前、打ち合わせのときの話に出たのをまとめたんですけれども、これはちょっとおもしろいと言われたので、3つあるんじゃないかというふうに思っています。1つが既存のマーケットの、いわゆるニッチといったりするすき間、今のビジネスの市場の中で始めようとするものですね。これはいわゆるよくあるベンチャーフェアとか創業フェアに行くと、やはり最近ですと医療だったり福祉だったり環境であったり、そういうものが多いと思うんですね。つまり、今皆さんにお話ししてもらったものの中にもたくさんあったと思います。社会的な問題や地域の問題というのは、実は市場性があるんじゃないかということが1点目。
もう一つが、今お話しましたように、障がい者であるとかホームレスであるとか外国人であるとか、今まで市場の外に置かれていた人に市場に入ってもらって、実はやれることが相当ある。そこで新しい社会を作っていこうよという流れ。市場の外から中に参入していくという流れが2つ目。
それから3つ目は、これは今回の話からはちょっとフォーカス外かもしれません。範囲の外かもしれませんが、市場の外で持続モデルを作る、これは通常のNPO、先程の図でいうと右端の方ですね。それこそ孤児院で子どもを働かせたらちょっと児童労働ですし、それから森を守りたいというのも、本当に純粋な自然保護というのは、なかなか事業モデル、ビジネスモデルは作りにくい。ただ、寄附というのも、実は考えてみると、ただ寄附ください、お願いしますと言っていても集まらないですし、僕も正直、駅前で寄附くださいと言われるのをあげるのは僕は大嫌いなんですね。あれはやっぱりどう使われるかわからないし、何でお願いばかりされてもとてもとても、お願いするぐらいだったら使い方をちゃんと教えてくれというふうに思っていまして、そういうことを思っている普通のビジネスマンはいっぱいいると思うんです。そういう意味で、本当は寄附というのも物語を売って寄附をもらうビジネスなんじゃないかと。そういう意味で果たすべき責任はきちんと果たし、きちんと継続的にもらえる仕組みを作れるんじゃないか。
そういう意味で、1個だけ事例を挙げますと、ほかにもいろいろあるんですが、これはおもしろい試みを今いっぱい出ているんですが、例えば、ここにちょっと書いていますエイズマラソン、これは日本ではそんなに似たものはまだ多くない、多少あるんですが、どういうことかといいますと、エイズ関係の活動をしている団体がマラソン大会を大きくやるんです。ニューヨークとかで大きくどーんとやっています。そのマラソン大会でマラソンの出場者を募集するんですが、そのマラソンの出場者たちは、僕がこのマラソンをするのはエイズのためだと。エイズ問題に何とかしたいから、だから僕がもし完走したらいくらいくら寄附してくれと周りに言うんです。本当は本人はそんなつもりは全然なくて、エイズはどっちでもよくて、本当はメタボなんですよ。運動しなきゃいけなくて、健康になりたいんだけれども、でも何か理由がないと絶対続かない。さっきの禁煙みたいな話で、何か、本当は人間って恐らく余り純粋じゃないというか、不純な動機の方が動きやすい部分がきっとあって、やせたいという気持ちとエイズを何とかしようという、うまくマッチングして、そういう寄附モデルを作ったりしています。なので、本当は、ただただお金をくれというだけの寄附の集め方だけではなくて、相当まだまだ深みがあって、寄附モデルだから不安定だと決めつける前にやれることは相当あるんじゃないかなと。ここは実は、普通のビジネスでいうお客さんのことをちゃんと考えるということが、普通のNPOはどこまでできているかなということの問いかけでもあるんじゃないかなというふうに思っております。
そういう意味で1点だけ、これは2つ目になるのかな、なぜ通常のNPOが事業を始める、ビジネスを始める必要があるのかということの理由はいくつかあると思うんですね。皆様にもぜひこれは考えていただきたいんですけれども、一つは資金源が不安定である、だからきちんとお金を稼がないといけないということは1つあると思います。もう一つが、重要な点なんですけれども、考えていただきたいんですが、NPOのビジネスモデル、いわゆる収入のモデルってどうなっているかというと、テレビ局とすごい似ているんですよ。要するに、視聴者がお金を払っているわけじゃないんですね。自分たちがやっている福祉施設のおじいちゃんやおばあちゃんや障がい者の人たちにサービスを提供して、その人たちから直接お金をもらっているわけじゃないんですよね。そうじゃなくて、ほかに寄附者や行政の方がいて、その人がスポンサーなんですよ。そうすると、テレビって、要はつまらない番組をどんどん垂れ流したって、視聴者が多少おもしろくなくてもスポンサーがOKと言えば済むんです。
それと同じ仕組みで、普通のNPOは寄附に頼っている限り、なかなか顧客意識が出てこなくて、例えば僕シイタケが実はすごく苦手なんですが、僕がシニアになってシイタケが嫌いですと言っていても、恐らく大事な支援者の方が今日おいしいシイタケがとれたわよと言って持ってきてくれたら、多分すごく恐ろしいことに、シイタケは今日の鍋にいっぱい入ってくるわけなんですね。お願いだからやめてと言っても、やっぱり支援者が大事なので、そういう意味で顧客意識というものが、今の普通のNPOのモデル上、なかなかつきにくい。そうすると、結果として、スポンサーである行政の方から、例えばお金をいただいた場合に、お客様のためになるような、一番最善の効率のよい使い方をしないでも、行政の方にとにかく顔だけ立てられれば続いてしまうということで、普通のビジネスに比べてはるかに甘い顧客意識で続けることができる。
それだったら、例えば今のココ・ファームのように、何かビジネスをやってもらって、お客さんに直接ワインを売るという経験をすると、収入のすべてがそのワインから入らなくても、経営の意識が相当変わるんじゃないかと。そういう意味でも、事業をNPOなり市民活動が始める意味というのはあるのではないかというふうに思っています。
繰り返しますと、1つ目はお金をちゃんと稼ぐ、2つ目はお金を稼いでお客さんと出会うことによって、きちんとした顧客意識を持つ、ちゃんとした経営をしようという意識を持ってもらうという意味でも、事業を始める意味はあるのではないかというふうに思っております。
あと10分くらいなんで、ちょっと最後はぱぱっと行きたいと思うんですが、改めてこのソーシャルビジネスをする社会起業家というのがどういう人たちなのかなというのを振り返ってみたいと思うんですが。ソーシャルといいますと、これ、逐一話すとまたもう1時間必要になるので、二宮尊徳はどうなんだろうとか、彼はもともとは農村振興のファンドを作ったりとか、さまざまな農法を広げたりして、実はまじめに勉強しただけではなくて、大変な事業家でもあったと言われております。右下はガンジーさんですが、ガンジーさんは事業家だったかどうかはわかりませんが、非常に社会を変えた人ですね。逆に、いわゆる起業家といったときに、では松下幸之助はどうなのかと。それから盛田昭夫さん、僕は大ファンだったんですけれども、どうなのか。または、マイクロソフトのビル・ゲイツはシアトルの地域に非常に貢献をしていて、私、シアトルに住んでいたことがあるんですが、とても尊敬もされております。
こう考えますと、実は時代時代に合わせて社会の定義というのは変わりますし、松下の創業の頃においては、やはり松下電器が大きくなること、雇用を生み出すことが非常に大きな社会貢献だったのではないかとも思いますし、この分野というのはもともと随分重なっているんじゃないかなというふうに思います。同時に、今若い人たちがこういう分野に興味を持つという理由の一つに、どうもイチローであったり、中田であったりが働き方が格好いい、あり方が格好いいと、私がどうしてもやりたいことを追求して、そのプロになり、彼ら2人とも何度も失敗したり転んだりしても立ち上がっていく、その姿を見て、どうも生き方、働き方としても、この分野に非常に強く興味を持っているような気がしております。また同時に、皆様に今お話していただいたように、そういう人の火種というのは非常に身近なところにいっぱい眠っているのではないかなと思っています。
定義の話を余りするのは好きではないんですが、これ、現象が先行していて、世界中で定義というのはまだまだ一定しているわけではありません。ですが、2つだけ、今日大きく分けて2つある、それの両方をつなげるのが大事だと思っておりますので、ちょっとお話しさせていただきます。
1つ目が、社会起業家といったときに、いわゆる起業家の定義をどう考えるかなんですね。いわゆるビジネスを始める人というふうに起業家の定義を、普通の定義です、を考えた場合、今お話ししましたように、NPOでやるようなこと、社会に何かよいことをビジネスとして行って、何か変革を起こしていくということをいうのが、実はソーシャルエンタープライズ・スクールと英語で言うんですけれども、ここでは便宜上、社会ビジネス学派といっておきます。そういう人たちが1ついます。これはどちらかというと小さな定義でして。もう一つが、実はこれはコミュニティビジネスとソーシャルビジネスは何が違うかに近いんですけれども、もう一つは、社会に何か変革を起こす、社会イノベーションを起こさなければいけないんじゃないかと。
こっちはちょっと字がいっぱい書いてあるんですけれども、今、小さく始めたこの事業が、どうやってより多くの人たちに広がっていくか。三重から始まり、全国に広がり、世界を変えるような、もしくはその事業そのものが広がらなくても、その人の姿がモデルとなって、いろんな人をはっとさせるような何か意味がある、これは後でお話しますが、投資という意味でも考えた場合、大切な、例えば行政の持っている予算をどこのNPOなり社会ビジネスに入れるかということを考えたときに、やはり1万円入れたものを僕たちのソーシャルベンチャー・パートナーズでいえば10万円入れたものをやっぱり100万円、200万円、1,000万円の価値にしてくれるような団体が非常にやはり大事なんじゃないかと。そういう意味で、より大きなインパクトを生み出すところに出しておこうよというのが社会イノベーション学派といわれる人たちです。
このことをもうちょっとわかりやすく説明したいと思います。これが僕たちのしている投資の概念にも非常に近いので、すみません、ここ、英語のままなんですが、セオリー・オブ・チェンジ、つまり変化の法則とか変化の方程式という言い方をよくします。これは海外のNPOなどの、もしくはソーシャルビジネスのホームページによくこういう言葉が書いてあります。英語ができる方がいればぜひ見ておいてほしいんですけれども、簡単にいいますと、1つ事例を挙げます。これはティーチ・フォー・アメリカというアメリカの団体なんですけれども、何をしているかというと、非常にシンプルなんですね。貧しいエリアの貧しい地域の学校にいる子たちが、子どもたちにいい先生がついていない。問題を彼らはこういうふうにとらえたんです。こういうふうに構造化したんですね。いい先生がいないから学力が上らず、そのままいい経歴が作れず、貧しいままであるという負のサイクルが負のシステムが今ぐるぐる回っているんじゃないかというふうにとらえました。これの①、②、③を全部相手にするのは、実はある大学生が始めたプランでした、とても手が回らないし、今NPOの方が多いと思うんですけれども、情熱を持って始めているものの、だんだん疲れてきてしまって、いろんな人に期待はされるけれども、もう疲れ果ててバーンアウトしてしまう、つまり体を壊したりしてしまう。僕の身の回りにも随分出始めているんですが、NPO法施行後10年たちまして。
そういう意味で、どこをてこのポイント、レバレッジというのはてこという意味ですね。どこにてこを入れると、ぐぐっと変わるのかというポイントを探しまして、彼らは、このよくない先生をよい先生にかえれば違うシステムになるんじゃないか。つまりよい先生が来れば学力が上って、その地域の所得も増えていくということを思いつきまして、こんなにシンプルな話に落ちるまでにもちろんすごい時間がかかっているんですよ、彼らも。何をしたかというと、全米のよい大学から2年間の約束で、貧しいエリアに大量に先生として送り込んだんです。すごくいいトレーニングをして。その結果、さまざまないろんなよい結果が出まして、今や実はこれはNPOなんですが、全米の人気就職企業ランキング、それこそ有名な企業、IBMとかが入っている中、10位に入っています。ここに行くと、実は貧しい地域ですごくいい経験ができて、リーダーシップがつく。また、そこの人材がすばらしいので、ほかの企業もとりたくなってしまうということで、そんなことが起きていたりしています。
もう一つだけ事例を簡単に言いますと、先程の出てきましたビッグイシュー、日本でやっております。駅前でホームレスの人たちがこうやってビッグイシューですと言って、雑誌を売っているんですね。これも非常にはっきりとした変化の法則があって、大体これは、もし何とかならほにゃららとなるというふうにまとめられるんですけれども、もし、ホームレスたちが駅前で雑誌を売ることができて、それが売れたならば、ホームレスたちはそれによって収入とそれから世の中の自分が生きていく場所があるという尊厳を取り返して、自分が自立していく方向に向かっていくんだという、この変化の方程式があるんですよ。
なので、僕が考えているのは、ビジネスモデル、収入モデルを持っているソーシャルビジネスが、それはそれで大変なこと、すごい評価すべきなんですが、それと同時に、どんな変化の方程式、例えば行政から、市民の方からいただいたお金をどう使って、ただ頑張るだけではなくて、どういう方法で問題を解決しようとしているかという型を持とうとしている、もしくは持っているかということが非常に大事だと思っております。そういう意味で、実は先程のみやじ豚さんであったりとか、マドレボニータという団体も実はこの点を見ています。そうすると、この団体が一つのビッグイシューがうまくいくと、それが大阪から始まって、それこそ東京に行ったり仙台に行ったりというふうに拡散していく可能性がある、そういう意味で投資価値があるんじゃないかというような考え方をしてみております。
それが広がるということが1つ、社会に対する大きな変革であり、もしくは三重の一つのどこかの地域で始まったものが全土に広がっていくんじゃないか。そんな発想が重要ではないかというふうに思っています。
これは展開をしていくのが大事だということですね。ちょっと大分時間がなくなってしまったんで、スライドを用意し過ぎたかな。このへん、自己紹介を改めてしようと思っていたんですけれども、ちょっと飛ばします。私は、簡単に言いますと、大学を出てから、ワシントンDCへ留学をして、ワシントンDCの州の政府で一時期働きまして、民間のコンサルティング会社、ビジネスセクターにもいました。その後、今から簡単にお話しさせていただきます社会起業家支援の方に起業といいますか、1回、お給料が半分以下に落ちたことがあるんですけれども、自分で始めていって、今その途中から慶應で教えませんかというお話が来ています。
すみません、これって何分ぐらいオーバーしていいですか。
○稲垣委員長 質疑応答の時間も欲しいんで、逆に何分ぐらい。
○井上代表 じゃ、あと10分ぐらいでお願いします。
それで、では、ソーシャルビジネス支援というのがどうなっているかというので、これ、ちょっと世界の事例と日本の事例が混ざっているんですけれども、すごく簡単に言いますと、これはハイ・コンテクスト、英語で書いていますけれども、片仮名で言っていますが、これは高い文脈でこれは、例えばロールモデル、いわゆるこういう事例があるよというのを表彰することですね。これは後でお話ししますが、僕はSTILEというソーシャルベンチャーのプランコンテストを2002年からやっております。ほかにも世界には、ここにちょっと書いてありますが、アショカという団体があるんですが、1980年頃から世界の社会起業家を表彰して、どの国でもどの地域でも孤独な戦いをしている社会分野で事業を行っていこうという人たちを表彰したり支援をしたり、すぐれた人を支援していくという形での支援の仕方が1つ目。
もう一つが、グラウンド・コンテクスト、つまり地に足のついた文脈という意味ですね。これは先程映像でごらんいただきましたSVPなどのように、1個1個の事例におつき合いをして、草の根からともにきちんとした事例を作って結果を出していこうと、直接かかわっていこうということです。そういう意味で、何かこういうのがあったらいいなと思う事例を見せることと、1個1個の事例を作っていくということ、先程の田尻さんの報告とも重なる部分があるかと思いますが、そういう組み合わせでムーブメントが起きていくのではないか、社会的な認知が上ってくるのではないかというふうに思っております。
そういう意味で、2002年から私自身、ETICというNPOで社会起業向けのプランコンテストを開いております。この話もいずれ機会がありましたらお話させていただければと思いますが、今の若者は実はすばらしいということが感じられる、毎年なぜか、人がオーディエンスも本人も涙の出るビジネスプランコンテストは初めてだと、審査員によく言われているんですが、さまざまな人たちが飛び出しております。これはまたいずれ機会がありましたら。
それから、もう一つが今皆さんに見ていただいたソーシャルベンチャー・パートナーズ、これは実はアメリカから始まった仕組みなんですが、僕が日本に随分いろいろとアレンジをして、好き勝手に作り変えて持ってきて、やってみています。
これは先程の仕組みですね。ビジネスパーソン、皆様のようないろんな方々の時間とお金を組み合わせて投資をしようということで、投資先もまたいくつかあります。また質疑のときなどに質問あったらお話します。
ここで大事なのは、お金と経営の支援を組み合わせるということなんですね。多くのソーシャルビジネスなりNPOなりやっていらっしゃる方というのは、お金だけ受け取っても恐らくつなぎ資金にしてしまって、それをどう使えばいいかがわからなかったりする。そこに会計であったりとか、それから組織管理をこうするよとか、現場は彼らの方が知っているかと思います。障がい者の方だったりとか、ですが、例えば商品開発であったり、戦略をどうやるか、さまざまな形で実は周りの支援ができるビジネスマンであったり、いろんな方、役所の方などいると思います。そういう意味で、私たちが実際にやっている事例を少し言いますと、例えば新聞社の方がフローレンスという団体のためにプレスリリースの書き方を教えたり、というのはこれは朝日新聞の方なんですけれども、いつも毎日ファクスをたくさん受け取る、その中で、どさっと見ないで捨ててしまう中で、どうしたら目にとまるかというのは、受け取る本人たちがレクチャーするのは非常に効果的だったりします。
などなど、さまざまな形で支援をして、僕たちが入れたなけなしのお金の投資の効果をどれだけ大きく見せることができるかと。ともに最大化していくと、そういう形で、支援もしくは投資活動をしております。
これが最後の点になるんですけれども、そういう意味で、実はこの私がやってきたSTYLEという社会起業コンテスト、それからソーシャルベンチャー・パートナーズなどもそうなんですが、ほかに慶應大学の周囲もそうです。こういうことをしていこうという群れができ始めているんですね。いわゆる創業支援、起業支援といったときに、第2、第3のホンダやソニーをいかに生み出すかという発想が多いかと思うんですが、大きな魚を1匹釣り上げるには、やはり魚を群れで育てなければいけない。そこにはいろんな小魚がいっぱいいて、いろんな挑戦者が普通にいると。その中で、例えば魚のほかにタニシがいたり、プランクトンがいたり、それから海藻がいたり、何でもいいんですけれども、要はお金を出す人がいたり、励ます人がいたり、それから会計を見る人がいたり、PRを見る人がいたり、人事管理を教えてあげる人がいたり、さまざまな形でそれらがくっつき合って、決して起業は起業家1人では成功するものではないので、そういう生態系をどれだけ作れるかというのが非常に大事なのではないかというふうに思って、丁寧に、本当に手間がかかるんですが、生態系を作るということをやってきております。その結果が、まずはまだまだこれからなんですけれども、先程最初に見ていただきましたSFC、慶應からたくさんの社会起業家が出始めていると、まだまだどれも小さいものなんですが、という一つの中間結果ですけれども、それにつながっているのではないかというふうに考えております。
そういう意味で、今後なんですが、またこの後の質疑などで皆様と一緒に考えたいのですが、やはり1つ重要なのは、この生態系をどうやって作っていくかということで、大学という場を活用する方法もいろいろあるかと思います。後の議論でお話を皆さんとしたいと思います。それからすぐれた中間支援組織を作り出すために、実は私自身やっていて常に問われるし、自分自身に問うているんですが、中間支援組織という真ん中にいる人にこそ起業家精神が必要であると。起業家たちは自分の人生をかけて一生懸命何かをなし遂げようとしている、それを支える側がお気楽にお仕事でやれるものではなくて、やはりいろいろな知見が集まる場所でもあるので、その人がどんな思いでどんな戦略でそれをやっていくのかということで、真ん中にいる中間支援組織こそ、腹を決めなければいけないと思っています。
そういう意味で、仕組みだけ作るのではなくて、その中間支援組織を行うプロデューサーをきちんと地域で見つけなくてはいけないのではないかなと思っています。そのプロデューサーの周りに集まった起業家やその支援者からなる生態系、いろいろな複雑な生態系を作るのが大事なのではないかということを考えております。ちょっとまた後で、時間がありましたら一たんここまでにしまして、慶應SFCでこんな授業をしていますとかという話もありますので、またそれは時間などありましたらご紹介させてください。
一たんここまでにさせていただきます。ありがとうございます。(拍手)
○稲垣委員長 ありがとうございました。
それでは、田尻課長補佐と井上先生の方から今、貴重なお話をいただきましたが、限られた時間ですけれども委員の皆さんの方から何かご質疑がありましたら、どなたからか、よろしくお願いしたいと思いますが。
○三谷委員 どうも、今日はありがとうございます。いろいろ貴重なお話を聞かせていただきまして感銘を受けました。
実は、このNPO等ソーシャルビジネス支援調査特別委員会の前身で、約1年間私ども、NPO支援のための勉強会をやってきていまして、その1年間の議論の中心は、非常に経済的に、財政的に自立できないNPO等の活動を行政としてどう支援していくのかという、そこらへんが最大のポイントだったんです。
そういう中で、例えば東ヨーロッパ等でやっているような1%条例、そこらへんのところの勉強もさせていただいて、県税の、県の税金の1%を、納税者の意向に従ってNPOとか中間支援組織に支援ができないだろうか、そういう議論もさせていただいて、じゃ、それは団体に対してするのか、それともそういう事業に対してするのかと、そういう議論もしていたんですが、なかなか一長一短の話がありまして、うまくまとまってはきていないんですが、それの延長線で今回の特別委員会、さらにソーシャルビジネスまで間口を広げて議論の対象にしているんですが、それは行政からそういう団体だとか事業だとか、そういうものに一定の支援をしていくということになれば、今の話ですと、そういう事業性等もきちっと目を開きながらやっていくべきなのか、それとももう少し純粋ボランティア系のところにまで目を広げていくべきなのか、そこらへんのポイントでご意見があれば、ちょっと教えていただきたいんですが。
○田尻課長補佐 それは多分、霞ヶ関的に言うと、こう何か役所によって、ちょっと支援の仕方が違ったりするのかなという感じはちょっとあるんですけれども、だったらその、どちらかというと経済産業省的に言えば、どちらかというと、将来やっぱり、経済産業省という名前もついていることもありですね、ビジネス的にこう回る仕組みのところに手を差し伸べて、新しい事業をこうどんどん作っていくのをサポートしたいなというふうには思っております。
ただ、それは別に、例えば今税の話が出ましたけれども、ベースがNPO一般という意味で言えば、今内閣府がその寄附金の税制とか、そういう話なんかもされていますし、あと、それは支援のやり方だと思います。今1%条例の話し、多分市川市なんかでやられているような例なんかは、別に恐らく、多分そういう、あえて社会的な活動に対する団体、NPOとかに対する支援をやりたいということで、別にそれは、何か余りその事業性をどこまでこだわるかというところまでは、別に見てはいないのかなという感じは持っています。それはむしろ、どういう活動に対して、三重県として支援をしていきたいのか、それが今後、それはでもボランティアというところでもいいのか、やはりその事業性のところまで見た人たちまでやるべきなのかというところは、当座は別にどちらでもいいと思いますし、それはどういうところに対して支援をしてあげたいかということになっていくのかなというふうには思うんですけれども。
○三谷委員 税金を投入するというのは、受け手の方も相当しっかりした受け手でないと、税金が投入できないんですよね。単にあげるという話じゃなくて、それがどう使われて、どういう効果が生まれて、それがどう社会的にはね返ってきているのかということが、我々が検証できなければ、税金を使うということができないんです。
そうすると、いろんなNPOの現状でいきますと、先ほども少しお話ありましたけれどもピンからキリまでこういろいろあってですね、そういうその会計処理もまともにできないようなところもたくさんあります。また、そういうところこそ、非常に財政的に困窮しているというところもありましてね、そのあたりのところで非常に我々の議論も行き詰っているというところがあって、今回投資という新しい考え方を教えていただいたものですから、そのあたりのところも、これから研究しなきゃいかんなとか思っているんですけれども。
○井上代表 ちょっと田尻さんのおっしゃったこととかぶってくるとは思うんですけれども、目的をどこに設定するかということによって窓口が変わってくるのかなというふうに思っております。
それで、今おっしゃったのは、多分2つの社会活動が混ざっているんじゃないかと。多分、僕はこれは、実は中小企業にも言えることで、要は普通の中小企業と、大きく三重から展開し発展するかもしれないベンチャービジネスと、恐らく違う。それで、それを支援しようとする者と、大きく支援する者等に対して投資をしようとする者は、もしかしたらちょっと違うのかなと。
それと同じことが、実は市民セクターも言えて、普通のNPOのすそ野というのは、僕はすごく重要だと思っていて、それはきちんと支援し、すそ野を広げていくという作業と、そのたくさんあるすそ野の中から革新的なソーシャルビジネスなり、革新的なNPOを探し出して投資するのは、ちょっと別の窓口なのかなということを思っております。
そういう意味でいうと、例えばですね、やはりその目的として、どういうものにこのファンドなり資金を入れたいのかというのを考えたときに、例えば、以前ちょっとやってみたことがあるんですけれども、経営状況を指標化、例えばちょっとしてみようよということで、革新性とか、財務安定性とか、リーダーシップとか、そういうのをいろいろ出してみて、こうやってこう、何というんですか、ダイヤグラムみたいなものを作ってみる。そうすると、実はいわゆる安全・安心アカウンタブルというんですかね、そういう安心感のある団体というのは、例えばユニセフだったりとか、プランジャパンだったりとか、フォスター・プランですね、であったりとか、こういわゆる既存の、今から入れても変わらないような団体ばかりが残ってしまって、だから日本の多くのNPOはやたら外資系で、それで予算規模が大きくて、それで何か毎年自分のお金が入れても、何か余り変わらないよねというのばかりになってしまって、そういう意味では、それだけをどうも機軸にしてはいけないと。
ですから、ちょっと整理し直しますと、普通のNPO系でいうと安全・安心アカウンタブルは大きなものだけではなく、いかにこれからのものにどうやってお金を渡して、すそ野を広げてもらうかという発想が1つと、もう一つは、そうではなくて、先ほどのダイヤグラムでいうと、大体イノベーションを起こすかもしれない、何かすごいことをするかもしれない団体って、こういうのを書いてみると、何か偏っているんですよ。危なっかしいけれどもおもしろいとか、何かリーダーはすごく魅力的だけれども財務はどうなっているのとか。それで、ここを行政側として、初めからここは絶対に大丈夫ですよ、だから入れましたではなく、このぐらいのリスクがあるものと、このぐらい安全なものとを、例えばポートフォリオを組んで行政として入れましたとか、危険度もきちんと説明をして、それでこれは投資ですと、社会的な投資ですということで、もしかしたらすごく化けるかもしれない社会ビジネスにもお金も入れるし、非常に安定度の高いものにも入れる、もしくはこのファンドはどちらかにしますということを示すということで、どうもいまだ、まだ私たちの社会というのは、NPOというものを全部同じに考えて、ビジネスだっていろいろあるのに、「NPOは」という言葉というのは「ビジネスは」という言葉ぐらい大きなものにもかかわらず、どうも一緒にしてしまうので、我々自身もそうですし、市民に対しても別なものだと、いろいろなものがあって、それはAとBとCですというふうに分けて見せられるかどうかが大事なんじゃないかなというふうに思っています。
○稲垣委員長 ほかにご質問は。
○竹上委員 すみません、ちょっといろいろ教えてください。
一番の、まだちょっと腑に、こう腹に落ちないところがありましてね、井上さんの話はおもしろかったです、ありがとうございました。
コミュニティービジネスとソーシャルビジネスの違いという話なんですよ。例えば100円ショップってあるでしょう。この前ね、外国で、こっちの私の町で働いていた子がオーストラリアへ帰って、そのときに、日本で一番さよならしたくないものベストファイブとかを発表したんです。堂々の第1位が何と100円ショップで、ない生活なんて考えられないとまで書いてあるんです。
それで、考えてみると、100円ショップを考えた人は、実は三重県が発祥なんです。それでね、社会的に与えた影響とか、いわゆるそのイノベーションというふうなのを考えると、社会に与えた影響というのはすごいものがあるんですね。それで、言ってみりゃ、これ、まさしく今の話でいくとですよ、ソーシャルビジネスに近いような気がしますよね。
ところがですね、行政の支援なんて言っておるわけにいかないですよね。これは1人のベンチャーの人間が考え出して、自分でやり始めたのが全国に広がったというふうなことなんだと思うけれども、そうすると、今のソーシャルビジネスとコミュニティービジネスって、どこが違いなんだというようなところが一番こう、わかるようでわからない。例えば介護事業ってありますよね。ソーシャルビジネスですかね、これね、考えようによってはね。そうすると、どこが違うのと。
それと、あともう一つが、私なんかは、実はこう行政が今本当にやらなくちゃいかんのは、多分中間支援組織というのを育てることが、多分一番の、これからの課題なんだろうなというふうに思っとったんだけれども、今日の井上さんの話でなるほどなと思ったのはね、中間支援組織こそ顧客意識がなかったら、それはもう無理ですよね、育たないですよねという話を聞くと、行政が介入すれば全くそれがなくなっちゃいますわね。行政というのは商売できない組織なんですから、そんなところに顧客意識を持つような中間支援組織が育てられるはずがない。
となると、私は、いずれはやっぱりそういう中間支援組織なりが、いわゆる自分でお金を集めてくるというのが理想なんだろうと。そのときには結局、お金を出してくれる方に、いわゆる最近よく、アイ・アール手法というやつなんだと思うけれども、あなたの出資がこんなふうなすばらしいものになりましたよというふうなことで集めてくるというのが多分理想なんだけれども、そこまで行くまでは行政が面倒を見るんだろうなという感じでいたんですけれどもね、どうもそれもおかしいよねと、今日の話を聞きながら思ったんですよ。
それで、聞きたいのが、行政というものがそういうような中間支援にかかわる上で、可能なのかどうかね、そういうものが、行政が育てられるのかという2点をちょっとお聞きしたい。
○井上代表 ソーシャルビジネスの定義、僕、言っちゃっていいですか。
○稲垣委員長 井上先生、お願いします。
○井上代表 多分これは委員によって多少の言うことが違うと思われるので。
正直言いまして、ソーシャルビジネスもコミュニティービジネスも、僕はどっちでもいいんですけれども、ただ、コミュニティービジネスの話が出てきたときと今の現状は、ちょっと違ってきたかなという部分がありまして、それはコミュニティービジネスという言葉が出てきたときは、やはりそれぞれの地域でのイノベーションを意識していたと思うんですね。ただ、この言葉が広がっていくたびに、どうも、したがって、コミュニティーでビジネスすることがコミュニティービジネスになり始めてきていて、これは例えばドラッカーとかが言っているんですけれども、アリゾナで新しくある夫婦がメキシカンレストランを始めました。これは企業家というのかと。確かにリスクはかけている。だけれども、何の地域に変革も起こさない。だってほかにメキシカンレストランがいっぱいある。
だから、今地域で、例えば八百屋さんを始めたら、これはコミュニティービジネスなのかと。それで、今の使い方だと、どうもそれが混ざってしまってきていて、そういう意味で今おっしゃったように、本当にそれが100円ショップであったりとか、あれは僕はイノベーションだとやっぱり思うんで、そういう意味で、そこを区別するために、もう一回改めてコミュニティービジネスをきちんと定義し直すか、そうでなかったら、今回の経産省の動きのようにソーシャルビジネスと呼んでみるとか、要はここから何が大きく変わっていくかという、そこを見つめるのが大事なのかなと。
だから、そういう意味で恐らく、介護ビジネスの中にも普通のビジネスもあれば、何かを変えようとしている、介護のあり方を変えようとしているような、革新性があるかもしれないものを、やっぱり分けて支援していく。そうでないと、やはり先ほど言いましたように安全で安心なものにばかりお金が行ってしまうと。そういう意味では非常にもったいないのかなというふうに思っています。
それで、2つ目の中間支援の話なんですけれども、中間支援組織の最大の問題点は、先ほどちょっと申しましたとおり、ビジネスモデルがないことなんですね。中間支援組織自体がお金を稼ぐというのが、方法はなくもないと思います。ただ、非常に難しい。それは、例えば東京証券市場であったりとか大阪証券市場もそうですけれども、市場を作る、市場を作る立場なんですね。市場を作る立場の人たちが余りそこに課金をしてしまうと、例えば投資先からお金を取るとかとなると、市場自体が回らなくなってしまうんですね。つまり、いわば公共性があるんじゃないかと。
それで、そういう意味でいいますと、やはり僕たちも一番困っているのは人件費ですね。10万円ずつ集めて、今、手元にそれこそ1,000万ぐらい残っているんですけれども、やはりこれら集めたお金を人件費にどーんと使うわけにはいかず、やはりできる限り投資先にお金を回したいと。
それで、今都市銀行さんが言ってくれているのは、一部を運営費に回してもいいですよと。というのは、中間支援組織が存続し続けて、ちゃんとした経営キャパシティーというんですけれども、その経営基盤をちゃんと持っていることが、あなたたちを通して社会にインパクトがあるからと言い始めてくれているのが、やっと1個出てきたんですけれども、でもまだまだ全然足りないので、そういう意味で人件費であったりとか、それから事務所であるとか、さまざまなそういう意味でのプラットホームの支援であるとか、またさらに言えば、私たちがこれができるのは、やはり東京という場所であるというのはあるかなと思っていまして、やはりその、何ですかね、日本の多くの地域に行った場合は、やはりその行政がどういうブランディングをしてくれるかとかオーソリティーをつけるかというのは、やはり信頼・信用という意味で重要だと思うので、やはりその公的な意味のある中間支援組織の人を、リーダーを、それこそ3年ごとに変わってしまうローテーションに入れるのではなくて、よい人さえ見つければ、支援の仕方はあるんじゃないかなということは、僕は感じています。
○田尻課長補佐 定義のところは私どもも、先ほどのパワーポイントで、一応CBとSBの違いとかで図で書きましたけれども、正直やっぱり、あのときも言いましたけれども、経済産業省としてはどっちでもいいという感じもあって、余りその、もうちょっと言えば、多分事業者の方自身はどっちかといいますと意識されていないんじゃないかと思うんですよね。
だから、むしろその、外野と言っては失礼かもしれませんけれども、何か事業者の方自身は別にその、いや、自分はこういう社会的問題を解決しようと、ビジネスやっていこうとしているんだと、別におれはそれはソーシャルビジネスと呼ばれようがコミュニティービジネスと呼ばれようが、別にどっちでもいいんじゃないかという方の方が結構多いんじゃないかと思っていて、したがって、我々もその、余りこの人がCBなのかSBなのかということよりかは、そういう活動を支援したいという思いがあるということから余り意識はしていないんですけれども、とはいっても、この研究会でも若干議論にもなりましたし、そういうことの定義を気にされる方もいたので、今回一応その、この研究会ではこういう定義としてやるんですよということは、一応整理はしたんですけれども、現実は余りそこは気にはしていないのが事実です。
そういうことで、じゃ、先ほどそれで、じゃその100円ショップであれ、町の八百屋さんとかそういうものは、じゃ何でも支援の対象にするのかという世界があると思うんですけれども、そこはだからあくまでも、じゃ実際に個別に支援するときには、実際にどういう新たなことをやって、どうやって世の中を解決しようとしているんですか、どうやってビジネスモデルにしているんですかというのを個別に多分そういう提案をされ、質的な部分は多分行政のサイドの方でチェックをして、やっぱりこれは、多分さすがに100円ショップもコミュニティービジネスかもしれないけれども、先ほど言った、そのフローレンスとかビッグイシューとか何かといろいろに比べると、ちょっとそれは違うんじゃないのということであれば、それは対象にしなければいいだけの話だと思いますし、その、多分何かきっちりと定義を決めて、これに当てはまる人だけを支援するみたいなことを言うよりかは、ある程度、ちょっと抽象的かもしれませんけれども、そのクライテリアを置いて、あとはもう個別にやっぱり見ていって、これはそれにしかるべきだから支援をしようとか、そういうふうにして見ていくしかないんじゃないのかなというのはちょっと思っています。
したがって、ちょっと途中でも議論になりました、例えば何か法律を作って何かするとかということを我々が考えようとしたときに、必ず法律を作るとなると、何かしら一定の定義を置かなきゃいけなくなるんですけれども、そこがやや、今のまだ、このご時世というか、このような世の中の状況だと、何かきっちり定義を入れて、これはここからに当てはまるもの、だけれどもこれが当てはまらないものはソーシャルビジネスでなくて対象にしないということを言うほど、まだ何か世の中皆さんの考えが統一されているわけじゃないんじゃないかなというところが、やや我々の悩ましいところかなというふうに今思っているというところでございます。
もう1個、その中間支援組織のところは、確かに我々も中間支援組織のための支援、補助金みたいなものは持っているんですけれども、それは、その中間支援機関が、頑張っている中間支援機関がどんどんほかの地域に中間支援機関を作っていくときに、それをサポートするというための補助金という仕組みを持ってはいるんですけれども、そこもなかなか井上先生おっしゃったように、なかなか決まったビジネスモデルがあるというわけでもないところから、どういうふうにやっていくかなというすごく難しいところもあるんですけれども、今は、実際去年から始めていて、この中間支援機関の方の補助金というのは井上先生もコメントしていただいた、そのETICと言われている、学生向けに企業のインターンシップをこうあっせんすることを通じて、そういうことで人のつながりを通じて、そこでその新しいコミュニティービジネスを起こす種を作るという意味での、いわゆる先進的なモデルかなと思っているので、こう支援をしていますけれども、そういうのを少し、やはり個別にこう見ていきながら支援をしていくというのが実態で、なかなか、ご指摘のとおり行政がどこまで介入していくかというところは、正直難しい問題だなというふうには思ってはおります。
○井上代表 ちょっと1点だけいいですか。
○稲垣委員長 どうぞ。
○井上代表 今のちょっと。
やはり、ちょっとお話聞きながら考えていたんですけれども、やっぱり中間支援組織は本当に必要でして、それで私も山形県とか幾つか行ったりしてみますと、やっぱりその存在がないために、各地域で頑張っている、孤独な戦いをしているよい起業家がすごく埋もれていてつながらない、つながる場所がない、だからほめられたことがないので、本当にインパクトが小さくなってしまう。だから、もう何でもいいからもっとあってほしいというのが本当に正直なところでして、もう一つ言いますと、私がビッグイシューの、先ほど出てきましたあれの基金というNPOがありまして、ビッグイシュー基金の理事をやっておりまして、それで、やっぱりビッグイシューがなぜ基金を作らなければいけなかったのかというような理由がありまして、要は先ほど言いました雑誌を売るというビジネスモデルを持っているんですが、それだけでは全部は賄えないんです。賄えないというのはどういうことかといいますと、ホームレスの方々がきちんと自立していくまでのさまざまな支援が必要で、通常の会社でいうと、それこそトレーニングですね。要は人事研修が必要なんですよ。
それで、よくよく考えて見ると、例えばトヨタであればトヨタがよい人材をとれるのは、この社会が、例えば大学教育などを通じてよい人材を作ってきてくれる。社会的な投資をして終わっている人を採用しているわけじゃないですか。そういうふうに社会的な投資、公的な部分の投資を受けたものを引き継いで、その上に乗っかってビジネスをしているにもかかわらず、多くのこういう社会分野のものというのは、そこの部分が全く誰もしていないところにビジネスを始めようとしているので、やはり、例えばホームレスがいろいろな生活習慣を変えたりとか、もしくは障がいを併発させているケースが多いんですけれども、そこの部分を支える公的な支援は必要で、そういう意味でもやはりどこかがきちんとこういう活動をしやすくするための地盤は作らなければいけない。そう考えると、例えばその中間支援をする組織がそういうトレーニングを提供したりであるとか、さまざまな援助、サポートはできるのではないかと。
それで、そういう意味でいいますと、例えば、ご存じかわかりませんけれども、静岡のSOHOしずおか、今、小出さんやめちゃったんですかね。やめちゃいました。
〔「7月1日から富士市に行くと言ったかな」と呼ぶ者あり〕
○井上代表 そうなんですか、なるほどね。
ともあれ、ああいうSOHOしずおかのように、やっぱり民間の方を採用して運営をしてもらうと。もし、場合によってはその施設であるとか資金自体は行政が出す、もしくは行政プラス民間で、民間から資金プラス人材を送ってもらうなどの形で、いろいろな組みようがあるんじゃないかなと思うので、やっぱり中間支援組織やってください。
○竹上委員 すみません、要らないという話じゃなくて、そこは多分行政でやらなくちゃならんだろうなと思ってるんですけれども、やり方をよっぽど考えないと、これ難しいと。
それで、今のお話の中で、CBでもSBでも一緒みたいなものだと、二人ともおっしゃるわけよ。それでね、そこで、特にその今の定義でその社会性、事業性、革新性というところで、イノベーションという、社会を変えるというのが一つのこう、多分SBの命の部分なんだろうなと思って今日の話を聞いておったんですよ。そうすると、行政の一番難しいところはそういうところで、じゃ今度は有用性の評価という作業を、行政って多分しなくちゃならんですよね、税金を入れるんですから、この幾つかこういうふうな、やりたいというのがあって、それで社会にどれだけこれが貢献するからこれだけの税金を入れますよねというような話に多分なっていくわけですよ。そんなのできるかというと、早々できるもんじゃないですよね。言ってみりゃベンチャーの集まりみたいなものですからね、こんなもん。100件あれば一、二件ヒットすればもう大もうけみたいな世界ってあるじゃないですか、この手の世界は。
そうすると、とりあえず行ってしまえというやり方でないと難しいわねと。そのときに、行政として税金を使う側が耐えられるのかなというのが、今日の話を聞きながら、実は一番心配し、またこれは課題やなと思ったのはそのことなんです。
私ばかりじゃなく。
○井上代表 じゃ、ちょっと短めにした方がいいかな。
多分これすごい大事なところで、正面切ってソーシャルビジネスと革新性ということを言った場合は、評価指標は明らかに規模だと思うんですね。規模の拡大性があるかどうかと、モデルとして広がる可能性があるかどうか、もしくは計画があるかどうか。
ただ、もう一つ言えるのは、革新というのは本当にその団体が大きくなることだけなのかというところで、恐らく、ここで新規性と書かずに革新性と書いたのは、そうではなくて、もしかすると町のどこかの端っこで、ある、そうですね、何か工場のおじさんが始めた何かの試みが、誰かの参考になるような、モデル用になるような意味がきっとあるはずで、そういう意味で、行く行くは大きなものにならなかったとしても、あなたがこの町のどこかで何かをすれば、この町のほかの人にすごく意味があるかもしれないから、そこも革新性と呼んであげたいなと。そういう意味で、いろいろな人の小さな試みにも、本当は意味がある。だからちっちゃいものじゃなくて、規模は小さくても意味は大きかったりとか、何かそこの文面、文脈として革新という言葉を使わないと、この言葉を余り使うと、ちょっと私違うかもと思う人が増えてしまうかもしれないので、行政が使うときは、ここの言葉の使い方が大事なのかなというふうには思っています。
○田尻課長補佐 この、よくソーシャルビジネスという名前、我々の方で、ソーシャルビジネス研究会で今回は名前は持っていこうというときも、実は正直言えば、余り深い考慮なくてと言ってはあれかも、危険な言い方かもしれませんけれども、ソーシャルビジネスというワードがまだ余りそんなに世の中に出ていなかったということもあるので、それをちょっとひとつ広めていこうかと。
経済産業省という、多分、イメージがわかないかもしれませんけれども、やや新しいもの好き的なところもあってですね、それらにちょっと飛びついて広めていこうじゃないかという点と、あとはソーシャルビジネスという、ややその一地域にこだわらないみたいな印象で、全国的な規模の課題を解決するというのは、やっぱり国の役割かなという的なところもあったんで、ソーシャルビジネスという言葉を使ったんですけれども、これはいろいろ研究会を重ねていく、ないしは、これでその地方、地域にこの報告書の説明とかを回っていくと、何となくそのソーシャルビジネスというのは非常にこう何か、非常にぴかぴかの、ある種その革新性というのが物すごく高い、何かすごいことをやらないとソーシャルビジネスと言わないんじゃないか。それで、僕らがやっていることなんかしょせん違うんじゃないか的な発想で言われたことが何度かあって、特にその、それは地域の方に行けば行くほど、そういう印象が強かったんですけれども、我々も今回この3本の柱でやったときに、この革新性というのは正直我々の中でもちょっと悩んだところでもあって、これどこまで求めるものかと。
要するに、物すごく高くなきゃいかんものなのかというようなことは、結構議論があったんですけれども、それは今日井上先生がおっしゃったように、確かにその革新性というのは何か世の中にとって何かエポック、物すごい一番初めての取組というような初めてである必要はなくて、あえてその何か地域のためになっているというその、少し規模が小さくてもこれで何かためになっている、ないしはちょっと新しいことを取り入れてみるなんてことでも、十分それは革新性と言ったっていいんじゃないのかということでですね、我々自身が別にその地域の方が何しろ頑張っている、昔で言うコミュニティービジネス的な人を全く排除するということは全く考えていなくて、あえてそれがそのソーシャルビジネスと言ってしまったがためにですね、そういう誤解を与えているのかも知れないんですけれども、しょせん、だからこの研究会も何か東京で、何か新しいことをやっている人たちだけの研究会だから、しょせんうちなんか支援の対象じゃないんだよねみたいなことで思われていることも多々あったんですけれども、それでは必ずしもなくて、我々自身、使った意図はそういうことで、余りそこまで考えたものでもなかったものですから、この革新性自身が、多分こだわられるところなのかもしれませんけれども。
僕らとしては、そんなに何か高いものをイメージしているわけでは全くなくて、まさにその地域の中で頑張っている人たちを、何らかのサポートをしたいということでありますので、だからこそ、余りこの定義自身に何かこだわりを持って、何かソーシャルビジネスだから高いもの、コミュニティービジネスだから何かレベルの低いものとかですね、そんなことを言っているつもりは全くありませんので、だから余り、ちょっとここは深くいろいろ拘泥して何か議論をしたいというわけではなかったという、そういうような趣旨でございます。
○竹上委員 ありがとうございました。
○稲垣委員長 ほかに。
○中嶋委員 今日はありがとうございました。私もソーシャルビジネスという言葉にちゃんとこう向き合ったのがこの間の、実は政策メッセでして、そのときに向かい合ってですね、それでぜひ三重県議会としても取り組んでいきたいなという思いで、今回この委員会にも入らせていただいたという経緯があるんですが、そのときにもそのソーシャルビジネスが生まれてきた背景の中に、やっぱりその政府とか行政の限界とかですね、それから今までの従来のチャリティーの限界、そういったところの中で、でもやっぱり社会的な課題があるから、誰かが解決しなきゃいけないけれども、従来のチャリティーみたいに事業性が全くないと、続かないわなと。そういうふうな中で、新たなその社会課題の解決の一つの取組としてソーシャルビジネスというものが必要なんだということの理解をしていたんですけれども。
今日のやっぱりこう補佐のお話を聞かせていただくと、やっぱり経済産業省というところは非常に色濃く出ていて、やはりその第二のソニーとか松下をやっぱり生み出すというところが、表向きでも作らないことには、経済産業省としてソーシャルビジネス支援というのができないのかなという、逆にちょっと経産省の、限界というと言い過ぎかもしれませんが、こう非常に、本当はもっと広くとらえて、いろんなこう支援策というものも考えているんだろうなと思うんですが、やっぱりどうしてもこう、そこらへんの悩ましいところというんですかね、お仕事をされている中で、やっぱりそんなものも事実あるでしょうかね。
○田尻課長補佐 それほど限界を感じているわけでもなくて、別に何か、それは多分まさしくその、いわゆるベンチャービジネスのこの、何か将来的にはIPOをして、その株式公開をしてですね、どーんと稼ぐような人たちというだけ、それはそれでもちろんそういうのを支援をするセクションは別にあるんですけれども、我々はあくまでも、支援の取っかかりのスタートは、やっぱりその地域の活性化ということ、特にその我々がいる地域経済産業グループというところでは非常に大きな課題になっていて、そのためには何をすればいいのかと。当然我々はその企業立地を促進する、三重県にも使っていただいている企業立地促進法とかを作ってみたりとか、去年はその農業と商工業の連携、農商工連携というのを取り上げてやってみたりとか、いろいろな切り口であるんですけれども、それらの1つとして、そのソーシャルビジネス、コミュニティービジネスというのもあるのかなと。
したがって、新しい地域活性化の担い手としてこういうのを育てていくことが、地域が活性化する一つのかぎになるんじゃないかというような観点でスタートはしているので、その目線としては何か、必ずしも物すごいそのぴかぴかの、1億、10億を稼ぐような、そういうような人たちだけを見てきているというわけでは、必ずしもないというような話です。
ただ、ちょっとその成功事例として取り上げている人たちというのが、フローレンスにしろビッグイシューにしろ、なかなか相当その立派な取組というかですね、よくできた取組であるがために、そういう印象を与えるかもしれませんけれども、もともとのその出発点は、あくまでもその地域で頑張っている人たちに何かしら光を当てて、その方が活動しやすくすることによって、その地域が盛り上がっていくんじゃないかという、地域の活性化というところが非常に大きなスタート地点ではあったんで、必ずしもそこだけではないのかなと。もちろんそういうふうにどんどん育てていけば大きく出てくることは、それは大切だと思うんですけれども、それはそれ以外の人を排除しているわけではないというふうなつもりではありますけれども。
○中嶋委員 そういう中でいくと、経済産業省以外で、今、国の中の省庁でですね、こういうこうソーシャルビジネス的なもの、あえて「的なもの」と申し上げますが、内閣府がNPOを支援されているとかもあるわけですけれども、ほかにもそういう地域を担う担い手ですよね、担い手組織への支援策ということをやっていこうよと、そういう動きってあるんでしょうかね。
その、申し上げるのは、私なんかも志摩、伊勢志摩の志摩というそういう田舎の方で、三重県の南部の方って本当に限界集落とまでは言いませんが、本当に若い人がいなくて、働く場もなくて、地域のコミュニティー自体がもうもつのかなというふうなところがある、そういう地域の、やっぱり担い手をどう作っていくかというのは非常に大きな課題で、そういう視点でですね、どこかこう国として取り組んでいる動きというのはあるのか、ないのかというのをちょっと教えていただきたいんですけれども。
○田尻課長補佐 例えば、今のお話であれば、農林水産省が限界集落だとか、その田畑の休耕田が多くなってきたから、寂れてきたからどうすればいいのかというような関心の中で、その都市と農村の交流的な事業を推進しているという事例はあるかと思いますし。例えばそれ以外でも、環境省は環境という切り口で最近そのNPOとか、別に体裁は、会社の形態はともかくとして、環境ビジネスの新しい担い手としての、そういう新しい取組を支援するというような取組をやっていたりとか、多分厚労省も、みたいな感じで、それは縦割りで、各それぞれのその役所が、その自分のところのその所掌範囲の中で、そういう新しいビジネスないしその新しい取組を担う主体としてNPOとかもあり得るよねと。それで、それに対して何らかその支援をするという切り口でのやり方をやっているのは、幾つかの役所では見られます。
それで、今回我々経済産業省的に今回取り上げてみようと思ってやったのは、むしろ余りその分野にこだわらず、何かその横断的にソーシャルビジネス全体として、何か底上げみたいなことができないのかなというふうなことを考えていたもんですから、余りその特定の分野の人を支援するという形になっていなくて、その支援メニューとか予算事業をごらんいただければと思うんですけれども、例えばその頑張っている事業者、別にその分野に限らずですね、頑張っている事業者を取り上げて、その100選みたいなものを作りましょうとか、あとはその、どんなソーシャルビジネスだったら実際に活動が適正に評価されるかという評価の物差しだとか、情報公開をどうするかとかというような観点も、別にその、どの分野、例えば環境だからとか農業だからとか何とか、ITだからとかということではなく、その分野横断的に何か、そういう切り口で、その、あえて言えば地域活性化みたいな切り口で、その横断的にそれを見ることができないかなという観点でやったものですから、今回我々的には余り特定の分野に、特に例えば介護とか、保育をする人だけを重点的にやろうとかというような切り口じゃなくて、横断的にそのソーシャルビジネスという切り口でですね、分野を問わず支援してみたいなと思っていますけれども、各役所でそれぞれ、その違う縦の分野でやっているような取組も幾つかあるというふうには承知はしております。
○中嶋委員 最後の質問にしますけれども、井上先生の方にお聞きしたいのが、今、国の方はそういう流れの中で、比較的縦のやっぱり壁というのがある中でですね、今、実際のその中間支援組織を動かしていらっしゃる代表としての立場からいけば、やっぱりもっとこう、総合的に国が取り組んでもらう方が動きやすいというふうなことを思われるのかどうかということと、もう1点は、やっぱり今回、ソーシャルベンチャー・パートナーズさんの動きを見ていると、お金を出すだけじゃなくて経営にまでこういろいろと、おせっかいとおっしゃいましたが、あそこの部分がすごく大きいなというふうに思ったんですけれども、やっぱり中間支援組織のあるべき姿の一つとしては、やっぱり経営にまで、そこまでやっぱりこう口を突っ込んでいくと、そこまで行かないと、やっぱりなかなか難しいというふうにお考えなのかという、その2点だけ、簡単に。すみません。
○井上代表 わかりました。
総合的という意味ではそうですね、全くそう思います。というのは、もともと僕はその社会起業のプランコンテストを始めたときに、やっぱりテーマは絞るかという話になったんですが、結局絞らなかったんですね。SVPも投資先のテーマを決めていないんです。教育だったり、福祉であったりとか。
それで、これが実は非常に意味があるかなと思っているのは、要は分けてしまうとですね、やはりどの業界の方も、ほかの業界のことを全然知らなくて、業界の常識にすごく足をすくわれていて、それで、いろいろな業界ごとに、実は新しいおもしろいやり方があって、それを横に持っていけばいろいろなことが起きるにもかかわらず、言い方を変えれば、同じ社会を違う窓から、福祉とか外国人問題とか見ているものの、実は見ている社会は同じで、同じように多様性を許さないとかということだと思うんですね。
そういう意味で、自分のいる場所、その中だけを見ている人たちに、プランコンテストやスタイル、ソーシャルベンチャー・パートナーズに応募することでほかの団体を知って、それで、自分だけじゃないんだ、苦しんでいるのは。同時に、いろいろなやり方があるんだということに気づいてもらう、その異分野を横断することによる新しいアイデアの誕生であったり、イノベーションを期待をしているので、そういう意味で、実は社会問題を横ぐしにする意味は、すごく意味があるかなと。
それで、同じことが実はSVPにも言えまして、そのメンバーであるパートナーというんですが、10万円出し合った人がメンバーとして入ってきたときにですね、実は私は環境問題に興味があるとか、もしくはこういう場作り、こういう場そのものに興味があるとか、いろんな問題意識で入ってくるんですが、実は、例えば1つ、投資先なんですが、龍の子学園という聾の子どもたちのフリースクールがありまして、彼らはこの前、初めて特区で学校法人を作ったんですね、聾の学校の。それで、資金集めが4,000万必要だったのをお手伝いして、一夏で、約半年で実は一緒に7,000万集めたんです。これはいろんな方法があったんですけれども、すごく大変でおもしろかったんですが、そんなことがあったんですけれども、やっぱり僕たちは聾の世界なんて知らなかったんですよ。
それで、この手話の世界で、今多くの学校が、手話の学校が、いわゆる彼らの、もうずっと昔から持っている日本手話という手話を禁じていて、日本語手話という日本語を動かしただけの、手のまねをしただけの手話と口パクを読ませるという読唇術を教えていて、それで日本の昔からあった、これは聞いた話なので業界の方にちゃんと聞いた方がいいと思うんですけれども、昔からあった、その日本の、耳の聞こえない聾者の中であった言語としての日本手話というのは、もっと非常に表現力豊かで、それで非常に違う言語体系らしい、外国語のようなものなんです。それを使うことを彼らはバイリンガルと言っていて、バイリンガル教育をしようということで始めているんですね。それで、本当に日本でも数件しかやっていないので、実はもう我が子をこの龍の子学園に入れるために広島から引っ越してくる人とかいるんですよ。本当は地域であればいいのに。
ということって、初めて聞くと、へえーなんですね。なので、分野を絞らずやってみることで、私たち自身が大きな発見があるという意味で、社会っていろんな、知っているつもりで知らないことがあるんだなという意味でも、ビジネスパーソンで経営がわかると、ちょっと鼻高々で入ってきた人になるところを、知らないことがあるというので非常に謙虚になるという意味でも学習の効果がすごくあるので、やっぱり大事なのかなと思っていますというのと、長くなっちゃいましたね。
それで、それからもう一つが、経営まで入るというこのスーパーおせっかいファンドという言い方をしていましたけれども、あれはやっぱりすごく、すごく重要でして、一つは先ほど申したように、お金をきちんと、自分たちの志のあるというのかな、気持ちの入ったお金を入れると。
それで、実は各、みやじ豚なり投資先に入るのはチームで入るんですね。そうすると、3人から5人ぐらいのチームで入るときに、1件当たり大体100万円渡している。そうすると、自分が10万円、チームでも3人だったりすると3人、そうするとほかの7人分のお金を背負っているんですよ。そうすると、いいかげんなことができなくなるんですね。というプレッシャーが実はすごくありまして、みんなに説明がつかないと。それで、そうすると、いやが応でもやっぱりインパクトを出すしかないので、1年後に出てきた、その成果報告をするんですが、成果は半分自分のせい、半分以上自分のコミットのせいとも言えるので、非常に必死になるし、そういう意味で意味のあるお金にしようという気持ちになるというのが非常に重要なポイントになっています。
それで、あと最後にですが、実はそこまでやるというのは、お金を出すよりも時間を出すことがずっと大変なんですね。それで、何でこれができるかといいますと、実は先ほどの映像で、みやじ豚さんに訪問していたチームがいましたけれども、あれは一次審査の後なんですね。書類審査のときにその書類を見て、SVPとして投資すべきかという客観的な評価に加えまして、実は私がやりたいかという投票をするんです。そうすると、みんな客観的にはいいよねと言っても誰もやらないというのは絶対通らないんですよ。そうじゃなくて、多少票が少なくても、絶対に自分がやるんだという、チームになるという人が数人いたときに審査が通るんです。客観性と主観性、両方クリアしないと審査は通れないんですよ。
それで、その人たちが実際に訪問して、豚を見てますますはまってですね、それで、実は二次審査向けの資料を、実は一緒につくっています。一緒につくって、それでSVPにあるリソース、こういう人がいてこういうことができるかもしれないというのと掛け合わせて、一緒に申請書を出して、それで、その結果テレビにあるあの宮路さんのプレゼンテーションになって、そのプレゼンの後に、実はその参加して実際に見てきた女の子3人、4人かな、が実は応援演説するんですよ。それで、みやじ豚はこんなにおいしくてこんなにすてきなんですと。ここに投資しないなんて、あんたたち信じられないみたいなという巻き込みをする。それで、その結果本当に今後投資先として決まったら、お金だけじゃなくて、自分もこういうことをするのでチームに加わりたいという表明をしていくという形で、完全に客観評価だけではなく、魂込めるための主観評価も入れていると、この組み合わせの評価があれだけのおせっかいを生み出しているという、そういう仕組みになっています。
○中嶋委員 ありがとうございます。竹上委員が言われた、行政で中間組織を作るというのは難しいというのがよく理解できました、今の話で。
○田尻課長補佐 すみません、今ので1点だけ、ちょっと私、補足なんですけれども、今の2番目のご指摘については、まさしく経営マインドを入れなきゃいけないというのは、それはやらなきゃいけないことだと思っています。
というのは、その特に、その私も先ほど言いましたけれども、結構この人たちって、思い込みかも、偏見かもしれませんけれども、まずその思いからスタートして、やっぱり自分はこういう課題を解決したいんだという、ある種の理想みたいなところがあって、それがやっぱりビジネス、どうビジネスにつなぎとめることができるかということが多分できていないんじゃないかと思っていて。それをするのは、多分その中間支援機関だと思うです。ただ、まだ数が足りていない。
そうすると、そういう方って、大体そのNPOをつくろうというところからスタートをされると思うんですね。そうすると、そのNPOとすると、じゃ、NPO、そういう手助けをするためにはどうしようかというと、多分三重県もそうかもしれませんけども、市民活動支援センターとかNPO支援センターとかに行くんですけれども、その支援センターに、多分その経営指導とかする能力って多分ないと思うんですよね。ただ、一方で、どちらかというと中小企業には多分商工会、商工会議所での経営指導をするようなものがあったりとか、中小企業基盤整備機構のセンターだとかというところがあって、そこに多分NPOの人は多分敷居が高くてそっちには行けていなくて、だからそこで多分縦に、地域行政で縦割りのことが生じていると思うんですね。
したがって、これはたまたま私どもの出向者で、大阪に行っている者がたまたま帰ってきて、聞いたんですけれども、大阪府ではですね、その商工会、商工会議所の経営指導をする、定款を変えて、メンバーにNPOを入れられるようにしたと。そうすると、商工会、商工会議所もだんだんその中小企業の数が少なくなって、自分たちにもその会費収入が減ってきている、飯の種としてNPOを入れたいというのもある一方で、NPOが入ることによって、NPOの人たちはそういう経営指導とかを受けられることによって、彼らもビジネスマインドがつけられるということで、そういうことをして、その大阪府はやったよというような話を聞いたことがあって、なるほどなと、こういうことをすれば結構その中小企業施策を活用することによってですね、そのNPOの方にも経営マインド的なものをつけて、それが多分ソーシャルなビジネスの、ソーシャルだけじゃなくて、それはビジネスにもつながっていくんじゃないかなというところもあるのかなと思っていて、それは我々の中でもその国の中小企業施策の中にどこまでNPOを入れられるかという一つの課題があるんですけれども、多分その現場、現場で、国がその法律とか変えなくてもできることというのは多分あるんじゃないのかなと思っていて、そういうところの取組なんかはまさに参考になるのかなという気はしております。
○井上代表 ごめんなさい、ちょっとだけ、ちょっと大事なのでごめんなさい、何度も。
ただ、さっきの話は、SVPは正直言って、物すごく経営効率は悪いと思います、そういう意味で。要は、真心と生産性って常に反比例していて、真心を込めれば込めるほど生産性は下がって、それで生産性を上げようとすると真心は下がってくると思うんですよ。そういう意味で、真心に相当引っ張られていて、今生産性がちょっと低いから、もう少し仕組み化、生産性の方を仕組み化して、もう少しこの真心生産性曲線を上げなきゃいけないんだけれどもということを思っていまして、何のこっちゃなんですけれども。
それで、そういう意味でいうと、サンフランシスコとかにアールイーリーエフとかという団体があったりするんですけれども、似たようなことをしています。ただ、彼らはもっと仕組みでやっているんですね。それで、詳しい話が必要だったらご紹介しますけれども、僕そこの人も知っていますので、ほかにも幾つかあるんですが、SVPの場合はミッションのうち1つがかかわったパートナー、お金を出している人の自分の成長だったり、学びというのが大きく入っているので、ただそうではなくて、お金を集めて作ったファンドではなく、その数人もしくは個人だったり、1個のソースからどーんと作ったファンドで社会企業支援をしたいという団体の場合、こんな手間はかけずに、やっぱりこの分野のプロをどんどん使うんですよ。そういう意味でいうと、僕たちは非常に手間をかけ過ぎな部分はある。
ただ、僕たちの場合は、ミッションの1つに、市民というんですかね、ビジネスマンでもある市民が、自分が変われるかもしれない、自分のビジネスの毎日が変わるかもしれない部分も変えたいというので手間がかかっていて、ということが1点と、最後にもう一つが、やっぱりステージはありまして、僕たちの支援しているステージは、恐らくプランから立ち上がった少し後ぐらいのところで、それがもう少し事業として自立し始めると、もう少し仕組み的な支援のみで支えられるんじゃないか。僕たちのところは、まだまだ足りないものだらけだから、パッションとか志とかから、それいいねというところから始める必要があって、応援が必要なところだと思うんです。ただ、それがもう少し先のステージに行くと、今度は通常の経営支援プラスアルファの魂ぐらいなブレンドになってくるんじゃないかなという意味では、ステージのこともあるんじゃないかなとは思います。
○稲垣委員長 ありがとうございます。
ほか、よろしいですか。
それではですね、もう時間も押してきましたんで、以上で参考人をお呼びしての調査の方は、本日の調査は終了させていただきたいと思います。田尻課長補佐と井上先生、本当にどうもありがとうございました。
参考人の方はこれで退席をいただきますので、皆さん拍手でお見送りをいただければと思います。ありがとうございました。
参考人退席のためにですね、暫時ちょっと着席のままで休憩をしていただきたいと思いますので、委員の皆さん、よろしくお願いいたします。
(休 憩)
3.参考人の出席要求について
○稲垣委員長 再開します。
まず、次回委員会についてのご協議をお願いします。
次回は、本日の委員会を受けまして、ソーシャルビジネスの概要を、皆さん知識をということでやっていただいたんですけれども、年間計画で、次回もう一度参考人招致という形で出させていただいておりまして、そういう意味では、今日も議論もあった中間支援等々の、今最後の議論もありましたんで、そういうのをやられておる方というのはほかにも東京の方には見えまして、そういう方を呼んで現場の話を聞くのがいいのかなと思っておりまして、そういうような形で委員会をさせていただきたいと思いますが、それはよろしいですか、その予定で。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
それでは、参考人の候補案を、もう今日やってしまっておくと委員会を別に開かんでもいいもんですから、事務局からちょっと配付をいただきます。
○稲垣委員長 ちょっと段取りが悪かったかと思いますが、前回もご確認いただいとったんで、ということで、お手元にですね、配付の町野弘明さん、経歴等は見ていただけるとわかると思いますが、ソーシャルイノベーション・ジャパンというのは非常に大きな中間支援の、多分日本で一番大きいと思いますけれども、団体になると思います。それの事務局長さんですので、いろんなそういうコンサルティングとかですね、そういうことをやられておるということで、いろんなそういう社会的起業、あるいはNPOとのかかわりも深いということで、そんな話も聞けるんじゃないかなということで、この方をお呼びしたいと思いますが、よろしいですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○稲垣委員長 それでは、それと、今日も入室……はい。
〔「ちなみに幾つの方ですか」と呼ぶ者あり〕
○稲垣委員長 この人は、年齢まではごめんなさい、私ちょっと、50ぐらいだと思います。
また、当日は、今日は執行部の方、入出許可したんですけれども、農水商工部の関係職員も出席を求めて、皆さんからも質問もできるような、県の状況も含めてやりたいと思いますので、それもご了解をいただきたいと思います。
〔「政策部もお願いします」と呼ぶ者あり〕
○稲垣委員長 政策部も、はい。じゃ、政策部さんもでいきましょうか。
〔「地域づくりという視点で」と呼ぶ者あり〕
○稲垣委員長 じゃ、政策部と農水商工部の職員も入れてですね、この町野さんを交えて議論をするということでお願いをいたします。
次にですね、日程なんですが、参考人招致のために委員会の開催日は7月25日の金曜日の10時からでお願いしたいんですが。ちょっといろんな日程がタイトでして申しわけないんですが、この7月25日10時でお願いをしたいと思いますので。よろしいですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○稲垣委員長 進め方はですね、先ほどお話も少しありましたけれども、あと詳細は正副委員長にご一任をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
Ⅱ 委員協議
・年間活動計画の配付
・県外調査について 正副委員長に一任
〔閉会の宣言〕
以上、会議の要綱を記し、ここに押印する。
平成20年 6月27日
NPO等ソーシャルビジネス支援調査特別委員長 稲 垣 昭 義