三重県議会 > 県議会の活動 > 本会議 > 請願・陳情 > 平成20年第2回定例会(11月)陳情一覧 > 平成20年第2回定例会 陳7
受付番号・件名 | 陳7 中勢流域下水道(志登茂川処理区)浄化センター北系水処理施設(土木)建設工事について |
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受付年月日 | 平成20年11月25日 |
提出された 定例会 |
平成20年第2回定例会 |
所管委員会 | 県土整備企業常任委員会 |
項目 | 1 陳情の趣旨 三重県県土整備部が津市白塚町・河芸町影重地区で実施中の標記流域下水道浄化センターの中心的施設である「北系水処理施設(土木)建設工事」は、昨秋、中間出来高検査実施後に、基礎杭記録の改竄・偽装が明らかとなり、平成18年度中間出来高払い金の支出を中止し、基礎杭の支持力試験を実施するとして工事を中断してきた。 「載荷試験」は902本中384本に上る多数の杭群の内僅か6本のみを対象とするもので、載荷試験の中間結果は思わしくなく、杭先端や、杭周辺のセメントミルクの固化を待つ為、様々な理由で、残り2本の載荷試験の実施をためらっている。 この事実は、請負者であるフジタ・日本土建・アイケイディーJVが「杭打記録改竄・偽装」によって、監督員・検査監ら三重県職員を擬罔し、平成18年度中間出来高払い金を詐取しようとした詐欺未遂罪(刑法第246条第1項「詐欺罪」・同法第250条「未遂罪」)に当たる。 しかも、その後の我々の調査によれば、工事記録の改竄偽装は、杭打の際の電流計記録の改竄・偽装のみに留まらず、杭打込み工法における多数の不正な施工法が明らかとなり、杭の現場溶接の不正施工や、記録写真の改竄までもが多数発見されてきた。 にも関わらず、現地中勢流域下水道事務所職員は、全ての工事記録を開示することなく、JVの行った犯罪・不誠実な行為を隠蔽・擁護しようとしてきた。 このことは、詐欺未遂罪の共同正犯(刑法第246条第2項「詐欺罪」・同法第60条)若しくは教唆・幇助(刑法第61条「教唆」、同法第62条「幇助」)に当たる。 また、工事関係公文書(改竄記録紙原本を含む)を秘匿・隠蔽、試験結果等を偽装することは、証拠隠滅罪(刑法第104条)、虚偽公文書作成行使罪(刑法第155条「公文書偽造」同第156条「虚偽公文書作成」同158条「偽造公文書行使」)に当たる。 本請願は、現在までに明らかになった不正の事実を示すと共に、これ以上犯罪を拡大することを防止し、「浄化センター」の安全性と品質の確保を担保する為に、工事の請負契約解除と、県民の利益と、当該地域の住民の安全確保のために、貴職と議会がその権威と、県民の利益を保証するため、地方自治法第100条に規定する「100条委員会」を設置するなどして、下記の適正な調査と必要な措置を講じるよう求めるものである。 (1)本件請負工事におけるフジタ・日本土建・アイケイディーJV、及び、基礎杭を施工した下請負業者日本コンクリート(株)等関係人を議会に証人として招致し、偽装行為その他施工に係る不正行為の事実について尋問し、事実に基づいて告訴・告発を行うなど法的措置を執ること。 (2)中勢流域下水道事務所監督員・県土整備部検査監等関係職員を証人として議会に招致し、尋問した上で適正な処分を行うよう議決すること。 (3)請願人(陳情人)を参考人招致し、意見を聴くと共に、請願人(陳情人)が保持する工事記録・ビデオテープ記録等を検証し、土木技術の専門家を県議会に参考人として招致し、対策について意見を聴くこと。 (4)基礎杭の先端部及び杭頭付近に注入されたセメントミルクが適正に硬化し、所定の強度が保持されているか、ボーリングによるサンプリング又は、掘削によるサンプリングを行って、テストピースを採取し、強度試験を行わせること。 (5)本件請負工事契約の解除を議決すること。 (6)不正工事によって生じた損失、回復不能の損害についてその額を特定し、必要な法的措置を行うこと。 2 陳情の理由 (1)「載荷試験」の不合理性と、地下水対策の不思議 県土整備部と中勢沿岸流域下水道事務所は、基礎杭の「載荷試験」を比較的杭頭が浅い4本に限って「静的載荷試験」と「動的載荷試験」を実施した。 その結果は、荷重をかけることによる杭の沈下量が荷重に比例するという期待はずれのもので、杭先端・周辺のセメントミルクが充分に固化していないことを示した。(別添試験結果中間報告書の一部参照) 杭先端部には1m以上の余堀部分があり、セメントミルクと掘削した泥質土が固化せずに充満しているから、上部構造物を構築する段階で、不等沈下を発生させる危険性がある。更に、地震時には、杭周辺地盤が緩んだ状態であることから、水平方向への滑動が生じ、処理施設の変形から、破壊・機能不全に陥ることは、明らかである。 しかし、議会に対して現在まで、「中間報告」をする事もなく、更に深い杭頭の「載荷試験」について、「地下水を下げるためのディープウエルによる水替えが、周辺の水産加工業者の井戸水に影響を与えることが分かった。」などとして、本来、事業損失費用として本工事費に計上して実施すべき「深さ300mを越える代替井戸掘削工事」を別途窄井業者に発注し、その期間を「甲の都合による中断」として「工事中止命令」を発し、2重の費用の増加を見込むなどしてJVの損害軽減と、県民負担を増加させる策謀を行った。 この行為は、地下水位を一層低下させることによって、杭先端のセメントミルクを凝固させ、必要な支持力を期待するだけの危険な「賭」に過ぎない。 もともと、本件工事は、発注時に「総合評価方式」を採用し、施工時のディープウエル工法による排水処理による周辺井戸への地下水汚染や、水位低下・井戸枯れ防止の提案を審査し、JVの技術提案を評価した上で、複数の「談合情報」を無視して「落札決定」を行っている。 工事着手後1年以上経過し、それも不正工事で、工事中止期間中にJVの負担を軽減する「地下水対策・代替井戸掘削工事」を2度3度も発注して工期延伸に係るJVの損害を補填しようとすることは、なおさら許されない。 (2)中間検査に当たらないJV主導の「載荷試験」 「載荷試験」対象の杭は、JVの選定によるもので、県の検査官が対象を決定する「中間検査」に当たらないこと。 県土整備部は、「載荷試験」を工事途中で実施する重要な施工箇所に対する「中間検査」と位置づけたとしているが、試験対象の杭の選定はJVによるものであり、県検査監室は何等選定に関与していない。 しかも、検査監室の載荷試験立会は、最初の第1回載荷試験は行われて居らず、我々の指摘により、第2回から立会うようになったもので、「中間検査」とは言えない。JVの「これなら大丈夫」という杭だけを選定して試験をした結果を信用せよと言うことは、余りにも県民を軽視した手法である。 (3)杭打施工における多数の不正 JVが施工した902本の基礎杭は、「施工マニュアル」・「積算基準」によらない不正な施工であったことが、JVが作成提出した工事写真、及び、我々が長期間に亘って現地で撮影記録した連続ビデオ映像から明らかになった。 その手口は、 イ、杭孔3本同時掘削 杭施工コストは、杭打機の稼動時間に比例するため、JVは、杭打機本体の稼働時間を短縮しようと、杭孔掘削用先端ビットと、ロッドからなる掘削装置を杭打機1台当たり、3セット用意し、杭孔の深さとヤットコ打部分の深さに応じて杭打機リーダーの長さの範囲で、掘削を1次掘削と2次掘削に区分し、先ずAの杭の1次掘削を行うとビット・ロッドを切り離し、杭打機を隣のBの杭に移動させ、2セット目のビット・ロッドをセットして、杭Bの1次掘削を行い、ビット・ロッドを切り離し、更に隣接する杭Cに移動し、3セット目のビット・ロッドをセットし1次掘削を行う。その後、ビット・ロッドを切り離し杭Aに戻り、必要なロッドを継ぎ足し2次掘削を行い、杭孔の掘削を完了する。これを順次杭B、杭Cと繰り返し3本の杭孔掘削を完了すると継ぎの杭孔掘削に取りかかり、本来、杭孔への杭の沈設、溶接、沈設の作業を杭打機が担うべき作業を補助クレーンによって施工し、杭打機本体の運転時間を杭孔掘削専用にすることによって、杭打ち時間を大幅に短縮し、官積算杭打費に比して最小1億円、最大2億円の杭打工事費を節減し不当な利得を得たものである。 ロ、杭孔口径の拡大 JVは、予め、掘削する杭孔の径が、打ち込む杭の直径+5cmと「施工マニュアル」に規定されているにも関わらず、20cm以上拡大して掘削し、補助クレーンによる杭の吊り込み沈設作業を簡素化し、杭孔拡大に伴う先端拡張部と、杭周辺部へのセメントミルク注入量を基準通りに抑制することによって杭沈設時間の短縮と、セメント使用量を節減し、最小でも数千万円の工事費を節減し、不当利得を得た。 ハ、溶接施工の不正 JVは、「施工マニュアル」に規定された施行手順を無視し、本来掘削完了後の杭孔に杭打機本体で吊り込み、保持しながら沈設すべき杭を補助クレーンで施工沈設した。「施工マニュアル」通りに杭打機本体で杭を吊り込み、継ぎ手溶接を施工しようとすると、杭が自沈しようとするのを固定させるため特製の治具で下杭を固定し、溶接しようとする上杭を下杭とずれることなく密着させ、半自動溶接を施工しなければならない。しかし、プレボーリング工法や中堀式杭打工法の特性として、杭孔周辺には掘削によって掘り出されたヘドロが溢れて堆積し、杭に溶接作業員などが近づき難い状態になり、作業効率が大幅に低下する。そのためJVは、作業時間短縮を目的に、溶接施工場を別途作成し、補助クレーンで杭を吊りながら継ぎ手溶接の施工を行った。このことによりJVは、溶接部の不良施工と品質低下を産み出す要因となり、同時に施工時間を短縮することにより不当な利得を得た。 ニ、雨天・荒天時溶接施工 JVは、JISに規定された現場溶接における「雨天時・荒天時の施工禁止」を無視し、雨天時・荒天時に杭現場溶接を施工し、品質の低下と工期短縮による不当利得を得た。この事実は、請願人等の記録した連続ビデオテープ記録により明白である。 ホ、溶接試験(検査)の数量不足 JVは、杭現場継ぎ手溶接に当たって、JISに規定された検査方法(浸透膜試験)の対象となる全継ぎ手箇所数に対する比率を意図的に減少させ、休日施工、雨天・荒天時施工に係る杭を対象から除外し、また、杭全周の検査写真、溶接完了記録写真を撮影せず、違法な施工、不適正施工に係る部分の検査を免れ、適正な品質管理と記録写真による管理を怠った。 県監督員及び、検査監の不正見逃し これらの不正施工・不適正施工管理を驚くべきことに、県監督員(建設技術センター監督補助員含む)は、その事実を知りながら、容認し、仕様変更や、工法変更に係る、書類提出も求めないまま、情報公開での請願人(陳情人)等の指摘により、初めて不正を認めざるを得ないと言う状況に至ったのである。 (4)工事記録図書・写真の不正・偽装 現時点で、JVが作成し、三重県宛提出された工事管理記録は下記の通りである。 イ、杭の材料検査記録;製造記録と品質記録の不整合が認められる。 ロ、杭打記録実績表;杭打(杭孔掘削)の際の電流計記録を改竄した。 記録紙原本を提出しなかった。 ロール式記録紙を切り離す際監督員等のサインを求めなかった。 ハ、杭支持力算定書; 改竄電流計記録から支持力を推計した成績書をさも支持力が出ているかのように装い偽装した。 ニ、杭出来形測定記録;杭頭が露出していないにも関わらず、杭頭の(標高)高さを測定したかの様な水準測量記録を作成し、施工管理記録・品質管理を偽装した。 ホ、杭芯測定記録;杭頭が露出していないにも関わらず、多角測量を実施したかのように装い、施工管理記録・品質管理記録を偽装した。 ヘ、杭現場継手溶接検査表;休日施工・雨天・荒天時施工継ぎ手について検査を除外し、必要検査対象箇所数の検査を怠ったにも関わらず、適正であるかのように装い検査結果成績書をJIS法に違反して作成し、偽装した。 上記の記録図書については、県監督員(建設技術センター監督補助員含む)、及び、検査監も承認しており、公文書として請願人(陳情人)に公表・交付されているから「虚偽公文書作成並びに行使罪」が成立している。 上記の通り、請願(陳情)するので、地方自治法に基づき適正な措置を求める。 |