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受付番号・件名 | 陳5 JR不採用事件について |
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受付年月日 | 平成20年8月25日 |
提出された 定例会 |
平成20年第2回定例会 |
所管委員会 | 生活文化環境森林常任委員会 |
項目 | 国鉄が分割・民営化されJRが発足して21年が経過しようとしているが、国鉄職員のJRへの採用をめぐり発生したいわゆるJR不採用事件はいまだ解決に至っていない。 1986年の国会審議のなかで、当時の中曽根首相は国鉄の分割・民営化にあたっては「一人も路頭に迷わせない」と約束し、橋本運輸大臣は「所属組合による差別はあってはならない」と答弁し、衆参両院でも付帯決議が採択された。しかし、国労組合員らへの差別が行われ多くの国鉄職員がJRに不採用になった。 この事件に関して、2003年12月最高裁判所は「JRの使用者責任なし」としつつも「国鉄が採用候補者名簿作成に当たり不当労働行為を行った場合、国鉄の法的地位を引き継いだ国鉄清算事業団(現=鉄道建設・運輸施設整備支援機構)は使用者責任を免れない」との判断を示した。 この判決を受けて国際労働機関(ILO)は、2004年6月に最高裁判決に着目するとともに「この問題の解決のために一度は大勢となった政治的・人道的見地の精神に立った話し合いを全ての関係当事者との間で推進する」ことを日本政府に勧告した。 また、2005年9月には私どもの組合員が鉄建公団(現=鉄道建設・運輸施設整備支援機構)を相手取ってJR社員の地位の確認と損害賠償を求め提訴していた、いわゆる鉄建公団訴訟の判決が出され「国労に所属していること、組合活動を行っていることを嫌悪して国労組合員に対する能力・勤労意欲・勤務態度の評価を恣意的に低く行い不利益に取り扱ったものである」と述べて採用候補者名簿記載における組合差別を認め、不法行為を認定した。 判決は、原告らの地位の確認と解雇以降の賃金の支払い請求を否定しつつも、国鉄によるJR採用候補者名簿の作成に国労差別があったとして、JR採用について正当な評価を受けるべき機会を奪われた慰謝料500万円の支払いを命じた。判決が国鉄の損害賠償責任を認めた点は評価しうるものの18年間に及び闘争団員らの受けた苦痛を償う慰謝料としては不十分といわざるを得ない。また、判決が被告の時効の主張を排斥し、本件の損害賠償請求権の時効は前記最高裁判決の時から進行するとしたことは当然とはいえ適切な判断であった。 JRに不採用となり解雇された、1,047名の国労組合員らは物資販売やアルバイト、事業体などで生計を立てており、厳しく苦しい生活を余儀なくされている。すでに43名(被解雇者全体では45名)が他界し、平均年齢も52歳になるなど一刻の猶予も許されない事態となっている。いうまでもなく、日本はILO第87号条約(結社の自由及び団結権の保護に関する条約)及び第98号条約(団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約)を批准しており、勧告を履行することは批准国としての責任である。 県議会におかれては、こうした現状をご理解いただき、政府に対して、国際労働機関(ILO)の勧告に基づきJR不採用事件が早期解決されるよう意見書を提出されたく陳情する。 |