三重県議会 > 県議会の活動 > 委員会 > 委員会会議録 > 平成16年度 委員会会議録 > 平成16年7月21日 観光・文化調査特別委員会 会議録
観光・文化調査特別委員会会議録
開催年月日 平成16年7月21日(水) 10:00 ~ 11:55
開催場所 第601委員会室
出席委員 7名
委員長 | 山本 勝 君 |
---|---|
副委員長 | 舘 直人 君 |
委員 | 末松 則子 君 |
委員 | 中森 博文 君 |
委員 | 田中 俊行 君 |
委員 | 木田 久主一 君 |
委員 | 田中 博 君 |
欠席委員 2名
委員 | 松田 直久 君 |
---|---|
委員 | 中村 進一 君 |
〔農林商工部〕
農林商工部長 石垣 英一 君
観光政策監兼総括室長(観光・地域づくり分野) 梅村 庄三 君
観光・交流室長 横山 弘赳 君
その他関係職員
1.所管事項の調査
(1)三重県の観光振興について
2.委員協議
(1)委員会の進め方について
(2)県内調査について
(3)県外調査について
【会議の経過とその結果】
〔開会の宣言〕
(1)当局から資料に基づき説明(石垣部長、梅村総括室長)
(2)質疑・応答
○山本委員長 それでは、各委員から質問があればひとつお受けしたいと思います。
○木田委員 今いろいろ説明していただいて、頑張っていただいているということを感じるのは、委員長と同意見ですけれども、一つは「観光プロデューサー」の説明がありましたけれども、具体的な内容が見えていませんので、「どこに」「だれを」配置して、そして、市町村や民間とどのような連携をしていくのか、そういうことについて、もう少し詳しい説明をしていただきたいというのが1点です。
それから2点目は、私、鳥羽市ですけども、鳥羽市の観光関係の方に話を聞いていますと、6月は非常に悪かったと。それ以前はよかったんです。観光客が増えていたんですけども、6月は本当に悪かったと。普段、はやっているエクシブあたりでも3割ぐらい落ちているというようなこともちらっと聞いたんです。これはいろいろ原因があると思うのですけれども、花博の影響が大きいんじゃないかなという感じもするんです。(実際、)そういう意見もあります。
そこで、中部国際空港とか万博をプラスにとらえる考え方が、今まで多かったのですけれども、花博とか万博が、逆に三重県への観光客の減少につながる可能性があるんじゃないかと。それを危惧する声が随分大きくなっていまして、それに対するご意見と対策を考えておられたら、(御説明を)お願いしたいなと思います。
それからもう一つは、伊勢志摩の評価について、「空間快適性が低い」とか「サービスが悪い」というようなことは、今までも何回も聞いた説明ですし、(事実、そのように)言われてきました。まちづくりプロジェクト事業等で、他の部局との連携ということが、今まで行われてきたということも、よくわかっておるわけですけれども、やはり、この地域の評価を上げるため、それをもう少し強化すべきではないかなと。特に、私が感じていますのは、観光地への道路、これが本当に整備されていないということです。これは県土整備部にも、いろいろ話はしているわけですけれども、観光という面から見て、観光地への道路整備・アクセスを、もう少し真剣に取り組むべきではないかなというふうに感じております。
ほかの地域のことはよくわかりませんけれども、例えば、鳥羽でいうと、南鳥羽にかなりの数の宿泊施設があるわけです。そこに観光バス等もたくさん来るわけですけれども、2車線の道路が整備されていません。観光関係の方に言わせますと、エージェントの方からこんな道路の悪い所へは(観光客を)遣れないと。せっかく来たいと思う人があってもエージェントから拒否されるというような話もあって、やはり、このあたりも考えていただかないと伊勢志摩地域の評価というのが上がってこないんじゃないかという気もするのですけども、この3点よろしくお願いしたいと思います。
○石垣部長 木田委員が言われましたまず2点目の観光の予算については、総括から答弁させてもらいます。
要するに、万博が開催されるけれども、本当に大丈夫なのかという話、これは、実は、6月が確かに落ちたということについては、「花博」が相当向こうで頑張っている(ことが関係しています。)今は、団体等は、ほとんど花博へ行っておるという傾向があります。確かにそういう影響を受けているという点があると思います。
万博に関して、先般、国土交通省の中部地方の会議がありまして、実は愛知県、岐阜県、三重県、静岡県等の県・市関係団体の会議があったのですけれども、このままでいくと、ひょっとしたら、(宿泊客は)皆京都へ逃げていくのではないかという話もあります。
万博のことでお話しをさせていただきますと、今、約1,500万人の入場者を見込んでいます。大体、京都から静岡ぐらいは、多分日帰りで行くであろうと。これを約50%とみていますので、宿泊客は約800万人程度出てくるのではないかという推計があります。要するに1,500万人のうち、中部地方では、遠方から来る宿泊客が800万人ぐらい出るだろうと。今、名古屋が1日に宿泊を受け入れられるキャパシティーが2万7,000人ぐらいです。これでは(全室が)満杯になっても、やはり、(期間を通じて)400万人ぐらいにしかならないと思います。どうしてもあと350万人か400万人は、名古屋周辺で受け入れるということになります。これが、岐阜の高山へ行くか、三重県の北勢へ行くか、伊勢志摩へ引っ張ってくるかという話になると思います。
基本的に私どもが考えておりますのは、800万人ぐらいが当然宿泊するとなると、そのお客をいかに伊勢志摩へ誘客してくるか、あるいは、三重県の湯の山、榊原、上野への誘客してくるのかということであります。そういう形で、「万博からの観光ルート」というきちっとしたものを位置づけしないといかんと思っています。これは愛知県、岐阜県を含めての話でありますが、国土交通省も、いろいろなそういう広域的に観光ルートをどうしようかということについて、検討しておる最中でございますので、そういう仕掛けは、行っていきたいと思っています。
3点目の伊勢志摩の「快適空間性の基本」ということで、一番問題になっておりますのは、やはり、道路事情でして、委員の言われたとおりです。これについては、一つは、「まちづくり」ということで総括が説明しましたけれども、国土交通省にも支援していただきながら、いろいろな海岸整備やプロムナードの整備を実施しております。これについては、私どもは「しあわせプラン」の中にも、まさしく三重県の元気づくり、特に、伊勢志摩を中心とした元気づくりの中では、観光振興を第一に取り組んでいくということが、知事の方針でありますから、そういう面からも、地域の道路整備というものについても、総合行政としての観光振興の中で、何としても一体としてやってくれという話は、関係部門に対して、担当部長として、上げていきたいと思っております。確かにそういう面で申しますと、「空間快適性」という中で道路整備が大変であるということは、十分に認識しております。
○梅村総括室長 プロデューサーの件でございますが、現在プロデューサーは、昨年12月10日に設置されてから、県庁6階の観光活性化プロジェクトの方に座っていただいております。ほとんど席にはいないような状況ですけれども、地域へ出向いて、いろいろ相談をさせていただいております。一例としては、一番最初には、伊賀の芭蕉生誕360年記念事業を盛り上げるために、東京、大阪、中京圏のエージェントのところへ、セールスにも行っていただいております。それから、当然ながら商品づくりということですので、上野地区を掘り起こし、地元の方では余り気づかない(観光)商品づくりといったものに取り組んでいただいておりまして、上野天神祭、これを商品化しようということで、現在、取り組んでいただいております。
また、湯の山温泉と榊原温泉、これは昨年からの取組ですけれども、歴史のある温泉を、ネットワークを組みながら売り出せないかということで、両地区の協議会を立ち上げまして、いろいろ協議を進めてきております。これについても(両温泉は)場所が違いますので、そう簡単な話ではないのですが、取組を行ってもらっております。ポジティブな話だけではなく、いろいろな課題がその中から出てきておりまして、それらを解決して、いかに(観光商品を)創り出すかというのが課題であります。
また、津の新市の関係者の方々でつくる観光協議会というものが、この6月末に立ち上がりましたが、ここにも参画いただいて、いろいろな意見を述べてもらっております。
基本的には、地域の魅力というのは、自分達で、わかっているわけですけれども、その魅力を、観光客に訪れていただけるような仕組みに持っていくという部分で、ルール的なものとか仕組みといったものが、あまり地域ではご存じないわけです。そういったところに、プロデューサーがかかわって、(そういう仕組みは)基本的にはエージェントが仕切っていますので、そういった内容についてお話をさせていただいて、地域の商品づくりに繋げていくというふうな状況でございます。
三重県の観光商品というのが、この8月から少し出始めておりますけれども、そういったものを着実につくり上げていただくという役目を(プロデューサーには担当)していただいております。
まだいろいろ聞きたいこともありますが、時間の都合もありますので、このぐらいにしますけれども、特に、万博の関係で、宿泊を三重でという魅力を全面に出していただいて、少しでも三重県の方へ来ていただくような努力を、お願いしておきたいと思います。
○田中(俊)委員 2点ほどお願いしたいのですけれど、まず1点目は、戦略イメージの4番目の「美しい観光地のルールづくり」「景観改善システムづくり」に関連してですが、まず各地域でいわゆる景観条例的なものがあるのかないのか、あるとしたら、どの程度までのルールづくりなのか、把握されている範囲でちょっと教えていただきたいんです。というのは、海外の観光地などですと、特にヨーロッパですけれども、観光の対象になるスポットだけでなく、市民の生活と一体化した地域全体が観光という魅力を発信しているという、そんなイメージを私は持っておりますので、そういう意味で景観をある程度、規制ということではないのですけれども、地域全体の魅力にしていくためのルールづくりのようなものが、現在どういう形で、各地域で展開されているのか、まずそれをお伺いしたいのが1点。
それから2番目は、これは地元のことになるのですが、四日市で、物づくり産業を活用した観光戦略ということになりますと、部長が言われたように、萬古焼などが挙げられますけれど、コンビナートの夜景とか、あるいは、港のポートビルとか、こういったものも、いわゆる産業観光的な視点でとらえられると思うんですが、具体的に今県の方で考えておられる産業観光というものが、ちょっとイメージがわいてきませんので、もう少し具体的に教えていただきたいと思います。
以上の2点です。
○石垣部長 景観については、この6月に景観基本法という法律が、新しく制定されました。そういう動きの中で、今、三重県でも、いろいろな取組を行っていますけれども、市町村の取組については総括の方からお答えいたします。
あと、2点目の特に四日市中心に産業観光の話をさせていただきますと、産業観光で、一番元気のいいのは名古屋です。例えばトヨタ自動車が、豊田織機とか、昔のトヨタ自動車(の工場)など、いろいろな施設を利用して、大規模にそういうことをやっています。また、例えば、ノリタケ・カンパニー・リミテッドでは、自社の製品を展示したりしています。実は、三重県では、以前は自動車関係のホンダなどは、企業の中に、例えば、子供の見学コースというふうな形でやってみえました。
ただ、悲しいかな、今、三重県で産業観光は何があるのかというと、これというのは、今のところ、ありません。
ただ、今、話が出ていますのは、萬古焼について、萬古焼の陶芸会館がありますけれども、この(施設の)周りには、萬古焼の製造業者がいっぱいあります。それで、萬古焼の製造工程を見せて、それと陶芸会館が一体になって、そういう形の観光ルートをつくろうとしております。あるいは、伊賀にも伊賀焼というのがありますけれど、伊賀の丸柱といいますが、あの地区一体の景観をぐるりと回って陶芸を見て、そして、あの地域には、例えば、モクモク手づくりファームなどがありますが、それらと一体となった観光ルートをつくるという動きが、現在あります。
あと、可能性があるのは、例えば、コンビナートですね。あれだけのコンビナートが集積しているわけですから、ああいうものについて、産業観光に使えないかとか、そういうことは、これからいろいろな面で、特に検討していきたいと思っています。
あと、産業観光というと、もっと他にもあるわけでして、例えば、「海女さん」があります。あるいは、伊勢志摩の方で干物をつくったりしますけれども、干物を体験するのも、一つの産業観光になるわけです。物づくりというのは、大きなメジャー(企業の施設)だけではなく、例えば、紀州の方の干物づくりを体験することも、まさしく産業観光になるわけでして、地域にあるそのような伝統技術、伝統産業と一体になった産業観光というのもあると思っています。まさしく、そういう面についても、これから目をつけていきたいと思っております。
○梅村総括室長 景観の関係でございますが、現在、市町村で景観条例をつくっているという情報は持ち合わせておりません。鳥羽市さんの方が、景観条例に向けて、今、取り組んでおるということでございます。
県の方としては、伊勢志摩再生プロジェクトが、この3年間、景観について取り組んできておりまして、これは鳥羽の港のプロムナード、それから鳥羽城跡を含めたまちづくり、こういったところで市民の方が参加いただいた「ベクトル会議」というところで、景観についての取組を行ってきております。結果として景観のマニュアルをつくりました。これをもとに、鳥羽市さんの景観条例の動きも当然連携をさせていただくわけですけれども、関係する市町村へも、景観のマニュアルといったものを広めていきたいというふうに考えております。
景観法ができれば、それに基づいて動いていくというふうに考えておりますけども、6月11日に成立して半年後に施行ということになっておりまして、施行の細かい中身が、現在詰められておりますので、その施行を待って、市町村が独自に景観地区を定めたりして、建物の高さとかデザインとかいったものを規制できるようになろうかと思いますが、県内の観光地の景観(の活用)というものを市町村と連携しながら進めていきたいというふうに考えております。
○田中(俊)委員 景観条例に関しては、12月に法が施行されるわけですよね。それを受けてということですけれども、日本の観光地は大体どこもそうなのですけれど、部分的な魅力発信というのがどうも多いような気がします。市民生活と一体化したような地域全体を情報発信できるような、そういう魅力づくりというものを、ひとつ大きく視点に据えていただいて、ヨーロッパのまねをするというわけではないんですが、日本独特のあか抜けした洗練された観光地づくりというものを、ぜひ、目指していただきたいと思います。それが1点。
それから、産業観光については、まだまだ模索中だとは思うのですが、ルートづくりというのは非常に大事だと思います。北勢地域でいうと、部長が挙げていただいたようなところがそうなんですれけども、例えば、四日市港の霞地区にあるポートビルですけれども、これはせっかく多額の予算を費やして建てたにもかかわらず、これは四日市港管理組合の所管ですが、展望レストランは、非常にがっかりするような今使われ方をしていまして食券制ですし、私は、コンビナートの夜景を見ながら若いカップルが楽しむというロマンチックな姿をイメージしておったのが、時間も非常に早く閉まりますし、採算の問題もあるのでしょうけれども、ちょっと寂しい使われ方をしていますので、これも、もう少し魅力アップの要素として入れていただいて、ぜひルートづくりを検討していただければと、要望しておきます。
○中森委員 「三重県観光振興プラン」について2点ほどお伺いしたいのと、希望もあるんですけども、一つは民間との連携が非常に今問われていまして、「伊賀の蔵開き」も一つの試行ですが、今、現にやっていただいているわけですけれども、中間的な評価があれば、まだ事業は終わっていませんけれども、課題とか、そういうものを把握しておられますか。
それに関連して、例えば、観光というのは民間が主導で今まで来られた部分がありまして、行政と民間が連携してしまうと、どうしても民間の独自性が引っ張られるというんですか、一つの例を出しますと、民間の方が、例えば「青蓮寺ぶどう狩り」ののぼりを道端に立てようとすると、これは、公用地ですので占用許可が要るとか、屋外広告物が云々でだめとかとなります。それに、県土整備部関係ですと案内標識ですね。例えば「赤目四十八滝」という案内標識は地名があるからいいけれども「青蓮寺ぶどう狩り」はだめというのが基準だそうです。こんなことが一つの例で、やはり民間がやろうとしても、また行政が連携していこうと思っても、それが特定のものであるが故にだめということが、非常に観光と公共がうまく組み合わない点であるかなというふうに聞いております。
これからは、そういう案内標識なども含めて、もっとその辺をオープンに、案内標識一つにしてもやっていかないと、「青蓮寺湖」はいいけども「青蓮寺ぶどう」はだめと、こんなことでは全然、いけないと思います。訪れるお客さんは、比奈知ダムと青蓮寺ダムということじゃなく、観光に来られわけですので、その辺は、(案内標識の)名称一つをとってみても、もう少し連携を深めなくてはいけないなというふうな気がします。
もう1点は、観光と、いわゆる「芭蕉さん」「江戸川乱歩」「服部半蔵」など、こういう文化的、歴史的なつながりと、その辺がもう少し、うまくいかないかなという気がしております。伊賀には、たくさん素材があって、英語で「NINJA」と書けば、アメリカでも通用する単語となるわけです。それでは、どこへ行ったらいいのかというと、伊賀と甲賀といろいろあるのですけれども、外国客を誘致するのには、非常にこの単語がいいわけですので、その辺、文化と観光の連携をもっと深めていってほしいなという気がします。その辺がもう少し、このプランに表われてほしいなという気がしました。その2点だけ(伺います。)
名張は、まさしく江戸川乱歩とか能の世阿弥とか観阿弥の出身地でありまして、(他に)藤堂家の関係など、まさしく地域の歴史がいっぱいあります。例えば、万葉集の句碑なども、いろいろなものがありまして、本当に隠れた観光地がいっぱいあります。
今までは、どちらかというと、大規模施設やホテルなどを造れば、「観光」として成り立ちました。委員が言われましたように、今は、産業観光もそうですけれども、地域の文化、伝統技術とか街道文化、街道観光というような言葉が出ていまして、人々にとって「観光」というものは、そういうところをぐるぐる回って、「安らぎ」と「癒し」を求めていくことであるわけです。したがって、そういう新しい文化を求めて地域文化を堪能していくという観光に、新しいものが出てきているわけです。
確かに委員ご指摘のとおり、観光と文化(の関係)については、観光は、地域文化の生きざまであると(いえると)私は思っています。したがいまして、それと一体になった取組を、今後は、行っていかねばならないと思います。
観光ポイントととらまえるか、観光資源ととらまえるか、地域と文化を生かした観光ルートというものを、きちんと位置づけしていきたいと思っていますし、そういう形で、当然進めていきたいと思っています。
○梅村総括室長 伊賀地域の観光の問題ですが、当初プロデューサーが、地域へ毎日といっていいほど入りまして、いろいろな調査をしていただきました。(その結果、)エージェントには売れないと。観光客があまり来たいというイメージを持たないと、こういうところから始まりました。しかし、いろいろ調べていただいて、委員が言われるような課題が幾つか出てまいりました。
まず、伊賀には、自然、歴史、文化等の観光資源が非常に多いにもかかわらず生かされていないというところがございます。それから関西圏、中部圏での認知度が低い。特に中部圏での認知度が低いという点がございます。ほとんど、上野城と忍者博物館しか知られておらず、もし訪れたとしても、そこを回るだけで、二~三時間で帰られると、こういうような現状がございます。今ちょっと幾つか、江戸時代に藤堂高虎によって整備された城下町の面影を残す町並みなど、中心市街地の活性化という部分でも取り組んでいただいていますけれども、寺町周辺とか武家屋敷跡、こういったところをもう少しアピールしていく必要があります。
2点目は、名張地区ですけども、赤目四十八滝、青蓮寺湖というのがあります。赤目四十八滝についてはシーズンに偏りがあるということですけれど、これは見方によっては、11月に非常に多くの方が来られますので、偏りなく来てほしいという思いもあるとは思いますが、秋は非常に人気があるところといえます。
それから3つ目は、阿山町の丸柱地区の方ですけども、里山の原風景とか伊賀焼の窯元、こういったものを組み合わせて発信すればいいのではないかと。非常にいい素材がありますよと。それから大山田村の方へ行きますと、これは、三、四年たつと思いますけど、温泉が非常に魅力的であると。年間30万人近いお客さんが来ておるというようなことで、これらを点から線、面に結びつけていく取組が必要ではないかなということであります。
それから、宿泊施設の方ですが、我々も伊賀へお客を呼ぼうということでいろいろ検討していますけれども、ネックは宿泊施設です。これは、どういうことかといいますと、ビジネス関係のホテルが多いのです。残念ながら今、日本の旅行というのはエージェントが仕切っておりますので、エージェントさんとの契約をしている宿泊施設がほとんどない、1軒か2軒とかいうことのようですけども、そうするとお客さんを連れてきてくださいといったときに、宿泊施設がないのでだめですと、これで終わってしまうというような状況がございます。
宿泊施設についても、上野、赤目、名張、青山高原とこういったところに点在してはおりますけれど、これを一体のものとして連携する必要があります。それと旅行業者と契約をしないなら、独自に呼び込めばいいわけですけども、なかなか難しいわけです。なぜ(旅行業者と契約)しないかというと、そんなにお客さんが来ないから契約してリベートを取られるよりはと、こういうようなこともあるようです。めぐりめぐった関係にあるようですけれど、そういった問題があるとのことです。
それから情報発信が非常に弱い。観光地として位置づけが余りされていないということで、これはプロデューサーの方からいろいろ働きかけていただいて、関西地域の多くの鉄道会社が組みまして「スルッとKANSAI」ということで3日間乗り放題という商品があるわけですけれども、これに伊賀線が入っていなかったということで、これは自動改札のところが条件になっていましたので抜けてしまったのですけれども、それについても働きかけをしまして、近鉄の理解を得て、期間限定ですけども「スルッとKANSAI」の中に入れていただいたというような取組も行っています。
1つずつ課題をこなしていくという取組が要るのかなというふうに思いますし、また、先ほどの語り部とかインタープリター、この人材が少ないということで、これも育てていく必要があるかなというようなところがプロデューサーから報告されております。
○中森委員 せっかくプロデューサーがいらっしゃるわけですから、きちっと整理していただいて、伊賀だけではなく、県下全域の教訓として、このイベントを成功させることが、今後、いろいろな課題を整理する際にプラスになると考えますし、今年だけが、伊賀のイベントではないというふうに考えていますので、来年、再来年また伊賀のほかの地域にも教訓として、そうしていただきたいなというふうに思うわけです。
もう一つ、「江戸川乱歩生誕110年」というのがあります。そういうものも、ミステリーゾーンとか、サスペンス的には非常にいいんです、「赤目四十八瀧心中未遂」の映画もよかったですし、いろいろとそういうのもありますので。なかなか、それが知られていないというところがあります。案外、伊勢の方と伊賀とで温度差があります。それは、仕方がないですけれど、伊賀は伊賀で、関西地区のお客を受け入れる。県も営業活動をして、頑張っていただきたいなと思います。
あと1点、体験という話が出まして、組紐体験コースというのがありまして、500円か1,000円で組紐ができまして、私も、一昨日、行ってきましたけれども簡単に組紐ができますので、そういうのも子供たちに体験してもらいたいと思います。丸柱も行ってきましたし、体験するということは、非常にお子様たちに喜ばれていますので、今後ともそういうことに活用していただけたらと思います。
○末松委員 ちょっと関連して、文化ということでいうと、例えば、お祭りとかそういうものに関して、東北の方へ行くと夏の三大祭りとして、「七夕」とか「秋田の竿燈」とか「青森のねぶた」など、そういうところを点々と回っていくので観光客を呼び寄せることができます。三重県にも、先日、大王の方へ行かせてもらいましたけれど、たまたま「潮かけ祭」という783年も続いているお祭りがあったりして、そういうお祭りが幾つかあると思うんです。そういう文化的なところに目をつければ、歴史、文化、祭りなどを組み入れた中で、(観光客を)誘致することも一つ考えられるのかなと思います。
例えば、青島で、青島ビールのお祭りになると、全国からすごくお客さんが来ます。鈴鹿で言えば、ホンダさんのお祭りじゃないですけど、F1とか、そういうものと一体化しながら、点だけじゃなくて線で結んでいくようなものということで、観光ルートに取り込めるのではないかなと思います。
それから、先ほど田中委員がおっしゃったように、四日市は、これから、そういうところを中心に、若者がすごく集まってくるような町になってくると思います。でも、鳥羽や伊勢というのは、先日も、ちょっと行かせてもらいましたら、家族連れで、プールで遊んでいました。地域柄、年代層を分けて、四日市や長島の方は、新しいジャズドリームでしたか、ああいうものを入れながら若者が来るデートコースにできるように、例えば、この時期の花火をヘリコプターで鑑賞できるような取組に少し行政が携わっていただきながら、四日市は若者の町というように、地域と年代を分けていってもいいのではと思います。熊野古道は、この間行ったときには老夫婦が何回か山登りをするような感覚で、(何度かに)分けて訪れるようにする観光戦略というのも、少しこれからは考えていただけたら、時期にもよるかもしれませんけれども、年間を通してそういうものができてくるんじゃないかなと、いろいろお話を聞いていて思いました。
例えば、お祭りの関係も(観光振興に)含めていくということに関して、ご意見がもしあったら聞かせていただきたいなと思います。
○石垣部長 祭りについてシリーズ・キャンペーンをやっていますので、これは総括の方からお答えさせてもらいます。
今、「観光の差別化」ということ、(末松委員の御意見も)そのことだと思いますけれども、基本的に、三重県の観光というと、先ず、伊勢志摩のようなメジャーなところがあります。あるいは、湯の山とか榊原の温泉を中心としたところ。他には、都市型観光とよく言われますけれども、長島温泉、鈴鹿サーキット、志摩スペイン村、こういうところについては、どちらかというと、テーマパーク型の観光であるわけです。そして、今、新しく出てきたのが、最近の産業観光という要するに地域の産業を生かしてという形。もう一つは、委員の方々が言われています体験型観光、要するに地域の文化なり伝統技術を体験していくものです。さらに、地域のそういう街道を歩く形態があります。
今、ともかく三重県の観光というと、私は、観光担当部長として夢を持って申し上げたいのですけれども、三重県は、いろいろな顔を、いっぱい持っておるわけです。決して、北勢だけでなく、中・南勢にも、そして、伊賀にも昔から、中森委員が言われたように伝統技術や伝統文化があって、そういうものを生かした観光というのが、やはりあります。東紀州には自然がいっぱい残っています。したがって、それぞれに応じた観光の方向性というのがあると思っています。確かに、言われるように鈴鹿サーキットなり志摩スペイン村なり長島温泉など、まさしくヤングが集うように、それに向けた観光戦略は当然必要であると思っています。
一言で言うなら、三重県の観光は、いろいろな顔を持っていると。それに合わせて差別化するなり、細分化した戦略がやはり必要であろうと思います。それは、委員のご指摘のとおりだと思っています。これについては、戦略の中で、例えば、北勢ならこんな方向がいけるんじゃないか、伊賀ならもっとこういうところがいけるよ、いや、もっと伝統的なしっとりしたものがいけるかもしれないというふうに、十分考えていきたいと思っています。
○梅村総括室長 最近の内閣府の発表で、先ほど、末松委員さんが言われた伝統芸能、祭りといったもの、これを情報発信していくべきだという意見が52.5%あるということで、非常に大事な要素だろうというふうに思います。
三重県の観光は、従前は、春キャンペーンといいまして2月、3月に集中してキャンペーンしてきたところでございますが、いろいろ三重県の観光の入れ込みを見ていますと、先ほどの赤目とか湯の山とかこういったところは、紅葉型といいますか、10月、11月が非常にピークになっております。それから、8月型の長島温泉とか鳥羽水族館とかいったところ、正月型とかいろいろ型があります。しかし、おしなべて言うと、三重県は平準化しておりますので、これから三重県のとっていく施策としてシリーズ・キャンペーンというのを考えていき、シーズンに合わせてキャンペーンを打っていきます。年間で一つ一つテーマを決めながら、例えば、三重県は「食」というのが非常に全国でも評価されておりますので「食」とか、先ほどの「祭り」とか、それから「花」とかといったものを一つのテーマにしながらシリーズ・キャンペーンを打っていきたいというふうに考えておりますので、先ほどの末松委員の意見もこの中へ取り入れていきたいというふうに考えております。
○末松委員 ありがとうございます。ぜひともシリーズ・キャンペーン、私も子供を連れていけるような形でいいものにしていただきたいなと思います。
それと、部長さんに言っていただきましたように、「差別化」ということに関して、本当に今からすごく大事になってくると思いますので、いろいろな世代の委員さんがみえますし、そういうことでいろいろ意見を出してもらいながら、そういうことの徹底化というのを図っていただけたら、もっともっとつながっていくのではないかなと思いますし、私も大いに希望を持っていますのでよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○田中(博)委員 情報発信ということで、先ほど祭りの話もありましたけれども、三重県には、こんな宿泊場所がありますよ、こんな料理がありますよ、あるいはスポーツでもいいと思いますし、いろいろな史跡を見て歩く歴史というのもいいし、物づくりの文化でもいいし、そういうものは、どれぐらいデータベース化できているのかなというのが気にかかります。実際、三重県人にしても、よく知らない。こうして県会議員をさせてもらっていると、いろいろなところへ行くので、「こんないいものもあったのか」と初めて県内の人間でも知るようなことがあります。
今、いろいろな観光商品を売り出していくということで、コーディネートしてもらっておるということですけれども、逆にそういうデータベースがあれば、例えば、夫婦2人で旅行しますよと、三重県にこういういいところがあるのかと、それなら、こことここで3泊4日で三重県を旅行してみようかと。こういうことを個人が選べるデータベースがあって、また、それをコーディネートしてくれる人がいるという発想はないんですか。
○石垣部長 観光連盟へのアクセスが、今、15万件ぐらいあるという話ですが、三重県の観光スポットについては、いろいろな形で提供させていただいております。委員が言われますように、どちらかというとメジャー、今まで一般的によく知られている部分での観光情報発信が、やはり、多かったと思います。先ほど、中森委員が言われたように、例えば、江戸川乱歩の関係が、データベース化されておるかという面については、大変、この場でお答えするのがつらいところですけれども、今、そういうものを整理しておる最中です。
一般的によく知られているものについては、ほとんどデータベースができておりますけれども、まさしく地域に隠れた資源、そういうものを発掘する、そういう面については、これから早急に整備していくということになると思います。的確な答弁ができなくて申しわけないですけども、一生懸命、今、整備をやっておるというところでございます。
○田中(博)委員 ぜひ、そういうデータベースを、しっかり三重県もつくってほしいなと思います。例えば、湯布院は、かなりイメージのいいところですけれども、湯布院に何があるかというと、何もないわけです。あそこでは、民宿みたいな宿泊所に泊まって食事も出さないです。食事は町の食堂でしてくださいと。(湯布院で観光客が)何をしているかというと、機を織ったり、何か染め物をしたりという具合です。しかし、そういうことが好きな人もいて流行っている。例えば、軽井沢というと、若者がテニスというようなイメージですけれども、もう随分前に聞いた話ですけれど、若者のテニスは夏休みと土日だけなので、ゲートボール場にしたら滞在客が増えたとのことでした。行って何かやることがある、あるいは、自分が見たいものがあるというのがわかっていないと、行かないものです、ですから、ぜひ、データベースをしっかり構築していただくことと、なかなか個人では、こことここへ行こうとか、つなぎの交通とか、わからないことがいろいろとあるでしょうから、(もともと)三重県は、観光地魅力度評価でかなり評価の高い項目もあるので、歴史や祭やスポーツなど、今、望まれているいろいろなプラス要素を(加味して)うまくコーディネートできる形にしてください。
関西は、物すごく大学が多いんですね。大学のスポーツ部は、みんな合宿をやるんです。三重県は、暖かいというイメージがあるんですよ。ただ宿泊施設がないんですね。県営のスポーツガーデンなども十分使えると思うし、そういうものを考えていくと、一方的に、こちらで有名な観光資源をルート化してパックにして売り出すということよりも、やはり、そういう選ばれる資料をつくっていくことを、大変な仕事なので、すぐにはだめでしょうけれども、ぜひ、お願いしたいと思います。
○石垣部長 データベースも含めて、横山室長の方から補足をさせてもらいます。
○横山室長 今、県の観光情報につきましては、観光連盟が一元化して把握しております。そのデータについては大体7,000件ぐらい持っております。しかし、今言われたように歴史であるとか、いろいろな各資源によって、きちっとした分類ができておりません。現在、観光振興プラン策定の中で、資源を再度きちっと調査して、全国的に情報発信できるデータであるか、地元のいわゆる県内の方々、近隣の市町村の方が来ていただくような資源であるか、その資源調査をきちっと評価するという手続をしております。そういう中で、その資源を、どういう地域に、どういうターゲットに、売っていくかは、きちっと戦略を練っていきたいと思っております。そういう中で三重県の資源が有効活用できると思っております。
一応、基本的には、観光戦略というものを秋以降につくってまいりますので、その中で資源調査も含めて、各々の資源について、どういったターゲットに対して売っていくのかということも、販売のシステムに組み入れられるという形になります。
○舘副委員長 意見というよりも要望といいましょうか、全体的な話なのですけれど、このように秋に向けて一つの案が策定されて、それを方針にしてやっていこうと。それは、県の中でのお話でありまして、イメージが6つあって、それで、今、出てきたお話の中でいろいろなお考えがありました。先ほども、観光連盟さんのお話やら、それにまつわる懇談会とか、いろいろな形の中でこれに取り組んでいるとのことありました。しかし、やはり、実践するのは、地元の方であります。
そこで何が必要かと。今まで、長い歴史というか経過の中で、一生懸命に当然やってみえます。やっていても、やはり、その場面しか見えない、全体的なものがわからないというか、もっと大きく、どういう状況に今なっているのかと(いうことがわからない)。中部国際空港ができ、愛知万博があるから、こういうことは流れ的にはあるんだなということは感じてみえるでしょうけれども、今言われたような具体的なことについて、どの辺までわかってみえるのかなというところがあります。今、県が持っている情報をこういうふうな形の中で策定していきます、こういうふうなものができます、今度これに基づいて県の観光施策を推進していきます、この方向へ持っていきたいと。(県の姿勢は)わかりますけれども、“やる”のは県さんじゃありません。
ここで言われておる4つの基本姿勢の中にもありますように、やはり、行政は支援するけれども、やるのは民間ですので、できたらその辺の情報なり、いろいろなものをもっと出していただきたいなと思います。
支援というのは、聞きに来れば教えるのか、行って教えるのか、いろいろな形がありますけれども、そういうふうな形の中で、例えば、(地元に)協議会などがあれば積極的に参加していただいて情報を出していただきたい。例えば、こういうところはこんなものがあるんですよと、当然関係者の方はいろいろな勉強をされてみえるでしょうけれども、また違う切り口があったりすると思います。個々に細かいことについては、いろいろな思いはあるんですけれども、例えば、そういう形の中で、県として掲げたものが、全体として、取り組んでいけるような方向に向かっていっていただきたいなと思います。
○石垣部長 観光というと、今までは、エージェントとか、近鉄さんとか、交通関係とか、県とか、ホテルとか、観光のプロの方々の立場に立って、観光を供給する側で、どちらかというと考えていた部分があったと思います。田中委員や皆さん方の意見にありましたように、お客さんが本当に三重県に来たいと思うように、お客さんの立場に立って、どういう情報発信をしたらいいかという視点が、これからは必要で、三重県の観光は、供給者側だけの考え方で進めては、いかんと思っています。
そういう面から、私どもが、今やっていますのは、地域の住民の方々にも、地域づくりの中に参加してきてもらっております。県内各地域で、このプランについて、とりあえず策定の中でいろんな意見をいっぱいもらっています。これからパブリックコメントを進めていきますけれども、まずそういう面について取組を行っていくというのが1点です。
これを策定した後どうするかという話ですが、これで出来上がりましたという形で、すべてではありません。そこがスタートだと思っています。やはり、皆さん方と一緒に検討して、こういうものをつくり上げましたと、今こういう流れの中で、こういう形のものを三重県は進めていきたいと思いますということについては、それぞれ私ども、日曜日だろうが土曜日だろうが、皆さんに来いと言われたら、うちはこれだけ観光振興のスタッフがそろっておりますので、いつでも出しますので、地域へ行なって皆さん方といろんなお話をして、こんなことはできませんか、こんなだったら県はこんな支援ができますよという思いを伝えていきたいと思っています。
委員が言われるように、「何や、お前ら、(観光振興プランを)つくったけど、棚に置いといてそのままになっとるやないか。」という話にならないように、担当部署は一生懸命やりたいと思っています。
(「なし」の声あり)
○山本委員長 ほかにないようでございますので、本日の調査はこれで終了いたしたいと思います。
当局にはご苦労様でございました。
〔委員協議〕
2 委員協議
(1)委員会の進め方について
今後の委員会の開催日、調査事項は、正副委員長に一任。
(2)県内調査について
8月19日(木) 二見町の賓日館視察調査及び南勢志摩県民局にて意見交換会を開催。
(3)県外調査について
9月2日(木)~3日(金)、北海道調査(行程等は正副委員長一任)
〔閉会の宣告〕
以上、会議の要綱を記し、ここに押印する。
平成16年 7月21日
観光・文化調査特別委員長 山本 勝