平成19年1月11日(木)に三重県庁講堂において、「住民自治セミナー」を三重県議会の主催により開催しました。
テーマは、「あなたの自治体は大丈夫か?」として、地方財政制度の仕組みや課題・問題点を明らかにし、新地方分権推進法の施行後の県民自治の観点から、地方分権時代の財政制度と議会の役割について検討しました。
セミナーには、県民、県内の企業・団体の多くの方々をはじめ、県内の市町議会議員、三重県議会議員、自治体関係者が出席し、活発な議論が行われました。
セミナーの概要
当日は、三重県議会藤田正美議長の開会あいさつに続き、次のとおり進められました。
(1) 講演
『あなたの自治体は大丈夫か?』 ~地方分権時代の財政制度と議会の役割~
新潟大学経済学部助教授 桜内(さくらうち) 文(ふみ)城(き) 氏
夕張市における不適正な会計処理を例に挙げ、「財政破綻とはどういうことか」から始まり、「新地方公会計制度の構築」、「税金とは何か」、「財政民主主義とは何か」といったことについて、説明がありました。
最後に、「地方財政制度・運営にかかる議会の役割」として、議会の権限、責任の重大さについて、説明されました。
(2) 対談
藤田議長、桜内助教授との対談が、萩野副議長の司会により、次のとおり行われました。
議 長 : 予算は、住民の代表である議会が方向付けしてよいか。
桜内助教授 : 住民が納得できるような予算を、議会が決めるべき。
議 長 : 二元代表制である地方議会は、地域の発展のために、住民とどのように取り組んでいくべきか。
桜内助教授 : 地方議会に求められているのは立法権であり、住民に密着したものは議会にしかつくれない。
副議長 : 議会が、決算を不認定とした場合、首長にどのような責任が生じるか。
桜内助教授 : 国の場合では、内閣不信任案が可決されたというに等しい効果があると考える。
(3) 意見交換
会場から、「一時借入金は、議会に報告する義務がないため、金額が分かりにくい。制度を変えるべき」、「将来にわたる世代へ負の遺産をつくらないように、どのようなチェックが必要か」といった質問がありました。
桜内助教授は、「すべて網羅的に会計処理し、表示していくことが重要。制度上の欠陥であり、早期に是正すべき」、「資本をどこに投入し、どのような成果を見込むのかという、長期的な視点で予算編成を見ていくことが必要」と答えられました。