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三重県議会 > 県議会の活動 > 本会議 > 議員提出条例 > 三重県議会議員の政治倫理に関する条例 逐条解説

三重県議会議員の政治倫理に関する条例 逐条解説

議会改革推進会議

 (前文)
 議会制民主主義の健全な発展は、我々議員に対する県民の揺るぎない信頼があって初めて成し遂げられるものである。
 そのためには、県民の負託を受けた我々議員の高い倫理観と深い見識が不可欠である。
 我々議員は、県民の厳粛な信託により、県民の代表として、県政に携わる権能と責務を有することを深く認識し、公正、誠実、清廉を基本とし、厳しい倫理意識に徹して、その使命の達成に努めなければならない。
 ここに、本県議会は、県民に対して、議員の責務を明らかにし、議員の行為規範となる政治倫理規準等を定める政治倫理に関する条例を制定する。
【趣旨】
 前文は、条例の制定趣旨を明らかにしています。
 本条例は、三重県議会基本条例第24条第2項の規定に基づく条例です。
 議員が自らを律するために自ら定めたもので、県民に選ばれた代表としての自覚を持って議員としての使命を全うするため、議員に求められる責務、守るべき行為規範となる政治倫理規準等を県民に対して明らかにすることを表明しています。
 ここでいう「県民」とは、有権者に限らず、全ての県民を対象としています。

【解説】
 この前文は、平成14年3月20日に決議された「三重県議会議員の政治倫理に関する決議」を踏まえて、条例制定における決意を述べています。

【参考】 
 三重県議会議員の政治倫理に関する決議(平成14年3月20日可決)

 議会制民主主義の健全な発展は、我々議員に対する県民のゆるぎない信頼があってはじめて成し遂げられるものです。
 そのためには、県民の付託を受けた我々議員の高い倫理観と深い見識が不可欠であります。
 我々議員は、県民の厳粛な信託により、県民の代表者として、県政に携わる権能と責務を有することを深く認識し、公正、誠実、清廉を基本とし、厳しい倫理意識に徹して、その使命の達成に努めなければなりません。
 よって、本県議会は、議員活動の公明と公正を確保し、健全な民主政治の発展を期するため、「三重県議会議員政治倫理要綱」を別紙のとおり定め、これを遵守することを決意します。
 
 (目的)
第1条 この条例は、議会政治の根幹をなす政治倫理確立のため、議員の責務、政治倫理規準等を定めることにより、議会の秩序及 
 び名誉を守り、県民の厳粛な信託にこたえ、もって清潔で民主的な県政の発展に寄与することを目的とする。
【趣旨】
 本条は、本条例の制定目的を示したものです。

【解説】
 本条例は、議会内外における議員の行為規範として「議員の責務、政治倫理規準等」を定め、議員自身がそれらを守ることで県民から信頼され、県政に県民の声を反映させた議会活動を行い、それにより県政の発展に貢献することが条例の目的であることを明らかにしています。
 
 (責務)
第2条 議員は、県民の負託にこたえるため、絶えず県民全体の利益を擁護するよう行動しなければならない。
2 議員は、高い倫理的義務が課せられていることを自覚するとともに、その言動が県民及び県政に与える影響に鑑み、自らを厳しく律
 するとともに、県民の代表として良心及び責任感を持って、議員の品位を保持し、識見を養うよう努めなければならない。
3 議員は、政治倫理に関し、政治的又は道義的批判を受けたときは、真摯かつ誠実に事実を解明し、その責任を進んで明確にする 
 義務を負うものとする。
【趣旨】
 本条は、議員の責務を示したものです。
 議員は県民全体の利益のために、常に高い倫理意識を持って自らを律して行動し、政治倫理に反するとして批判を受けた場合には、自らが責任をもって誠実に事実を解明し、責任を明確にする義務を負うことを規定しています。

【解説】
〔第2項関係〕
 議員は公人として高い倫理的義務が課せられていますが、倫理観は時代とともに変わってきています。「識見を養うよう努めなければならない」とは、そのような倫理観の変遷に即していくために、従来の常識にとらわれ過ぎず、常に時代の要請を捉え続けるよう努力しなければならないことを意味しています。

〔第3項関係〕
  議員が受けた政治倫理に関する批判について誠実に対応することは、批判を受けた議員本人が果たすべき義務です。批判を受けた行為等について説明責任を果たし、事実の解明や責任の明確化に積極的に取り組むことが求められます。
 
 (政治倫理規準)
第3条 議員は、地方自治法(昭和22年法律第67号)、公職選挙法(昭和25年法律第100号)、政治資金規正法(昭和23年法律第194号)等の諸規定とともに、次に掲げる政治倫理規準を遵守して行動しなければならない。
 一 議員の品位と名誉を損なう行為により、県民の議会に対する信頼を損ねてはならないこと。
 二 人権侵害行為(差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例(令和4年三重県条例第25号)第2条第3号の人権侵害行為
  をいう。以下この号において同じ。)又は人権侵害行為を行うことの煽動、第三者の行った人権侵害行為に対する賛成の意見の表
  明その他の人権侵害行為を助長 する行為をしてはならないこと。
 三 その権限を濫用し又はその地位を不当に利用して、自己又は特定の者の利益を図ってはならないこと。
 四 自己又は特定の者の利益を目的として、国若しくは地方公共団体が締結する売買、貸借、請負その他の契約又は特定の者に対
  する行政庁の処分に関し、特定の者に有利になるような働きかけをしてはならないこと。
 五 公正を疑われるような金品の授受を行ってはならないこと。
 六 道義的な批判を受けるような政治活動に関する寄附を受けないこと。また、その資金管理団体に、同様の寄附を受けさせないこ
  と。
 七 国若しくは地方公共団体の公務員又は関係団体(指定管理者を含む。)の役員若しくは職員に対し、その権限又はその地位によ
  る影響力を利用して、公正な職務の執行を妨げる等不当な行為をしてはならないこと。
【趣旨】
 本条は、法令の諸規定に加えて議員が遵守すべき政治倫理規準を定めたものです。

【解説】
(第1号関係)
 「議員の品位と名誉を損なう行為」とは、飲酒運転などの法令の諸規定に違反する行為や第2号から第7号までで禁止される行為はもとより、県民の信頼を損なう行為を指します。

(第2号関係)
 「人権侵害行為」の定義については、差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例第2条第3号において、「不当な差別、いじめ、虐待、プライバシーの侵害、誹謗中傷その他の他人の権利利益を侵害する行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)」とされています。また、この中の「不当な差別」については、同条例第2条第2号の逐条解説において、「女子差別撤廃条約、人種差別撤廃条約、障害者権利条約、人権に関する他県等の条例などを参考に、「不当な差別」について定義しています。」とされています。
 具体的にどのような行為が「人権侵害行為」に当たるかについては、人権に関する法令の規定や裁判例、法務省の人権侵犯事件調査手続での対応例、学説等を踏まえて総合的に判断することになると想定されます。
 自らの人権侵害行為だけでなく、人権侵害行為を助長する行為も禁止されており、その例として、「人権侵害行為を行うことの煽動」や、「第三者の行った人権侵害行為に対する賛成の意見の表明」が示されています。特に、「賛成の意見の表明」については、その行為により人権侵害行為を助長するものに限られます。
 意見表明等の際には、それが予期せぬ人権侵害行為を助長する行為となる場合もあることから、その点に十分留意するとともに、予期せぬ人権侵害行為となった場合を認知した際には、速やかに訂正するなどの対応が求められます。
 また、インターネットを通じて発信を行う場合には、それが不特定多数の目に触れ、一度発信したものは完全に削除するのは困難なため、より注意が必要となります。

(第5号関係)
 議員は、金品の授受に関しては特に留意が必要であり、実際には公正な金品の授受であったとしても、県民目線で、外形から判断した際に公正を疑われることも想定されます。

(第6号関係)
 「道義的な批判を受けるような政治活動に関する寄附」とは、法令に違反しないとしても、寄附されたものが適法に取得されたものかどうかが疑わしい、寄附した者の身元が不明など、県民に不信感を与えかねないような寄附を意味します。
 
 (審査の請求)
第4条 議員は、前条各号に掲げる政治倫理規準(以下この条及び第6条において「政治倫理規準」という。)のいずれかに反する疑い
 があると認めるときは、議員の定数の12分の1以上の議員の連署により議長に審査を請求することができる。この場合において、審
 査の請求は、理由を明らかにした文書をもって行うものとする。
【趣旨】
 本条は、議員に政治倫理規準に反する疑いが生じた際の、議長への審査請求の方法について規定しています。

【解説】
 審査の請求は、政治倫理規準のいずれかに反する疑いがあると議員が認めるときに請求できますが、審査の請求が濫用されないよう(審査請求(権)の濫用もまた政治倫理規準に抵触する恐れがあります)、審査請求するための議員数を、定数の12分の1以上とする一定の人数要件を求めています。この12分の1以上という基準については、地方自治法に規定されている議員による議案提出要件と同じ基準となっています。
 また、審査の請求は「理由を明らかにした文書」で行う必要があるため、当該議員のどのような行為が、政治倫理規準のどの規定に反する疑いがあるのかを明記した文書によって請求することとしています。

【参考】
 
 地方自治法(抜粋)

〔議員の議案提出権〕
第112条 普通地方公共団体の議会の議員は、議会の議決すべき事件につき、議会に議案を提出することができる。但し、予算につい
 ては、この限りでない。
② 前項の規定により議案を提出するに当たつては、議員の定数の十二分の一以上の者の賛成がなければならない。
③ 第一項の規定による議案の提出は、文書を以てこれをしなければならない。
 
 (審査会の設置)
第5条 議長は、前条に規定する審査の請求があったときは、これを審査するため、議会運営委員会の議決により、議会に三重県議
 会議員政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を速やかに設置する。
2 審査会は、委員11人以内で組織する。
3 委員は、議員のうちから議長が任命する。
4 委員の任期は、当該審査が終了するまでとする。
5 審査会に委員長及び副委員長を置き、委員の互選によりこれを定める。
6 委員長は、会務を総理し、審査会を代表する。
7 委員長に事故があるとき又は委員長が欠けたときは、副委員長がその職務を行う。
【趣旨】
 本条は、前条による審査請求があった際の議長の対応について規定しています。

【解説】
〔第1項関係〕
 審査請求があった場合、議長は政治倫理審査会を設置することについて、議会運営委員会の議決を経る必要があります。
 なお、条文にある「これを審査するため」の「これ」とは、審査を請求された議員の行為が政治倫理規準に反するかどうかを指し、「これを審査するため」の政治倫理審査会を設置することの可否について、議会運営委員会に諮るものです。議会運営委員会における議決については、審査会設置の可否についてその理由を明らかにし、審査会の設置が決定されれば、議長は速やかに委員を任命して審査会を設置します。
 議会運営委員会の判断は、客観的かつ公正なものでなければならず、委員の主観や、審査の請求を受けた議員の立場などによって左右されることなく審査会設置の判断を行う必要があります。
 
〔第2項~第5項関係〕
 審査会の委員は11人以内とされていますが、全ての会派から委員を選任することが望ましいと想定されます。例外として、少人数の会派が多数ある場合や、ある会派の所属議員全員が被審査議員となっている場合などが考えられます。
 委員は議長が任命することとされていますが、実務上は、まず委員の配分について代表者会議に諮り、決定した配分に基づき各会派に候補者を提出させ、提出があった者を任命することが想定されます。
 なお、審査の公平性・公正性の観点から、審査の請求をした議員は審査会の委員に任命しないことが望ましいと考えます。
 
 (審査会の運営)
第6条 審査会の運営は、次に定めるところによるものとする。
 一 審査会は、委員長が招集し、会議を主宰する。ただし、設置後最初に開かれる審査会は議長が招集する。
 二 審査会は、委員の半数以上が出席しなければ会議を開くことができない。
 三 審査会の議事は、委員長を除く出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
 四 審査会は、審査の請求をされた議員につき、政治倫理規準のいずれかに反し、政治的又は道義的に責任があると認めた場合
  は、議長に対し全員協議会における陳謝の勧告を求める審査の結果を答申するものとする。
 五 前二号の定めにかかわらず、審査会は出席委員の3分の2以上の多数による賛成がある場合は、前号の審査の結果に代えて
  全員協議会における陳謝の勧告、出席若しくは参加の自粛の勧告、役職辞任の勧告又は議員辞職の勧告の1又は2以上の勧告
  を求める審査の結果を答申することができる。
 六 審査会は、第四号に定める審査の結果を答申しない場合で、審査の請求をされた議員の名誉を回復する必要があると認めると
  きは、議長に対し当該議員の名誉を回復するために必要と認める措置を講ずるよう求めるものとする。
 七 審査会は、審査のため必要があるときは、議員、優れた識見を有する者等に対し、その出席を求め、意見若しくは事情を聴取し、
  又は報告を求めることができる。
 八 審査の請求をされた議員は、審査会から出席の要請があった場合は、出席し、誠実に答える義務を負う。
 九 審査の請求をされた議員は、審査会に対し口頭又は文書により弁明することができる。
 十 委員は、その職務を遂行するに当たっては、公正不偏の立場で、審査しなければならない。
 十一 審査会の会議は、これを公開する。ただし、審査会が必要と認 めるときは、これを公開しないことができる。
 十二 審査会の委員又は委員であった者は、職務上知り得た秘密を他 に漏らしてはならない。
 十三 審査会の会議の傍聴については、三重県議会委員会条例(昭和31年三重県条例第65号)第19条の規定の例による。
 十四 委員長は、職員をして、会議の概要等必要な事項を記載した記録を作成させなければならない。
2 前項に定めるもののほか、審査会の運営に関し必要な事項は、その都度、委員長が審査会に諮って定める。
【趣旨】
 本条は、政治倫理審査会の運営方法について規定しています。審査の方法や議事の決し方などについて規定しています。

【解説】
〔第1項第3号~第5号関係〕
 審査会の議事は委員長を除く出席委員の過半数で決しますが、政治的又は道義的な責任があると認められた場合には、「全員協議会における陳謝」の勧告を答申することになります。
 なお、出席委員の3分の2以上の賛成がある場合は、「全員協議会における陳謝」、「出席若しくは参加の自粛」、「役職辞任」及び「議員辞職」の勧告のうち一つ又は複数の勧告を答申することができます。
また、第4号及び第5号で掲げる勧告については限定列挙であるため、これ以外の勧告を内容とする審査結果を答申することは想定していません。
 ※「出席若しくは参加の自粛」の期間については、目安として想定される三重県議会会議規則第96条で定める「出席停止」の期間である7日以内が参考として想定されます。

〔第1項第6号関係〕
 「審査の請求をされた議員の名誉を回復する必要があると認めるとき」とは、①政治倫理規準に反する行為があったという事実が認められなかった場合又は②政治倫理規準に反する行為の責任が被審査議員にあったとは認めらない場合で、政治倫理審査会を開かれたという事実により被審査議員の名誉が毀損されたと考えられる場合が想定されます。
 「名誉を回復するために必要と認める措置」とは、政治倫理規準に反する行為があったとは認められない旨又は行為の責任が被審査議員にあったとは認められない旨を、三重県議会ホームページに掲載する、又は代表者会議において議長から報告する等の措置が想定されます。

〔第1項第7号関係〕
 「議員、優れた識見を有する者等」とは、被審査議員や審査会の委員以外の議員、審査において必要な専門知識を有する識者、審査において意見や事情を聴取することが必要と考えられる関係者です。それぞれ、以下のような事例が想定されます。
 〇議員を出席させる場合
  ・会派としての対応を確認するために、会派代表者から事情を聴取すること、対応結果の報告を求める
   こと。
  ・被審査議員の政治倫理基準に反する疑いのある行為について、行為があった場に居合わせた等、行
   為時の状況を聴取することが有益と考えられる議員に事情を聴取すること。
 〇優れた識見を有する者を出席させる場合
  ・審査において考慮すべき専門知識を有する識者に意見を求めること。ただし、偏りがない審査を行う
   ため、複数人の識者に出席を求め、意見を聴取することが望ましいこと。
  ※なお、人権侵害行為に関する案件については、「差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条
   例」第18条第1項で定める三重県差別解消調整委員会の委員から選定し、依頼することが想定され
   ます。
 〇関係者を出席させる場合
  ・被審査議員と共謀して政治倫理規準に反する行為をした者や、被審査議員の行為によって利益を享
   受した者、被審査議員の行為によって被害を受けた者など、被審査議員の行為と関係が深く、審査に
   当たって当該関係者の意見や事情を聴取することが必要と考えられる場合に、出席を求めること。

〔第1項第8号、第9号関係〕
 審査会は、審査において必要な場合には被審査議員に出席を求め、意見・事情の聴取や質疑等を行うことができ、被審査議員はその要請があった場合には出席し、誠実かつ明確に答える必要があります。
 反対に、被審査議員から審査会に対して弁明を申し出ることもでき、口頭で弁明する場合は審査会へ出席して弁明することとなります。
 審査会は、被審査議員から口頭弁明の申し出があった場合には、審査会に出席させる必要があります。また、文書による場合は、審査会の委員長に弁明書を提出することとなります。

〔第1項第11号関係〕
 審査会は原則として公開で行われますが、関係者の個人情報を取り扱う場合や、公開することで関係者が不利益を被る恐れがある場合、公開することで関係者が精神的な苦痛を伴うなど配慮すべき事由があり当該関係者が公開を望んでいない場合などは、審査会の判断により非公開とすることができます。審査会を非公開とする場合には、あらかじめ会議で決定しておく必要があります。

〔第1項第12号関係〕
 通常の議員活動においては議員に守秘義務はありませんが、政治倫理審査会においては一般県民の内面に係る個人情報等、センシティブな情報を扱うことが想定されるため、本審査会の委員としての職務上知り得た秘密については、守秘義務を負うこととなります。この守秘義務は、審査会が終了した後も継続します。
 なお、公開の政治倫理審査会において扱われた内容については、守秘義務はありません。

〔第2項関係〕
 審査会を進めていくうえで、本条例においてあらかじめ定められている事項以外に定める必要がある事項が出てきた場合については、委員長が審査会に諮って定めることができます。例えば、被審査議員が補佐人とともに審査会に出席することを希望する場合の許可などが考えられます。
 なお、本項の規定によって定めた事項は、当該審査会においてのみ適用されることとなります。
 
 (議長への報告)
第7条 委員長は、審査の結果について議長に報告するものとする。
【趣旨】
 本条は、政治倫理審査会で審査された結果の取扱いについて規定しています。

【解説】
 審査会の委員長は、審査の結果について議長に報告するものとされていますが、議会内での共有及び県民に対する説明責任を果たすために、代表者会議等で報告することが望ましいと考えられます。
 
 (審査の結果の通知及び公表)
第8条 議長は、前条の審査の結果(以下「審査結果」という。)の報告を受けたときは、審査の請求をした議員及び審査の請求をされ
 た議員に対して審査結果を通知し、次条第1項の規定による意見書の提出の有無を確認の上、審査結果を公表しなければならな
 い。
【趣旨】
 本条は、議長が審査会から審査結果の報告を受けた際の対応について規定しています。

【解説】
 議長は審査会から審査結果の報告を受けた際には、審査の請求をした議員全員と被審査議員に対して、当該審査結果を書面にて通知します。
 なお、被審査議員は、次条により当該審査結果について意見書を提出することができ、意見書の提出があった際には審査結果の公表と併せて意見書の全部又は概要を公表することとなるため、審査結果を通知する際に意見書を提出するかどうかを確認しておく必要があります。
 意見書を提出する意思がない場合は、速やかに審査結果を公表し、公表は三重県議会のホームページにおいて行います。
   
 (意見書の提出及び公表)
第9条 審査の請求をされた議員は、前条の規定による通知を受けたときは、審査結果について、議長に対し意見書を提出することが
 できる。
2 議長は、前項の規定による意見書の提出があったときは、審査結果の公表に当たり、意見書の全部又は概要を併せて公表するも
 のとする。
【趣旨】
 本条では、審査請求をされた議員が審査結果の通知を受けたとき、審査結果に対して異議がある場合や、補足しておきたいことがある場合などのために、意見を付ける方法を定めています。

【解説】
〔第1項関係〕
 審査請求をされた議員は、前条による通知を受けた際、意見書の提出の有無について議長から確認されることを受けて、意見書を提出する場合は、当該確認時に提出する意向を伝えておく必要があります。確認時に「提出しない」旨を回答すると審査結果のみが公表されるため、審査請求をされた議員は、審査結果を確認したうえで、意見書提出の有無について回答する必要があります。
 なお、意見書を提出する場合は、審査結果の公表に遅延を生じさせないよう、速やかに提出する必要があり、一般的な行政手続き等の申請期限などから考えると概ね2週間以内に意見書を提出することが望ましいと考えます。それまでに提出しない場合は、審査結果のみが公表されたとしても、異議を唱えることはできないものと考えます。

〔第2項関係〕
 議長は、審査請求をされた議員から意見書の提出があれば、審査結果と併せて公表します。公表に当たっては、提出された意見書の全文をそのまま公表することが基本ですが、意見書内に記載されている文言の一部が公表に適さない場合、同じ内容を延々と繰り返すことで膨大な量の書面となっている場合など、全文を公表することが適切でないと議長が判断した場合は、意見書の概要として公表することができます。
 
(措置)
第10条 議長は、審査結果の報告を受けたときは、勧告その他の審査会が必要と認める措置を講じることができる。
2 議長は、前項の措置を講じたときは、これを公表しなければならない。
【趣旨】
 本条では、審査会から勧告等の措置を求める内容の審査結果が報告された場合の対応について規定しています。
 
【解説】
 地方自治法第134条に規定する議会の懲罰権は、地方自治法並びに会議規則及び委員会条例に違反した議員に対し、議決により懲罰を科するものであるのに対して、本条例における措置は、議会内外における議員の行為規範となる政治倫理規準に抵触した議員に対して、審査会で審査を行い、その結果の報告を受けた議長が措置を講じることができるものです。

〔第1項関係〕
 「勧告その他の審査会が必要と認める措置」とは、第6条第1項第4号及び第5号の勧告と同項第6号の名誉回復の措置が想定されます。
 議長は、審査会から、審査結果を報告された場合は、当該措置を講じることができます。
 当該措置を講じることで議会運営に支障が生じるなど、措置を講じないことが合理的であると考えられる場合を除いて、議長は、審査結果のとおり措置を講じることが望ましいと想定されます。

〔第2項関係〕
 議長は、審査結果で必要とされた措置を行った場合は、その旨を公表します。公表は、三重県議会ホームページにおいて行います。
 
(委任)
第11条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、議長が別に定める。
【趣旨】
 本条は、この条例の規定以外の施行に関し必要な事項の取扱いについて定めています。

【解説】
 審査会の運営に関して必要な事項については、第6条第2項により、その都度、委員長が審査会に諮って定めることとしているため、本条の規定により議長が定めることができるのは、審査会の運営に関すること以外の事項です。

附 則
 1 この条例は、公布の日から施行する。
【解説】
 本条例が県民に対して義務を課すものではなく、周知期間を要しないことから、公布の日(平成18年12月26日)から施行する旨を規定したものです。
 
 2 議会は、この条例の施行後、常に県民の意見、社会情勢の変化等を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の規定につい
  て検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
【趣旨】
 条例の施行後、常に県民の意見、社会情勢の変化等を勘案し、必要があると認めるときは、本条例の見直しを行うこととしています。

【解説】
 本項は、提案、要望等の県民からの意見、地方自治法等の法制、議員の選挙その他の議会を取り巻くあらゆる環境の変化を勘案し、必要があると認めるときは、本条例の規定について検討を行い、その結果必要と判断した場合は改廃を行うことを定めています。
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