一部改正後の三重県議会基本条例
目次
前文
第一章 総則(第一条―第三条)
第二章 議員の責務及び活動原則(第四条・第五条)
第三章 議会運営の原則等(第六条―第七条)
第四章 知事等との関係(第八条―第十条)
第五章 議会の機能の強化(第十一条―第十七条)
第六章 県民との関係(第十八条―第二十一条)
第七章 議会改革の推進(第二十二条・第二十三条)
第八章 政治倫理(第二十四条)
第九章 議会事務局等(第二十五条・第二十六条)
第十章 補則(第二十七条・第二十八条)
附則
平成十二年四月のいわゆる地方分権一括法の施行により、地方公共団体(以下「自治体」という。)は、自らの責任において、その組織及び運営に関する様々な決定を行うこととなり、国と自治体の関係も、従来の上下・主従の関係から、対等・協力の関係へと変化した。
また、住民が自治体の長及び議会の議員を直接選挙するという二元代表制の下、三重県民の代表として選ばれている議員と知事は、それぞれが県民の負託にこたえる責務を負っている。
このため、本県議会は、住民自治及び団体自治の原則にのっとり、真の地方自治の実現に向け、国や政党等との立場の違いを踏まえて自律し、知事その他の執行機関(以下「知事等」という。)とは緊張ある関係を保ち、独立・対等の立場において、政策決定並びに知事等の事務の執行について監視及び評価を行うとともに、政策立案及び政策提言を行うものである。
今日まで、本県議会は、分権時代を先導する議会を目指して、議会改革に積極的に取り組み、知事等への監視機能の強化や政策立案機能の充実等の議論を行い、議会改革推進のために、平成十五年十月には、本県議会の基本理念と基本方向を定める決議を行うなど、真摯に努力を重ねてきた。
ここに、本県議会は、これまでの歩みから、日本国憲法及び地方自治法の範囲内において、議会の基本理念、議員の責務及び活動原則等を定めるとともに、議会と知事等及び県民との関係を明らかにし、県民の負託に全力でこたえていくことを決意し、この条例を制定する。
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、二元代表制の下、議会の基本理念、議員の責務及び活動原則等を定め、合議制の機関である議会の役割を明らかにするとともに、議会に関する基本的事項を定めることにより、地方自治の本旨に基づく県民の負託に的確にこたえ、もって県民福祉の向上及び県勢の伸展に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第二条 議会は、分権時代を先導する議会を目指し、県民自治の観点から、真の地方自治の実現に取り組むものとする。
(基本方針)
第三条 議会は、前条の基本理念にのっとり、次に掲げる基本方針に基づいた議会活動を行うものとする。
一 議会活動を県民に対して説明する責務を有することに鑑み、積極的に情報の公開を図るとともに、県民が参画しやすい開かれた議会運営を行うこと。
二 議会の本来の機能である政策決定並びに知事等の事務の執行について監視及び評価を行うこと。
三 提出された議案の審議又は審査を行うほか、独自の政策立案や政策提言に取り組むこと。
四 地方分権の進展に的確に対応するため、議会改革を推進し、他の自治体の議会との交流及び連携を行うこと。
第二章 議員の責務及び活動原則
(議員の責務及び活動原則)
第四条 議員は、地域の課題のみならず、県政の課題とこれに対する県民の意向を的確に把握し、合議制の機関である議会を構成する一員として、議会活動を通じて、県民の負託にこたえるものとする。
2 議員は、日常の調査及び研修活動を通じて自らの資質の向上に努めるものとする。
3 議員は、議会活動について、県民に対して説明する責務を有する。
4 議員は、議場で質疑及び質問を行うに当たっては、対面演壇において、県政の課題に関する論点を県民に明らかにするため、一問一答方式等の方法により行うものとする。
(会派)
第五条 議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる。
2 会派は、政策立案、政策決定、政策提言等に関し、会派間で調整を行い、合意形成に努めるものとする。
3 会派は、議員が前条に規定する責務を果たすために行う活動を支援するものとする。
一部改正〔平成二四年条例四九号〕
第三章 議会運営の原則等
(議会運営の原則)
第六条 議会は、本県の基本的な政策決定、知事等の事務の執行の監視及び評価並びに政策立案及び政策提言を行う機能が十分発揮できるよう、円滑かつ効率的な運営に努め、合議制の機関である議会の役割を果たさなければならない。
2 議会は、議長、副議長、議会運営委員会の委員長等を選出するときは、その経過を明らかにしなければならない。
3 議会運営委員会は、議会運営について協議し、調整するものとする。
4 常任委員会又は特別委員会は、それぞれの設置目的に応じた機能が十分発揮されるよう運営されなければならない。
(議員の定数及び選挙区)
第六条の二 議会は、議員の定数並びに選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数について、県民意思等が的確に反映されるよう不断の見直しを行うものとする。
追加〔平成二四年条例四九号〕
(議会の説明責任)
第七条 議会は、議決責任を深く認識し、議会運営、政策立案、政策決定、政策提言等に関し、県民に対して説明する責務を有する。
一部改正〔平成二四年条例四九号〕
第四章 知事等との関係
(知事等との関係の基本原則)
第八条 議会は、二元代表制の下、知事等と常に緊張ある関係を構築し、事務の執行の監視及び評価を行うとともに政策立案及び政策提言を通じて、県政の発展に取り組まなければならない。
2 議会は、合議制の機関としての特性を生かし、知事等との立場及び権能の違いを踏まえ、議会活動を行わなければならない。
一部改正〔平成二四年条例四九号〕
(監視及び評価)
第九条 議会は、知事等の事務の執行について、事前又は事後に監視する責務を有する。
2 議会は、議場における審議、決算の認定、監査の請求、調査の実施等を通じて、県民に知事等の事務の執行についての評価を明らかにする責務を有する。
(政策立案及び政策提言)
第十条 議会は、条例の制定、議案の修正、決議等を通じて、知事等に対し、積極的に政策立案及び政策提言を行うものとする。
第五章 議会の機能の強化
(議会の機能の強化)
第十一条 議会は、知事等の事務の執行の監視及び評価並びに政策立案及び政策提言に関する議会の機能を強化するものとする。
(附属機関の設置)
第十二条 議会は、議会活動に関し、審査、諮問又は調査のため必要があると認めるときは、別に条例で定めるところにより、附属機関を設置することができる。
(調査機関の設置)
第十三条 議会は、県政の課題に関する調査のため必要があると認めるときは、議決により、学識経験を有する者等で構成する調査機関を設置することができる。
2 議会は、必要があると認めるときは、前項の調査機関に、議員を構成員として加えることができる。
3 第一項の調査機関に関し必要な事項は、議長が別に定める。
(検討会等の設置)
第十四条 議会は、県政の課題に関する調査のため必要があると認めるときは、目的を明らかにした上で、議決により、議員で構成する検討会等を設置することができる。
2 前項の検討会等に関し必要な事項は、議長が別に定める。
(文書による質問)
第十四条の二 議員は、知事等に対し文書による質問を行うことができる。
2 前項の質問は、議長に提出しなければならない。
3 前項に定めるもののほか、第一項の文書による質問の手続に関し必要な事項は、別に定める。
追加〔平成二四年条例四九号〕
(議員間討議)
第十五条 議員は、議会の権能を発揮するため、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会並びに第十三条及び第十四条の規定により設置される調査機関及び検討会等において、積極的に議員相互間の討議に努めるものとする。
2 議員は、議員間における討議を通じて合意形成を図り、政策立案、政策提言等を積極的に行うものとする。
(研修及び調査研究)
第十六条 議員は、政策立案及び政策提言能力の向上のため、研修及び調査研究に積極的に努めるものとする。
(政務活動費)
第十七条 会派及び議員は、調査研究その他の活動に資するために政務活動費の交付を受け、証拠書類を公開すること等によりその使途の透明性を確保するものとする。
2 政務活動費に関しては、別に条例の定めるところによる。
第六章 県民との関係
(県民の議会への参画の確保)
第十八条 議会は、県民の意向を議会活動に反映することができるよう、県民の議会活動に参画する機会の確保に努めるものとする。
2 議会は、知事等の事務の執行の監視及び評価並びに政策立案及び政策提言の過程において、参考人、公聴会等の積極的な活用及び県民との意見交換等県民参画に係る制度の充実に努めるものとする。
(広聴広報機能の充実)
第十九条 議会は、議会に対する県民の意向の把握及び多様な媒体を用いた県民への情報提供に努めるものとする。
2 議会は、広聴広報機能の充実を図るため、議員で構成する広聴広報会議を設置する。
(委員会等の公開)
第二十条 議会は、開かれた議会運営に資するため、委員会等を原則として公開する。
(議会活動に関する資料の公開)
第二十一条 議会は、三重県情報公開条例(平成十一年三重県条例第四十二号)との整合を図りつつ、議会活動に関する資料を原則として公開し、会議録については、議会図書室において県民が閲覧できるようにしなければならない。
第七章 議会改革の推進
(議会改革推進会議)
第二十二条 議会は、議会改革に継続的に取り組むため、議員で構成する議会改革推進会議を設置する。
(交流及び連携の推進)
第二十三条 議会は、他の自治体の議会との交流及び連携を推進するため、独自に又は共同して、分権時代にふさわしい議会の在り方についての調査研究等を行うものとする。
第八章 政治倫理
(政治倫理)
第二十四条 議員は、県民の負託にこたえるため、高い倫理的義務が課せられていることを自覚し、県民の代表として良心と責任感を持って、議員の品位を保持し、識見を養うよう努めなければならない。
2 議会は、議員の政治倫理に関して別に条例を定める。
第九章 議会事務局等
(議会事務局)
第二十五条 議会は、議会の政策立案能力を向上させ、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の機能の強化及び組織体制の整備を図るものとする。
2 議会は、専門的な知識経験等を有する者を任期を定めて議会事務局職員として採用する等議会事務局体制の充実を図ることができる。
(議会図書室)
第二十六条 議会は、議員の調査研究に資するために設置する議会図書室を適正に管理し、運営するとともに、その機能の強化に努めるものとする。
2 議員は、調査研究のため、積極的に議会図書室を利用するものとする。
第十章 補則
(他の条例との関係)
第二十七条 この条例は、議会に関する基本的事項を定める条例であり、議会に関する他の条例等を制定し、又は改廃する場合においては、この条例との整合を図るものとする。
(検討)
第二十八条 議会は、この条例の施行後、常に県民の意見、社会情勢の変化等を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。
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