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平成18年第3回定例会 陳7

受付番号・件名 7 有害駆除委員(仮名)設置について
受付年月日 平成18年7月31日
提出された
定例会
平成18年第3回定例会
所管委員会 環境森林農水商工常任委員会
項目  有害駆除については、冬季の狩猟解禁時以外に、住民の要望があれば有害駆除の許可が出されるようである。しかし、狩猟を行う方は、楽しむために、趣味として猟を行うのであり、有害駆除を目的として猟を行う人はいないわけである。また、高齢者、冬季にのみ趣味で行っている人、仕事を持っている人など、狩猟者の都合もある上に、美杉町の猟友会においては猿の駆除については依頼できないのが実情となっており、狩猟免許を有する人に全て有害駆除の対応をしていただけるわけではない。
 そのような中、現在猟友会の一員で、私たちの要望にこたえ、罠で猪・鹿・猿を駆除したり、交通事故にあった鹿の処理や、田畑を荒らして網にひっかかった鹿を撤去してくださる方がおられ、その方を頼っているのが現状である。
 また、銃は、撃つ場所や時間などに制限があるが、罠は24時間、安全な体制で駆除でき、鹿が道路へ飛び出す箇所へ罠を仕掛けることなどにより、交通事故の防止にもつながる。
 しかし、罠によって猿を駆除する技術を持つ方は上述の方のみであり、このような技術を次の世代に引き継いでいく育成活動が重要である。
 よって、下記の事項を踏まえ、今後、優秀な技術を持ち、動物の山での生活行動をよく理解していて、やる気のある人を中心に専門の有害駆除委員(仮名)を一日でも早く組織していただきたく陳情する。
1 農山村における獣類の繁殖状況
 近年猿、猪、鹿の繁殖が進み増加の一途をたどっている。肉食動物による自然淘汰が期待出来ない状況においては、冬季の狩猟期間中のみが数量調整を行える時期であるが、主として食肉用として流通しやすい猪に猟が集中しており、猪においては過去の駆除数量がほぼ維持されている。
  猿、鹿については、昭和40年代頃は現在の津市では見かけることすらなかったが、最近は、スクールバスを待っていた児童が猿に襲い掛かられそうになったり、買物に行く女性や子どもを追いかけたり、住居の中に侵入し、部屋の中を荒らしたり、冷蔵庫の中をあさったりと被害が広がってきている。ある地区においては、昼でも10頭近くの鹿が家の庭木や花を食べることから、年中家の周囲に網をめぐらせ網の中で暮らしている状況である。
 木の実のなる雑木林から杉・檜に樹種転換をした事が現在の状態を生み出しており、頭数が多すぎるために里の食糧のある所へ出てくるようになっている。 
 このように、猿・鹿の被害は旧市町村のうち、香良洲町と河芸町を除き広く食糧のある所を求めてその数を増しながら市街地近くまで侵入していくと思われる。
2 被害の状況
(1)農作物への影響については、春に田植えをすれば、鹿が植えたての苗を食べ、秋には、稲の完熟前から猿と猪に稲が食べられる。畑においては、植えたじゃがいもの種を猿と猪が掘り、収穫時にも猿と猪に狙われる。また、各種野菜の種まき後、とうもろこし、豆類等の食べ物の全てが猿、猪に狙われる。 鹿は春から秋にかけてあらゆる野菜の葉を好んで食べに来る。小さい田一枚、畑一枚を猿、猪、鹿に提供している家庭も見受けられる。その他椎茸もその限りではない。茶畑についても、冬に鹿がお茶の葉を茎まで食べてしまい、春芽を出す頃には葉が伸びてくることができないために新茶を摘むことができなくなっている。 このような被害に対処するために棚が必要となるとともに、周囲と天井に至るまで網を張らなければならないにもかかわらず、老齢化と資金面で十分なことが出来ずに田畑を放棄された方がたくさんいる。特に、買物などに行けない高齢者にとって、農作物を作れないことは死活問題である。
(2)森林への被害については、木炭や椎茸の生産のために雑木林を伐採すると、春の若芽は鹿の食糧となり雑木林の再生が遅れたり死活する雑木もある。また、新植された杉・檜の苗は食べられて全滅する。冬場に食糧が無くなると、15年生前後の檜の皮は鹿の餌となり、檜に甚大な影響を及ぼしている。森林開発公団のみが新植された山に網を張っているのが現状である。
(3)交通への影響については、特に山村地域において夜間に猪・鹿の出没が多く、ライトの明かりの方へ出てきて自動車と接触している事実がある。鹿の飛び出しによって車の転落事故(死亡)や、避けようとして怪我をして救急車で運ばれた方もおり、車やバイクの物損事故は一年でかなりの件数になる。
 しかし、事故に遭われた方は保険が使えず泣き寝入りせざるを得ない。こうした現状は、地元の警察も把握していない。
(4)今後の山村農業を考える時、ほとんどの家庭は田なり畑を持っているので、最低限自家用の農作物を確保することであり、別に地域振興と活性化を考えれば山村らしき農産物の大量生産をしていく事がその姿であろうと思われる。
 しかし、現在の状況では不可能である。林業の低迷により農林業という形が崩れ出すとともに若者が急激に減少し老齢化が進んだ上に、自己資金不足も手伝って完全には防護措置を講じられないのが現状である。
3 これまでの取組
 旧美杉村においては、合併が進む中、村行政へ村民から有権者約800名(住民6千人中)の・趨シを集め、駆除委員設置の要望書を提出したが、当時の村長の答弁は期待はずれの答弁であった。
4 県外の状況
 最近、あるテレビ局が東京都の取組を紹介していたが、東京都多摩地区では、美杉と同じく鹿や猪の被害で困っているとのことであった。石原都知事は、早速有害駆除委員を設置し、一日2頭の鹿の駆除に当たり、解体施設を建設し、鹿肉は一流シェフを呼び、地元の旅館やホテルの女将さんなどで料理を研究し、鹿肉料理を地元旅館やホテルのメイン料理にしている。
 また、生肉や加工品は東京都がみやげ物として販売し、地元の活性化につなげている。東京都は、多摩地区だけであるが、三重県では北勢地区から南勢地区までほぼ全域で被害が出ている。三重県も是非このように迅速な対応をしていただきたい。
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