消費者政策の充実・強化、消費者保護基本法の抜本改正に関する意見書
我が国の消費者政策は、昭和43年に制定された消費者保護基本法を基本的な枠組みとして展開されてきたが、ここ数年、商品やサービス・金融に関する消費者被害が全国的に急増し、消費者の暮らしを脅かしている。さらに、食品偽装事件など企業不祥事の続発により、消費者は、企業に対して大きな不信を抱くこととなった。
国民生活センターの統計によると、全国各地の消費生活センターなどに寄せられた消費者からの苦情件数は、平成14年度には83万件に上り、10年前の約4.4倍に達している。このような状況を踏まえれば、消費者政策の充実・強化が不可欠である。
内閣府の国民生活審議会の消費者政策部会においても、平成15年5月に、報告書「21世紀型の消費者政策の在り方について」が取りまとめられ、消費者政策を推進するうえで、「消費者の権利」を基本理念とすることが打ち出されたところである。
現在、国においては、この報告書の具体化に向けて、消費者保護基本法の見直しにつき、検討作業が進められているところであるが、消費者にとって安全で安心な暮らしが保障されるためには、「消費者の権利」を基本に据えた消費者保護基本法の抜本改正が必要である。
よって、本県議会は、国において、消費者保護基本法の改正に関して、次の措置を講ずるよう強く要望する。
以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年3月19日
三重県議会議長 中川 正美
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
北朝鮮による拉致問題の全面解決を求める意見書
本県議会は、平成14年10月に「北朝鮮による日本人拉致事件の早期解決を求める意見書」を可決したところであるが、未だ解決に至っていないことは誠に遺憾であると言わざるを得ない。
拉致問題は、国連人権委員会においても北朝鮮の人権状況を非難する決議が採択されているように、我が国の国家主権と基本的人権を侵害する犯罪であり、人道上決して許されない行為である。
政府においては、今年2月開催された北朝鮮の核開発問題等をめぐる6カ国協議においても拉致問題の解決を強く求めたが、北朝鮮は「被害者5人がいったん北朝鮮に戻るべきだ」など従来の原則的な立場を主張するばかりであった。このため、政府においては、拉致問題についての日朝政府間交渉の早期開催を強く求めているところである。
また、国会においては、今年2月に日本独自の判断により北朝鮮に対する経済制裁を可能とするいわゆる外為法を改正するとともに、今国会に北朝鮮籍船舶等の入港を制限する「特定船舶入港禁止法案(仮称)」が提出される見込みである。
拉致問題の全面解決は、日本人拉致被害者やその家族はもとより国民すべての願いであり、拉致問題の真相究明を進めるとともに、早期解決に向けて毅然とした態度で交渉に当たることを強く求めるものである。
よって、本県議会は、国において、拉致問題の全面解決に向け、次に掲げる事項について全力で取り組むよう強く要望する。
以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年3月19日
三重県議会議長 中川 正美
(提 出 先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
外務大臣
内閣官房長官
輸入牛肉の安全性確保等を求める意見書
昨年にはカナダ、米国でBSE感染牛が発見され、特に我が国の牛肉消費量の3割を占める米国において発見されたことは、日本国内の消費者はもとより流通業界、外食産業の経営や雇用にも大きな影響を与えている。
平成15年のいわゆる「牛肉トレーサビリティ法」の成立により、国産牛肉については、生産・製造の履歴管理が行われ安全と安心が確保されている。しかし、国内流通の6割を賄う輸入牛肉についてはその対象外であるため、海外においてBSE感染牛が発見された場合、消費者を不安に陥れるのみでなく、牛肉の安定した供給が確保されないことにより、加工、流通、小売、飲食等の関連事業者への被害は多大なものとなる。
また、最近では、BSE・竭閧゚ぐる日米政府間協議において、安全対策等において日米の認識の相違が表面化し、このまま米国産牛肉の輸入停止が続けば、供給不足による外食産業への影響、消費牛肉の価格の高騰、消費の停滞等を招く事態となる。
よって、本県議会は、国において、輸入牛肉の安全性と安定的な供給を確保するため、下記の事項について早急に措置を講ずるよう強く要望する。
記
以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年3月19日
三重県議会議長 中川 正美
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
外務大臣
財務大臣
厚生労働大臣
農林水産大臣
地域の自立のための真の三位一体改革の推進を求める意見書
地方においては、長期的な景気の低迷と数次にわたる景気対策等から厳しい財政状況にある。このため、本県においては、これまでも、事業成果、費用対効果等の視点から事務事業の徹底的な見直しによる歳出の削減を行うとともに、平成16年度から3か年を財政健全化の「集中取組期間」として県単独補助金の見直しなど厳しい行財政改革に取組んでいくこととしている。
このようななか、平成16年度の政府予算案では、三位一体改革の初年度として、国庫補助負担金については約1兆円が削減され、地方交付税についても臨時財政対策債の発行額を加えると約2兆9千億円が実質に削減されているが、国から地方への財源移譲は約4千5百億円にとどまり、国庫補助負担金、地方交付税などの削減が先行されたため、地方の痛みは非常に大きくなっている。
このため、本県の平成16年度当初予算において、地方交付税などの大幅な減収等による財源不足を補うため、基金をほとんど取り崩すなど厳しい財政運営を強いられており、こうした状況が続けば、住民に対する一定水準の行政サービスを保障することさえ困難となる。
このことは、三位一体改革の目的である歳入、歳出面での地方の自由度を高め、地方が自らの権限、責任、財源で、真に住民に必要な行政サービスを地方自らの責任で自主的、効率的に行うということに反するばかりでなく、地方への負担転嫁と言わざるを得ない。
よって、本県議会は、国において、地域の自立のための真の三位一体改革が推進されるよう次のとおり強く要望する。
以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年3月19日
三重県議会議長 中川 正美
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣
農林水産大臣
経済産業大臣
国土交通大臣
環境大臣
内閣官房長官
内閣府特命担当大臣(金融・経済財政政策)
観光振興による地域経済の活性化を求める意見書
観光は、宿泊、交通、飲食、買い物など地域の広範な産業に関わるとともにその経済波及効果が大きく、2001年の観光消費による我が国経済への生産波及効果は49兆円、雇用創出効果は393万人と推計され、地域経済の活性化に大きく貢献している。
こうしたことから、政府においては、国内観光の振興ばかりでなく、外国人旅行者の受入れによる観光の振興を図るため、2010年には現在の訪日外国人旅行者を1000万人に倍増させることを目標にしている。平成15年7月には関係行政機関が緊密な連携のもと、観光立国実現のための政策を効果的かつ総合的に推進していくため、観光立国推進計画を取りまとめたところである。
本県は、国内有数の観光地である伊勢志摩地域を始めとして、永い歴史ある湯の山温泉、芭蕉生誕の地であるとともに伊賀忍者の発祥の地でもある伊賀地域、文化遺産への登録が予定されている熊野古道など世界的な観光資源を多く有している。
よって、本県議会は、国において、観光立国推進計画の着実な推進を図るとともに、観光振興により地域経済が一層活性化されるよう次の事項について強く要望する。
以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年3月19日
三重県議会議長 中川 正美
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
外務大臣
財務大臣
厚生労働大臣
国土交通大臣
観光立国担当大臣
内閣官房長官
地域再生担当大臣
DV防止法の抜本改正等を求める意見書
平成14年4月から「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(以下「DV防止法」という。)が完全施行され、発見者による通報義務、保護命令制度の創設等が施されたところである。
DVに関する相談件数が増加するなど、DVが犯罪行為であるという社会的な認識が高まってはいるものの、親族、支援者をも巻き込んだ殺人事件が発生するなど、依然としてDV被害の実態は生命や身体に危害を及ぼす重大かつ深刻な問題となっている。
また、我が国は、平成15年7月の国際連合女性差別撤廃委員会において、多様な形態の暴力への対応、被害者への保護・支援の拡充等について勧告を受け、DV防止法の改善が求められている。
よって、本県議会は、国において、今日のDV被害の実態を十分に把握し、下記の事項についてDV防止法の抜本改正等の必要な措置を講ずるよう強く要望する。
記
以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年3月19日
三重県議会議長 中川 正美
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
法務大臣
財務大臣
厚生労働大臣
内閣官房長官
国家公安委員会委員長
警察庁長官
所得補償制度の早期導入等に関する意見書
現在、政府においては自由貿易体制を維持・強化し、我が国経済を維持・発展させていくため、諸外国とFTA(自由貿易協定)交渉を進めている。FTAにより市場の拡大や経済の活性化が期待されており、ASEAN諸国とFTAが成立すると、我が国のGDPは約1.1兆円から2兆円増加し、これに伴って、約15万人から26万人の新たな雇用が生まれると試算されている。
しかし、国際競争力の弱い農産物に関する関税の引き下げなど農業分野における市場開放の課題があり、FTA交渉が難航している。農産物については、日本の食料安全保障等にも大きく関わっており、慎重に対応して行くことが求められているが、世界の趨勢は自由化していく流れにある。
このため、農産物の自由化により関税が引き下げられても、将来にわたって、我が国の農業が持続的に発展し、国民の安全な食生活を確保していくため、これまでの品目別の価格・経営安定政策から農家に対する「直接支払い」による所得補償などによる品目横断的な政策へ移行するなど農業政策を抜本的に転換し、構造改革を進めていくことが求められている。
よって、本県議会は、国において、我が国の農業の持続的発展と国民の安全な食生活の確保を図るため、「直接支払い」による所得補償制度を早期に導入するとともに、下記の事項について早急に実施するよう強く要望する。
記
以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年3月19日
三重県議会議長 中川 正美
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
農林水産大臣