三重県議会 > 県議会の活動 > 全員協議会 > 全員協議会議事概要 > 令和5年度 全員協議会議事概要 > 令和5年7月10日 全員協議会概要
■ 開催日時 令和5年7月10日(月) 10時01分~10時58分
■ 会議室 全員協議会室
■ 出席議員 48名
議 長 中森 博文
副議長 杉本 熊野
議 員 荊原 広樹 伊藤 雅慶
世古 明 龍神 啓介
辻󠄀内 裕也 松浦 慶子
吉田 紋華 芳野 正英
川口 円 喜田 健児
中瀬 信之 平畑 武
中瀬古初美 廣 耕太郎
石垣 智矢 山崎 博
野村 保夫 田中 祐治
倉本 崇弘 山内 道明
稲森 稔尚 下野 幸助
田中 智也 藤根 正典
小島 智子 森野 真治
藤田 宜三 野口 正
石田 成生 村林 聡
小林 正人 谷川 孝栄
東 豊 長田 隆尚
今井 智広 稲垣 昭義
日沖 正信 舟橋 裕幸
三谷 哲央 服部 富男
津田 健児 中嶋 年規
青木 謙順 山本 教和
西場 信行 中川 正美
■ 欠席議員 なし
■ 県政記者 9名
■ 傍聴者 2名
■ 協議事項
1 児童相談所が関与していた児童の死亡事例について
(1)時間 10時01分~10時58分
(2)説明者
知事 一見 勝之
副知事 服部 浩
危機管理統括監 野呂 幸利
[子ども・福祉部]
部長 中村 徳久
副部長 渡邉 和洋
次長兼子ども政策総括監 西﨑 水泉
児童相談センター所長 中澤 和哉
その他関係職員
(3)説明内容
別添資料のとおり(資料はこちら)
(4)質疑の概要
○吉田議員 見守りを行うと判断した根拠の中に3つ書いてあり、あざが虐待によるものと断定できないこと、母親の対応が前向きだったこと、AIを活用した児童虐待対応支援システムの評価というのがあったが、このAIを活用したシステムについて一切説明が書かれていない。このAIのシステムはどういう仕組みで、どういう判断でこの虐待に関して用いられたのか教えて欲しい。
○中澤所長 平成24年度の死亡事案を受けて、その後、平成25年、26年とリスクアセスメントシートを検討してきた。これは、例えば頭部にけががあった場合一時保護を検討するとか、あるいは子ども本人が保護を求めているとか、そういった事案については一時保護を検討するといったシートで、最初は紙ベースで作成していた。
AIという技術が平成20年代終わりぐらいにできて、平成26年度から蓄積したデータが令和元年時点で6000件ぐらいになっていたので、それをAIで使えるようにとAiCANが開発され、三重県では令和2年7月から6児童相談所で、すべての職員がタブレットを持って運用をしている。
機能としては、大きく3つ特徴づけられ、タブレットであるため現場へ持っていくことができる。特にここ数年は新人の職員が非常に多くなってきて、経験的に不慣れなことがあるので、それをサポートするため、例えば過去の保護率がどれぐらいだったのかが表示されたり、質問項目で聞き忘れがどうしても生じるが、ここを聞いたらよいとか、年齢に応じてどんな聞き方をしたらよいかを教えてくれるような機能がある。
本事案においてもAiCANを使っており、過去の保護率は39%だった。2月8日の時点で緊急受理会議もやって、その時点で評価をした。39%というのは、100件同じ事例があったら39件一時保護しているということで、これは我々の感覚としても、先週6児童相談所の所長会議を行ったが、40%ぐらいというのは感覚的にもしっくりくるという評価だった。
○吉田議員 過去の事案の蓄積を踏まえたデータで39%と示されたということだが、それぞれの事案すべて、状況が同じということはないのではないか。件数が多いとはいえ、それが本当に人間に寄り添ったものになっていないことで、今回のような事案が起きてしまったと思う。例えば看護の現場であれば、同じ疾患だからといって予後が同じになるような方策は絶対使わない。
AIは間違いがないと、かなり信用して使われていたのか。
○中澤所長 御指摘のように機械はやはり機械であり、今データ蓄積は1万数千件まで増えてきたが、データとしてはまだまだ足りないとの評価もされている。やはり判断するのは人間である。今回の場合は39%で、各所長の感覚としてもそんな感じかなということではあったが、機械を信じて判断するというより、それはあくまで目安であって、判断するのは課長であり、緊急受理会議の中での所長の判断になるので、機械頼みということではないと考えている。
○吉田議員 いろんな会議にもかけて、たくさんの方が関与していたということは伺ったし、最終的には人間が判断するということが重要である。また、データの蓄積が不十分だと認めている点もある。
この不十分なAIシステムを今後も使っていく考えはあるのかどうか、聞かせてほしい。
○中澤所長 国においても今、三重県のシステムを参考にして、令和7年度の稼働に向けて同種のAIに記録してリスクを判断していくシステムを導入されようとしており、やはり時代の流れ、趨勢ではあると思っている。データが量的に少ないと、当然信用度はまだまだということになるが、だからといって使わないのではなく、もっとデータを入れて蓄積していくことでよりよいものになっていくと思う。
先ほど申し上げたとおり、判断するのはどこまでいっても人間であり、AIによって判断するものではない。新人職員が現場に行ったときに、評価に戸惑うことがあるときの一つの目安としては非常に使えるものなので、それを所長等に確認していくような形で運用していきたいと思っている。
ただ、御指摘いただいたAIの課題のところでは、初期の時点でのリスクアセスメントについて、今回の事案は、継続的な関わりの中で変化をどう捉えていくかがAiCANにとっても一つの大きな課題になったと考えている。どのようにAiCANで落とし込んでいくかについて、業者ともこれから相談をしていきたいと考えている。
○吉田議員 新人が先輩を頼れない状況で、その代わりに新人をAIがサポートしている面もあるとの答えがあったが、正直言って看護師としてすごく驚いた。命が左右されかねない状況につながる現場で、対人間をAIに求めるのはやはり不十分なところもある。今後国が三重県の状況を参考にしてAIを使っていく方向であると伺ったが、また新たに死亡事件が起こっては意味がないので、本当に何が問題だったか、AIを全面的に押し出していくことが正しいのか、考えてほしいと思う。
もう一つ、見守りを行うこととした理由が3つあるが、虐待には5種類あり、身体的な虐待だけでなく、経済的、ネグレクト、精神的な虐待、そして性的な虐待がある。あざは目で見てわかる身体的虐待の結果だが、それ以外の種類の虐待は目に見えて分からないものである。それ以外の4種類の虐待についてはどう評価していたのか。
○中澤所長 今、新聞報道等でネグレクトということも報じられているが、私どもの家庭訪問、あるいは保育所も令和4年7月8日の登園が最後だったが、その時点でもネグレクトの把握はしていなかった。
○吉田議員 どのようにネグレクトではないと判断したのか。
○中澤所長 ネグレクトは、どんどん痩せてくる、不潔である、ずっと同じ服を着ているとか、目に見えて分かる状態がある。保育所も結構休みがちで、そういうところでは課題はあったとは思うが、園に登園する中でネグレクトの傾向、服装の汚れとか、子どもの様子の変化であるとか、そういったものは関係者の中で確認されなかった。
○吉田議員 死亡が確認された当時、その児童は平均的な体重よりも軽かったという情報があったような気がするが、それについてどう考えていたのか。
○中澤所長 児童相談所としては、直に本児と会ったのは令和4年2月8日、虐待の通告のときで、その後は直接目視で確認はしていない。その後は園において確認をいただいていた。
あざは見つけやすいが、ネグレクトの傾向は見えない部分であるので、そういう部分は日々の関わりの中ではなかなか見えてこない。まして、児童相談所職員とはずっと会えておらず、保育所においても7月8日の登園を最後に登園していなかった。おそらく7月8日時点では違和感はなかったので、ネグレクトの状態が発生したのはそれよりも後だと思う。
これは児童相談所にも共有されていなかったが、令和5年1月に保育所職員が家に行き、本児に会い、元気に遊んでいる姿を確認しており、その時点でも保育所としてネグレクトの把握はされていなかった。そういう意味では、なかなか見つけにくい部分である。
ただ、体重についての御指摘について、成長期の子どもは、本来であればどんどん一定の成長曲線で増えていかなければいけないところが、本児の場合は増えていない。やせていたという評価であった。保育所職員が会っていたときよりも体重が減っていたということではないが、本来増えていくところが増えていなかったという状況であった。保育所が1月に会ったときも特段感じられなかったということであり、そういう意味でネグレクトは、身体以上に見つけにくい、難しい虐待であると改めて認識した。
○吉田議員 虐待が見えなかった、ネグレクトが見えなかったというのは、それこそが虐待の本質ではないかと思うし、児童相談所が諦めてしまっては、もう他の施設は対応のしようがないと思う。AIに入力するものは見えたものしか入力できない。なので、情報共有ができなかったという結果なのであれば、そこの情報を取りに行くことを今後生かしてほしい。
○田中(智)議員 令和4年2月8日時点で、AIの評価を踏まえ、結局一時保護を行わずに定期的に見守るという判断をした。その後、児童相談所としては要保護児童対策地域協議会でこの事案についていろいろ議論されていたと思うが、その状況はAiCANに入力するのか、本児に会えていないから入力する材料はないということか。
○中澤所長 児童相談の様々な記録は、もともと「童」というシステムに児童相談記録を入力しているが、AiCANとも連動しているので、AiCANのデータとしても反映はしている。
ただ、そのリスク評価としては、令和4年2月8日時点の39%という保護率が変化するかというと、そんなに大きく変化しなかった。リスク、過去の保護率という点では、あくまで過去のデータ蓄積の中での評価なのかもしれないが、あまり大きな変化はなかった。
○田中(智)議員 この保護者の様子自体も、児童相談所としては面会・面談はできていなかったのか。
○中澤所長 児童相談所の面談として母親と会って話をしたのは、令和4年2月8日が最後で、その後電話で何度か話をしていたことはあるが、令和4年3月30日以降は児童相談所と連絡はついていない。
○藤田議員 5月には保育園に登園していないという状況を把握しており、そのことについて要保護児童対策地域協議会実務者会議が状況確認をしているということだが、登園をしていないことについて、児童相談所として要保護児童対策地域協議会の話合いの中で、面談する必要はないと判断したのはどういう理由か。
○中澤所長 県の児童相談所と津市において共有をしなかったことについて、県においても、あるいは津市においても、やはりこのケースに対する危機感が足りなかったということはあると考えている。
会見時の取材でも申し上げたが、そもそもきょうだいへの虐待の情報はなかった。本児も令和3年4月から保育所へ入り、欠席がちではあったが、保育所での見守りを継続的に続ける中で、令和4年2月までの10か月あまりは保育所から虐待を疑うような通告もなかった。傷の程度も軽微で、虐待かどうか確認できなかった。
そもそもが養護リスク、育てられないということで児童相談所の関わりが始まっており、虐待の通告で始まったものではない。そういう意味で、虐待リスクが高いとの認識がそもそも児童相談所側に不足していたと思っている。それは津市においても不足していたと感じる。
○藤田議員 どういうメンバーで構成されているか分からないが、要保護児童対策地域協議会の中でも、その必要はないと判断されたと理解してよいか。
○中澤所長 まず、要保護児童対策地域協議会のメンバーは、津市のこども支援課、保健センター、教育委員会などが入り、あとは関係するケースごとに保育所等が入れ代わり入るような進め方になる。
時系列で説明すると、まず令和4年8月9日に児童相談所が保育所を訪問したときに、7月は5日間の通所であった。7月8日を最後に登園していないが、7月は5日間通ったと評価をしたので、8月の時点でそれほど違和感はなかった。次に12月1日に保育所を訪問したときに、7月8日を最後に通所していないことを聞いた。となると、4か月以上空いているが、ただ、その時点では母親から連絡も入っており、もともと欠席がちな家庭でもあることから違和感はなかった。
ただ、12月7日に中勢児童相談所から母親に電話したが、つながらず、このときに家庭訪問を企画すればよかったと今となっては考えている。母親との連絡がつかなかったため、ここからきょうだいが通う小学校の状況把握に切り変えた。校長等に話を聞き、姉は毎日登校しているし、母親が学校に来る様子を見ても特に心配がある家庭ではないとの話であった。本児には会えないが、そういう周辺情報を要保護児童対策地域協議会で共有し、安心していたという状況であった。
○藤田議員 やはりいろいろな点で注意が欠けていたと感じる。
○稲森議員 AIの蓄積している情報が不十分であったところや、39%と判断したことが人間の判断にどう影響したとか、AiCANそのものの欠陥を厳しく検証していくべきだと思うが、その辺をどう考えているかをまず聞きたい。評価項目としてどういう項目が、その危険度の判定に当たって判定されていくのかも説明してほしい。
もう一つが、このAIを導入するとき、児童相談所の多忙化の解消につながっていくと言われていたと思うが、AIを入れる前と今と比べて、例えば長時間労働がなくなったとか、受け持ちのケースが減ったとか、本当に多忙化の解消につながっていると評価できるのかどうか。その余った時間できめ細かい対応を本来すべきだと思うが、その辺はどうなっているのかも教えてほしい。
○中澤所長 情報の蓄積が不十分なので、それが判断に影響したのではないかということについては、確かにAIの情報量としてはもっと蓄積していく必要があることはあるが、使わないと蓄積もしていけないので、やはり使う中で蓄積をしていくものと考えている。
本件については過去の保護率39%と。これは6所長において、決して違和感のある数字ではなかったということは再度申し上げたい。
2つ目のリスク項目については、今後のケースワークに影響する部分もあるので、リスクアセスメントシート自体は非公表としており、紹介だけになるが、例えば一時保護項目として、本件のような頭部への殴打、あざ、骨折、火傷、性的虐待、あるいは保護を求める等については、保護を検討することとなっている。
3つ目の児童相談所の業務の変化、効率化の点では、大いに効率化されていると聞いている。今までであれば、持ち帰って、夜間あるいは土日にケース記録を入力していたのが、訪問した先々にタブレットを持っていき、病院の待ち時間や市町の会議の待ち時間に入力処理もできるし、随時事務所と電話でやりとりしていたところをチャットでするとか、あるいは、AiCANそのものに質問機能があるので、そういったものを使うことで非常に業務としては効率化されていると、数字として出ている。
ただ、虐待の通告件数はどんどん増えているので、職員も増やしていただいているものの、業務としては増える一方で、北勢児童相談所を中心に非常に過酷な労働環境になっている。
○稲森議員 労働時間の短縮とか、あるいは受け持つケースが減るとか、そういうことは数字には全く現れていないということか。
○中澤所長 業務の効率化ということはある。ただ、この10年間で職員は1.5倍になっているが、通告件数は2倍になっており、なかなか効率化をしても追いついていかないと感じている。
○稲森議員 そういう中で、これから全件目視をしていくということだが、今の体制で本当に十分できるのかどうか、具体的にどういうふうに目視による確認をしていくのか聞かせてほしい。
また、これまでも虐待通告を受けた場合、48時間以内に訪問するルールがあったと思うが、それはこれまで他の案件も含めて100%できているのかどうか伺いたい。
○中澤所長 目視の方法としては、児童相談所の職員が全部を見ることはもちろんできないので、学校や保育所に通っているかどうか、通っている様子を聞かせてもらい、それぞれケース分類に応じて、週1の訪問、月1の訪問、3か月に1度の訪問等、ケースの状況に応じて関係機関に聞き取りをする、あるいは学校や保育所に行っていないような子については、児童相談所の職員が直接見に行くということをやっていく。
御心配いただいたように、できるのかというところはある。それによる業務増ももちろんあるが、やっていかなければいけないことと考えており、その辺りについてはこれから立ち上げられる検討会議の中で検討いただいて実施していきたい。
48時間ルールについては、実施できていると考えている。
○服部副知事 今、所長からも話があったように、人員は国の標準基準に合わせて採用しており、全体として1人当たりのケースも多く持っているような状況ではない。ただ、それがいいかどうか、また、AIの話もあるので、これから検討会議の話になるが、本当に職員が関わらなくていいのかどうか、非常勤も含めて、どういった形で目視ができるのか、そういったことは先行して検討し、必要な手当をしていきたいと思う。
また、AIについても、39%というのが、児童相談所の所長らが感じる値と、聞いた時の危険度とはまた違うと思うので、その使い方も含めて、これは評価委員会の方が主になるかもわからないが、そこも合わせて今後どういう対応をしていくのか、検討させていただきたい。
手当については、早くできることは先行してさせていただきたい。
○稲森議員 前知事の時代から最先端のものを入れるときに、こんな素晴らしいことが始まるということだけが宣伝されて、それを横へ展開するような売り込みがされて、実は根っこにある多忙化、人材育成の課題、きめ細かい対応、そういうことをちゃんとやってこなかった責任をもっと認識してほしい。
○一見知事 現場は一生懸命やっていると思う。
AIの話は、先ほどから答弁しているように、AIを100%信じているものではないと。これは判断のときの参考にするものであり、専門家で議論してこういう形にすると決めているということでは、使い方としては適切ではなかったということではないと思う。
ただ、その使い方でいいのかどうかは、今回、第三者委員会も設けるので、AIを入れ出すとそれに依拠してしまうところはあるので、どういう形でそこを修正していくのかということは考えられる。
ただ、このAIがなかったらどうなんだ、虐待が増えてしまう可能性もあるのかどうか、そこも検証していく必要があると思う。
○山崎議員 先ほどから聞いている中で思うのは、子は親を選べない、これが一番だと思う。それを考えたときに、母親に連絡がつかないからきょうだいが通う学校に確認をしに行ったというのも大切だが、私がこういうケースで相談があって取り組んだときに、児童相談所に行って感じたのは、親だけを判断して子どもに対する調査をしている。
親が頼る第三者とか、そういうメンター的な人たちとの関わり合いの中で相談をし、その中で、この方に連絡を取ってやりとりをしながら調査をして、例えば父親にしても、子どもに対していかがなものかというものを調査していく。そういうことができると、よりスピーディーに解決をしていくと思う。
私が携わったときに、いろんな第三者の方の声を聞き、それから直に母親の話も聞き、そして危害が加えられている方のところへも行き、いろんなことをしてきた。でも、児童相談所はそこまではできない。しかし、私たちは相談されるとそういうところまで介入して、ぎりぎりのところで相談しながら、子どもを守っていきたいという思いでやっている。
一つ思うのは、もう一つ介入できる場所を、親以外に、第三者のメンター的なところを、連絡したときに誰を頼れば分かるということをきちっとつくっておけば、解決する方向につながっていくと思う。そういう流れで、相談があったときには、何かが起きたときには誰に電話する、でも、その方につながらなければこっちの方に電話する、でも、その方につながらないときは見に行く。そういう思いで動くから守れると思うので、そういうことをお願いしたい。
○芳野議員 2点聞かせてほしい。
1点は、この事案が、前半の身体的虐待の部分と、後半、7月8日以降保育所に通っていないことが私はネグレクトではないのかと思っている。先ほどの所長の話の中でも、半年以上保育所に通わせないというのはネグレクトの要件にかかってくると思う。母親が働いているかどうか分からないが、保育に欠ける者という形である。保育所として受け入れる条件が整っていたのかというところもある。保育所も家庭訪問をしていたと思うが、児童相談所も家庭を訪問する事案だったのではないかと思う。ネグレクトとして判断を変えていくことをしっかりやっていたのかどうかを確認したい。
もう一つは、姉の女児2人のケアの部分が今どうなっているか確認したい。
○中澤所長 議員の言われるとおりだと思う。7月8日以降、半年以上保育所へ行っていない。保育所への欠席連絡は、結構長い間入っていた。新型コロナでとか、自分の家に一緒に連れて行くとか、いろんなことを言っていたが、議員の言われるように、半年以上保育所へ行かなかったことがネグレクトではないかという辺りについて、自分たちの受け止めとしては、そもそも家庭復帰をしたときに、保育所に通わせることで見守りが確保されると考えて家庭復帰をした。保育所に行けていないということであれば、家庭復帰の条件が欠けたことをもって、児童相談所としての関わりをもう1回考え直す必要があったことは、深く反省している。
あと、姉については一時保護をして、健やかに安定した暮らしをしてもらっている。
○一見知事 課題のところにも書いているが、目視をちゃんとしないといけないと考えており、その対応は第三者委員会の結論を待つまでもなく、対応していきたいと思っている。
○芳野議員 ネグレクトになるかどうかというところ、1回目の身体的虐待の通報があって、母親も人の見えるところに連れて行きづらくなっているのではないかという判断を考えれば、やはりより積極的に関わっていくべきだなと思う。
2点目の、学校に通っているから大丈夫というのは、やはり妹が亡くなっているので、その心理的な隠れざる負担があるのではないかと思うので、学校に通っているからいいというわけではなくて、その心理的な心のケアも、もう少し細かく見ていく必要があるのではないか。
○中澤所長 今、姉については児童相談所が保護をしており、本児が亡くなったことは姉も知っている。様子を見ながら心のケアにも取り組んでまいりたい。
○西﨑次長 姉2人の心的ケアについては、保護期間中もしっかり担当の心理士をつけて定期的に面談し、フォローをしている状況である。
○小島議員 AIの判断も踏まえて定期的な見守りをするということだが、一体誰が、誰を、どう見守るということだったのかなと思う。一時保護をすれば命は守られるが、それに代わる方策として定期的な見守りをすると決めたならば、本当にしっかり見守りをすべきだったのではないか。
しっかり見守りをしていれば、亡くなった4歳の子はもちろんだが、この母親も子どもを死なせてしまうことに至らなかったと思うし、2人の姉も妹を亡くすことはなかった。この時系列をずっと見ると、いっぱい介入できるポイントがあったと思うので、そのことは非常に残念に思う。
前回の検証を見たときに、子どもは家庭の中で育つので、家庭に介入をする、家庭を支える必要があるということがどこかに書いてあった気がするが、このケースはまさしくそうだと思う。母親は最初からSOSを出していた。2人をちゃんと育てたから、3人目もきちっと育てられるということではないと思うので、その辺りの家庭そのものを支えるという認識が薄かったのではないか。ここで他機関との連携がとても必要になってくるし、津市と、どういうところを使ってこの家庭を支えていくのかということを明らかにすべきであった。
3つ目は、要保護児童対策地域協議会の実務者会議というのが、よくいろんなケースでも行われるが、今回も先ほど関わっていた方については教えてもらった。でも、例えば3歳児健診未受診のため保健センターが家庭訪問を予定していることを確認したのが11月。けれども、次の2月の要保護児童対策地域協議会で会えていないことが確認をされている。この間3か月、やはり誰の責任で、何をするためにこの要保護児童対策地域協議会の実務者会議をするのかをこれから明らかにしなければ、単なるアリバイづくりに過ぎないと思う。
いつ訪問がなされるのか、なされなかったのか、その辺りを確認すべきは一体誰の責任だったのかということも含めて、きちんと検証をお願いしたい。そうでなければ、こんなにいっぱいポイントがあったことで救えなかったことを、絶対繰り返してはいけないと思うので、その辺りの実務者会議のあり方、どこに責任があって、誰がその情報を受け止めるべきであったのかということも含めての検証を強く要望する。
○一見知事 今日、課題を3つ申し上げた。先ほど小島議員から話をいただいた1点目と、それから3点目に大きく関わるところだと思っている。
関係者が多くなると、全体責任が無責任になりがちである。そういうことは決して許してはいけないとの指摘である。そのとおりであると思うので、第三者委員会でも議論いただくし、第三者委員会を待つことなく、できることはやっていこうという態度で臨んでいきたい。
1点目については、先ほど芳野議員からも質問いただいた点と同様であるが、やはり長い期間目視をしていないということについては変えていくべきであると思うので、目視のやり方、今日この全員協議会でも指摘をいただいたので、どういうやり方があるのかを十分議論した上で、まず子どもの命をどうやったら守れるのか。もちろん家庭で育つのが一番よいが、家庭の中で育てられない子どもをどうやって保護していくのか、どうやって守っていくのか、それも我々は考えていきたいと思う。
○中森議長 今後の調査は、所管の医療保健子ども福祉病院常任委員会等の場でしっかりと行っていただくこととなるので、本日の全員協議会は以上で終了する。