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平成29年2月13日 予算決算常任委員会 会議録

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予算決算常任委員会

会 議 録

(開会中)

 

開催年月日     平成29年2月13日(月) 自 午後2時51分~至 午後3時58分

会  議  室     全員協議会室

出 席 委 員      48名

             委 員 長     舘   直人

             副委員長      中嶋 年規

             委    員     芳野 正英  中瀬古初美  廣 耕太郎

                         山内 道明  山本 里香  岡野 恵美

                         倉本 崇弘  稲森 稔尚  下野 幸助

                         田中 智也  藤根 正典  小島 智子

                         彦坂 公之  濱井 初男  吉川   新

                         木津 直樹  田中 祐治  野口   正

                         石田 成生  中村欣一郎  大久保孝栄

                         東    豊  津村   衛  杉本 熊野

                         藤田 宜三  後藤 健一  北川 裕之

                         村林  聡   小林 正人  服部 富男

                         津田 健児  奥野 英介  今井 智広

                         長田 隆尚  日沖 正信  前田 剛志

                         舟橋 裕幸  三谷 哲央  青木 謙順

                         中森 博文  前野 和美  水谷   隆

                         山本   勝  山本 教和  西場 信行

                         中川 正美

欠 席 委 員     なし

出席説明員      出席を求めず

参 考 人      1名

            茨城県資金管理担当顧問   望月 洋 氏

委員会書記 

             議  事  課  班 長  中村 晃康

             議  事  課  主 幹  吉川 幸伸

             企画法務課  主 幹  羽田 香織

             企画法務課  主 任  今井 宗直

傍 聴 議 員      なし

県 政 記 者      なし

傍  聴  者      5名

議題及び協議事項

 1 参考人からの意見聴取

  (1)資金調達手法の多様化の取組について

 

【会議の経過とその結果】

 

〔開会の宣言〕

 

1 参考人からの意見聴取

  (1)資金調達手法の多様化の取組について

  ①参考人意見陳述

○望月参考人 初めまして。茨城県で顧問をしております望月と申します。どうぞよろしくお願いします。
 ちょっと大勢の皆さんの前なので緊張しておるんですけれど、早速始めさせていただきたいと思います。
 平成27年、だから2年前になりますか。2年前に、地方公共団体金融機構という、JFMと言われるところがファイナンス賞というか、ファイナンス表彰と、ちょっと何か題が変なんですけど、地方公共団体ファイナンス表彰という賞を、その前の年につくっておりまして、27年が2回目になっておったんですけど、そのときに茨城県として発表したものが賞をいただけたということで、その賞に対して皆さんのほうが御興味をお持ちになられたということで、この説明を今日させていただきたいと思っております。
 それで最初に、冊子なんですけれども、この冊子、日にちが平成27年8月4日というふうになっておりますので、御想像できると思うんですけど、これは賞をとったとき、表彰の日に皆さんに御説明するためにつくった冊子です。実際には私ではなくて、資金管理担当の副参事がつくりました。なので、私が自分で読むとすごく恥ずかしい部分があったりするもんなんですけど、これをちょっと見ながらさせていただければというふうに思っています。
 今日の題名としては、資金調達手法の多様化ということなのですが、いろんな方法で資金調達をしようと。通常は銀行借り入れとか、あるいは県債を発行して資金調達するという方法が一番柱として立ってはいるんですけども、それだけだとなかなか難しい問題が出てきたので、その辺のところの解決策を考えて、いろんな方法でやろうとしたというのがこの試みでした。
 それで、実際にはいろんなのをここに載せてはいて、説明をしているんですけれども、その年に一番焦点になってお話ししたのが、このシンジケート・ローンと言われる、ページ数でいくと9ページ、表題でいくと6のシンジケート・ローンというのが、後ろから3ページ目になったと思うんですけれども、このシンジケート・ローンというものと、その次に7番目としてある、ページで10ページのところですね、金利予約取引による金利変動リスクの抑制という、この2つが実際には受賞のメーンになっております。したがって、この2つをまず説明させていただきたいと思っております。
 シンジケート・ローンという言葉は、耳に新しい人もいらっしゃるでしょうし、聞いたことあるよっておっしゃられる方もいらっしゃると思うんですけど、これ、英語で格好よく書いてあるんですけども、要は、協調融資ということです。なぜこれをやったかというところから始まるんですけれども、御存じのように、金利はずっとバブル崩壊後から下降調をたどってまして、毎年毎年借金してるほうにしてみれば安い金利で調達できるということで、何の苦労もないという状態がずっと続いてきているんですけれども、茨城県も実を言いますと、指定金融機関が常陽銀行という地方銀行の中ではかなり大手の地銀でありまして、資金は潤沢にあるということで、特別なことをしなくても、常陽銀行に行ってお金を借りたいというふうに申し上げれば必ず必要な金額は出てきますし、それなりにまあまあのレートで借りられるという状況はありました。したがって、本来なら何もしなくてもいいような状態がここずっと続いてはいたんですけども、そこをあえて、このシンジケート・ローンも一つの方法なんです。ほかにもいろんな方法で調達の手段を考えたんですけども、要は、何を考えていたかというと、金利が安くて簡単に債券が発行できる、県債が発行できて、お金を調達するのが簡単だという時代が本当に未来永劫続くのかどうかと。要は、金利がずっと下がり続けるのかと。バブルのときに何でも不動産はどうせ右肩上がりでどんどん上がっていく、誰も下がると思ってなかったのに、ある日突然値段がなくなってしまうというふうなことが起こってましたけれども、それと同じようなことが金利の世界で起こらないのかということでした。
 実を言うと、お金が借りにくくなると。県がお金が借りにくくなるというのはどういう状況かというのを考えたときに、景気がよくなるというのが一つの大きな要因になると思うんです。景気がよくなると、地元の企業が設備投資をしたくなる、資金が必要になるということが起こってくると思うんです。金余りの状態の中だと、借りるのって今、国と地方公共団体くらいしかなくて、信用度は抜群ですので、すごく低いレートでお金が借りられると。逆に言うと、ちょっと銀行が悲しい思いをしながらお金を貸しているというのが現実だと思うんです。ところが先ほど申し上げたように、景気がよくなって民間がお金を借りるということになると、信用度もかなり欠けますんで、銀行としては、スプレッドと言われるもうけのさやですね、利ざやを少し乗せて貸すことができるという状況ができ始めると。そうなると何が起こるかというと、県の県債なんか、そんな安いレートの債券なんか買えるかという状況ができやすくなると。それを押してまでどうしても引き受けろと言って借りることも可能なのかもしれないですけど、それは逆に言うと地元の企業の犠牲の上に借りるということになるので、県としてあるべき姿かということを考えたときには、それは難しいと。じゃ、どちらかがどっかに行って金を借りてこなきゃいけないということになった場合は、やはり民間がそれをすることはかなり難しいということになれば、県が肩がわりするべきじゃないかということを考えて、あえてそういう状況を想定した上で、このシンジケート・ローンというのを借りるのに、シンジケートなんで協調融資なので、幾つかの銀行、あるいは幾つかの投資家から借りることになるんですけれども、県内の投資家、銀行は一切参加できないようにしました。県外の金融機関、投資家に限ると。なぜかというと、そういう来るべきときに県内から借りられなくなるんですから、県外に道を開かなきゃいけないということで、県外に限ってやろうというのが最初の発端です。要するに、そういう状況の中でも資金調達をする能力を十分に身につけようというのが目的で始めたことです。
 したがって、シンジケート・ローンというのは、県内の金融機関は県の様子をよく知っているので、ほとんど疑うことなくお金を貸してくれるんですけども、県外の投資家というのは、茨城県のことをよく知らないと。そうすると、少し宣伝をしたりしなくちゃいけないとか、あるいは、例えば100億円調達するのに、地元の銀行だったら100億円一挙に1行だけで貸してくれるという事実があったとしても、それが県外の人になると、今まで貸した経験も全くないので、一挙に100億円は嫌だよと、ただ、県が相手だったら信用力は抜群なんで、10億円だったら貸してもいいよというお客さんは十分あると。そうすると、外から10億円ずつ10の銀行から借りれば、100億円集めることはできるわけですね。そういうように、調達の手法を県内の銀行だけに限るというんではなくて、違う方法でも借りられる道を、道筋をつくっていこうというのが、このシンジケート・ローンの目的でありました。だから、目的に書いてあると思うんですけど、「将来的な景気回復により、民間企業の資金需要が高まるなど、県内金融機関の貸出しに余裕がなくなる場合に備え、県外金融機関からの資金調達ルートを確保」という目的でやりました。
 当然のことながら、初めて借りたりするわけですから、レートが本来は悪くなるというのが通常なんですけど、ここはアレンジしていた、この場合は常陽銀行と全国ベースのあおぞら銀行というところに頼んでやったんですけれども、その人たちに頑張ってもらって、同じようなレートで借りられるようにしました。それが、シンジケート・ローン。
 これはそんな難しいことは、結構通常でも民間では行われていることですし、皆さんの中でも特にあんまり疑問は感じられないと思うんですけど、実を言うと、その次の金利予約というのが結構大変でして、ここんところを早目に説明させていただきたいと思うんです。これは細かい話になってしまうんですけれども、例えば起債をして償還を迎えますと。本当は30年で借りたかったんですけど、30年だとすごく高いレートで借りなくちゃいけないので、10年に刻みましたと。10年たってまた借りかえをして、また10年たって借りかえして、2回借りかえして30年で全部返済するというふうな借りかえをすることが多いですけれども、これの借りかえの問題点というのが2つあります。
 1つは、10年後に借りかえをしようとしたときに、金利が上がっちゃっているかもしれない。金利が上がっちゃっている。例えば最初借りたとき、10年で1%で借りたら、10年たって借りかえしようと思ったら、2%になっちゃった。で、金利を倍払わなくちゃいけないということになっちゃいますね。それが金利上昇のリスク。上昇してしまうリスクというのが1つあります。
 もう1つは、10年後に借りていた銀行が、あんまり考えたくないですけど、倒産してしまいました。で、予定してた相手から借りられなくなると。借りかえができるかどうかのリスクですね。この2つがリスクとしてあるんです。
 したがって、これを借りかえするときにどういう形でするかということになるんですけれども、この金利予約というのは、大体10年くらいで借りているケースがほとんどなんです。10年というのが一番指標銘柄になっていまして、10年債を発行してお金を調達するというのが一番多くて、それも以前は借金が少なかったので、なるべく事務を少なくしようということで、3月に償還を集めているケースが多いんです。これはもう1つ理由があって、予算を執行するのが大体年度末なので、お金が本当に支払いに必要なのは年度末になるので、そこまでは延ばしておいて、そこでまた金額が変わる、返してしまう部分もあったりするかもしれないということで、3月末に償還を集めるという習慣が、茨城県もそうですし、多分三重県もそうですし、日本中その傾向がずっと強いんです。なので、3月に借りかえをするというケースが非常に多いです。
 そのときに、さっき申し上げたリスクの一つとして、金利が上がってしまうかもしれないというのがありまして、もし全部3月に、例えば今年の借りかえが500億円ありますというときに、9月くらいからばらばらばらばらとこういうふうな形で振り分けて借りかえをしとけば、そのときそのときのレートですから、平均がとれますよね。ところが、3月に一発でやろうとしたときに、3月に何かが起こって金利が上がるというような状況が起きたときには、これは500億全部高いレートで借りかえをしなくちゃいけないと、それは危険じゃないのかと。1カ所に集めるのは非常に危険なんじゃないかっていうのがありまして、今、借金が増えてくる段階で徐々に平準化していって、償還の月を変えるっていう動きが非常に多いんです。ただ、もう過去のものというのは今さら変えられないので、過去のものをどうやってそれを解決するかというと、例えば2月の段階、今の段階で、3月の末に借りかえをするものを、今のレートで借りかえできないかと、今のレートで借りかえできていれば安心できると。3月末になって金利上がっちゃったら損しちゃうから、今のうちに借りかえできないかという、言ってみれば、今の金利を予約して3月の起債のレートに変えられないでしょうかという、そういう取引なんです。
 実を言うと、これは裏に金利スワップという取引があって、これを説明し始めちゃうと、今日1日かかっても終わらないので、そこは済みません、納得していただくということで、要は、3日後から10年間という取引と、1カ月後から10年間という取引の借りと貸しを両方一緒にやることによって、この1カ月間のそのレートの違い、これがスワップコストというんですけど、そこのコストが予約のコストになるんです。だから、その分だけ少しお金を、レートを少し払ってやらなくちゃいけないんですけども、若干高いレートで今3月末のレートを決めてしまう、決められるという取引ができるんです。これは、地方公共団体としてやったというのは聞いたことはないんです。ただ、スワップという取引をすることによって、したところが東京都だったか、過去にあったような話は聞いてますけど、基本的にそれはないと。今回の場合、本当はこれをやるのはもう金利が確実に上がるというときにやるものなんですけれども、我々練習しとこうということで、そのときの借りかえ分の700億円分の借りかえ分のうち、40億だけ試しにやってみました。そうしたら実際に予約してやったレートは、そこに書いたように、0.242%だったんです。もし予約しないでそのまま3月末まで待っていたら幾らだったかというと、若干やっぱり上がったんですよ。0.253%て、10ページの右側に書いてあるんですけど、この違いがそれだけ安く調達ができたっていうことで、年間30万円、10年間ですんで、ずっと10年間その30万円が積み重なりますんで、300万円。40億の借りかえにちょっとした知恵を使っただけで300万円ほど安い調達ができましたと、こういう方法もありますよということです。この2つがそのときの受賞の手法でした。
 済みません、これは細かいお話も本当はしたいんですけれども、混乱を招くおそれと、時間が足りないというのが一つです。
 それと同じようなやつで、例えば7ページの4にあります出資法人、これは第三セクターですね。三セクのファイナンスを考えた事例なんですけど、レベニュー信託というのをやって、調達したんです。これも、違う方法の調達。簡単に言っちゃいますと、本来、日本の場合、県債を発行するのは、入ってくる税収、税収を財源として発行するというのが普通なんです。要は、必ず税収で返すからという前提のもとで県債を発行するんですけども、例えば第三セクターとか公営企業というのは、事業をやっているわけですよね。事業からの収益があるわけじゃないですか。だから、事業の収益を財源にして本来は借りるべきじゃないかという考え方を使ってやったのがこのレベニュー信託なんですけど、追加資料のほうに私が寄稿したものが載ってますんで、後日読んでいただければいいと思うんですけど、これも結構反響を呼びまして、賞をもらってます、3つぐらい。全国知事賞ももらってますんで、これは後々読んどいていただければ。ちょっと今回の趣旨とは違うので。一応ここに載っちゃってるので、御紹介しましたけども。
 あと、それ以外に、賞をいただいたのの説明は、実はここに「官庁速報」というのが載っています。これも追加資料になってますけど、ニュースなので内容がコンパクトにわかりやすく書いてあるんで、ちょっと読ませていただきますと、シンジケート・ローンですね、ここに協調融資って最初から書かれてますけど、協調融資で県外からの資金調達をしました茨城県ということです。「茨城県は、初めてシンジケートローン(協調融資)を活用し、県外の投資家から資金調達を行った。借入金額は100億円の10年のローンで、一般財源に充てる。資金調達手法の多様化が目的。」何で急にシンジケート・ローンなんだっていう、先ほどの質問に対する答えになる。要は、資金調達の手法をいろいろ用意しとこうということで始めたことです。
 「財政課によると、常陽銀行(水戸市)とあおぞら銀行が共同でアレンジャー(幹事)となり、地銀などいずれも県外に本社を置く11の金融機関がシンジケート団を組成した。県外からの資金調達は通常利率が高くなりがちだが、県内での調達と同程度のレートに抑えた。」ここのポイントは、県外の金融機関だけに限って、しかもなるべくたくさんの金融機関、11集めてますんで、例えば来年発行するときに5金融機関になってしまっても、11経験があるので、それが倍やってくれれば5の金融機関でもできるようになるというふうなことで、非常にやりやすいと。
 「一般的に協調融資は、投資家にとっては1者当たりの融資額が少ないことでリスクを低減でき」って、先ほど申し上げたやつですね、本当は100億円くらいやりたいけど、初めてやるんでちょっと貸す相手としてそぐうかどうかわからないので、とりあえず10億円だったらやりますよというふうな形で、複数の投資家を集めてやる、そこがちょっと違うところです、それがシンジケート・ローンですと。
 「ただ、今回の取り組みは、将来的な景気回復を見据え、設備投資など民間企業の資金需要が高まり、県内金融機関の融資に余裕がなくなる場合に備え、県外からの資金を調達できるルートを確保しておくことに主眼が置かれている。」ですから、今後、この同様の手法を用いた資金調達を年1回くらいやりますと。こういう手法でお金を集めることも片方でやってこうと。手法を増やしとかないと、何か起こったときに逃げ道が、逃げ場がなくなってしまうということですね。
 もう1つは、裏にある「金利予約」で変動リスク抑制というのが載っていまして、年度末、要するに3月末ですね、債権発行集中をにらんで金利予約というもので資金調達をしますと。
 「茨城県は、年度末に発行する銀行等引受債(縁故債)約700億円のうち約40億円について、「金利予約」と呼ばれる手法を用いて適用される金利を前倒しで決定した。」要するに、実際に起債をするのは3月末なんですけど、金利が上昇するのを回避するために、今のうちにやってしまう、金利だけ先に決めてしまうと。「県債の発行時期は年度末に集中するため、適用金利を分散することで変動リスクを抑えるのが目的。財政課によると、毎年3月末に発行する銀行等引受債は、金融機関との取り決めにより金融機関の8営業日前(2014年度は3月19日)時点での金利が適用されている。金利水準は日本銀行の金融緩和政策の下で極めて低い状況が続いているが、金利のボラティリティー(変動率)は高く」というか、いつ爆発するかわからないという状態だったので、いつ上昇するかわからない中で、特定の日についた金利だけで全額を調達するのはリスクが高過ぎると。金利上昇リスクを回避するために、とりあえず試しとして40億円だけ10年債を金利予約しましたと。
 「金融機関との交渉で、3月末の約1カ月前となる2月27日時点での金利を適用することを決めた。」3月19日の金利は0.25%だったのに対して、2月27日に金利予約したときの金利が0.24%だから、結果的に2015年度は約三、四十万円、10年間で約300万円の金利負担を軽減できたということ。
 変動リスクの抑制に主眼を置かれているために、財政課の担当者は、今年はうまくいったけど、来年は必ずしもうまくいくとは限らないというふうには言ってるんですけど、実際には一番多くやるのは、完全にもう金利が上がるという状況ができたときだとね。だから今のところ、まだ日本銀行の金融政策から見ていると、すぐに金利が上がっていくという状況ではないので、すぐに使われるということはなかなかないんですけれども、今のうちに用意しとかないと、急にそのときにやっても銀行がついてこれなかったりするもんですから、そういうことをしましょうということです。
 それで、賞としてはそれが中心なんですけれども、あともう1つ、おいでになられた皆さんの中から一元化というお話を聞きたいということで、実は、一元化というのはこの中にも載っていまして、5ページ、3になります。資金管理の高度化②というところに、資金管理の一元化という話があると思います。
 それで、この話をさせていただく前に、自己紹介を含めたような形で、ちょっと過去の話をさせていただきたいと思うんですけど、私は、金融機関にずっと勤めておりました。30年弱銀行と証券会社にいまして、銀行が15年くらいですかね、証券会社も15年くらいおりますけど、30年近くを金融機関で勤めていまして、資金、それから為替、それから債券という形で、結構行政が扱うような商品を全部今まで扱ってきたもんですので、非常に近い関係があったと。そこで今から7年前、平成21年の12月に5年の任期付職員という専門職、金融ということで茨城県に採用されまして、財政課に12月に配属されました。で、1カ月後に会計課も兼任しろということで、財政課と会計課の資金管理官ということで、5年間を過ごしました。
 そこでちょっと奇異に思われると思うんで、何で12月に採用されるんだと、普通4月じゃないのというふうな感じでわかると思うんですけど、実を言うと、茨城県は7年前、非常に厳しい状況にありました。借金が1兆8000億円、今、2兆円をちょっと超えていますけど、まあこれは臨時財政対策債のせいがあるんですけども、1兆8000億円という借金を背負って、なおかつ、将来負担比率が全国で4位くらいでして、今でも覚えているんですけれど、3公社の道路公社、住宅供給公社、土地開発公社、これらだけの借金で1650億円ありました。で、ひょっとしたら財政再建団体に落ちるんじゃないかっていう心配をされた職員の人がいたくらい。何とかしなくちゃいけないっていうことで、それで行財政改革の中の財政改革で、その中で総務部長が必死でいろんなことをしまして、職員カットとか、給料はもちろんカット、なおかつ、職員もどんどんカットということで、大なたを振っていろんなことをやって、コストセーブをしてたんです。税収はもう望めなかったんで、増収は望めなかったんで、コストカットのほうに走ると。ところが、もうやれることないんだよというふうにおっしゃられたらしいんです。もうぼろぼろの雑巾、これ以上水分なくて、水も何も出てこないと。でも、何かどっかおかしいんじゃねえかということで、金融、もっと安い調達とか、もっといい運用とかあるんじゃないのということで、財政課にばっと調べろと言って調べたらしいんですけど、やっぱりわからないと。で、出た結論が、素人が考えててもわかんないからプロに頼んじゃえっていうことで、公募したらしいんです。
 それにたまたま私はすごく意義を感じて申し込んで、採用されたんですけども、そういう状況の中だったんで、もう1日も早く。3月に借りかえが、さっき申し上げたようにいっぱいあるんで、12月に採用して、で、3月に間に合わせればいいと。ただ、そうおっしゃられても、私も金融のほうはプロかもしんないんですけど、行政のほうは全くの素人なので、公務員1年生が始まるわけです。12月に入ったときに、まずは予算編成にぶち込まれて、県が何をやってるかよくここで見てほしいと言われまして、予算編成に入って朝3時くらいまでやったことが何日かあったりしまして、で、すごく役に立ちまして、ああ、こういうことをやってるんだ、こんなこともやってるんだ、何かデパートみたいだなっていうか、仕事のデパートみたいな感じ、何だいろんなことをやってるなと思いまして、ただ、いろんな失敗をしているなという、こうイメージがありまして、それでそこから始まりまして、私も手探りで、本当にできるのかどうかちょっとわからない部分もあったんですけど、一番先に目をつけたのは、自分の財布がどうなっているかと、キャッシュ・マネジメントと言われるものなんですけども、会計課に行って、3日後の支払い、お金の受けとか、そういうのどうなってるって聞いたら、ぱっぱっぱと答えてくれるんです。1週間後は、ちょっとこう頭をかしげて、1カ月後と言ったら、もう完全にわかんないですよって、こう言うんです。まだどうなるかわかんないじゃないですかって、わかんないかもしれないけど、どうなるか予測はつかないのとか、そういう話をしたりしまして、実はその話がここに載っている。
 さっきの追加資料のもう1枚のほうのページに、資金の一元管理と一括運用・調達っていうお話がここに書いてあるんですけども、「キャッシュ・マネジメントとはキャッシュ・フローの管理を指す。要は、歳入・歳出のスケジュールの管理のことである。」歳入・歳出っていうのは、当然行政の中であるので皆さんわかると思うんですけれども、これって一言で歳入歳出と言うんですけど、予算上、必ずその年度には起こるんですけど、いつ起こるかっていうのははっきりしないことが多いんですね。そこに書いたように、参考のところに、地方財務でのキャッシュ・マネジメントは簡単ではないと。歳出は自己発信であるので、要するに、自分からこの日に払いますよというんですから、間違わなければ歳出のほうはある程度コントロール、ある程度って、本当はコントロールできます。それに対して歳入のほう、要するにお金が入ってくるというのは、どうやって調べるかっていうと、行政の場合、入金というのは税収です。交付税というのは総務省から連絡が来てやりますから、これはある程度そろうところがあるんですけど、例えば5月の法人二税とか、あるいは自動車税とか、いつ幾ら入ってくるかってわからないじゃないですか。5月の間に払ってくださいと。すごくまじめで気の弱い人は、最初の日に払いますよ。で、すごいしぶとい人は、最後まで払わない、ぎりぎりまで。下手すると、越えちゃってから払う人もいると。で、大概の人はその間にある程度払ってくれるという、人間行動学じゃないですけど、人間のこう、あれで大体同じなんですよ。
 だから、この次のページの裏のこのキャッシュ・フロー表、資金残高表を見てほしいんですけれども、いろんなイベントがあるので、予測はつきますよね。いつ法人二税が入ってくるとか、いつ退職手当は払わなくちゃいけないとか、いろいろイベントはわかるんです。ところがその年によって税収が変わったりとか景気がよくなったりすると、お金がシフトするんですね。ちょっと見にくいんですけど、赤い点線と青い実線があると思うんですけど、この青い実線は、済みません、ちょっと古いんですが、平成25年のもんです。で、赤い点線は平成24年のものです。よく見てください。形状がすごく似てるんです。全体が上がってるってことはそれだけ、歳入のほうが多いということです。ということは、例えばどういうことが起こってるかっていうと、景気がよくなって税収が増えているとか、あるいは何か支払いが減っているとかということで、これは茨城県のケースなんですけど、4月の頭にどかんとお金が減るっていう時期があったんです。これは何かって言うと、理由は2つありまして、1つは、第三セクターが非常に調子が悪くて、短期のお金を貸さなきゃいけない。年度の初めにお金を大量に一時貸し出しして、1年間貸すというパターンで、4月の頭にどかんとお金が出ていくと。もう1つは、制度融資ですね、制度融資のために銀行に預託金を積むと。だから、お金を借りたいという企業が多ければ多いほど預託金をたくさん積んでいるんで、どかんと落ちると。そういうのが改善されると、最初に落ちるのが落ちないで上がると。だから、スタート点がこう動くんですけど、全体の動き方っていうのは、毎年同じようなものがこう動いているんで、こうシフトするわけでなんで、そうすると何が起こるかというと、これで予測がつくじゃないですか。5月のところだってそうなんですけど、その自動車税っていうのも大体同じ形状をしているってことは、同じような入り方をするってことですよね。これで予測がつきやすくなる。
 さっきの続きに戻りますけども、ここを読んでいただければ。「入金の多くは税収である。税は定時に定額入金されるものではないので、入出金の管理だけでなく、将来の着金予想を過去の入金パターンから算出する必要がある。」さっき言ったことです。この大きなこの波、これは一緒なので、これが着金予想をつけさせてくれるので、それで見ると。そうすると、さっき言ったこの波が見えてくると、ここからここはお金が余ってるんだと。で、ここまでの間のコアはかなり長くずっとお金を貸せるんだっていうのが見えますよね。で、逆にこう赤になってる、ゼロより下に行ってるところなんかが固まってると、毎日毎日ぼけっと見てるんじゃなくて、積極的に。私は、攻撃的にって言うんですよ、攻撃的なお金の借り方。競争入札だって、一番安いところから借りるとかですね。普通だったら、銀行指定日の勘定をあからさまにして埋めてもらって、1%くらい払うっていうパターンがほとんどなんですけれども、積極的に借りに行って、0.05%で借りるとか、そういうことをしてコストを落とすというふうなことです。
 それを、その次のところで、一元化って何を言ってるかっていうと、一般会計があります、特別会計があります。これって別々に、全く別々に考えてやるべきですかと。一般会計が赤で特別会計が黒なのに、特別会計の分の黒を一生懸命運用に行って、こっちの足りない分を一生懸命調達に行くのかということです。要は、低いレートで運用させられて、高いレートで調達させられると。これ、お金、キャッシュをぶつけてしまったことですから、相殺する。その相殺した分は何もしなくていいですよね、貸し借りしなくていい。それを真ん中のレートを仕切ってやれば、調達する人はより安いレートで調達でき、運用する人はより高いレートでできると、ぴったりそれでうまく解決してしまう。ただ、1人だけすごく悲しい思いをする人がいるんですけど、それは銀行ですね。銀行は、今まで高く貸して安く借りていたものができなくなってしまう。だから、民営を圧迫とかなんか言われるおそれはありますけれども、自分のところのお金を相殺するのは誰にも見えませんので、そういう形で調達と運用を一括で全て見て、それでなるべくネットの金額を小さくして貸すか借りるかをするというのが一元化という話です。
 これは結構時間がかかることが露呈して、最初の一般会計と特別会計を一緒にするのは比較的早目にできたんですけれども、これは会計課と財政課の間の話し合いで比較的早くできたんですが、次にやろうとしたのが公営企業会計です。これも一緒にできないかっていう。それぞれがそれぞれ独立してやっているので、なかなか譲らないという部分もあるんですけど、よく説明すれば、あ、それのほうがいいねという話になって、大分時間がかかって今年中に何とかなって、来年からそこを一緒にしようと。次のステップは、第三セクターとか出資団体等も一緒にできればより効率のいいことができるんじゃないかって言っているのが、この(2)です。「資金管理の一元化とは各部局のキャッシュ・マネジメントの結果を集積、ネット残高のプラス・マイナスで資金の運用・調達を行う合理的な仕組み。」これは民間では当たり前なんですけれども、行政って財政課と会計課と2カ所でお金を動かしてて、それに加えて、その公営企業局がまた別に動かしてる。何で3カ所なんかで動かしているんですかと。
 民間で一番いい例がトヨタ自動車です。トヨタ自動車というのは昔からそうなんですけれども、何しろ1カ所にお金を集めろと。名古屋にあるトヨタの財務課ですか、ここに日本中の支払いと受けを1カ所に集めて全部相殺して、ネットしたものだけを調達・運用するというのを昔からやってました。もっとすごいのは、それだけじゃ済まなくなって、海外にいっぱい出てますよね、トヨタアメリカとか、トヨタヨーロッパとか。そういうところの外貨も全部一カ所に、トヨタの名古屋の財務課に集めて、それでネットして、支払うと。すごく効率がいいことです。一生懸命そっちの方向にみんな動こうとしているのに、何で地方公共団体だけはあのままでいつまでも続けてるんだと。そこをちょっとやるだけで全然違うんですよということですね。
 特に最近このマイナス金利という中で、運用って全くできないわけです。元本割れをしちゃいけないっていう商品だけで、金利だけやってる中で、国債がマイナス金利になっちゃってますから、ほとんど運用の手だてがないっていうのが実情だと思います。これは誰も責められないと思います。金利が低くなってんだから調達のほうは安くなってるからハッピーじゃないかとおっしゃられるかもしれないんですけど、金利のほうももうほとんどゼロに近づいちゃってまして、マイナスで調達はできないんですね、地方公共団体は。国債だけですからね、マイナスで取引がされているのは。したがって、地方公共団体が発行する場合はプラスの状態で発行しているわけですから、もうこれ以上縮まらないんです。だから、我々が考えなきゃいけないのは、ネットでどっちが多いんだっていうことを考えなくちゃいけないのに、もうこれ以上考えられないとすれば、金利ではこれ以上うまみはないんですね。そうしたらあとは、手続上のコストを落とすしかないので、こうやって一元化することによって無駄な取引を減らして、それでその分だけのコストをよくしていくということです。
 この賞をもらったときは、実を言うと、この一元化というのはまだ会計課と財政課のことしか話せてないんですけれども、今年へ入って、それができるようになる。私はもともと5年の任期だったんで、平成21年の12月から26年の11月で終わりだったんですけど、その後、そのままそういうのが残ってましたんで、財政課の顧問としてそれをずっと続けてきて、途中からそれでは財政課の人間としてやらなくちゃいけないんで、全庁的な資金の一括管理をするんであれば、県の顧問じゃなくちゃいけないということになって、県の顧問ということになって、今回めでたく一緒になれるということなので、次は第三セクターとか出資団体ですね、これも一緒にできていけばいいんじゃないかなというふうに考えてはおります。
 済みません、飛ばしながら来ちゃった部分もあるので、とりあえず、簡単に御質問があるようでしたら、まずお受けしたいと思います。

 

  ②参考人への質問

○舘委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御意見を述べていただいたところでございますけれども、委員の皆さんから御質問があれば挙手をいただいて、御発言いただきたいと思いますが、いかがですか。

○芳野委員 ありがとうございました。
 コストを少しずつ下げていくというところなんですけれども、一方で、三重県は今県債発行高を抑えようとしているので、今のこの低金利時代でも発行額はなるべく抑えて、必要なことしかしないという考えなんですけど、逆に今、地方公共団体はもうずっと県債はある意味発行はしていかないけないので、今の低金利の時代こそ借りやすいときに、額の多さですね、ここをがっと借り、がっとと言っても、2倍、3倍借りるわけじゃないので、数%の程度で発行額を増やすっていう考え方もあるのかなと思っているんですけど、これは、財政当局と話すと、絶対それは三重県は認めないんですけど、この辺の考え方はどうですか。

○望月参考人 私は、フレキシブルなほうです。先ほどもちょっと触れたんですけれども、リスクは2つあります。借りられるかどうかっていうリスクと、金利が上がってしまうかどうかというリスクがありますっていうお話をちょっとしたと思うんですけども、じゃ借り入れる金額を増やすっていうのはどうなんだと。大きく増やさなくても済むんであれば増やさないっていうのは、一つ、安全で質素な謙虚な運用を続けるという意味では非常に大事なことだと思います。これは否定しません。ところが、見てください、今のレートを。いいですか。私が行政にかかわるようになったときの10年の満括債っていうのと定時償還債。満括債っていうのは、普通ボンド式と言いまして、100億円借りたら、10年借りたら10年後に100億円返しますっていう返し方ですね。もう1つのほうは、毎年少しずつ少しずつ返して、階段式に返していく、要するに住宅ローンと一緒です、っていう返し方。で、行政は普通は階段式の返し方をするケースが多いです。なぜかというと、これは多分当初債券を発行して調達するっていう業態ではなくて、銀行からお金を借りて調達するというパターンを踏んでいたケースがほとんどだと思うんです、指定金融機関というのがあって、そのお金を貸しますと。そういうところは階段式に少しずつ少しずつ返してくださいというので、そういう形式でやってますと。なので、東京都とか国債は全部満括型です。債券です。普通に言う債券です。で、私に言わせると、毎年毎年返すのが本当にこれ債券なんですかっていうね。ただ、法律的に1年以上の長期の借り入れは皆県債と呼んでますので、債券なんだと思いますけども、そういう2つの方法があるんです。
 先ほどの御質問に戻るんですけど、その満括債っていうのが今から7年前の10年債が大体1.5から1.8%くらいだったんです。今幾らかっていうと、0.3%とか0.25%とか、そういうレートで発行できちゃうわけです。そういったときに、普通の悩みはどういう悩みかっていうと、引き受けてくれる人がいない、要するに、自分の信用度が足りなくて、引き受けてくれる人が十分にいないから発行できないっていう悩みが普通なんです。ところがこの業態は、リスクフリーと言って、本当かどうかわかりませんけど、国の暗黙の保証があるので潰れることはないっていうのが一般的になってますので、そのリスクは誰も感じてませんと。あとは金利だけの話です。だから、借りるほうにしてみても、私が民間から茨城県に入った瞬間は、どういう状態なら発行していいかどうかよくわからなかった、何しろ金利安いんですから、山ほど借りたらいいじゃないですか、運用すりゃいいじゃないですか余ったら、というぐらいにしか考えてなかったんですけど、それはまあ正しくないというのはすぐに気がついたんで、先ほどの財政課がおっしゃられていることは、決して間違ってません。間違ってないんですが、これだけ安い金利なので、負担をそのままとどめることのほうがいいのかどうか。例えば、10年で返しちゃおうというのを20年で返すっていうふうにすれば、負担は半分になるわけです。で、金利が倍になっちゃったら意味がないんですけど、金利は4分の1から5分の1くらいになっているわけですから、倍にしてもそれほど問題はないと。
 ただ、将来に与える負担がどうなんだという問題が出てくると思うんです。今の借金を今の世代で返していって、将来に負担を求めないと。これは一つの当然昔からある考え方で、正しいとは思うんですけど、それは単年度会計が盛んに行われて、それで勝負がついたときというのはいいと思うんです。だから、実際に公務員の退職金って積んでないじゃないですか。単年度の中でやっていこうとするから払えなくなって、大抵再発行するわけですよね。これは本末転倒で、要は、今のやつが将来に負担を及ぼしたらいけないのかと、もう長い借金を始めちゃってるんですから、当然みんなで将来の人も、済みません、ちょっと非常に危険な発言をしてるのかもしれないんですけども、私は、ちょっとそういうふうには感じてはいます。
 なので、これがいいっていう意味で言ったら、ここの財政課がおっしゃるやり方でやっていくのが一番いいと思います。ただ、そこに少しフレキシブルな考え方を入れて少し長目にして、金利も十分に低いんであるから、その説明がちゃんとできて、返済計画もちゃんとできるんであれば、それは十分に採用すべき考えの一つだと個人的には思ってますし、茨城県がそういうふうにしてます。

○芳野委員 行政なんで基準財政需要額とかもあるので、本当にそれをオーバーしてまで借りるわけじゃないですから、増額をしたとしても、多分数%だと思うんです。例えば橋なんかも、毎年、10本ずつ橋のかけかえとか耐震工事をしていくんだと、10年間で毎年10本ずつみたいな感じのときに、今の低金利のときは、今は12本分だけやりましょうと、で、金利が上がってきたら、年間8本ぐらいの橋の耐震工事に抑えるとか、金利の動きもこれからはこの県の財政を見ながら、なかなか金利の動きを地方公共団体も予測はできないと思うんですけど、意識しながら財政を組んでいくっていう発想はこれから必要かなというふうには思っていて、茨城県はそうやってされてるんだなというのがわかりました。ありがとうございました。

○望月参考人 全くおっしゃるとおりで。
 実を言うと、入って7年になるんですけれども、財政課で一番古い人間は、私だけになってます。これを今日お話しできるのは、全てにかかわったのが私だけしかもう残ってないので、こういう状況になってるんです。そのくらい回転が速いと。これもちょっと危険な発言なんですけど、スペシャリストはつくらない、ジェネラリストだけで運営していくんだっていう考え方。それは一つの考え方としてあるんですけれども、社員を普通信用して、民間は預けてます。やっぱり、信用せざるを得ない部分てあると思います。そうすると、スペシャリストができるとどういうことがわかるかというと、おっしゃるように金利を見る目を育むことができるんです。私、何人も毎年毎年、何人も教えてきてるんです。必ず勉強会をやって、で、金利はどうやって見る、どういう見方をするというのを全部やってる。一番危険を感じているのは、何しろ今の若い人、多分私よりも下の人間って、ほとんどの人が金利というのは下がるもんですって、金利なんて絶対上がらないですと。で、実際、上がってないんですよね。ずっと下がってきてるんです。私も、何回かやばいって思ったことがあったんです。それはミニバブルで潰れたり、必ず何か起こって潰れてるんです。だから、目がなかったわけじゃないんですけど、結局、オオカミ少年になっちゃって、金利が上がるかもしれないからって言ったって、誰ももう信用しないというふうな状況が世の中にできちゃっていると。ということは、すごいエネルギーがそこにたまってますから、これは、金利が上がりだしたら皆さんどうするんですか。で、心配してこういうことをやってるんです。
 要するに、今やらなくてもいいんだけど、近い将来起こり得るかもしれないので、こういうことをやっとこうよと。金利もそうなんです。大したことないんです。見とかなきゃいけない金利というのは、細かい金利はそのときそのときに見ればいいんであって、大まかな金利って、見るところ決まってるんです。国債の大体2年、5年、10年、20年、30年というのが表にありますから、毎年毎日動いてるのがあります。それからスワップレートっていうのがありまして、これがローン金利になるんですけれども、一つのホームページ、QUICKという会社のホームページで見れますし、私は、そういうホームページを幾つかピックアップして、勉強会のあたりで、これ、見といたらって言って、数日たったら今金利幾らとか聞くわけですよ。すると、口ごもるやつとぱっと答えるやつがいます。で、徐々に徐々にみんな答えるようになる。前の副参事は、いい例なんですけど、最初はそんなもん見ないで、そんなの決めたってやるときしかできないんだからってやってなかったんですけど、違うセクション、違う部に移って、全く財政課とは関係ないんですけど、エレベーターで会うと、もう望月さんのおかげで毎日これ癖になっちゃって、見ちゃってるよっていう状況になっちゃってるんです。そうなると、意識が全然違っちゃう。今、どのぐらいだったら金利、どのくらいの金利だから借りたほうがいいとか、そういう意識が高まってくるので、おっしゃるように、それは非常に大事なことなので、それがここでもどこでもできることなので、同じ人間がやっていることですから十分できることなので、まず必要ならばお勧めしようと、するべきだと思ってます。
 そうするといろんな考えが出てきて、一番安全な方法だけとってるのがいいんじゃないんだよというのがわかるんじゃないかなと。さっき言ったように、ベストはこれですよというのを示したのは、一番安全なコンサバティブな方法です。これをやっておきゃ間違いないです。でも、それだとよくならない。悪くならないだけでよくならない。よくするためには、少しは何かをやらないといけないということになると、その辺を見ながら長いものも少しやると、あるいは、少し金額を考えるとか、いろんなバリエーションを考えて、ベストを自分で探すと。一番怖いのはあれなんですよ。例えば、10年債だけ出していて、急に20年債を出したいっていうときに、20年債の今一番適するレートが幾らかっていうのを、市場の人間はわかるんですけど、行政の人は全く手探りの中でやってる、全くわからないで始める。これはすごい危険なんで、やっぱり最低のことを考えてから新しいことをやらないと、逆にそれが危険なことになるので、そこはちゃんと勉強してからやりましょうねということだと思います。

○舘委員長 ありがとうございます。
 せっかくです、他にいかがでしょうか。

○奥野委員 先ほど、金利は上がらない、多分私も上がらないと思うんですよ。上がったら、日本は多分1000兆円以上借金がありますから、潰れると思います。だけど、起債を発行するというのは、目的がないとなかなか発行されない、建設債にしたって、退手債にしたって、いろんなものがね。だから、今回、県がお金が足らないというのは、起債が発行できたら幾らでも銀行からお金は来るわけですから、その辺が非常に財政運営の難しいところだと思うんですよ。だから起債が発行できたら簡単な話で、苦労しないんやけど、そこんところ、財政をうまくやれる方法というのはないんかなと思うんです。その辺、仮に今回県は何十億円足りない、足りないのは起債を発行したい、だけど、発行するには方法がない、何とかほかの方法で金を工面しなきゃいかん。そこら辺の起債を発行できる方法というのは、ないもんなんでしょうか。

○望月参考人 その前に、金利は上がらないかもしれないと、かもしれない。私も、上がらないんじゃないか、上がらないっていうのは、5年ぐらいは上げられないんじゃないかっていうのは感じます。ただそれは、日本銀行が一生懸命金融政策をして、上げないようにしていると。多分、ほっといて何もしないで、曖昧な、金利政策も何もしないでやっていくとすれば、少なくてもこれだけ情報が伝達される時代に米国の金利が上がっていったら、少なくてもそれに引っ張られるもので、本当に全く関係ないものに引っ張られるなんて十分出てくると。
 それともう1つ、何度も失敗をしているんで私も自信持って言えるわけじゃないんですけれども、日本銀行はオールマイティーじゃないです。今までゼロ金利政策というのをずっととってきて、ゼロのところにアンカーを持ってきて、こうやってましたと。今回、追加資料にも書いていますけども、イールドカーブ・コントロールというのを始めて、10年のところをゼロにしたいですって言ってますね。ていうことは、一番下のゼロ年がマイナス0.1%ですから、もう10年までマイナスっていうことなんですね、目指すところは。で、10年がゼロと。そこから先はほっとくからイールドカーブで金利が立ちますという状況になってるんです。これって、神を冒瀆するんじゃないですけれども、市場をばかにしているというか、ゼロ%でコントロールできると思っているんです。トランプがなる前って、マイナスの0.05から0.07%くらいをふらふらしていたんです。だからゼロには行ってないですよ。ところが、トランプ相場で一挙に0.5から0.08%とかいうプラスになってますね。だから10bp、0.1%上がってるんです。アメリカはもう1%以上上がってますけれど、だから、それから比べれば上がってないというとこなんですけど、やっぱりゼロにコントロールを、ゼロにするって非常に難しいわけです。この間0.015%かな、まで急に吹き上げたときに、例の特殊なオペレーションをやって0.1%以下に下げましたけれど、これをこれから先ずっと続けられるかと。日本銀行自身がもう前からずっと言っているのは、その10年の金利なんて、市場金利ですね、これを固定するなんていうことはできないと言ってるのにもかかわらず、あれをやろうとしている。
 その中で、さらに私が心配しているのは、ひょっとしたらもうデフレは終わってるかもしれないっていう懸念があるんです。というのは、まあそこそこ景気が少し底固めし始めてるじゃないですか。だから、金利が下がりにくくなってるんですよ。で、まだ上がらない。なぜかって同じです。日本銀行があれだけ頑張ってるんだから上がりっこないと思いたいし、思いますし。ただ、10年後はわかんないです。もう増えてるかもしんない。そうだとすれば、今からもう少しずつ準備し始めてもいいんじゃないかと。
 だから要は、何ですか、民間みたいに例えば来年金利が上がっちゃうかもしれないから、来年の分まで今年起債したいっていうことができるんであれば、これは構いません。いろんな方法を使えばいいので。ただ地方公共団体は、今年はこれだけ、来年はこれだけ、毎年決まってるんですよね。
 そうすると、どういうやり方をしなくちゃいけないかっていうと、常に平準化させながらやっていくと。やっていけば平均はとれると。一番上なんかとれっこない、でも、一番下をとらされるおそれもない。真ん中でうまく行ける。これが行政のヘッジというもので、積極的なヘッジはできないので、そういうふうにできる範囲内、その年度内で勝負をつけてかなきゃいけないので、その辺の工夫をしていけばいいんじゃないかなと。逆に、それしか工夫のしようがないので。ただ、何にもしないで流れに任せるというのは、それは平準化でも何でもなくて、ただサボってるだけの話なので、そこはゆっくり考えて、何がベストなのか。こんなの何がベストなのかわかりませんよ、誰にも。わかってたら、誰も失敗しませんから。ただ、自分たちが考えて、これだという思ったものをこうやっていくっていうのが、そこに関しては、私はプロだと言ってても一緒ですから、皆さんと。そこはわかりませんから。ただ、私のほうが情報の集め方がいろいろあるし、それのこなし方も長年の間にある程度鍛えているので、ただ確率性は私のほうが高いとは思いますけど、わからないっていう意味ではもうみんな一緒ですよ。ですからその辺はいろいろ方法があるんじゃないかなと。これっていうのはないんで、みんなでやっぱりもっと、もちろん財政の中でやるべきなのがまず第一なんですけど、皆さんの意見も出して、財政の中にこういう意見はどうかねっていうのも、同じ県を盛り上げていくという意味では大事なことかなとは思います。

○奥野委員 ありがとうございます。

○舘委員長 他にいかがですか。せっかくの機会です。
 よろしいか。時間もちょっと経過をしてきておりますので。

              〔発言の声なし〕

○舘委員長 ないようでございますので、なければ、質疑をここで終了いたしたいと思います。
 それでは、この際、私のほうから本委員会を代表させていただいて、一言お礼を申し上げたいというふうに思います。
 本日は、新年度に向けて議会対応などなど、本当に殊にお忙しい中を私どものこの本委員会のために御出席をいただきまして、本当にありがとうございました。
 本日賜りました本当に貴重な御意見、また御教示を賜ったわけでありますけれども、今後はそのこと、内容について、本委員会での予算決算審査の際にしっかりと役立てていきたい、このように思っているところでございまして、どうか今後ともよろしくお願いをいたしたいと存じます。
 本当に本日はありがとうございました。
 それでは、以上で参考人からの聞き取り調査を終わります。

              〔参考人 退室〕
 
   ③委員間討議   なし

 
〔閉会の宣言〕


三重県議会委員会条例第28条第1項の規定により記名押印する。
予算決算常任委員長   舘  直人
 

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