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TPP協定の締結等に関する慎重な審議及び我が国の農業と国民生活を守ることを求める意見書
TPP(環太平洋パートナーシップ)協定は、既に参加国による署名が行われ、参加国の国内における批准手続を進める段階に入っている。
政府は、TPP協定の発効に伴う影響等に対応するため、「総合的なTPP関連政策大綱」を決定し、農業の体質強化や経営の安定化等に向けた対策を講じている。しかしながら、「衆参両院における農林水産委員会の決議」において、政府に求めていた農産物の重要品目の聖域を確保することや食品の安全性に関する基準等を確保することなどが、TPP協定の内容に反映されているかについて、十分な検証は行われていない。
本県においても、TPP協定の発効に伴って農産物の価格が下落することなどが想定され、農業従事者の生産意欲の減退、農業経営の悪化による離農者の増加が懸念されている。
また、TPP協定の発効により、我が国の食品の安全性に関する基準等が確保されるかどうかについて不安も増大している。
現在、TPP協定の締結に関する国会の承認が求められているとともに、TPP協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案が提出されているところであるが、生産現場の不安などを払拭し、国民の理解を得た上で、必要な手続が進められるよう、国会において十分な議論を尽くすことが求められる。
更に、TPP協定の発効に伴い、現時点において予期されない影響が明らかになることも考えられることから、中長期的な視点に立った施策を展開することが求められる。
よって、本県議会は、国において、下記の事項に取り組まれることを強く要望する。
記
1 TPP協定の内容が、「衆参両院における農林水産委員会の決議」の趣旨に沿ったものであるかについて、十分な検証を行うとともに、TPP協定の内容について国会及び国民に対して丁寧な説明を行うこと。
2 TPP協定の発効が我が国の農業及び国民生活に多大な影響を与えるものであることに鑑み、国会においてTPP協定の承認及び同協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の審議を慎重に行い、十分な議論を尽くすこと。
3 TPP協定の発効に伴い、予期されない影響が明らかになった場合は、緊急的対策を講じるとともに、農業従事者が安心して持続可能な農業を営むことができるよう、農業生産の維持及び拡大に向けた中長期的な視点に立った政策を確立すること。
4 農業生産の減少や食料自給率の減少を招くことがないよう、「食料・農業・農村基本計画」に掲げる食料自給率の目標を超える食料自給率の達成に向けた対策を講じること。
5 遺伝子組換え食品等の表示に関する規制や食品添加物等の安全性に関する基準を確保し、消費者の不安を払拭する対策を講じること。
以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成28年10月19日
三重県議会議長 中 村 進 一
(提 出 先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
外務大臣
農林水産大臣