受理番号・件名 | 請23 高齢者福祉介護事業者の持続可能性の確保に向けた支援等を求めることについて |
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受理年月日 | 令和2年11月20日 |
提出された 定例会 |
令和2年定例会11月定例月会議 |
紹介議員 | 石垣 智矢、山本 佐知子、中瀬古 初美、藤根 正典、小島 智子、野村 保夫、山内 道明、山本 里香、稲森 稔尚、藤田 宜三、石田 成生、谷川 孝栄 |
付託委員会 | 医療保健子ども福祉病院常任委員会 |
請願要旨 |
(要 旨)
介護保険制度の創設以降、急速なサービス供給の拡大と多様化、それに伴う給付費の増嵩、サービスの質の向上への要請の高まり、介護人材不足の顕在化、地域包括ケアシステム構築の必要性等、介護を取り巻く環境の変化は著しいものがある。一方で、労働人口の減少や財政的な制約が高まる中、質的・量的なニーズに的確に応えられる介護サービス供給体制を保つことは容易なことではない。 2035年以降は、後期高齢者が減少に転じ、わが国は縮小社会の一途を辿ることになる。そのような中で、多種多様かつ複合的な支援を求める社会の要請は、ますます強くなるものと思われる。社会保障制度を持続可能にする観点から、社会保障給付の抑制政策が今以上に進むことが予想される。このような状況のもと、これまでの積み重ねを礎石としつつ、高齢者福祉をさらに充実させるために次の事項について所要の措置を講じていただくようお願いする。 1.国に対して次の事項を求める意見書を提出すること。 ・介護施設・事業所の基本報酬を引き上げること。特に経営が悪化している特別養護老人ホームの基本報酬を引き上げること。 ・将来の後期高齢者人口の減少を鑑み、また地域に密着した高齢者福祉事業の安定的持続的なサービスの確保のためにも、必ずしも定員増を伴わない施設改修等に対して、地域医療介護総合確保基金等による財政支援措置の対象になるよう柔軟な対応を検討すること。 (理 由) 先に行われた社会保障制度改革において、制度の持続性と天秤にかけるかのように給付抑制がうたわれ、結果として財政論に立った厳しい方向付けが行われ今日に至っている。 前回の介護報酬改定では、6年ぶりの0.54%プラス改定となり、介護保険事業運営が健全化に向かうものと期待していたものの、介護人材が不足する中にあって、働き方改革による有給休暇取得の義務化、最低賃金の引き上げの他、職員の定着・確保を図るための処遇改善、派遣人材の導入など人件費を始めとする諸経費が嵩み、事業運営の厳しさが増している。 令和元年度決算において、全国介護老人福祉施設(特養)の収支差率は1.6%と低下したほか、全国の赤字施設は全体のうち33.8%となっている。このように厳しい収支状況にあるため、多くの法人では介護サービスの質の向上はもとより人材確保、育成をはじめ、老朽化の進む施設設備の更新など未来への投資が困難な状況に直面している。また、感染症予防体制の充実や介護事故報告の明確化と体制整備、ICT等導入推進にかかる体制整備、事業継続計画策定にかかる対応なども充実させていく必要がある。しかし、このままでは、経営が行き詰まり、サービス提供に支障を来すことになれば、地域社会に多大の影響を及ぼすことも考えられる。 このような状況を踏まえれば、令和3年度介護報酬改定において、マイナス改定はあり得ず、介護事業の事業継続とサービス水準の底上げを両立させていく観点から、特養等における基本報酬のプラス改定の実現について国に対して意見書を提出していただくようお願いする。 |