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医療記録の保存期間見直し及び保存体制の整備を求める意見書
我が国における診療録(カルテ)等の医療記録は、医療の安全性及び継続性の確保、説明責任の履行並びに医療事故の検証を支える基盤であり、国民の生命及び健康を守るための重要な社会的基盤である。現行制度においては、医師法等に基づきカルテ等の保存期間は原則として「5年間」とされ、医療法施行規則において、各種診療記録について概ね2年から5年の保存期間が定められている。しかしながら、慢性疾患、アレルギー疾患、自己免疫疾患等の長期管理が必要な疾病の増加に加え、治療後相当期間を経て症状が顕在化する事例、複数疾患を併存する高齢患者の増加等の医療環境の変化を踏まえると、診療経過の長期的把握の必要性はますます高まっている。
また、診療経過、投薬歴、検査結果等の診療情報の連続性が確保されることは、適切な診断・治療選択に資するのみならず、重複検査・重複投薬の防止、医療安全の向上、医療紛争及び救済手続の円滑化等にも寄与する。さらに、救急医療、災害医療等において、過去の診療情報を迅速に参照できる体制の必要性も高まっている。
国は、現在、全国医療情報プラットフォームの構築、電子処方箋、オンライン資格確認等の医療DX推進を掲げ、医療情報の利活用による医療の質の向上及び医療提供体制の効率化を目指している。医療DXを実効性あるものとするためには、必要な医療データが十分な期間にわたり安全かつ確実に保全される制度の整備が不可欠である。また、電子カルテの普及により保存手段の高度化が進む中で、医療機関に過度な負担が生じないよう、適切な制度設計及び支援策の整備が求められる。
よって、本県議会は、国に対し、下記の事項を早急に実施するよう強く求める。
記
1 カルテ等医療記録の保存期間について、疾病特性及び診療の継続性の観点を踏まえた区分設定を含め、現行制度の妥当性を検証し、必要な見直しを行うこと。
2 医療機関の過度な負担とならないよう、電子カルテ保存の標準化、国、地方公共団体及び医療機関の間における役割分担及び費用負担の在り方について具体的な検討を進めること。
3 カルテ等医療記録の長期保存に必要なセキュリティ対策及びデータ保全体制について、国として技術的及び財政的支援策を講ずること。
4 カルテ等医療記録の長期保存に当たっては、患者が自己の医療情報に適切かつ円滑にアクセスできる仕組みを整備すること。
5 カルテ等医療記録の長期保存に際しては、個人情報の保護に関する法律に基づく安全管理措置を徹底しつつ、医療の安全及び質の向上に資するデータ利活用の環境整備を進めること。
以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和8年3月23日
三重県議会議長 服部 富男
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
厚生労働大臣
デジタル大臣