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豊かで美しく親しみのある海づくりの推進を求める意見書

豊かで美しく親しみのある海づくりの推進を求める意見書

 四面を海に囲まれている我が国では、多種多様な水産物に恵まれていることから、日々の生活、観光等、様々な形で豊かな海の恵みを享受している。そのため、経済社会の存立及び成長の基盤として、国民共通の財産である海を生かしていくことは、豊かで潤いのある国民生活に不可欠である。
 一方で、近年、漁業従事者の減少及び高齢化、気候変動による海洋環境の変化、水産資源の減少等、我が国における海を取り巻く環境は、年々厳しさが増している。
 このような中、豊かで美しく親しみのある海づくりの好循環の創出のためには、多様な生き物が暮らす海という自然環境に対して、人の手を加えながら保全していく取組、海に親しみ楽しむ国民を増やすことで、海を支え、育む人材を確保する取組、多様な主体が連携するための社会環境を整備する取組、人と自然が共生しつつ、豊かな海の恵みを享受するための取組等、中長期的な視点で行政がしっかりと基盤を整えるとともに、持続可能な形で、自然、社会及び経済のそれぞれの分野から着実に取組を実施することにより、海づくりを総合的に推進する必要がある。
 よって、本県議会は、豊かで美しく親しみのある海づくりを推進するため、国に対し、下記の事項を実施するよう強く求める。

1 各海域の環境基準の設定に当たっては、漁業者等が実感する地域の実情を踏まえた検討を着実に進め、また、各地域において、生態系の豊かさの観点からも適切に水環境に係る評価を行うことができるよう、モデルとなる指標及びモニタリング手法を確立するとともに、望ましい水環境の水準の設定及びモニタリングへの支援を行うこと。

2 現在検討を進めている水質汚濁防止法に係る「総量管理制度」については、栄養塩類増加措置の実施者に対して総量規制基準の適用を除外することができる制度にするとともに、地域において行うモニタリングの状況等に応じて栄養塩類管理計画の改定を柔軟に行うことができるよう制度を設計するなど、順応的管理の取組への支援を行うこと。

3 海域における豊かな生態系の維持及び確保並びに水産資源の持続的な利用の観点から、効果的に下水処理水中の栄養塩類の濃度を増減させることができるよう、水環境法令における汚濁負荷の管理に係る考え方の変化を踏まえて放流水質の柔軟な設定を可能とする制度を検討するなど、下水処理場の能動的運転管理の支援を行うこと。

4 海域における生物の豊かさに影響を与える要因である栄養塩類の不足、赤潮、貧酸素水塊等が海域において生じる生態系のメカニズムについて調査及び研究を進め、漁業被害を軽減するための技術開発を推進するとともに、地域で実施される栄養塩類供給の取組、流況改善、底質改善の取組等への財政的及び技術的支援を行うこと。

5 藻場は水生生物の生活及び繁殖の基盤となることから、高水温及び食害への対策等の藻場再生に係る技術について調査及び研究を推進するとともに、各地域で行われる藻場再生の新たな技術の実証等の取組への支援を行うこと。

6 ブルーカーボン活用の取組を促進するため、藻類の養殖等の取組への支援を行うとともに、クレジット取引を促進するための支援を行うこと。

7 地方公共団体が多自然川づくり及びグリーンインフラを導入した流域治水を推進するために必要な財政的及び技術的支援を行うこと。

8 海の豊かさへの配慮も含めて、地下水及び河川環境を総合的にマネジメントする観点から、漁場にとって必要な土砂移動が確保される総合土砂管理の取組及び漁場改善のための海底湧水の保全の取組について調査及び研究を推進すること。

9 漁場改善に向けた河川及び沿岸部における健全な水循環の維持及び回復を図る観点から、基盤情報となる河川及び沿岸部における流況、水質、水温を的確に把握し、海底湧水の状況等の調査を進め、必要な対策を講じること。

10 国内で行われる海づくりに関する情報の共有及び連携の強化につながるよう、海づくりに関するネットワークを充実させるとともに、当該ネットワークへの支援を行うこと。

11 海を取り巻く様々な観点から総合的に対策を推進するため、府省庁間の連携体制を強化すること。

12 国民の海洋についての理解と関心を深め、自然観、郷土愛及び定住志向を醸成する観点から、学校教育及び社会教育における海洋に関する教育を推進するとともに、地域において、実際に海に触れ合う機会を増やすために取り組まれる教育プログラムの開発並びにその担い手となる人材の確保及び育成の取組への支援を行うこと。

13 常に変動する海洋環境の変化への対応力を高める観点から、水温変化への適応等の高度な養殖技術の開発等を推進するとともに、漁業者が海洋環境に係る情報を取得するためのICT観測機器の配備等に係る財政的支援を行うこと。

14 漁業者の生業を守り、並びに漁業従事者の確保及び経営の安定化を図るため、災害により被害を受けた時又は長期にわたる不漁の時における漁業設備への投資及び維持に係る経済的負担を軽減する方策について検討すること。

15 豊かな海づくりに資する種苗生産及び放流技術の開発を推進すること。

16 漁港及び漁村における交流を推進し、漁業と観光業の分野間の連携を強化するための取組を行うとともに、水産物の消費拡大、交流の促進等に資する施設の整備、既存施設への海業機能の付加等、海業推進に向けた漁港の有効活用のための環境整備に係る財政的支援を行うこと。

17 地方誘客を促進する観点から、海又は漁村を活用した観光プログラムの開発、プロモーションの促進等への支援並びに地域におけるクルーズ船の誘致促進のためのプロモーション及び寄港地を起点とした観光消費の促進の取組への支援を行うとともに、誘致できる船舶の種類を多様化できるよう、寄港地の受入環境整備への支援を行うこと。

以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


  令和8年3月23日

三重県議会議長  服部 富男  

(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
文部科学大臣
農林水産大臣
経済産業大臣
国土交通大臣
環境大臣
内閣府特命担当大臣(海洋政策)

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