豚熱(CSF)の防疫対策の強化等を求める意見書
平成30年9月に国内で26年ぶりに発生した豚熱(CSF)については、飼養豚へのワクチン接種等の防疫対策が継続されているが、ワクチン接種農場においても発生が確認されるなど、2年を経てもなお収束していない状況である。
本県においては、令和元年7月に初めて豚熱の発生が確認された後、令和2年12月にワクチン接種農場においても発生が確認され、7,000頭以上の豚が殺処分された。その後も豚熱の未然防止に向けたワクチン接種、飼養衛生管理基準の遵守徹底、野生動物に対する侵入防止対策の強化、野生いのししの捕獲強化、経口ワクチンの散布など、養豚関係者、地方自治体等による懸命の努力がなされてきたが、令和3年4月にはワクチン接種農場において県内3例目となる豚熱の発生が確認され、約10,900頭にも上る豚が全頭殺処分された。また、感染源とされる野生いのししの豚熱の陽性確認も今なお続いている状況である。
よって、本県議会は、このような切実な状況を踏まえ、豚熱の防疫対策の強化等を図ることにより、養豚関係者が安心して事業を継続・発展できるよう、国において、下記の事項について措置を講ずるよう強く求める。
記
1 ワクチン接種農場で豚熱感染が確認された場合の殺処分については、野外にウイルスが拡散しないよう防止対策を徹底するなど一定の措置を講じた上で、発症しておらず豚熱感染リスクが極めて低いと判断されるワクチン接種豚は殺処分の対象外とすること。
2 飼養豚へのワクチン接種については、感染リスクの高い離乳豚への感染防止等に向け、民間獣医師の更なる活用を含め、ワクチンの抗体付与の状況をきめ細かく把握するための検査体制の充実強化とともに、抗体付与率を一層高めるための効果的な接種方法の早期確立を図ること。
3 豚熱発生農場に交付される殺処分家畜等に対する手当金や家畜防疫互助基金支払金について、経営再開がスムーズに進むよう免税措置を講ずること。
4 感染源とされる野生いのししへの対策については、捕獲強化や経口ワクチンの効果的な散布の取組をより一層進めるなど、豚熱の撲滅に向け、対策を早急に広域にわたり講ずること。
5 地方公共団体が行う豚熱の防疫措置等の財源について、十分な財政支援を行うこと。
以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和3年5月18日
三重県議会議長 日沖 正信
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
農林水産大臣