国際保健衛生分野及び我が国との経済・文化的交流における台湾の重要性に関する意見書
台湾と三重県は、平成25年の日台観光サミットが県内で開催されたことを皮切りに、人の往来が活発化するとともに、経済・文化面の結び付きが強くなっている。台湾資本の製造業による県内への直接投資が進んでいるほか、台湾の主要都市である新北市、高雄市及び台中市と覚書を締結し、交流を積み重ねてきた。新型コロナウイルス感染症の拡大に際しても、台湾当局や自治体、企業等から本県に対し、マスク等の支援物資が贈られるなど、その絆は一層深まったところである。我が国全体においても、令和元年の日台間の人的往来は、双方で約710万人を数え、過去最高となるなど、台湾は経済・人的交流で深いつながりを有する大切な友人である。
新型コロナウイルスが世界的な猛威をふるう中、各国・地域は協調して感染症対策に取り組むべきであるが、我が国と密接な関係を有する台湾が平成29年以来4年連続で世界保健機関(WHO)総会にオブザーバー参加できていないことは憂慮すべき事態である。以下の理由から、我が国は、台湾のWHO参加を推進すべきである。
・台湾は、新型コロナウイルス感染症に対して、世界の模範となる対策を講じ、感染症の封じ込めに成功した。台湾の公衆衛生・防疫体制から国際社会が学ぶことは多い。
・防疫に国境はない。感染症対策には国際協調が不可欠であるにもかかわらず、台湾がWHOにオブザーバー参加も含めて参加できていないことで地理的空白が生じる事態となっている。世界の公衆衛生上の利益を損なっていると言わざるを得ない。
・WHO憲章は「人種、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件によって差別されることなく、到達し得る最高水準の健康を享有することは、万人に保障される基本的人権の一つである」と謳っている。この理念に照らしても、台湾のWHO参加を妨げるべきではない。
よって、本県議会は、国において、台湾のWHOへの参加実現に向け、台湾の参加支持を表明している関係各国・地域と連携し、WHO事務局への働きかけを強化されるよう要望する。
以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和2年12月21日
三重県議会議長 日沖 正信
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
外務大臣
厚生労働大臣
内閣官房長官