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漁業及び養殖業の危機的状況を打開するための対策を講じることを求める意見書
漁業及び養殖業は、国民の豊かな食生活を支える重要な産業であるとともに、関連産業も多い。本県においても、地域の基幹産業として地域の維持及び活性化に欠かせない存在であり、重要な役割を果たしている。しかしながら、磯焼けの常態化、飼料の価格高騰等の影響を受け、現在危機的な状況を迎えている。
本県の周辺海域では、平成29年の夏頃から始まった黒潮の大蛇行の影響で磯焼けが常態化している。その結果、イセエビ、アワビ、サザエ、ヒジキ等の漁業資源が大きく減少し、採貝・採藻、海女漁をはじめとする漁業者への影響は甚大となっている。
一方、養殖業では、近年、魚粉原料の不足により、魚類養殖における配合飼料の価格が高騰している。このような価格高騰に備え、国と養殖業者との拠出により、漁業経営セーフティーネット構築事業が運用されているが、漁業者負担分の拠出が漁家経営を圧迫している。また、生餌として用いられている県内のマイワシ、サバ等の水揚げが大幅に減少しており、他県で水揚げされたものを運搬し使用しているため、経費が増大している。こうした状況は、長期にわたる可能性が高いことから、今後、多くの養殖業者の資金繰りが行き詰まるおそれがある。
したがって、危機的な状況となっている漁業者及び養殖業者の経営を安定化させるため、緊急的に、磯焼け、飼料の価格高騰等への対策を講じる必要がある。
よって、本県議会は、国において、漁業及び養殖業の危機的な状況を打開するため、下記の措置を速やかに講じることを強く求める。
記
1 漁業者等が行う藻場の保全・再生活動のための十分な予算を確保するとともに、深刻な不漁の影響を受ける漁業者及び関連する事業者への助成を行うこと。
2 配合飼料の価格高騰が継続していることから、漁業経営セーフティーネット構築事業における国の負担割合を引き上げるとともに、漁業者による年度途中の積み増しを恒久的に認めること。
3 飼料供給の安定化を図るため、飼料の輸送及び冷凍に係る経費の補助を継続するとともに、魚粉の確保に向けた対策に取り組むこと。
以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年3月22日
三重県議会議長 中森 博文
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
農林水産大臣