2-14 公共施設の用に供する土地の帰属(法第40条)
(公共施設の用に供する土地の帰属)
法 |
第40条 開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により、従前の公共施設に代えて新たな公共施設が設置されることとなる場合においては、従前の公共施設の用に供していた土地で国又は地方公共団体が所有するものは、第36条第3項の公告の日の翌日において当該開発許可を受けた者に帰属するものとし、これに代わるものとして設置された新たな公共施設の用に供する土地は、その日においてそれぞれ国又は当該地方公共団体に帰属するものとする。 |
2 |
開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により設置された公共施設の用に供する土地は、前項に規定するもの及び開発許可を受けた者が自ら管理するものを除き、第36条第3項の公告の日の翌日において、前条の規定により当該公共施設を管理すべき者(その者が地方自治法第2条第9項第一号に規定する第一号法定受託事務(以下単に「第一号法定受託事務」という。)として当該公共施設を管理する地方公共団体であるときは、国)に帰属するものとする。 |
3 |
市街化区域内における都市計画施設である幹線街路その他の主要な公共施設で政令で定めるものの用に供する土地が前項の規定により国又は地方公共団体に帰属することとなる場合においては、当該帰属に伴う費用の負担について第32条第2項の協議において別段の定めをした場合を除き、従前の所有者(第36条第3項の公告の日において当該土地を所有していた者をいう。)は、国又は地方公共団体に対し、政令で定めるところにより、当該土地の取得に要すべき費用の額の全部又は一部を負担すべきことを求めることができる。 |
(法第40条第3項の政令で定める主要な公共施設等)
令 |
第32条 法第40条第3項の主要な公共施設で政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 |
都市計画施設である幅員12m以上の道路、公園、緑地、広場、下水道(管渠を除く。)、運河及び水路 |
二 |
河川 |
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令 |
第33条 法第40条第3項の規定により国又は地方公共団体に対し費用の負担の協議を求めようとする者は、法第36条第3項の規定による公告の日から起算して3月以内に、国土交通省令で定める書類を国又は当該地方公共団体に提出しなければならない。 |
規 |
則第33条 法第33条の国土交通省令で定める書類は、次に掲げる事項を記載した書類、費用の負担を求めようとする者が法第36条第3項に規定する公告の日において当該費用の負担に係る土地を所有していたことを証する書類並びに当該土地の位置及び区域を明示する図面とする。
一 |
費用の負担を求めようとする者の住所及び氏名 |
二 |
負担を求めようとする額 |
三 |
費用の負担を求めようとする土地の法第36条第3項に規定する公告の日における所在、地番、地目及び面積 |
四 |
費用の負担を求めようとする土地の取得に要すべき費用の額及びその積算の基礎 |
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〔解説〕
開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する事によって設置された公共施設の用に供する土地の帰属について規定したものである。
(1) |
第1項は、従前の公共施設を廃止してそれに代わる新たな公共施設を設置する場合の土地の交換についての規定である。開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により従前の公共施設が廃止される場合には、その公共施設の用に供されていた土地は、その他の土地やあるいは建築物等と同様に開発許可を受けた者が買収する等により必要な権原を取得すべきものであるが、本法が道路、排水施設等の公共施設を整備する義務を課したことと関連して、代替的な機能を有する公共施設が設置される場合には、その土地と従前の公共施設の用に供する土地とが第36条第3項の公告の日の翌日において当然に交換されるものとして整理することが事務処理のうえで便宜であると考えられるので、国有財産法及び地方公共団体の財産の処分に関する法令についての特例を定めたものである。
ア |
「開発行為に関する工事」については、第39条の解説を参照されたい。 |
イ |
「従前の公共施設に代えて」とは、従前の公共施設の機能に代わる公共施設という趣旨であって、その構造、規模等が同一であることを要せず、従前の公共施設が複数であって、それらを単一の公共施設にまとめて整備する場合も含まれる。また、必ずしも新旧が等価であることを要しない。 |
ウ |
本項は、従前の公共施設の用に供する土地が国又は地方公共団体の所有に係る場合についてのみ適用される。その敷地が民有である場合を除外したのは、公共施設の用に供する土地は、原則として、国又は地方公共団体が所有することが望ましく、従って、開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により新設される公共施設の敷地についても、当然に民有地とすることが望ましくない以上、従前の民有地である敷地については、本則にかえり、開発許可を受けた者が買収する等により必要な権原を取得すべきものと考えられるからである。 |
エ |
従前の公共施設の用に供していた土地は、「当該開発許可を受けた者に帰属する」こととなる。従前の公共施設の用に供する土地が新たに設置される公共施設の用に供する土地の従前の所有者に帰属することとしなかったのは、開発許可を受けた者が開発行為又は開発行為に関する工事が施行される土地の全部の所有者であるのが一般的であり、そうでない場合でも開発許可を受けた者に帰属することとした方が事務処理上便宜であると考えられたからである。なお、この帰属についても、不動産登記法による登記が必要となるのは当然である。 |
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(2) |
第2項は、前項の場合及び開発許可を受けた者が自ら管理する場合を除き、開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により設置された公共施設の用に供する土地は、前条の規定による当該公共施設の管理者に帰属することを定めて、同条の規定と合わせて公共施設に関する権利関係の簡明化を図っている。
国又は地方公共団体の機関が公共施設の管理者となる場合には、その土地の帰属主体を当該機関とすることは、行政庁としての性格から考えてふさわしくないので、そのような場合には、国又は地方公共団体に帰属するものとしたのである。 |
(3) |
開発行為をしようとする者は、本条の趣旨を、開発行為をしようとする土地若しくは開発行為に関する工事をしようとする土地の区域内の土地につき当該開発行為の施行又は当該開発行為に関する工事の実施の妨げとなる権利を有する者の同意を得る際に十分説明し、開発行為又は開発行為に関する工事の完了後、無用の混乱を生じないように、配慮すべきである。 |
(4) |
本条の規定による公共施設の用に供する土地の帰属についても不動産登記法による手続が必要であるが、その登記手続については、建設省計画局長通達及び同省官房会計課長通達に定めるとおりである。 |