消防の広域化及び連携・協力について
1.経緯
消防は、多様化・大規模化する災害・事故等に的確に対応し、住民の生命、身体及び財産を守る責務を全うすることが求められています。しかしながら、小規模な消防本部においては、出動体制、保有する消防車両・専門要員の確保等に限界があることや、組織管理や財政運営面での厳しさが指摘されているなど、必ずしも消防体制が十分でない場合があり、その整備・充実のためには、消防の広域化により行財政上のスケールメリットを実現することが極めて有効であるとされています。
このことから、総務省消防庁では消防の広域化を推進するため、平成18年6月に消防組織法の一部改正を行い、本県では、平成20年3月に「三重県消防広域化推進計画」(以下、「旧推進計画」という。)を策定し、総務省消防庁の「市町村の消防の広域化に関する基本指針」(以下、「基本指針」という。)に定める広域化の期限(平成24年度末)内に、第一段階である8ブロックの実現に向け、単独消防本部の2ブロックを除く6ブロックにおいて、市町と協議しながら広域化を推進してきました。
また、その後、平成25年4月の基本指針の改正を受け、旧推進計画を見直し、平成26年3月に「三重県消防広域化推進計画(改訂版)」(以下「旧推進計画(改訂版)」という。)を策定し、地域の特性や実情、広域化の必要性の認識や期待感などを十分にふまえ、進めていくこととしました。
しかしながら、本県において広域化を実現したブロックはなく、全国的にも、これまでの取組により一定程度の広域化が実現したものの、小規模な消防本部が未だ多数存在している状況にあります。
そうした中、総務省消防庁は、平成30年4月に、消防の広域化及び連携・協力に関する基本指針を改正し、広域化及び連携・協力の推進期限を令和6年4月1日まで延長するとともに、都道府県に対して、平成18年の消防組織法改正以降の10年以上にわたる取組を振り返った上で、今一度原点に立ち返り、消防広域化推進計画を再策定することが求められました。
このため、県では、各消防本部の隊数や消防車両等の状況を示した「消防力カード」に基づき、消防力の実情、消防本部の財政、人事管理等の状況など、現状や課題を聞き取りし、地域ごとの広域化及び連携・協力の取組状況をふまえ、中長期的な消防体制の将来像の展望と、展望を見据えた推進期間中の取組について各消防本部と議論を重ね、今後の本県における消防体制の方向性を示した「三重県消防広域化及び連携・協力に関する推進計画」(以下「推進計画」という。)を策定しました。
2.三重県消防広域化及び連携・協力に関する推進計画の概要について
推進計画では、消防を取り巻く環境の変化、消防の現状と課題、地域ごとの取組の現状等のほか、中長期的な広域化を展望しつつ、国が定める推進期限である5年間の各地域における取組など、次の事項を定めています。
①消防の広域化及び連携・協力の経緯等
②消防を取り巻く環境の変化と三重県の消防の現況
③消防力の向上に向けた取組
・10年間の振り返りと10年後の消防体制の姿
・今後の消防の広域化及び連携・協力の推進について
④消防の広域化及び連携・協力のために必要な措置
具体的には、連携・協力の気運の高まりをさらに促進すべき地域として、以下の地域において連携・協力を推進していくこととします。
① 通信指令業務の共同運用
ア 伊賀市・名張市地域
イ 津市・鈴鹿市・亀山市地域
ウ 松阪・紀勢・東紀州及び三地域(伊勢・鳥羽・志摩)
② はしご自動車の共同整備
ア 鈴鹿市・亀山市地域
3.今後の取組
県は、人口減少社会の到来、少子高齢化の進展等の社会情勢の変化に対応していくためには、消防の広域化及び連携・協力が消防力の維持・強化には有効な手段の一つであることから、原則として、現行の広域化対象市町の組合せを踏襲しつつ、連携・協力などの取組をステップとして中長期的な広域化も展望しながら、取組を進めていきます。
特に、連携・協力については、新たな検討会の設置などの動きがあり、消防庁が示す推進期限の5年間において、県としてもオブザーバーとして参加するなど積極的に支援し、集中的に議論を進め結論を得ることをめざします。
また、推進計画に沿って、県は市町や消防本部からの求めに応じて必要な調整や先進事例等のきめ細やかな情報提供を行うとともに、地域の実情に応じた弾力的な財政支援措置を国に働きかけるなどに取り組んでいきます。