英虞湾での干潟再生の取り組み(実装支援事業)
水産研究所では、(独)科学技術振興機構の支援を得て、実装支援事業「英虞湾の環境再生へ向けた住民参加型の干潟再生体制の構築」を実施しました。この事業の目的は、地元住民や関係自治体との連携によって干潟・藻場の再生活動を実施し、干潟再生の重要性を広く認識していただくことにあります。
この事業では湾内のかつて干潟であった場所を(志摩市阿児町石淵(約2ha))をモデル海域として、地域のみなさんと共に再生活動を実施しました。この活動を通して、干潟再生の重要性を地域のみなさんに理解していただき、継続的に活動できる体制の構築を目指しました。
事業パンフレット(日本語版)(PDF:1655KB)
事業パンフレット(英語版) (PDF:676KB)
干潟再生活動の内容
平成22年4月より、地域のみなさんと連携し、定期的に干潟・アマモ場の生き物観察会やコアマモという海草の移植を行いました。またこれらの活動は、地元の多様な方々の参加で構成される、「英虞湾自然再生協議会」とも連携して実施しました。
- 干潟・アマモ場生き物観察会 (平成23年05月21日(土))
- 指導者養成スキルアップ講座 (平成22年 6月13日(日))
- 干潟・アマモ場の生き物観察会 (平成22年 5月29日(土))
干潟の調査結果(再生効果)
平成22年4月から海水導入を開始した再生干潟の調査結果について紹介します。 どのような生き物が見つかったでしょうか?
英虞湾の環境問題と干潟の現状
英虞湾では、毎年のように赤潮と貧酸素水塊が発生し、真珠養殖をはじめ海域の生物生産が低下する等の環境悪化が問題となっています。これまでの研究で、その原因の一つが干潟消失による自然浄化能力の低下にあることがわかっています。
英虞湾では,江戸時代以降湾奥部の水田干拓により、 70%以上の干潟が消失し、現在はその85%以上が沿岸休耕地となっています。
干潟再生海域の概要
湾奥部の昔干潟であった場所(志摩市阿児町石淵)を干潟再生海域として、海域と分断している堤防の水門を開放し、海水を導入することで干潟を再生します。この場所では、アサリの放流や海草場造成や環境学習などの再生活動を地域の皆さんと共に行いました。
もっと詳しく
干潟再生海域の行き方 干潟再生海域の概要 |
水門改変と海水導入
平成22年1月に干潟再生海域(石淵)の潮受け堤防に設置されている水門の開放工事を実施し、4月より沿岸休耕地への海水導入を実施しました。
海域を分断する潮受け堤防 |
堤防解放後に流出する海水 |