再生干潟の調査結果 (再生効果)
生き物の変化
種類数の変化
湿重量の変化
海水導入前の事前調査では、ユスリカやカワゴカイなどの汽水性で汚れた場所に生育する生物が中心に6種類しか生育していませんでした。
海水導入後、再生干潟は塩分濃度が上昇し、汽水性から海水性の生物相に変化しました。海水導入3ヶ月後には、ボラやハゼやスズキの稚魚等の小型の魚類やウミニナやヘナタリ、ケフサイソガニのような移動性の生物を中心に、16種類が見られるようになりました。また海水導入6ヶ月後には、クロダイの稚魚やテナガエビ等、17種類が再生干潟で見つかりました。また、出現した生物の湿重量も徐々に増加しています。アサリの稚貝も見つかりました。徐々にですが確実に生物が増加していることが確認できています。
さらに水門の周辺では、再生干潟から流れ出す海水に向かって、サヨリとトウゴロウイワシの大群が群がっていました。水門を開放するようになって、陸からの栄養分が流れ込むようになったためであると考えられます。
干潟で見つかった生き物
二枚貝類
アサリ
干潟の代表的な貝です。英虞湾では最近ほとんどとれなくなっています。 |
イオウハマグリ
大きさ3cmぐらいの丸みを帯びた貝です。殻は丸くふくらみがあります。 |
||
ソトオリガイ
大きさ4cmぐらいの泥の干潟にすむ貝です。殻はとても薄く割れやすいです。
|
ホトトギスガイ
大きさ2cmぐらいの貝です。殻にホトトギスに似た模様があります。足糸(そくし)と呼ばれる糸で絡み合いマットを作ります。 |
||
マガキ
大きさ10cmぐらいの貝です。干潟に転がる石や堤防などにくっついています。 |
ヒバリガイモドキ
大きさ3cmぐらいの貝です。干潟に転がる石などにくっついています。 |
腹足(ふくそく)類 (巻き貝など)
スガイ
大きさ3cmぐらいの貝です。石の転がる干潟にいます。蓋が丸く厚いのが特徴です。昔蓋を酢の中に入れると、泡を吹き出して動き回ったことからこの名前が付いたようです。 |
マツバガイ
大きさ6cmぐらいの貝です。干潟の岩などにくっついています。放射状に溝が入っています。
|
||
イボウミニナ
大きさ4cmぐらいの貝です。殻にはイボ状の突起があります。殻の入り口が少し湾曲しているのが特徴です。 |
ヘナタリ
大きさ3cmぐらいの貝です。砂と泥の混じった干潟にすんでいます。殻の入り口が牙のようにとがっているのが特徴です。 |
甲殻(こうかく)類
ケフサイソガニ
干潟の代表的なカニです。砂や泥にすんでいます。はさみの付け根に毛が生えています。「毛ふさふさイソガ二」→「ケフサイソガニ」でしょうか。 |
イソスジエビ
大きさ5cmぐらいのエビです。干潟の潮だまりなどにいます。体は透明で、黒い縞模様(しまもよう)が特徴です。
|
||
テナガエビ
大きさ8cmくらいのエビです。淡水(たんすい)と海水が混ざる河口域にすんでいます。長い手が特徴です。時には小魚をおそいます。 |
ユビナガ ホンヤドカリ
大きさ2cmぐらいです。干潟の代表的なヤドカリです。はさみの大きさが左右違い、右の方が大きいのが特徴です。 |
多毛(たもう)類
コケゴカイ
大きさ3cmぐらいのゴカイです。淡水(たんすい)と海水が混ざる汽水(きすい)域の泥の中にすんでいます。 |
魚類
ヒメハゼ
体長3cmぐらい。潮が引いた干潟の潮だまりなどで見つけることができます。
|
スズキの稚魚
|
||
クロダイの稚魚
|
ボラの稚魚
|
||
チチブ
|
メダカ
|
少しずつですが、確実に再生干潟で生き物が増えてきていることが実感できます。今後もこのような調査活動を通じて、干潟・藻場の大切さと、再生のための活動に対する理解が進むことを期待しています。
調査地点の概要
調査地点は、海水導入を行っている「再生干潟」と堤防の前ひろがる「自然干潟」で行っています。両者で見つかった生き物を比較することで、干潟再生の効果を評価しています。普段皆さんと行う観察会だけでなく、より詳しい調査も研究所で行っています。
図 調査地点の概要