令和4年10月4日に提出のあった住民監査請求について、令和4年12月2日に、請求人に監査の結果を
通知しました。
1 請求書提出日 令和4年10月4日
2 請求人 みえ教育ネットワーク教職員ユニオン 委員長 大原 敦子 氏
3 請求の内容(要旨)
三重県高等学校体育連盟は、事務局として使用している県立稲生高等学校内の一室の賃貸料金の支
払を行っていない(なお、水道光熱費や通信費といった諸経費の支払も行っていない。)。
三重県高等学校体育連盟で発生する人件費は、三重県高等学校体育連盟が負担すべきものであり、
教職員が給与を得て三重県高等学校体育連盟の業務を行うことは不適切である。
上記のように、三重県教育委員会教育長及び県立稲生高等学校長の三重県高等学校体育連盟への利
益供与により、年間数百万円にも上るとみられる損害を県に与えてしまっている。これは県費の不正
な使用であり、是正が図られるべきである。
4 監査委員の判断
(1)結論
本件請求を棄却する。
(2)結論に至った理由(概要)
ア 三重県高等学校体育連盟は、大会に出場する生徒に要する旅費等の経費の補助や引率教職員の
旅費等の支払を行うとともに、県内高等学校等の運動部活動の充実を図るため、運動部活動の成
果を発表する場である公式大会の企画及び運営や各競技の指導者の養成等を行っており、学校教
育活動のため業務を行っていると認められる。
三重県高等学校体育連盟が学校施設等を使用することについては、学校教育活動に係る教育財
産の使用であり、請求人が主張するような行政財産の目的外使用には該当しないことから、行政
財産の目的外使用許可等の手続は必要とせず、使用料を徴収する必要もないと認められる。
以上のことから、三重県高等学校体育連盟が学校施設等を使用していることについて、使用許
可等の手続を取らず、県立稲生高等学校長が三重県高等学校体育連盟から使用料等を徴収してい
ないことは、違法又は不当に徴収を怠る事実に当たるとまでは認められない。
イ 教職員は、三重県高等学校体育連盟の業務を行っているが、当該業務は、学校教育活動のため
の業務と認められる。
このように、職務との関連が特に密接であると認められる団体の業務が、公務の遂行と認めら
れる場合があることは、あらかじめ想定されており、教職員が高体連業務を行う場合に限らず、
広く認められている。
以上のことから、県立稲生高等学校長が、通常の勤務として三重県高等学校体育連盟の業務を
教職員に行わせていることについて、違法又は不当な事実があるとまでは認められない。
(3)付言
県教育委員会は、今後、下記のとおり取り組むなど、統一的な運用が図られるよう努められたい。
ア 外部団体が、教育財産を恒常的に使用する場合には、それが行政財産の目的外使用に該当しな
い場合であっても、学校長が文書で承認手続を行うなど、教育財産を適切に管理できるよう、明
確な基準や手続を定めること。
イ 教職員が、職務との関連が特に密接であると認められる団体の業務を行うことが、直接公務の
遂行と認められる場合であっても、それが恒常的なものであるときは、学校長が文書で承認手続
を行うなど、教職員の服務管理を適切に行えるよう、明確な基準や手続を定めること。