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平成20年12月09日

電子県庁化による事務の効率化と行政コストの削減について

第1 外部監査の方法

  1. 監査の要点
  2. 主な監査手続き

第2 外部監査の結果

  1. パソコンの導入状況
  2. 電子決裁システムの利用状況
  3. 電子決裁システムサーバの業務内容の分析
  4. 「旅費サブシステム」からの電子決裁

外部監査人意見

1.監査の要点

  • パソコン及びその関連設備等について合理的に予算執行されているか。
  • パソコン及びその関連設備等が効率的に運用され、事務の効率化及び行政コストの削減に寄与しているか。

2.主な監査手続

  • 主たる業務である文書管理改善事業費(平成8年度から平成12年度まで合計2,799,988千円)につ いて情報政策課及び文書業務を所管する政策評価推進課、出納業務を所管する出納局財務会計課 へ、事業の目的・内容・他の事業との関連について質問した。
  • 利用状況を検証するため平成13年4月から平成13年11月までの期間、それぞれのネットワークに おいて稼働しているサーバが作成する様々なログファイルを抽出し、事務効率にどのように寄与した  かを検証した。
  • パソコンのエンドユーザとして任意に選定した課において、現地視察及び資料の分析を行った。

1.パソコンの導入状況

三重県におけるパソコンの購入実績は平成8年からスタートし、外部監査人調査時点(平成13年9月現在)では他の事業で購入したものも含め、5,815人に対し配布完了の状況になっていた。
 すべての事業費(パソコン等購入費、ソフトウエア開発費用並びに委託費など)は総額2,799,988千円となっている。これらの整備により各職員のパソコンに電子メール・総合グループウエア・電子決裁システムや財務・税務の基幹システムが提供されている。この中で特に今後整備される電子文書保存を含めた文書管理システムの中核とされる電子決裁システムについて検証を行うこととした。

2.電子決裁システムの利用状況

利用状況については電子決裁システムのサーバの作成するログファイルを分析することによって検証することとした。平成13年4月1日より平成13年11月29日までのデータによるファイルの記録総数658,276件を分析した結果、電子決裁利用者として各職員に発行された職員ID数4,542件(単独地域機関等を除く)の内、ログインされた職員ID数は3,615件、残りの927件に関しては一度のアクセスも無かったということになる。一度もシステムに入ったことの無いユーザーが全体に占める割合は20.4%にもなる。また、0回から10回までしかシステムを利用していない職員IDの所有者が1,878件となり、全体の4,542件に対しては、41%を超える割合となる。起案や決裁・承認といった作業は頻繁に行われていることなので、この結果利用率はかなり悪いことがわかる。

3.電子決裁システムサーバの業務内容の分析

電子決裁システムの文書の流れの中の最初すなわち「回議開始」の数は3,112件しかない。当初このシステムの設計の段階では、年間227,340件の文書を管理する容量で設計されており、ほとんど利用されていないことがわかる。
また、課によって随分異なった結果になっており、「県庁全体」で電子化に取り組んでいるということであるが、実際には統一した運用がなされていない。
 「電子決裁システムに関する文書の取扱要綱」によると、添付書類のあるものは従前同様に紙決裁が行われることになり、「電子決裁システム」は使用されないシステムとなっている。

4.「旅費サブシステム」からの電子決裁

旅費の財務システムで発生したデータ175,038件(単独地域機関等を除く)について、電子決裁に回されたデータは78,185件となっている。
 情報政策課は、利用状況を正確につかみ利用の促進、またシステムの改良を進んで行ってゆくべきである。パソコンやソフトを導入するだけがこれらの事業でなくこれらのシステムを利用して事務の効率化を促進するところまでがこれらの事業であり、現状を見る限りにおいて利用がなされていないまま放置された状態であるといえる。利用率の悪さ並びに課によってまちまちの対応については、情報政策課全体で対応してゆかなければ決して解決はできないものである。

外部監査人の意見

現在県庁内部でおこなわれているIT化は「県庁には高額なコンピューターとソフトウエアはあるが、IT戦略が無い。」と言うことに尽きる。以下具体的に記述する。

1.電子決裁の利用率の停滞

まず、電子決裁の利用率の低さである。この点に関しては確かに導入時点でのシステムの不安定な点などやむをえない事情も存在するが、添付書類の取扱について導入当初から詰めておくべきであろう。
 また、システムの不具合に関しても、導入当初はどのようなシステムでも存在するが、これらを運用する中で、各種調整により使いやすいシステムを作っていくいわゆる「使い込んでいく」のが通常の方法であろう。しかし、ほぼ半数に近い職員がパソコンによる電子決裁システムの利用を拒絶しているような現状では、よりよいシステムに作り替えていくことなどとても出来ない状況であろう。
 パソコンに代表される情報通信機器は機械の進歩が著しい分野であるが、平成8年製のパソコンが160台、平成9年製のパソコンが760台存在し、これらは当年中にも更新を迫られる。より迅速により効率的に使用する努力を怠れば、本来の目標を達成しないまま事務機器が陳腐化してしまうのである。
 この事は、結果的に無駄遣いとなりコストパフォーマンスの欠如を物語るものである。

2.人材の欠如

次に県の立場としてこれらのシステムを構築し正しく運用できる人材の欠如が挙げられる。ログファイルでは起案者・承認者・決裁者のIDがすべて同じで、3者が同一人物ということになり、システム上重要な問題である。電子決裁において誰が承認し、決裁したのか迅速に判らないようなシステムは問題があるといえるのではないだろうか。更に、問題はこのような監査の資料となりうるようなログファイルをサーバが作成しないうえにこれらを調べるのには複雑な専門の知識が必要で、県職員では不可能な点にある。これらの事実を把握するためには、システム全体を把握している人材が県職員には必要であることを意味する。県としてもシステムエンジニアと対等に話が出来る人材を育てる必要がある。

3.セキュリティ対策

支払いに関しては、各課に1枚ずつ配付されたIDカードとパスワードがキーとなっており、決裁や審査など人的チェックが無ければ1人の担当者で支払業務ができることになる。電子決裁システムが機能しているとするならば単なる支払業務として処理できるかもしれないが、紙決裁と電子決裁の双方混在している状況下では現場を混乱させセキュリティの甘さを具現化してしまい、システムとして内部牽制が機能していない可能性がある。つまり、誤謬を犯すなどの機会をなくすための職務の分離、取引の承認・取引の記録を行う責任を異なる担当者に割り当てる事が充分なされていない。支払いに関してはIDカードを2枚以上通さないと出来ないようにするなど、何らかの対策を講じる必要があろう。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 総務課 総務班 〒514-8570 
津市広明町13番地(本庁3階)
電話番号:059-224-2190 
ファクス番号:059-224-3170 
メールアドレス:soumu@pref.mie.lg.jp

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