旬のおさかな情報
No.23 ブリ 2015年4月17日
ブリ
ブリについてはこれまでも何度かお伝えしてきたように、熊野灘では今が旬といえます。お彼岸ごろに獲れるということで「彼岸ブリ」と呼ばれ、あまりにも脂ののっている冬の日本海のブリと比べられて「脂が少ない」と形容されることもありますが、実物はとても魅力的なおさかなです。
ブリ 南伊勢町贄浦 平成27年4月10日撮影
一般に旬と呼ばれるのは、産卵を控え、体に栄養分となる脂を蓄えている時期を指すことが多いようです。一方、熊野灘のブリは卵巣や精巣が発達していますが産卵前で、まだまだ体にも脂が残っています。つまり、一般的な基準で考えれば、まぎれもなく旬といえる状態なのです。
ブリ 南伊勢町贄浦 平成27年4月10日撮影
上の写真、写りは良くありませんが、魚の体格はお分かりいただけるかと思います。体には張りがあり、やせている様子は全くありません。この魚は活け締めにされた後で、この日まとまった漁獲があったために運よく測定することができました。普通、ブリは生きたまま売られていきますので測定は不可能です。
ブリの水揚げ 南伊勢町贄浦 平成27年4月10日撮影
この港では、ブリがまとまって獲れると、船の水槽で市場まで持ってきた後、小割と呼ばれる生簀に移して生かしておき、少しずつ水揚げしています。
ブリの計量 南伊勢町贄浦 平成27年4月10日撮影
魚を売るときには重さを量る作業が必要で、生きている魚でもそれは同じです。暴れる魚や揺れる船でも量ることができる天秤は、原始的ですが今でも現役で活躍しています。魚と天秤や分銅の重さを全て人力で支えなければならないので、魚がたくさん獲れると職員さん泣かせの作業になってしまいますが・・・。
このようにブリを大切に、できるだけ生かしたまま扱おうとするのには理由があります。ブリは血の気が多い魚で、締め方や血抜き、締めてから美味しい期間など、美味しく食べられる条件が結構シビアです。したがって一度に大量に締めるのも消費するのも大変で、それなら数日生かしたまま置いておけば良いという知恵だと思われます。彼岸ブリは、今では本当に値段が安くなってしまいましたが、それでも浜では大切に扱われ、ブリが獲れると漁師さんたちの機嫌も良くなります。ブリという魚は、浜にとって特別な存在といえるのではないでしょうか。
今が旬の彼岸ブリ、ぜひお試しください。おすすめはなんといってもお刺身やお寿司など、生でいただく料理です。
(2015年4月17日掲載 企画・資源利用研究課)
定置網漁業(水産資源課へのリンク)