おさかな雑録
No.12 ブリ 2010年3月2日
三重県にブリ来遊
平成22年3月1日撮影
三重県にブリが来遊しました。ブリは大きくなるにしたがって呼び名を変える出世魚で、ブリとは標準和名でもありますが、成魚の呼び名、この魚に対する最高の称号でもあります。モジャコと呼ばれるように、流れ藻に付随する幼魚期に西日本の沿岸各地に来遊してから3年程度経ったこの時期、成魚となったブリは産卵のために西へ向かう性質があり、ブリをねらう三重県沿岸の大型定置網も漁獲の最盛期を迎えます。
平成22年2月24日の海況 関東・東海海況速報より
ブリの漁獲はブリ資源の豊凶だけでなく、海況にも大きく左右されます。ブリは黒潮系の暖かく澄んだ水をきらい、岸沿いを移動する性質があります。黒潮が潮岬に接岸して潮岬以西への移動をブロックし、さらに黒潮からの暖水流入によってブリの群れを北へ押し上げる海況になると、三重県沿岸の定置網にブリが入りやすくなることが知られています。ちょうど先週にこのような状態になったことから、これまで目の前を素通りして和歌山県で水揚げされていたブリが三重県沿岸の定置網に入るのではないかと期待していたところ、みごとに的中して各地でまとまった水揚げが見られています。
平成22年2月25日撮影
ブリというと寒ブリという言葉があるように冬が旬と思われがちですが、それは日本海の話。熊野灘沿岸をはじめとする西日本では春がシーズンで、産卵をひかえた体は充実し、脂もほどよくのって、なにより県内で捕れた魚は鮮度抜群でとても美味です。これからまとまった水揚げがあれば価格もお値打ちとなってきますのでぜひご利用いただければと思います。
(2010年3月2日掲載 資源開発管理研究課)