組織

健康・福祉・環境問題など多様化する県民ニーズや、産業の活性化などに即応した効果的な科学技術振興施策を実施するため、時代のニーズに的確に対応した研究課題の企画立案や産学官共同研究を、効率的・集中的に実施するための進行管理の推進など行っています。

人の健康と生活環境は相互に深い関わりを持っています。保健環境研究所では、「県民の健康と安全で安心できる生活環境」を守るため、細菌やウイルスなどを原因とする感染症や食中毒、食品の汚染や医薬品の安全性、生活環境を取り巻く大気や水質及び廃棄物に関わる研究や試験検査に取り組んでいます。
　 また、健康や生活環境の問題発生時への科学的・技術的な対応、感染症発生動向調査情報の提供のほか、試験検査等に関する研修指導を行っています。

    地域産業における技術開発に貢献し、その発展に大きな役割を担ってきました。近年では、専門技術を融合し、省資源化や産業廃棄物のリサイクル技術の研究、環境問題や健康・福祉関連の技術開発に取り組んでいます。
　 また、企業ニーズに対応する試験研究施設・機器の開放や情報の提供を行い、産業界への支援に努めています。
　 研究開発の事例として、3次元空間で自由に動作できる技術や福祉機器の開発などがあり、技術移転の例としては、低アルコール清酒酵母の開発があります。

農業を盛んにするための研究や、生活者起点の立場での健康な生活の創出、自然環境の維持向上を目指して、幅広い視野から食料・農業・農村に関わる研究を行っています。さらに、省力・低コスト・軽作業化による革新的な生産技術の開発や、農薬・化学肥料の低減による環境保全型農業技術の開発、農村の地域づくりなどに関する研究も行っています。
　 近年では、「コシヒカリ」より早く収穫でき、暑い夏でもよい品質の米「三重23号（結びの神）」や、果実が大きく、さわやかな甘さと上品な香りが特徴のイチゴ「かおり野」など、様々な新品種を開発するなどの成果をあげています。

    畜産物は水産物とならんで、わたしたちの生命を維持するのに不可欠な動物性たん白質の栄養源です。その畜産物を消費者に安全で、安価に、安定的に供給していくための研究に取り組んでいます。普通の畜産物とは「ひと味」違ったものや、健康によい機能性成分を多く含んだ卵や肉の開発や、新しい技術として、受精卵移植による肉用肥育素牛の生産や、改良肉用鶏「みえ特産鶏」を研究しています。また、水田で飼料用イネや飼料用ムギを生産し牛に食べさせて、美味しい牛乳や牛肉を生産する研究も進めています。畜産農家の家畜ふんを堆肥化して水田に還元し、耕種農家が飼料作物を作付して畜産農家に供給する耕畜連携を確立し、飼料を外国に頼らない持続可能な農業の実現に寄与していきます。

    木材を積極的に使用することにより、森林の手入れが進み、森林の保全に結びつきます。このため、森林・林業に関する幅広い研究情報の提供や技術的な指導を行っています。
　 また、自然と人びとの共生を目的とした森林の在り方や、木材の利用法まで、大きな視野での事業展開が望まれ、これらのニーズに応えるために、実用的な試験研究に取り組んでいます。企業との共同研究により、複合材や間伐材・並材などを活用した内装材の開発を進めたり、林産業の分野では、三重県の気候・風土に適したハタケシメジの栽培技術の開発に成功するなど、地域独自の需要拡大を実現しています。

    美しい河川や海、三重県は豊かな水産資源に恵まれた地域です。豊かな海を守り、将来にわたり水産物を持続的に利用して行くため、アワビ・トラフグ・アサリなど三重県にとって重要な魚介類をつくり育てるための研究を行っています。
　 また、資源管理や漁場環境、干潟・藻場生態系の保全に関する調査のほか、マハタなど新しい高級魚の生産技術、高品質な真珠を生産するアコヤガイの育種、イセエビの量産技術の開発、環境対応型のクロノリ養殖技術の開発等に力を注いでいます。
　 人工衛星を利用した漁海況情報、赤潮の被害防止のための情報提供も欠かせない業務です。また、伊勢湾や東紀州等の地域の特性を活かした技術開発も重要な課題です。