伊勢茶産地の現状と対策の方向
伊勢茶産地の現状
(1)労働力の不足
茶園における作業労働は摘採、防除、施肥が主な作業となりますが、これらの作業は労働強度が強いため、高齢化が進む中、労働力を確保しにくい状況となっています。さらに、摘採時期には作業が集中することから、ますます労働力不足が深刻となってきています。
(2)摘採期間の短期集中化
主力茶園の品種化は進んでいますが、相変わらず「やぶきた」の比率が高く、摘採時期が集中しやすい状況にあります。また、防霜施設の整備もほぼ完了したため、ますます摘採期間の短期集中化が懸念されます。
(3)荒茶価格の伸び悩み
近年は食生活の多様化にともない緑茶ペットボトルが台頭してお茶のリーフばなれが助長されています。また、景気の低迷による高級茶需要の低下、さらには海外からの廉価な荒茶輸入が急増する中、荒茶価格の伸び悩みが深刻な問題としてとらえられています。今後は、高級茶産地の銘柄を高めていく一方で、生産コストの低減を進めていく必要があります。
(4)比較的平坦茶園が多い大規模経営の出現
先進的な茶業経営者の中には機械化に伴い5~10ヘクタールの経営規模を有し、機械化のメリットを活かした経営をされている事例があります。労働力不足を補い、コストを削減するためにも機械にみあった一定の規模が必要となってくるでしょう。