第14回
今回は、決算の最終段階の精算表への記入から貸借対照表、損益計算書の作成までです。前回まで4回にわたって説明しました決算整理によって行った仕訳(決算整理仕訳)を記帳結果に反映させる作業となります。最終段階ですので、頑張ってください。(と言っても単純作業ですので気楽にいきましょう。)
精算表の作成
精算表とは、期中の取引(日常の取引)を記録してきた記帳結果に、日頃の取引では把握できない取引(決算整理で整理した取引)を反映させるために作成するものです。 実際のもの(様式)は次のとおりです。
コラム
精算表には色々な様式があります。説明で示したのは、8桁精算表といわれるものですが、他には整理記入欄の後に整理後試算表欄の加わった10桁精算表が一般的なものですが、記入の仕方は変わりません。
ここで、記入例を見てみましょう。第9回の時に作成した「合計残高試算表」の残高と第10回で説明した棚卸資産の決算整理仕訳を例に使います。
説明
1)残高試算表欄に各勘定科目の残高を記入します。示した部分では、「現金」「当座預金」「売掛金」「生産物」「肥料」の部分のみです。本来はこの後に、使っている勘定科目が続いていると思ってください。
2)整理記入欄に決算整理仕訳を転記します。この例では、次の整理仕訳を転記した場合としてみてください。
借方 | 貸方 |
期首生産物棚卸高 292,500 | 生産物 292,500 |
期首材料棚卸高 80,500 | 肥料 80,500 |
「生産物」「肥料」が貸方に仕訳されていますので、それぞれ「生産物」「肥料」の整理記入欄の貸方に金額を転記します。スペースの関係で示していませんが、「期首生産物棚卸高」「期首材料棚卸高」の整理記入欄の借方にも同様に金額を転記します。
この様に、決算整理で行った仕訳をそれぞれの勘定科目の整理記入欄に総て記入します。
3)各勘定科目の修正後の残高を損益計算書欄、貸借対照表欄へ記入します。例の場合は、「生産物」の整理記入欄の貸方に292,500円が転記されています。また、期末の「生産物棚卸高」と「生産物」の整理仕訳があります(この簿記講座では第10回に期末棚卸高の具体的数字を使わずに○○円としました。)ので、整理記入欄の借方に○○円が入り、整理後残高は○○円となります。
つまり、期首の生産物が経営に投入されてなくなり、期末の棚卸によって把握された生産物が残高として残った。と言うことになる訳です。
各勘定科目毎に横に計算し、「資産」、「負債」、「資本」の勘定は貸借対照表欄へ残高を、「費用」「収益」勘定は損益計算書欄へ残高を記入します。
このように、すべての勘定科目について、決算整理後の残高を計算したら、次に損益計算書欄、貸借対照表欄の借方、貸方欄をそれぞれ縦方向に集計をし、それぞれの差額を求めます。この時、貸借対照表欄の借方と貸方の差額と損益計算書欄の借方と貸方の差額は同じ額になります。もし、ならなかったら、どこかでミスをしていることになります。同じ額になれば、その金額が今期の純損益になります。最後に、損益計算書欄、貸借対照表欄に先ほど求めた差額分(純損益の金額)を記入し、それぞれの借方・貸方合計が同額になるようにします。これで、損益計算書、貸借対照表の完成です。
損益計算書欄の | 借方合計(費用)<貸方合計(収益)なら純利益 つまり「今期は儲かった!」ということになります。 |
逆に | 借方合計(費用)>貸方合計(収益)なら純損失 つまり「残念ながら赤字だった」ということになります |
今回は、精算表の作成について説明しました。本来の簿記では、帳簿の〆切などの手続きを行い、貸借対照表、損益計算書を作成しますが、この講座では、期末の残高試算表と決算整理仕訳から簡単に貸借対照表、損益計算書を作成し、今期の経営成績を出す方法を紹介しました。
次回は、貸借対照表、損益計算書について、もう少し説明をします。