また、石綿の飛散を防止する対策のさらなる強化を図り、人の健康に係る被害を防止するため、令和2年6月に大気汚染防止法の一部を改正する法律が公布され、令和3年4月1日から、一部の規定を除き施行することとなりました。(法改正の概要の案内はこちら)
詳しくは次の内容をご覧ください。
1 事前調査の実施
(1)事前調査の方法
解体等工事の元請業者又は自主施工者は、当該解体等工事が特定工事に該当するか否かについて、 以下の方法により、調査を行わなければなりません。
設計図書その他の書面による調査 (書面調査) |
設計図書等の確認による、解体等工事に係る建築物等の設置の工事に着手した日の調査、使用されている建築材料の種類の調査、使用されている建築材料のうち石綿が使用されている可能性があるものについて、石綿(アスベスト)含有建材データベース等を使用した石綿の含有の有無の調査等をいいます。 |
特定建築材料の有無の目視による調査 (目視調査) |
解体等工事に係る建築物等において設計図書と異なる点がないか、現地において建築材料に印字されている製品名や製品番号等を確認すること、特定建築材料に該当する可能性のある建築材料を特定すること等をいいます。 |
分析による調査 (分析調査) |
書面調査・目視調査により解体等工事が特定工事に該当するか否かが明らかにならなかったときは、分析による調査(JIS A1481-1、A1481-2、A1481-3、A1481-4等)を行う必要があります。 |
ただし、石綿含有が不明な建材を石綿含有ありとみなして飛散防止対策を行う場合は分析調査を行う必要はありません。
(2)調査を適切に行うために必要な知識を有する者
当該調査を適切に行うために必要な知識を有する者として環境大臣が定める者(以下の建築物石綿含有建材調査者講習登録規程(平成30年厚生労働省 国土交通省 環境省告示第1号)に規定する者)に行わせる必要があります。(登録講習機関はこちら)
調査対象物 | 調査者 | 適用日 |
建築物 | ・一般建築物石綿含有建材調査者 ・特定建築物石綿含有建材調査者 ・これらの者と同等以上の能力を有すると認められる者※1 | 令和5年 10月1日 以降 |
一戸建て住宅等 | ・一般建築物石綿含有建材調査者 ・特定建築物石綿含有建材調査者 ・これらの者と同等以上の能力を有すると認められる者※1 ・一戸建て等石綿含有建材調査者 |
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特定工作物 (1~5、7~11) |
・工作物石綿事前調査者 | 令和8年 1月1日 以降 |
特定工作物 (6、12~17) |
・工作物石綿事前調査者 ・一般建築物石綿含有建材調査者 ・特定建築物石綿含有建材調査者 ・これらの者と同等以上の能力を有すると認められる者※1 | |
特定工作物以外の うち、塗料その他 の石綿が使用され ている材料 |
・工作物石綿事前調査者 ・一般建築物石綿含有建材調査者 ・特定建築物石綿含有建材調査者 ・これらの者と同等以上の能力を有すると認められる者※1 |
※1 同等以上の能力を有すると認められる者
義務付け適用前までに一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録され、事前調査を行う時点においても引き続き同協会に登録されている者
特定工作物とは、特定建築材料が使用されているおそれが大きいものとして環境大臣が定める以下の工作物をいいます。
1 反応槽 9 変電設備
2 加熱炉 10 配電設備
3 ボイラー及び圧力容器 11 送電設備(ケーブルを含む。)
4 配管設備(建築物における給水設備、排水設備、 12 トンネルの天井板
換気設備、暖房設備、冷房設備、排煙設備等の建 13 プラットホームの上家
築設備を除く。) 14 遮音壁
5 焼却設備 15 軽量盛土保護パネル
6 煙突(建築物に設ける排煙設備等の建築設備を除 16 鉄道の駅の地下式構造部分の壁及び天井板
く。) 17 観光用エレベーターの昇降路の囲い(建築物であ
7 貯蔵設備(穀物を貯蔵するための設備を除く。) るものを除く。)
8 発電設備(太陽光発電設備及び風力発電設備を除
く。)
2 事前調査結果の説明・保存・掲示・報告
(1)事前調査結果の発注者への説明
解体等工事の元請業者は、当該解体等工事の発注者に対し、必要事項を記載した書面を交付して説明しなければなりません。
(2)事前調査結果の保存
解体等工事の元請業者は、事前調査に関する記録を作成し、当該記録及び発注者に説明(法第18条の15第1項)する際の書面の写しを、また、解体等工事の自主施工者は当該調査に関する記録を作成し、これを解体等工事が終了した日から3年間、保存しなければなりません。なお、記録の保存は電子でも可能です。
(3)事前調査結果の掲示
解体等工事の元請業者又は自主施工者は、事前調査に係る解体等工事を施工するときは、事前調査の記録の写しを当該解体等工事の現場に備え置き、当該解体等工事の現場において公衆に見やすいように掲示(長さ42.0cm、幅29.7cm以上又は長さ29.7cm、幅42.0cm以上の掲示板)しなければなりません。
(4)事前調査結果の県等への報告(令和4年4月1日から適用)
解体等工事の元請業者又は自主施工者は、事前調査を行ったときは、遅滞なく、当該調査の結果を三重県知事( 四日市市内の作業は四日市市長)へ電子システム(石綿事前調査結果報告システム)により報告が必要です。
事前調査結果の報告についての案内はこちら
3 特定粉じん排出等作業実施届出書
届出は届出対象特定工事の発注者又は自主施工者に義務付けされており、当該特定粉じん排出等作業の開始14日前までに三重県知事( 四日市市内の作業については四日市市長)への届出が必要です。届出の対象となる作業は、下記のとおりです。
特定工事のうち、特定粉じんを多量に発生し、又は飛散させる原因となる特定建築材料として政令で定めるもの(吹付け石綿並びに石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材)に係る特定粉じん等排出作業を伴うもの |
4 作業基準の遵守
特定工事の元請業者若しくは下請負人又は自主施工者は、当該特定工事における特定粉じん排出等作業について、作業基準(特定粉じん排出等作業に係る規制基準)を遵守しなければなりません。作業基準は、特定粉じんの種類、特定建築材料の種類及び特定粉じん排出等作業の種類ごとに、特定粉じん排出等作業の方法に関する基準が定められています。
作業基準については、こちらです。
5 発注者の協力等
解体等工事の発注者は、解体等工事の元請業者が行う事前調査に要する費用を適正に負担することその他当該調査に関し必要な措置を講ずることにより、当該調査に協力しなければなりません。また、特定工事の発注者は、当該特定工事の元請業者に対し、施工方法、工期、工事費その他当該特定工事の請負契約に関する事項について、作業基準の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないように配慮しなければなりません。特定工事の元請業者が当該特定工事の全部又は一部を他の者に請け負わせるとき及び当該特定工事の下請負人が当該特定工事の全部又は一部を更に他の者に請け負わせるときについても同様です。
6 参考資料
作業の詳細等については、以下の資料を参考にしてください。・建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル(令和3年3月)