明日のためのイカナゴ資源管理
伊勢湾でのイカナゴの生活を知る
伊勢湾のイカナゴは、他地域のイカナゴ資源とは交流がなく、伊勢湾とその周辺で一生を送る独立した資源と考えられています(図1)。
12月下旬~1月上旬に湾口部の海底に産み付けられた卵は約2週間でふ化し、潮流に乗って湾内へと輸送されます。その後、活発に動物プランクトンを摂餌し、3月上旬には体長35㎜前後に達して漁獲の対象となります。
湾内で摂餌・成長を続けた後、5月頃から湾口部へと移動を始めます。イカナゴは高水温期に、砂に潜って活動を停止する「夏眠」と呼ばれる特殊な生態をもっています。水温上昇が顕著となる6月には、湾・荿矧O域に形成される夏眠場(出山と呼ばれる海域が主)に集群し、夏眠生活に入ります。夏眠期間は12月までの半年間にも及びます。この間、全く摂餌しないにも関わらず、へい死する個体はほとんどありません。
また、夏眠期後半の11月頃から砂中において急激に成熟し始め、夏眠終了後の比較的短期間のうちに、満1歳から産卵します。産卵親魚のほとんどを1歳魚が占めることから、伊勢湾のイカナゴの再生産は1歳魚に支えられていると言えます。
図1 伊勢湾でのイカナゴの生活史