(3)多面的、多角的検討
審議会は、重みづけ手法による総合評価によって、各対象地域を数値で評価した貴重な参考資料を得ることができた。しかしながら、最終的に候補地を選定するためには、さらに、その地域が有する広域的な特徴や、新都市と他の地域との連携、地震等自然災害に対する対応、将来の交通機能の充実、新都市づくりに当たっての課題等について、多面的、多角的検討を行うことが必要である。
以上の観点から、まず、総合評価において高い評価を得た栃木・福島地域及び岐阜・愛知地域につき検討し、あわせて他に適当な移転先候補地があるかについても検討した。
1.三重・畿央地域
三重・畿央地域に対する総合評価の結果は、決して高くはない。
しかし、同地域は、関西圏と中京圏にまたがり、長く我が国の伝統文化の創造と継承に中心的役割を担ってきた畿内に近く、古い歴史を有する。日本列島の狭あい部にあることから、日本海側との連携も容易である。京都、奈良、大阪等の諸機能や文化の集積、また、国立国会図書館関西館、京都和風迎賓施設等の効果的活用も見込まれ、他の地域にはない特徴を有している。
この地域の中央部を通過する新たな高速交通網が整備されれば、東京、名古屋、大阪等と短時間で連絡することが可能となる。これによって、中部国際空港及び関西国際空港の利用が大幅に改善されるのみならず、中京圏と関西圏双方の大都市との連携が一層容易となり、関西圏の再構築と合わせて、この地域の立地条件は大きな飛躍を遂げ、移転先候補地となる可能性を秘めている。
しかし、海溝型の大規模地震のおそれがあり、一部に大きな震度が予想されるため、都市機能の配置、防災対策、大規模災害時の交通や情報の確保等についての早急な検討が必要である。
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