(2)総合評価の対象地域の特徴及び課題
審議会は、移転先候補地の選定作業を更に具体的に進めるため、交通体系の整備状況に基づき、地域の特徴や都市としての広がりの可能性に配慮した上で、調査対象地域の中から、総合評価の対象地域として、次の10地域を設定した。この総合評価の対象地域ごとに、第二段階における関係府県からの意見聴取、現地調査及び16の分野にわたる詳細な調査の結果に加えて、第三段階における16の評価項目ごとの評価の結果をみれば、地域の特徴や課題が一層明確となる。
1.三重・畿央地域
三重・畿央地域は、複数の国土軸が重なる全国のほぼ中央部にあり、国土幹線交通網(名神及び第二名神高速道路等)を経由して関西圏、中京圏、日本海側、西日本地域等との連携が可能な位置にある。また、中部国際空港と関西国際空港という二つの国際空港を利用できる地域でもある。
この地域は、三重地域と畿央地域の特徴を生かすため一体的にとらえたものであり、双方の長所を併せ持つ。
東京から自立し、東京の過密を緩和する効果が期待されるとともに、全国との交通が良好であり、中部国際空港までの海上交通を想定すれば、鈴鹿山麓地域からは、海外との交通にも優れる。火山災害に対して安全性が高い。
一方、東京との交通に時間を要し、その改善が望まれる。大規模地震発生時には一部に大きな震度が予想され、顕著な活断層が比較的多く存在する。自然環境との共生等についても配慮が必要である。
2.三重地域
三重地域は、三重・畿央地域の東部で、中京圏の西寄りに位置する。
名古屋や津、四日市等に近く、鈴鹿山脈と伊勢湾にはさまれ、海に向けて開けており、近接する地球環境関連機関の存在を生かした環境負荷の低い新都市の形成が想定される。また、中京圏の高い先端的産業技術や伝統的工芸技術を生活の中に生かし、海と山の自然に親しむ生活様式の創造が期待される。
三重・畿央地域で述べた長所や課題がおおむね指摘される。気候は穏やかで、水供給の安定性、地形の良好性に優れる。土地の取得には課題がある。
3.畿央地域
畿央地域は、三重・畿央地域の西部で関西圏の東寄りに位置し、関西圏の再構築と合わせた新都市の形成が想定される。
我が国の伝統文化を継承する畿内に隣接しており、21世紀にふさわしい新たな文化を創造することが期待される。近接する地球環境関連機関の存在を生かした環境負荷の低い新都市の形成が想定される。数々の自然公園を背景に自然に親しみ、伝統文化を取り入れた生活様式の創造が期待される。
三重・畿央地域で述べた長所や課題が指摘される。府県境に国公有地が存在する。水供給についての対応が求められる。
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