病院又は診療所の管理者は平成25年4月1日から、「医療法に基づく病院及び診療所の人員及び施設に関する基準等を定める条例」第8条に基づき、下記のことに努めなければならないことになりました(努力義務)。
1.消防設備及び非常災害に対する必要な設備を設けること。
2.医療機関の実状に応じた、非常災害の発生時の安全の確保のために必要な組織体制、行動手順、関係機関への通報及び連絡体制等を定めた具体的計画(ここでは「非常災害対策マニュアル」といいます。)を策定し、その内容を定期的に全ての従業者に周知すること。
3.定期的に避難訓練、救出訓練その他必要な訓練を行うこと。
2に関して、今回、非常災害対策マニュアルの参考例を示させていただきました。
マニュアル作成にあたってこの参考例を活用いただく場合は、それぞれの病院又は診療所の実状に応じて、加筆・削除・修正したり、○○に個人名・役職名・部課名を入れたりして、作成してください。
なお、必ずしも、この参考例をそのまま活用いただく必要はありません。
参考例は、非常に単純な内容にしてあります。
医療機関の機能は、診療科目や病床の有無、病床数の規模によって、また、地域によって様々です。
それぞれの医療機関の事情を踏まえて、それぞれの医療機関にふさわしい独自の非常災害対策マニュアルを作成するようにしてください。
(1)簡潔で分かりやいマニュアル作り
マニュアルは、誰が、どんな場合であっても、すぐ読めて、また適切な行動が取れるよう、簡潔で分かりやすく、具体的なものにすることが必要です。
何をなすべきか一目瞭然であるように、箇条書きや一覧表等で整理すると効果的です。
(2)自分で作る
自分で作ることで、どのような場合にどのような対応をすればよいか、認識を強く持てるものです。
各職種・部門ごとに担当者が関わって、関係者全員で考えていくことが大切です。
(3)責任者を明確にする
するべきことを決めても、一体誰がするのかを決めておかないと、ともすれば、誰も何もしないことになりかねません。
すべてのことについて、あらかじめ誰が何をするのかを明確にしておくことで、いざという時でも漏れのない対応ができるようになるものです。
(4)様々な想定をする
災害は、想定したとおりに起きるというものではありません。
また、災害は、火災や地震に限らず、洪水や津波、土砂崩れなど、様々なものが起こりえます。
日頃から、いろいろな場合を想定して、それに対応できるように心がけておくことが必要です。
(5)職員への周知
せっかくマニュアルを作っても、その内容を職員が知らなければ、いざという時に役に立ちません。
マニュアルの内容を、定期的に、全ての職員に周知するようにしてください。
また、そのことが、職員の認識を高めることにもつながります。
(6)定期的な訓練の実施
様々な災害を想定し、定期的に避難訓練、救出訓練その他必要な訓練を実施することが必要です。
関係者全員で防災訓練を行うことで、一人ひとりの役割分担や行動を確認することができます。
訓練は、何も、大規模な災害を想定したものに限りません。
停電や医療機器の故障など、日常のトラブルへの対応の仕方を関係者全員で話し合うだけでも、関係者の認識を高められるという点で有効な訓練と言えるでしょう。
(7)関係機関との連携
県や市町の作成する地域防災計画の中での自院の位置づけを確認したうえで、地域の関係機関ともよく協議して作成することが必要です。
地域の関係機関として、医師会、歯科医師会、病院協会、薬剤師会、看護協会等の医療関係団体、消防機関、警察機関、保健所、市町等の行政機関、水道、電気、ガス、電話等のライフライン事業者、自治会等の住民組織などを考慮してください。
日頃から、近隣の医療機関や各種関係機関、地域の自治会等との連携を密にし、協力体制を築いておきましょう。
(8)マニュアルの見直し
完全なマニュアルが存在するとは、まず考えられません。
マニュアルは、折にふれて内容を見直したり、特に訓練を実施した後は反省会を開いたりして、その都度修正を加え、少しでも良いものにしていくように考えてください。
関連資料
マニュアル参考例 (Word形式 : 118KB)