不妊治療の基礎知識
不妊治療について、よくある質問や疑問です。
不妊の基礎知識
不妊って?
通常、妊娠を希望しているカップルは、結婚後1年以内に80%以上、2年で約90%が妊娠します。
これに対し、1年以上(避妊期間を省いて)たっても子どもができない場合を「不妊症」といいます。
従来は10組に1組のカップルが不妊であるとされてきましたが、近頃では7組に1組の割合にまで増えてきているといわれています。
不妊症の原因
不妊症と一口にいっても、原因はさまざまです。原因がいくつもからみあっている場合もあります。
女性側、男性側のどちらかに原因がある場合、あるいは両方にある場合があります。ですから、不妊症の検査はどちらか一方ではなく、二人そろって受けることをお勧めします。
不妊治療を受ける場合、まずは検査で不妊の原因を特定することが最初のステップとなります。
ただ、検査を受けてもこれといった原因がわからないケースもあるといわれています。
一般不妊治療と高度生殖医療
不妊治療には、大きく分けて「一般不妊治療」と「高度生殖医療 (ART・ARTは生殖補助医療技術の略です。)」と「手術療法」の3種類があります。
一般不妊治療には、タイミング法(排卵日を予測し、夫婦生活を持つ時期を口頭で指導する)、内服薬や注射によってホルモンを補充するホルモン療法、精子を子宮内に注入する人工授精などがあります。
こうした一般的な治療で妊娠しない場合は、高度生殖医療にステップアップします。
この治療法には、卵子と精子を体外で受精させて培養し、できた胚を子宮に戻す体外受精、卵子の中に精子を注入して受精させ、それを子宮に移植する顕微授精などがあります。
治療ごとの詳しい内容
治療の基本的な流れ
不妊治療を受ける場合、まずは検査で不妊の原因を特定し、その治療から開始するのが原則です。
原因が見つからない場合は、一般にタイミング法などの一般不妊治療から治療をスタートします。
タイミング法を数ヶ月から1年程度行っても妊娠しない場合、次のステップとして人工授精を行います。
そして、人工授精を数ヶ月から1年程度行っても妊娠しなければ、体外受精へのステップアップを考慮します。また、腹腔鏡検査による原因検索も選択枝のひとつです。
不妊の検査って?
検査を受ければ、多くの場合、赤ちゃんができにくい原因がわかります。それにより、ご夫婦がこの先どうすればいいのか、医師から説明をしてもらえます。
検査の種類
受診する前に基礎体温表を2、3周期つけていくと、ホルモンの状態がわかり、診断の参考になります。
不妊症の検査は夫婦ともに検査をする必要があります。
また、女性の検査は月経周期の高温期、低温期、排卵期など検査をする時期が決まっているので、ある程度の期間が必要になります。
検査を進めながら、治療も並行して行うことがあり、一般の病気とやや異なるところがあります。
- 基礎体温の測定
(排卵日の予測・黄体機能不全の有無) - ホルモン検査
(黄体機能不全や高プロラクチン血症の有無など) - 超音波検査
(子宮内膜の厚さ・子宮筋腫・子宮腺筋症・子宮内膜症・子宮内膜ポリープなど) - 頚管粘液検査
(頚管粘液不全の有無・排卵日の予測) - フーナーテスト
(頚管粘液中の精子数や運動性の検査・抗精子抗体の有無) - 卵管疎通性検査
(卵管通水・通気法・子宮卵管造影:卵管の疎通性の検査)
※子宮卵管造影は子宮形態異常の診断や卵巣や卵管周囲癒着の診断にも有用です。 - 精液検査
(精子の異常の有無)