三重県中央農業改良普及センター農業経営シリーズ1
農家経済の運営管理 夢あるくらしと経営発展のために
農家経済、農家生活の特徴には、
(1)農業収入の季節性と環境変化の影響
(2)農業経営費と生活費が未分離
(3)家族労働による制約
(4)多世代家族と地域交流
などの特徴が上げられます。
このような特徴のある農家の経済では、まず農業生産にかかる経営部門と家庭経済に属する部門とを分離して考え、実態を簿記によって把握していく必要があります。
そして、収入や経費の記録を通して実態をつかんだ上で、改善点の洗い出しや経営目標にみあった規模拡大や施設設備の充実などの準備、家族のライフサイクルを考慮した労働設計や働き方の工夫、予算配分が重要です。
農業収入の内訳と可処分所得、家計仕向可能額の関係を簡単にあらわしたものが、図1です。
<図1 農業収入の内訳と家計仕向可能額>
一般に「農業収入(粗収益)」から「農業経営費」を差し引いたものを「農業所得」といいます。 この「農業所得」(兼業農家などでは農業所得に農外所得を加えた「農家所得」)から住民税などの「租税公課」を引いたものが「可処分所得」です。
そして、「可処分所得」から、農業経営の規模拡大や新しい設備投資などを行うための準備金として必要な「営農準備金」、家族の暮らしの目標やライフステージに合わせた「生活準備金」を除いたものが、家計費として使うことのできる「家計仕向可能額」です。
家族経営による農業では、農業所得をそのまま家計費とするのではなく、将来の農業経営や生活の拡充・発展をみこした準備金や非常時に備えた予算の配分を行っていきたいものです。そして、そのためには、将来の営農や生活目標を持つとともに、それにみあった短期・長期の資金の振り分けをし、日常の経営や暮らしの見直しを行いつつ、バランスのとれた経営を継続していくことが大切です。
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