第1回
農業簿記講座をはじめます
簿記は農業経営の分野のなかで基礎的な領域に属します。また、簿記は「経営」を映す「鏡」とも言われます。簿記から得られるデータは、経営分析や診断、経営計画を立てる際の基礎資料となります。すなわち、経営を考え、分析や診断を行うためには、簿記が記帳できなければなりません。そこで、これから「簿記をつけてみようかな」「簿記はつけているけどいまいち分からない」といったかたを対象に「農業簿記講座」をシリーズとして掲載していきます。ぜひ、簿記にチャレンジしてください。
簿記の種類
簿記には単式簿記と複式簿記があり、単式簿記は収入と支出について取引を記帳するもので、現金出納帳等があります。しかし、単式簿記では、経営活動の十分な把握ができず、理論的な基礎をもっていないので、あまり用いられていません。複式簿記は「正規の簿記」とも言われ、勘定と言う形式を用いて、経営の動きを「資産」、「負債」、「資本」そして「費用」、「収益」の五つの項目に分類し、二重の記帳方法と二重の計算方法によって、もれなく記録します。これから説明していくのは、この複式簿記についてです。
簿記の必要性
簿記の必要性を改めて述べる必要はないと思いますが、農業に限らず「経営」を取り巻く状勢は厳しく、し烈な競争が全世界を舞台に繰り広げられています。他の業界を見ても「勝ち組、負け組」といった二極分化が進んでいるのを実感されていると思います。
「経営は厳しいんだ」「常に変革しなければダメなんだ」「昨年どおりなんてもってのほか」といったことを意識してください。
簿記を記帳することによって財務諸表を作成し、これを基にして経営分析、診断等が行われ、経営の概要や成績を数値で捉えることができます。すなわち、現状でどれだけの資産や資本、負債があり、一方で、どれだけの経費を費やし、どれだけの収益(売上)を上げ、どれだけの利潤(損失)があったかが明らかになります。経営者なら当然把握しておくべきこと!ですよね。
コラム:簿記をマスターするコツ
簿記は「習うより慣れろ」とよく言われます。始めのうちは、深く考えず、「そうするもんだ」と気楽に考えましょう。慣れるに従って、「なるほど!」と分かってくるものです。
簿記を覚えようとして、最初につまづくのが「簿記用語」だと思います。よく使われる簿記用語には、用語集へのリンクをつけましたので参考にしてください。