県教育委員会では、令和6年元日に発生した能登半島地震において、災害時学校支援チームを派遣し、現地で行った支援活動を「能登半島地震支援 三重県災害時学校支援チーム報告書」として、以下のようにまとめました。
1 趣旨
今回の能登半島地震支援において、派遣された隊員の経験や知見を共有することで、近年発生が予想さ
れる南海トラフ地震への学校等の防災対策や、いつ発生するか分からない大規模災害に対して、災害時学
校支援チームを派遣するにあたり、参考とするため、報告書を作成しました。
2 報告書の構成(49ページ)
・はじめに
・第1章 令和6年能登半島地震と隊員派遣の概要
・第2章 派遣等の経緯
・第3章 各隊の学校支援活動
・第4章 気づき・課題と南海トラフ地震対策の強化に向けた取組の方向性
・第5章 派遣隊員の感想(派遣を振り返って)
3 派遣期間
令和6年1月10日(水)から令和6年3月31日(日)まで
4 派遣地域
・輪島市門前地区(1月21日(日)から3月15日(金)まで)
・輪島市中心部 (3月18日(月)から3月29日(金)まで)
5 派遣隊員(延べ46人)
・公立小学校 22人
・公立中学校 8人
・県立高等学校 5人
・県立特別支援学校 4人
・県教育委員会 7人(延べ)
6 主な活動内容
(1)学校再開に向けた事前準備
・校内での過ごし方、生活ルールの作成
・児童生徒用仮設トイレの設置、トイレ使用ルールの作成
・オンライン授業を実施するための通信環境の整備等
(2)学校が再開した後の活動内容
・児童生徒の心のケアに向けた取組(児童生徒から相談を受ける体制づくり等)
・登下校時の交通指導
・特別支援学級の児童の支援等
(3)その他の活動内容
・学校事務の支援(児童生徒の転校手続き等)
・教職員の災害見舞金請求事務等の支援等
7 派遣隊員の「気づき」「課題」のまとめ
南海トラフ地震に向けた学校の防災対策に活かしていくため、南海トラフ地震対策の強化に向けた
取組の方向性を記述しています。
※派遣隊員の代表的な気づきや課題
(1)児童生徒の安否確認の方法
平時に保護者との連絡用で使用している連絡アプリにより、児童生徒の安否確認ができた。一方、連絡アプリに返信がない保護者については、道路の陥没や家屋倒壊のリスクがあるため、教師による家庭訪問が難しく、また、身を寄せている避難所についても把握が難しく、安否確認に時間を要した。
(2)学校を避難所として利用する際のルールの設定等
学校施設は「安全安心」「自宅から近い」という住民の認識から想定以上の住民が学校に避難した。
また、避難者の居住スペースや避難所運営の場所を決めていなかった学校では、教室や会議室等を避難者の都合で利用しているケースがあり、教育活動に必要な教室確保に向けた避難者との調整に時間を要し、学校再開の支障となった。
(3)児童生徒の心のケア
地震により、児童生徒はさまざまな不安な気持ちを抱えて過ごしていた。平時から心の支援・サポートが必要な児童生徒は、対応がより必要な状況となったが、その対応ができる教職員を確保できなかった。
避難場所から学校に通う児童生徒もおり、気分転換できる居場所の確保の必要性を感じた。