事業者である合同会社宮リバー度会ソーラーパークから送付のあった(仮称)宮リバー度会ソーラーパーク事業に係る環境影響評価準備書について、知事が環境保全の見地から意見を述べるにあたり三重県環境影響評価委員会へ諮問していました。同評価委員会からは、平成29年9月20日に審議結果の答申がありましたので、平成29年9月21日付けで、下記のとおり環境影響評価準備書に対して知事意見を述べました。
なお、知事意見等については、平成29年10月2日から平成29年11月15日まで、環境生活部、三重県立図書館、情報公開・個人情報保護総合窓口及び南勢志摩地域活性化局において閲覧に供します。
(事業概要)
・事業者 合同会社宮リバー度会ソーラーパーク
代表社員 一般社団法人プロミネンス
・事業実施位置 度会郡度会町地内
・面積 175.51ha(うち97.77haを改変)
※環境影響評価準備書について
環境アセスメントにおいて、調査・予測・評価した結果について意見を聴くための準備としてまとめた書類です。
以下、知事意見を掲載します。
(総括的事項)
1 太陽光発電は、地球温暖化対策を推進するための再生可能エネルギーとして位置付けられているところであるが、環境面や災害面から事業実施を不安視する住民意見が認められることから、資源エネルギー庁策定の「事業計画策定ガイドライン」や、本県策定の「三重県太陽光発電施設の適正導入に係るガイドライン」に基づき、自治体や地域住民とコミュニケーションを図るなど、不安の払拭に努めること。
2 事業の実施にあたっては、環境保全対策に関する最新の知見を考慮するとともに、最善の利用可能技術を導入するなど、より一層の環境影響の低減に努めること。
3 評価書の作成までに、詳細な工事内容及び施設概要が明らかとなり、予測、評価及び環境保全措置に変更を生じる場合は、それら工事内容等を反映した評価書を作成すること。
(個別的事項)
1 騒音、振動
(1)一般環境騒音の測定にあたっては、測定に適切な時期を選定して実施すること。
(2)道路交通騒音及び道路交通振動について、休日の交通量は平日と異なるため、工事を行う予定である土曜日についても予測及び評価を行い、結果を評価書に記載すること。
(3)発破に伴う騒音、振動について、最大限の対策を講じること。特に、近隣住民には前もって発破実施日時を周知すること。
2 水質、地下水
(1)施設の供用時に実施する除草等の際には除草剤等の薬品を使用しないとする、準備書に記載した事業者見解を遵守すること。
(2)大規模出水時に洪水等が発生しないよう、調整池の容量を十分確保するとともに、調整池の堆砂状況を定期的に確認し、必要に応じてしゅんせつを行う等、適切に管理すること。
3 地形、地質
(1)事業実施区域には変成岩が分布し、地すべり地形が確認されているにもかかわらず、大規模な盛土が行われる計画であることから、盛土地盤の安定性として地すべりの影響を予測及び評価し、評価書に記載すること。
なお、予測及び評価の結果、盛土地盤の安定性が確保されていないと判断された場合には、事業計画を見直すこと。
(2)土砂災害の発生による影響を及ぼさないよう、人家や人家立地見込み地周辺への、法面の形成を避けること。
4 陸生動物、陸生植物、水生生物、生態系
(1)事業実施区域内にはホトケドジョウ等の絶滅危惧種の生物が多数存在しているため、学識経験者等に相談し、専門的な見地を踏まえて環境保全措置を行うとともに、移植する際には、移植先の環境収容力に十分配慮して行うこと。
(2)盛土、切土に伴って、地下水の流れが変化することが考えられるため、事業実施区域周辺の湿地環境に極力影響を与えないよう、必要な措置を行うこと。
5 陸生動物
発破に伴う騒音、振動について、オオタカの繁殖等への影響が出ないよう、最大限の対策を講じること。
6 景観
事業の実施にあたっては、緑化を実施し、ソーラーパネルの素材や配置を検討することにより、自然と調和した景観となるよう努めること。
7 その他
(1)気温
森林を伐採し、ソーラーパネルを設置することから、気温の上昇が懸念されるため、事業実施区域及びその周辺において、気温の事後調査を実施するとともに、気温の上昇が認められた場合は、現地の状況に応じた対策を十分検討すること。
(2)水道
水道水源への影響を不安視する住民意見が認められるため、自治体や地域住民に見解を十分説明し、不安の払拭に努めること。