令和5年度の県税徴収率は決算見込みで99.13%となり、前年度の99.03%から0.1ポイントアップし、過去最高(※統計資料のある昭和30年度以降)となりました。
また、収入未済額は約24億1,100万円となり、前年度の約26億1,500万円から約2億400万円縮減し、平成以降で最少額となりました。
なお、県税収入未済額の約76%を占める個人県民税の収入未済額は約18億3,400万円となり、前年度から約1億7,100万円縮減しました。個人県民税の収入未済額は、ピークであった平成21年度の約58億6,700万円から約40億3,300万円縮減しています。
本県では、市町と連携した徴収対策と納税環境整備により収入未済額の縮減に努めています。
1 市町と連携した徴収対策について
(1)「三重地方税管理回収機構」との連携
県内市町を構成団体とする「三重地方税管理回収機構」に県職員を派遣し、市町派遣職員とともに市町税における高額・困難滞納事案の滞納整理を実施しています。
また、平成27年度からは、個人住民税等の少額事案を対象とする徴収第二課を設置し、収入未済額の縮減に取り組んでいます。
(2)個人住民税対策の市町連携窓口の設置
個人住民税の現年度徴収対策として、令和2年度から各県税事務所に市町連携窓口(令和5年度「市町支援窓口」から改称)を設置しました。
各地域において、市町への滞納整理にかかる技術的助言を行うとともに、情報交換会の開催や市町と県税が同時期に滞納整理の強化月間を設けるなど、市町と県が連携を強めるためのさまざまな取組を推進しています。
(3)個人住民税の特別徴収の促進
個人住民税の特別徴収とは、事業主(給与支払者)が所得税の源泉徴収と同じように、従業員(納税義務者)に支払う給与から個人住民税を天引きして、市町に納入する制度です。(※個人県民税と個人市町民税を総称して個人住民税といいます。)
給与所得者における滞納発生の未然防止のため、事業主に対して、普通徴収(納税通知書による納付)から特別徴収への切り替えを促進しており、平成26年度からは県内の全市町が一斉に特別徴収義務者の指定を実施しました。
その結果、本県における平成26年度の給与所得者に占める特別徴収の割合は全国第2位の86.1%となり、令和5年度も89.8%(全国第4位)と高い水準を維持しています。
2 県税の徴収対策について
(1)高額滞納案件の整理
高額滞納案件については早期の解決に向け、多角的な視点から積極的な滞納整理を推進しています。
(2)滞納整理の強化
県税を納める資力があるにもかかわらず、納付しない滞納者に対しては、所有財産の差押えや家宅等の捜索、差押車両のタイヤロックなど、滞納整理の強化に取り組み、差し押えた財産はインターネット公売により売却し、滞納税に充当しています。
また、県税滞納の一掃を図るため、11月と12月の2か月間を「差押強化月間」として、差押処分を強力に進めています。
(3)自動車税対策(単年度整理)の推進
県民に最も身近であり、滞納件数の多い自動車税(種別割)については、年度内に処理を完結する「単年度整理」を意識し、計画的な滞納整理を実施しています。
(4)納税緩和制度の適用
生活困窮など滞納者の事情によっては、滞納処分等の強制的な手段によって徴収することが適当でない場合があります。
滞納者からの納税相談等によってこのような事情を把握した場合は、滞納者の生活維持や事業継続のために一定の期間、滞納処分の執行を猶予や停止する納税緩和制度(徴収猶予・換価の猶予・滞納処分の執行停止)を適用しています。
3 県税における納税環境整備について
県民が納税しやすい環境を整えることで、以下の取組により自動車税の納期内納付率の向上を図り、滞納発生の抑制に努めています。
① コンビニ納付【平成19年度から】
② クレジットカード納付【平成26年度から】
③ スーパー、ドラッグストア等での納付【平成28年度から】
④ スマートフォン決済アプリによる納付【令和2年度から】
⑤ 地方税共通納税システムの導入【令和5年度から】
また、自動車税以外にも令和3年7月から個人事業税と不動産取得税でコンビニ納付やスマートフォンによる納付が可能となりました。その他の税目についても、令和7年8月から「地方税共通納税システム」の二次元コードに対応させるなど、さらなる納税環境の整備を図っていきます。