令和4年3月30日、三重県生活環境の保全に関する条例(以下「条例」という。)第72条の4第1項の規定に基づき、旧有限会社東方工業所(桑名市大字東方218番地の2)の元代表取締役(以下「事業者」という。)から旧メッキ工場(桑名市大字東方218番地の2(以下「旧工場」という。))の敷地の一部において土壌汚染が発見された旨の報告がありました。
1 内容
事業者が旧工場の閉鎖に伴い、土壌汚染対策法に基づき土壌調査を実施したところ、次のとおり六価クロム化合物及びシアン化合物が基準値を超過していました。
【六価クロム化合物】
土壌溶出量:最大94mg/L(基準値 0.05mg/Lの1880倍)
土壌含有量:最大1000mg/kg(基準値 250mg/kgの4倍)
【シアン化合物】
土壌溶出量:最大2.7mg/L(基準値 検出されないこと)
事前に桑名地域防災総合事務所で旧工場敷地の周辺(半径約80m範囲)の住居等に対し、飲用井戸の有無について確認を行ったところ、周辺に飲用の井戸はありませんでした。
土壌汚染の原因として、当該工場ではメッキ製品製造の工程で過去に六価クロム及びシアンを使用しており、何らかの理由で漏えいした可能性が考えられます。
現在、汚染が発見された区画については、コンクリート又はアスファルトで覆われており、新たな汚染土壌の飛散及び雨水による汚染物質の地下水への溶出のおそれはないものと考えられます。
事業者は、汚染が確認された旧工場敷地の土壌について、今後対策を検討するとしています。
県は、土壌汚染対策が適切に行われるよう、引き続き事業者を指導するとともに、桑名市と連携して更に広範囲(半径約500m)の飲用井戸の確認を行い、住民への必要な情報提供を行っていきます。
2 届出内容の問い合せ
森本工産株式会社(土壌汚染対策法 指定調査機関)
電話:059-353-5588
【参考】
(三重県生活環境の保全に関する条例 関係条文)
第七十二条の四
土地の所有者等は、人の健康又は生活環境に係る被害が生じ、又は生じるおそれがあるものとして規則で定める基準を超える土壌又は地下水の特定有害物質による汚染を発見したときは、速やかに当該汚染の拡散を防止するための応急の措置を講ずるとともに、当該汚染の状況及び講じた措置について、規則で定めるところにより、知事に届け出なければならない。
ただし、水質汚濁防止法第十四条の二第一項の規定による届出があった場合は、この限りでない。
(土壌汚染対策法 関係条文)
第三条
使用が廃止された有害物質使用特定施設(水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第二条第二項に規定する特定施設(第三項において単に「特定施設」という。)であって、同条第二項第一号に規定する物質(特定有害物質であるものに限る。)をその施設において製造し、使用し、又は処理するものをいう。以下同じ。)に係る工場又は事業場の敷地であった土地の所有者、管理者又は占有者(以下「所有者等」という。)であって、当該有害物質使用特定施設を設置していたもの又は第三項の規定により都道府県知事から通知を受けたものは、環境省令で定めるところにより、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染の状況について、環境大臣又は都道府県知事が指定する者に環境省令で定める方法により調査させて、その結果を都道府県知事に報告しなければならない。
ただし、環境省令で定めるところにより、当該土地について予定されている利用の方法からみて土壌の特定有害物質による汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがない旨の都道府県知事の確認を受けたときは、この限りでない。
○六価クロム
クロムは主としてクロム鉄鉱として産出されており、地殻表層部には重量比で0.02%程度存在しています。自然界に存在するクロムの原子価は、ほぼ三価のものに限られ、六価のものは、多くの場合人為起源に由来しています。
六価クロムは、発がん性があるとされ、高濃度の場合は皮膚に付着した状態を放置すると皮膚炎や腫瘍の原因になることがあります。
○シアン
無機シアン化合物は、非常に強い毒性をもっています。これはシアン化合物が呼吸酵素の中の鉄と結合することによって、組織呼吸(内呼吸とも言われ、血液で運ばれた酸素が各組織に取り込まれ、そこで生じた二酸化炭素を取り去る過程)を抑制するためです。高濃度のシアン化合物を取り込んだ場合は短時間で死に至ります。また、低濃度のシアン化合物を取り込み続けると、頭痛、めまいなどを起こすとの報告があります。